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この斜面は途中に平らなところはほとんど無く、下りっぱなしのため、
先程述べたように 最早 引き返せない状況である。
また、テープ、赤ペンキはしっかりあるものの、先程下っていた斜面ほど頻繁ではなく、途中で見えなくなり、
少し進むと発見するという感じである。
こういう状況は、スリルがあって面白いが、一方でこの先どういう状態が待っているか分からないので、不安でもある。
30分程下っていくと、やがて斜面の先が三角形のように細くなり、
傾斜も緩くなる。つまり、進んでいる右手からも、左手からも小川が現れ、その合流点に到達したのである (下の写真)。
しかし、ここで行き詰まってしまった。そこから先、テープが見つからないのである。 |
合流点の先には堰堤が見えるが、そこに至るには小川を渡る必要がある。
右手の小川は水量も多く、少々深そうである。左手の方は水量が少ないようであるが、雪がこんもりと積もっていて川の流れがよく見えない。
渡った先にピンクテープがあれば良いのだが、全く見あたらない。
右手の小川の向こう側は急斜面の山となっているので、
普通に考えれば左手を進むべきと思い、左の小川に下りる。
丸く積もっているように見えた雪は中が空洞で、そのまま川底に足が着いてしまったが、幸い水量は少なく、靴に水が入り込まずに済む。
探るようにして 2歩目を出し、また雪を踏み抜きながら進み、何とか這うようにして向こう岸に登り着いたが、
やはりピンクテープは見つからない。 |
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それではと、堰堤の方へと進んでみたものの、雪が多く、
太腿付近まで潜り込んでしまう。
しかもよく見ると、堰堤は端っこではなく、水が流れ落ちる中央部分であり、その右側は山の斜面なので、
堰堤に行くのは諦めて、比較的平らな左側の林を進むことにする。
無闇に進むのは危険とは思ったものの、雪に足跡が残るので何とかなろうと歩き出す。
すると、何ということだろう、ほんの少し進むと目の前に林道が現れ、しかもその上には車の轍もあるではないか。
あれ程迷い、苦労したのに (15分程ウロウロ)、解答はすぐそばにあったのである。
これは最早 笑うしかない。時刻は 13時9分。 |
そして林道を右に進んで行くと、
すぐにトイレのある金ヶ窪登山口に到着したのであった。
つまり林道は裏口登山道だったのである。時刻は 13時11分。
こうなると、先程途中で戻ったルートは清八山への正しい道であったと思えてくるが、
状況を考えると戻ったのも致し方ないところである。
一方で
三ツ峠山に弄ばれたような感じも否めない。
しかし、あの少々の不安感とワクワク感が入り交じった状況は、なかなか痺れるものであった。 |
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ここからは車道歩きが続く。
最初は車道上に圧雪された雪が多かったのでチェーンスパイクのまま進んだのだが、途中からアスファルトの露出が多くなってきたので、
ゲートの所でチェーンスパイクを外す。
そして 13時25分に御坂みちに合流。
このまま進めば、三つ峠入口バス停 14時43分の富士山駅行きバスは余裕である と思っていたところ、
ふと両手が空いていることに気がついた。
チェーンスパイクを脱いだ際、ゲートに立てかけたストックを忘れてきてしまったのである。
先程の下りでの出来事は、ワクワク感の一方で、意外と心に動揺をもたらしていたようである。 |
仕方なく、折角下ってきた車道を戻ったが、登り勾配なので辛い。
見上げれば、御巣鷹山頂上の電波塔群が見えている。
13時55分にゲートに戻り着き、無事にストックを回収。再び車道を下る。
14時1分に再び御坂みちに合流したが、35分ほどのロスである。
ただ、バスが少し遅れていれば、14時43分のバスに間に合うかも知れない状況なので、疲れた身体に鞭打って車道を下る。
途中、山間に河口湖が見えたが、その後方に見えるはずの
富士山は完全に雲の中であった。
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14時46分に国道137号線に合流。
左に曲がってバス停へと向かっていたところ、小生の横に件のバスが止まってくれたのだが、気づかずに乗り損ねてしまう。
やはり下山時の出来事でボーッとしていたようである。
仕方なく、バス停手前にある旅館風の建物の玄関先で着替えさせて戴く。
そして、寒い中、15時32分のバスを待っていると、何と辺りには雪がちらつきだしたのであった。
本日は、
三ツ峠山を
19年ぶりとなる表登山口から登り (山自体は 8年ぶり)、史跡群を楽しむことができたが、
天候には裏切られてしまった。
しかし、少々スリルを味わうことも出来、なかなか楽しい山行であった。
ただ、こういうハラハラする展開が病みつきになっては困るのであるが・・・。 |