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この辺は裸尾根に近いので見晴らしが良い。
振り返れば、男体山、
中禅寺湖もよく見える。最高に気持ちが良い場所である。
中禅寺湖には寺ヶ崎、小寺ヶ崎という八丁出島が突き出ているのが見える。紅葉の季節にはそれらの八丁出島が赤や黄色に染まってさぞ美しいことであろう。
また、出発してきた中禅寺温泉方面もよく見える。よくもまあここまでの長い距離を歩いてきたものである。
ところで、先程まで晴れていた男体山上空に怪しい雲が掛かり始めている。
北から徐々に魔の手が迫っているという感じで、もしかしたらこちらまで影響が及ぶかもしれない。若干心配である。 |
と思っていたら、
ついに男体山の方は青い空がすっかり無くなり、
雲というかガスに飲み込まれ始めている。
そしてこちら側も急に上空に雲が張り出してきて暗くなり始めたのであった。
オイオイ、それは無いだろうと思ったが、山の天気は急変する。風が強くなり、風に乗って雪が舞い始めたのであった。 | |
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そして、アッという間に周囲は写真のような光景に変わったのであった。
写真では分からないが、雪が強い風に乗って右側から横殴りに吹きつけ、右側の耳が冷たくなって痛い程であった。
先程までの日差し、暖かさはどこへやら。パーカーを脱がなくて大正解であった。
歯を食いしばるようにして斜面を登る。素晴らしい景色をもたらしてくれた裸尾根が、今度は逆に遮る物無く吹きさらし状態にさせる。
ただ、風が強いと言っても、身体を吹き飛ばすようなものではないので助かったが、
強風であったらピッケルが必要だったかもしれない。 |
しかしありがたいことに、
吹雪いたのは 10分程度。徐々に風は収まり、雪は止み、周囲が明るくなってきたのであった。
そして、写真のように中禅寺湖とその後方に戦場ヶ原 (雪で白い部分) も見えるようになったのであった。
無論、戦場ヶ原の右に見えるはずの男体山、
後方に見えるはずの太郎山はガスに隠れて見えない状態であるものの、
このまま天候は回復しそうである。
吹雪になった時は少々落ち込んだが、青空が再び見え始め、俄然 元気が出てきたのだった。 | |
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しかし、この山は結構手強い。
ピークがいくつも続いており、その度にもう頂上かという期待を裏切られる。
まあ、青空も日の光も戻ってきたし、贅沢は言えない。
日の光が戻ってきたので、雪が眩しい。偏光グラスを忘れてきたことが悔やまれる。
写真の辺りは雪も結構多く、足を取られる。少々喘ぎながら登り続ける。 |
岩場を通過する。
鹿の鳴き声が周囲に響くが、鹿の姿は見えない。
斜面の下かと思い、岩に登って周囲を見渡すが、結局 見当たらなかった。
すると、またまた鹿の鳴き声。かなり近くで聞こえたが、姿は見えず。一体どこにいたのか不思議である。
前方には青空。この斜面の先が頂上のような気がする。
青空の下で頂上を踏めそうであり、先程までの吹雪を思うと大変嬉しい。 | |