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道は左前方に見える小倉山に向かって弧を描くようにして進む。
崩れかけた斜面を横切り、やがてブナの樹林帯に入るが、最早ブナの幹はかなり細くなってきている。
やがて、樹林越しに
越後駒ヶ岳が部分的に見え隠れするようになる。
どうやら、上空の天候回復とともに、越後駒ヶ岳の山頂を覆っていた雲も無くなったようで、
そのバックには青空が広がっている。
テンションが更に上がる一方で、早く越後駒ヶ岳全体の姿を見たいものの、
樹林が邪魔をしてなかなか見通すことができず、イライラする。 |
周囲が再び灌木帯に変わると、やがて小倉山山頂に登り着く。
時刻は 9時33分。
この小倉山からは待望の
越後駒ヶ岳の姿を見通せるようになる。
そのバックには青空が多くなっており、雲は右半分に見えるだけであるが、先程 樹林越しに垣間見た時よりも雲が多くなっているのが気になるところである。
それでも天候の急回復、そしてなかなか堂々とした越後駒ヶ岳の姿に登高意欲がグッと増してくる。
また、越後駒ヶ岳山頂付近、そしてその直下にはまだ多く雪が残っており、残雪も楽しめそうである。 | |
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越後駒ヶ岳の左方には
中ノ岳が少し姿を見せており、さらにその左方には兎岳も見える。
また、さらに左、つまり南東方向には、先程からグングンと迫り上がってきていた荒沢岳が迫力ある姿を見せている (写真)。
ところで、この小倉山には三等三角点のそばに 『補點』 と彫られた石柱も設置されていた。
これは、明治時代、陸軍参謀本部陸地測量部 (今の国土地理院の前身) による測量と平行して、
農商務省山林局も国有林の境界を決めるために測量を行って 『主三角点』、
『次三角点』、『補点』 を設置しており、
それが今も残っているのだそうである。
閑話休題。10分程休憩して越後駒ヶ岳へと向かう。 |
小倉山から少し下ると、
登山道上に残雪が断続的に現れるようになる。
場所によっては結構 急傾斜になっている箇所もあり、滑らないように慎重に下る。
なお、残雪の下方に木道が見えているので 方向を間違えることなく下ることができたが、ガスで視界が効かない場合は要注意と思われる。
また、小倉山では周囲の灌木が邪魔をしていたため、
越後駒ヶ岳の下の部分が見えなかったのだが、
この雪渓辺りからは展望がグッと開けて、その姿がさらによく見えるようになる。
但し、危惧したように越後駒ヶ岳 後方の雲の量が多くなってきており、山頂付近の雪との境目が区別しにくくなっている。
再度 天候に変化が起こるのではないか、さらには出だしでロスした 38分間を悔やむ結果になるのではないか と心配になる。 | |
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雪渓を下り、木道を歩くようになってからは、暫く ほぼ平らな道が続く。
周囲には花が多く見られるようになり、足下にはカタクリ、イワウチワ、イワカガミなどが、また、顔の高さにはミツバツツジの濃いピンクの花、
頭上にはタムシバの白い花などを見ることができる。
写真は荒沢岳とタムシバの花。 |
こちらはカタクリの花。
花は下を向いて咲くので、写真に撮る場合、このように横向きになってしまう。寝そべるようにするなどしてジックリ取り組めば、
花を正面から撮ることができるのだろうが、そういうことは小生の趣味ではない。これが精一杯である。
越後駒ヶ岳の方を見上げると、
ついにその背景を雲が完全に占領するようになり、青空が見られなくなっている。
少々ガッカリしたが、山自体は雲に覆われていないので、まだ望みがあると思いながら先へと進む。 | |