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煩いササをかき分けながら進んだかと思うと、再び ササの短い気持ちの良い尾根道が現れ、驚かされる。
展望はかなり良くなり、右には丸盆岳、
黒法師岳、バラ谷の頭が、
木々の切れ間から一コマずつ順番に見える。
また、左を見れば、山腹が大きくガレた山が見える。どうやら、あれは黒沢山らしい。
この山もこうして良く見ると、南アルプス 深南部の山の要件 (勝手に決めているが、ガレ、ササ原、枯れ木 等) をしっかり持っているようだ。 |
道は鎌崩の頭に向けて、角度が急になる。
ササが煩い所があるが、青空の下、緑の斜面を登っていくのは大変気持ちが良い。
上を見れば、立ち枯れの木がササの斜面の中に何本か立っているのが見えている。こういう光景も南アルプス深南部の特徴なのだろうか。
これから登る不動岳の斜面にはもっと立ち枯れがあると聞いている。鹿ノ平とともにこれも楽しみである。 | |
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しかし、この斜面の登りも、気持ちの良いことばかりではない。場所によっては、ササが胸元近くまで伸びており、ササをかき分けながらの登りとなる。
一方で、赤テープ類はしっかりと付けられており、尾根も細いことから、道を誤る心配はなく、むしろ赤テープを探しながらの登りがなかなか楽しい。
ただ、これは晴天だから言えるのであって、ガスで視界が悪かったり、雨で足下が滑る場合は、大変厳しいであろう。 |
斜面の傾斜も徐々に緩やかになると、
先の方には丸い稜線とその後ろに青い空が見えてきた。
鎌崩の頭も近いと思っていたら、小広い頂上らしき場所に飛び出した。時刻は 11時8分。
ここが鎌崩の頭に違いないと思ったが、それらしい標識が一切見えない。ネットで調べた時、木の根元に立派な標識が置いてある写真を見たので、
周囲を探したのだが見つからない。
ここは違うのかと思い、鎌崩方面へと続く方向を見ると、そちらの方が何となく高い。それではと進んでみたが、高いと思った場所にも何もない。
ということで、また先の場所に戻り、ここが鎌崩の頭と勝手に断定したのであった。
今日の目的地はここではないので、あまり拘ってもしようがない。 | |
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この鎌崩の頭から、道は 90度左に曲がる (実際は 120度程らしいが、感覚的には直角に曲がった気になる)。
斜面の縁に立つと、ついに見ることができました。不動岳を語る時に欠かせない、
鹿ノ平、そして大きなガレ場を含めた、不動岳まで続く素晴らしい光景の広がりである。
思わず、オオッーと叫んでしまった。鎌崩の頭を示す標識が見つからなかったので、そのことに気をとられ、この景色のことをスッカリ忘れていたのであった。
それだけに、感動・驚きはさらに大きくなったのであった。 |
鎌崩の頭 の狭い斜面を下る。
こちら側の斜面はササも伸びておらず、踏み跡も明瞭である。足下にはコバイケイソウが所々に見られ、狭い登山道の上にも生えている。
従って、気の毒に踏みつけられてしまっているものもかなり見受けられる。
人の往来が多い所であれば、登山道上に生えることは無いはずである。往来が少ないために登山道上に生えたのであり、深南部故の光景であろう。
とは言え、ビッシリと生えている訳ではないので、注意すれば避けることができるはずだが・・・。
素晴らしい景色に見とれ、足下が疎かになったのかもしれない。 | |