Lophotrochozoa
ロフォトロコゾア/冠輪動物あるいは
スパイラリア Spiralia
シャミセンガイ(右上)は現生の腕足類。他は化石で知られるロフォトロコゾアで、いずれもカンブリア紀から知られる。ハルキエリア(Halkieria evangelista:右下)は、体の前後に殻を持ち、腕足類に近いかもしれないし、軟体動物に連なる系統ではないかという解釈もある。ウィワクシア(Wiwaxia corrugata:左上)は軟体動物の特徴を持つ一方で、多毛類(環形動物)と良く似た特徴を持っていた。オルスロザンクルス(Orthrozanclus reburrus:左下)はスパイクと殻を兼ね備え、ハルキエリアとウィワクシアをひとつの系統としてつなぐような、中間的な特徴を持っていた。縮尺は同一ではなく、オルスロザンクルスのみ体長は数ミリ程度。他は数センチか、あるいはそれ以上の大きさがあった。
ロフォトロコゾアとは?:
ロフォトロコゾアは1997年、18SrDNAの解析によって示された系統です。環形動物、軟体動物、腕足動物、ホウキムシ、コケムシなどで構成されています。ロフォトロコゾアという名前は、この系統に含まれる動物群が、それぞれ触手冠を持つLophophorata(ロフォフォラータ)とトロコフォア幼生(Trochophore)を持つものたちであったことに由来します。
1:Lophophorata:ロフォフォラータ(あるいはTentaclata:テンタクラータ)
ロフォフォラータは触手冠(Lophophore)という餌を集めるための器官を持つという共通の特徴で束ねられた動物群です。ロフォフォラータに含まれる動物群には腕足動物、苔虫動物(コケムシ)、箒虫動物(ホウキムシ)が含まれますが、単系統であるかははっきりしません(どうも疑わしいようです)。これらの動物は一ケ所から動かない固着生活を送るか、あるいはほぼそれに準じた生活をする動物で、触手冠で餌を集めています。触手冠は口の周りを取り囲む触手の列で、それぞれ繊毛が生えていて、これで水流を起こして、餌を集め、口まで運びます。
2:Eutrochozoa:エウトロコゾア
トロコフォア幼生(Trochophora:トロコフォラという言い方もあるそうです)は典型的には環形動物で見られるタイプの幼生で、典型的には2つの円錐を底の部分でくっつけたような姿をしています。身体の中央にはベルト状に2列の繊毛の帯があり、身体を移動させるために使います。環形動物や軟体動物がこれに含まれます。エウトロコゾアは単系統であると考えられています。
ロフォトロコゾアの派生的な特徴
:トロコフォア幼生を持つ?
:触手冠を持つ?
:受精卵が螺旋状に細胞分裂する
受精卵が螺旋状に細胞分裂すること、この特徴に基づいて、かつてスパイラリアという分類群が立てられていたこと、スパイラリアがほぼロフォトロコゾアと同じメンバーで構成されうることから、ロフォトロコゾアではなく、スパイラリアという呼び名の方を使う人もいます(一方、本によってはスパイラリアがロフォトロコゾアのサブグループになっている場合もあり)。
ロフォトロコゾアの系統:
根_________Annelida アンネリダ 環形動物
| |___Mollusca モルスカ 軟体動物
| |___Brachiopoda ブラキオポーダ 腕足動物
|
| ?___扁形動物
|______Nemertinea ネメルティニア 紐形動物
| ?___Sipuncula シプンクラ:星口動物
|______箒虫動物
|______苔虫動物(外肛動物):コケムシ
|______内肛動物
参考:
[Animal Evolution Genomes, Fossils, and Trees] Oxford University Press 2008
[The Tree of Life A Phylogenetic Classification] The Belkenap Press of Harvard University Press 2006
他