![](tsubakuro019.jpg) |
そして、9時19分、燕山荘の裏手に登り着く。
道は山荘の裏をグルッと回るようになっているのだが、間違えて立入禁止となっている建物が立つスペースに入ってしまった。
振り返れば、槍ヶ岳が先程よりもその穂先をせり上げており、
南岳の左には涸沢、北穂高、奥穂高岳まで見える様になってきた。
周囲は風化した花崗岩がいくつか見られ、先程も述べたように、
日向山の雁ヶ原のようである。
建物の横を廻っていくと、燕岳もよく見えるようになってきた。こちらから見る燕岳は綺麗なピラミッド型をしている。
下の方に正規の道が見えたので、ロープを越えて道に戻り、燕山荘の玄関前に出る。
山荘前では多くの人が憩っていた。 |
先にも述べたように、
ここから眺める燕岳は美しいピラミッド型をしている。
加えて、その姿ばかりでは無く、山肌の方も花崗岩、ハイマツ、白砂、そして残雪が見事な配合となって目を楽しませてくれる。
早く登りたくなるような魅力を持っているので、山荘前では休むこと無く、そのまま燕岳に向かう。
砂礫の道を進み振り返れば、こちらから見ても、
高みの上にある燕山荘は要塞のようである。 | ![](tsubakuro020.jpg) |
![](tsubakuro021.jpg) |
槍ヶ岳と燕岳だけのことしか述べてなかったが、
ここからは北アルプスの山々のほとんどを眺めることができるのではないかと思える程、周囲には雪の峰々が広がっている。
写真はその一例に過ぎないが、左の方にある鈍角の三角形は三俣蓮華岳。
その右に黒部五郎岳が少し顔を見せ、
さらに右に立派な鷲羽岳が聳えている。
鷲羽岳の右のピークはワリモ岳、そして少し下った稜線が徐々に上がっていく先にあるのが
黒岳 (水晶岳) である。
さらに黒岳から少し距離をおいて右に見える大きな山容の山は野口五郎岳である。
要するに裏銀座縦走コースの山々がよく見える。 |
燕山荘から燕岳へと通ずる稜線歩きは大変気持ちが良い。
無論、周囲の景色が素晴らしいこともあるが、稜線上でもイルカ岩など、自然が創り出した芸術的な岩を数多く見ることができて、大いに楽しめる。
徐々に燕岳が近づいてくるが、どうもこの光景には既視感があるような気がする。
南アルプスにある鳳凰三山の薬師岳と観音岳の間がこんなような雰囲気だったような気がするが・・・。 | ![](tsubakuro022.jpg) |
![](tsubakuro023.jpg) |
自然が創り出す芸術的な岩の彫刻は、燕岳への途中にあるイルカ岩の他にも沢山見ることができる。
例えば、写真の岩はめがね岩というのだろうか、波のような形をした岩のオブジェであり、途中に窓が 2つ程できている。
角度を考えれば、窓から槍ヶ岳も写せたのかもしれないが、
あまり時間も掛けていられないので、前穂高岳を写せたことで満足した次第。
そう、いつの間にか前穂高岳も見ることができるようになっていたのであった。 |
砂礫と岩の斜面をジグザグに登り、
最後は岩の間を一登りすれば燕岳頂上であった。時刻は 9時49分。
ここには三角点の他、小さな岩に 『 燕岳山頂 2763m 』 と彫られたモニュメントがあるだけで、
頂上を示す標柱などは見当たらない。これはなかなか好感が持てる。
頂上は狭く、人々は周囲の岩場に散って休んでいる。
北を見れば、目の先に北燕岳と呼ばれる岩場が見える。道もハッキリ見えており、
あちらもなかなか魅力的であったため、燕岳頂上では休むことなく、しかも展望も楽しむことも無く、
すぐに北燕岳へと向かう。 | ![](tsubakuro024.jpg) |