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国師ヶ岳から北に走る尾根を辿っていくと、
やがて手前の岩峰群に目が移る。その中でも目立つのは、やはり鶏冠山の標柱が立つ第三岩峰である。
最早 見慣れた光景ではあるが、その岩肌を見るとワクワクさせられる。
この第三岩峰には直登したいところであるが、無理は禁物、今日も迂回路を使って登るつもりである。 |
第三岩峰の右後方にも高みが続いている。
この高みは下の二俣吊橋から一番目立つ岩峰でもある。
その岩峰の後方には木賊山が少し姿を見せている。今日は快晴なので、鶏冠山の本当の頂上まで進めば、
木賊山の左 (西側) にある甲武信ヶ岳も見えるに違いない。
木賊山の右には台形を為す西破風山、東破風山が見える。
そして、その右後方には雁坂嶺が姿を見せており、
雁坂嶺の右には雁坂峠らしきササ原も見えている (下の写真)。 | |
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昨年の今頃は、この 雁坂峠、雁坂嶺、東・西破風山、
そして木賊山と縦走し、徳ちゃん新道を下山したのだった。
しかし下山時、スッカリ暗くなってしまった中、ザックから出すのを面倒に思いライトを使用しなかったところ、斜面で転倒し足首を捻挫してしまったのだった。
僅か 数分を惜しんだために、その後 1ヶ月は登山ができず仕舞い。大いに反省した山行であった。
しかし、今日も事前の調査不足により目的地変更を余儀なくされた上に、
さらには渡渉の際に手首、胸を痛めるなど、同じような目に遭ってしまった。これも靴を脱ぐ時間を惜しんだためである (と言うより、
裸足で川を渡る気がしなかったことの方が大きい)。
教訓を生かせない自分が情けない。 |
目を南に転ずれば、
黒金山、
牛首と続く 本日登る予定であった尾根が見え、さらには牛首の手前、紅葉台と思しき高みの後方には富士山も姿を見せてくれている。
いつもはこの岩場で休憩するのだが、少し時間が押し気味なので、そのまま先に進む。
岩峰の上には少し雪が残っており、いつもは何ともない岩場歩きも、雪があるため少々緊張を強いられる。特に、雪に覆われた崖の縁を通過した際には、
文字通り肝が縮んだのだった。
一方で、途中の岩場にも 2ヶ所程 新しい鎖が付けられており、格段に登りやすくなっていることも確かである。 | |
| ところがである、
岩場を一旦下り、樹林の中を進んで再び岩場に入り、そこから第三岩峰 (写真) の基部へと下り立つ際、
ピンチが訪れた。
岩場から基部に下りるまで、途中にある大岩に本来ならスンナリ足をおけるはずなのだが、その大岩が雪に覆われているため、
安易に大岩に足を下ろす訳にはいかないのである。
片足を岩に置いた途端に滑れば、そのまま左右の谷に滑落ということも十分に考えられる。
慎重に足を下ろし、普段は使わない膝まで使って岩上で身体を安定させ、最後は岩に抱きつくようにして岩を越え基部に下り立ったのだった。 |
難関はまだ続く。
基部からは迂回路に入るのだが、そこは垂直に近い斜面を下りるようになっている。普段でも少々気を遣う所だが、今回はさらに斜面が雪に覆われて足場が危うく、
頼りになるのは虎ロープと周囲の木々という状況なのである。
ロープには結び目がいくつか付けられているので、しっかり握ることはできるものの、結び目の間隔が必ずしも理想的ではないため、
時折 手が滑る。結局、最後は足の方も滑り、1m程滑落してしまったのだった。幸い怪我は無し。
写真はその斜面途中から第三岩峰を見上げた所 (帰りに写す) | |
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この迂回路の底も雪。凍ってはいないものの、ここも足の踏み場を間違えると、かなりスリップするので、神経を使う。
最後は雪の斜面を木に掴まりながら這うようにして登り返し、ようやく第三峰の反対側にある尾根に登り着いたのだった。
ここを左に曲がれば、鶏冠山の標柱がある 2,020mの岩場である (右に進めば木賊山)。
ここからは、雪さえなければ何と言うことはない登りとなる。しかし、雪に覆われているため、短い斜面を登るのに苦労する。
標柱到着は 11時14分。あわよくば 2,177m峰まで、さらには木賊山までなどと考えていたが、とんでもない。
今日は鶏冠山の本当の頂上までが精々である。 |