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道は石楠花の林を進む。
雪の上にはかなりの数の足跡がある。禿岩まで新しい足跡は全く無かったのだが、禿岩以降はかなりの人が登って来ているようである。
恐らく、三条の湯か丹波山村からの登山者なのであろう。
かなり時間がかかることを覚悟していたのだが、意外に早く見覚えのある場所が見えてきた。
少し下って行くと、お馴染みの飛龍山の標柱裏手に到着。
時刻は 13時4分。
少し下っていくとと述べたが、明らかに三角点のある頂上よりも手前の方が高いのである。国土地理院の地図でも、三角点は 2,069.1mだが、
その手前に 2,077mの表示がある。 |
ここまで雪の上に足跡が沢山あったので、
頂上に人が居るかと思ったが、誰も居ない。三条の湯、あるいは丹波山村から登ってきているのなら、下山のことを考えると、
この時間に誰も居ないのは当然かもしれない。
頂上は樹林に囲まれて展望は利かないが、少し場所をずらすと、
樹林越しに富士山が見える。
ここで竜喰山以来の大休止とする。
ただ、いつも思うのだが、誰もいない飛龍山頂上で、
南面を見ながら食事をしていると、後方の気配が気になってしょうが無い。
振り返ると誰もおらず、また動物なども居ないのだが、どうも落ち着かないのである。 | |
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落ち着かないと言いつつも、結局、頂上には 17分も滞在し (小生にとっては長い方)、
13時21分に帰途につく。
辿って来た道を忠実に戻る。見晴らしの良い場所に出たので、飛龍山を振り返るとともに、
周辺の景色を眺める。
やはり目立つのは雲取山で、
稜線の防火帯が良く目立つ。
飛龍権現には 13時38分に戻り着く。往路を戻り、
途中で禿岩に立ち寄る。 |
禿岩にも誰も居ない。
ここからの景色は抜群であるが、富士山、
南アルプスといった白き峰々は明るい日差しの中に埋没しつつあり、あまりよく見えない。
浅間山の方は辛うじて見えるが、
それでもやはり霞気味である。
よく見えるのは、写真 真ん中やや左に小さな突起を見せている甲武信ヶ岳、
そしてその左の木賊山である。木賊山のさらに左後方には八ヶ岳が少し見える。
甲武信ヶ岳の右には三宝山、さらに右に雁坂嶺が大きい。 | |
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禿岩を 13時46分に出発。後は一気に正規のルートを戻るのみである。
残雪の多い樹林帯を慎重に下り、大ダワにて軽アイゼンを脱ぐ。後はほぼ平らな道が続くはずで楽勝と思っていたら甘かった。
確かに道は平坦な所が多いが、それでも多少のアップダウンがあり、山襞に沿って奥まっている所には凍った雪が残っている。仕方無く、
ザックにしまい込んだ軽アイゼンを再び装着する。
そんなことが 3回程続き、少々非効率な歩きが続く。
途中、縦走路から飛龍山を見上げれば、
その堂々とした姿に驚かされる。山はやはり見上げるものである。 |
さて、楽勝と思われた道もその長さには辟易とさせられる。
兎に角長いのである。
一度 往復したことのある道なので分かってはいたのだが、やはり身体が疲れてきているため、かなり厳しく感じられるのである。
将監小屋へのショートカットはまだか、まだかと思いながら進む。
そして、ようやくショートカットの分岐に到着。時刻は 15時50分。
急斜面を下る。下方には将監小屋の青い屋根が見えてきた。 | |
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途中、少し休憩して、将監小屋には 16時3分に到着。
小屋の前の水場でノドを潤す。
ここからは林道歩きであるが、結構 これが長い。途中、
竜喰山や飛龍山 (写真) を見ながら林道を黙々と下る。
そして、ようやく今朝程の 牛王院下の分岐に到着。時刻は 16時49分。
そこからさらに今朝程登ってきた道を下り、三ノ瀬の駐車場には 17時9分に戻り着いたのだった。
久々に 10時間近い山行となったが、母の死という悲しい出来事を忘れさせてくれる楽しい山旅であった。
ほとんど人に会わなかったことも今の心境にピッタリで、大変良かったと思う。 |