Platyhelminthes

プラティヘルミンテス

扁形動物

オオミスジコウガイビル

Bipalium nobile

おそらくはミミズの組織を食べて、いままさに離脱するところ。詳しくは画像クリック

 

 扁形動物とは:

 扁形とはようするに”扁平である”という意味で、分類群名のプラティヘルミンテスは平らな動物という意味になります。(Platyhelminthes= platy(扁平な)+ helminthes(虫))。

 彼らは循環器官や特別な呼吸器官を持たない動物です。ようするに血管やエラを持たないわけで、身体に栄養を運ぶのも酸素を運ぶのもいわゆる拡散にたよっています。ですから種類によって身体が細長くなったり、ひらたく広がることはできますが、太くなったり丸くなったりすることは無理です(ところで…今気がついたのだけど、じゃあなんでクラゲやイソギンチャクは化け物みたいにでかいのがいるんでしょうね?。拍動したり体中に水を運ぶ管とかがあるせい?)。 

 扁形動物の代表的な種類としては、実験動物で再生能力の高さから有名なプラナリア、海にいる動物で熱帯魚店でもまれに売られているヒラムシ、人間に寄生するサナダムシなどがいます。大きさはサナダムシのように10メートルに達するものもいますが、普通は数ミリ程度であって数センチになるのはさほど多くありません。

 しかしあまり知られていませんが私達の身近にコウガイビルという大形でかつ陸棲の扁形動物がいます。コウガイビルはヒルとついていますが扁形動物で、庭の石の裏とか湿った落ち葉の下にいます(ヒルは環形動物であって扁形動物ではない)。

 コウガイビルはかなり大型で、数センチから種類によってはもっと大きくなるものがいて、最大級のものが右の写真の種類オオミスジコウガイビルです。この個体の長さは70センチくらいあります。

 

 扁形動物のグループ:

渦虫鋼(Turbellaria )

 無腸類(コンボルタ目:Acoela)

 多岐腸類(ヒラムシ目:Polycladida)

 棒腸類(ヒメウズムシ目:Rhabdocoela)

 三岐腸類(ウズムシ目:Turbellaria)

  |_海棲三岐腸類(Maricola)

  |_淡水棲三岐腸類(Paludicola)_ナミウズムシなど

  |_陸棲三岐腸類(Terricola)_クロイロコウガイビル、オオミスジコウガイビル  

   

 

単生鋼(Monogenea )

吸虫鋼(Trematoda)_カンテツ、ハイキュウチュウなど

条虫鋼(Cestoda)

参考:「岩波 生物学辞典 第4版」

  

 扁形動物の特徴:

 扁形動物は左右相称の身体を持つ動物(ビラテリア)のなかではもっとも原始的な特徴をもったグループです。身体が左右対称で前後があり、背中と腹の区別もあります。また頭部を持つ点も他のビラテリアと同じです。そういう点ではイソギンチャクやクラゲなどよりも運動に適した身体と構造であると言われます。しかし消化管は原始的で口はありますが肛門がありません。その点ではクラゲやイソギンチャクと同じです。口は腹側に開きます。

 またすでに書きましたが血管のような循環器官。エラのような目立った呼吸器官を持ちません。そのため、体型や大きさ、形に制限があります。

 

 扁形動物の系統関係:

 扁形動物の系統関係については議論の余地があるようです。そもそも扁形動物は多系統かもしれません。一部はロフォトロコゾアに、一部はロフォトロコゾア+エクディソゾア+デウテロストミアの外群かもしれないという結果もあるようです(参考文献はいずれアップ)。

 シンプル極まりない姿に見えるのですが、そのせいなのか謎めいたところがある動物たちですね。

 

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