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我慢の登りが続く。
地図では、広河原入口から広河原峠まで 3時間半となっている。時間がタイトであるということもあって、
焦りが少々イライラさせるのかもしれない。
余裕があれば、ほとんど人の手が入っていない この自然林の中の登りを、もっと楽しんで良いはずである。
単調な登りの中、唯一の楽しみは時々後方に見ることができる北岳の姿である。
ただ、少々気になるのは北岳のバックに雲がドンドン増えてきていることである。
そして、こちらの上空はほとんど雲。少々テンションが下がる。 |
それでも黙々と登って行くと、
やがて周囲にシラビソの幼木が目立ち始め、さらには上方の木々の間にチラチラ空間が見え始めた。こんなに早く広河原峠に着くはずはないと思ったのだが、
傾斜は徐々に緩くなり、周囲には草付きの斜面も見られる様になり、また上方には樹林の隙間に稜線らしきものが見えてきた。
そして、ヒョイという感じで広河原峠に飛び出したのだった。
時刻は 8時12分。広河原から 2時間程で到達したことになり、時間に余裕ができたのがありがたい。
この峠は登ってきた斜面とは反対側の、北側のみの展望が僅かに開けており、樹林越しに
八ヶ岳の姿が見える。
また、峠は丁字路になっており、右に進めば白鳳峠、高嶺、
鳳凰三山へと続き、
目指すアサヨ峰は左である。 | |
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峠で暫し休憩するも、もともと曇り気味の天候の下、樹林に囲まれて僅かな日も当たらず、しかも風が冷たくて寒いくらいである。
山の夏はもう終わりなのかもしれない。
8時19分、峠を出発、左に進んで斜面を登る。
また辛い登りがずっと続くのかと思ったら、8分程ですぐにピークに到達し展望が一気に開ける。
ハイマツが若干邪魔ではあるものの、北岳、
仙丈ヶ岳、アサヨ峰が見え、
テンションがグッと上がる。 |
写真は左に
仙丈ヶ岳、
その右にアサヨ峰、そしてミヨシノ頭である。
実はそのミヨシノ頭のさらに右に早川尾根ノ頭があり、
その右に甲斐駒ヶ岳が僅かながらに白き頭を出しているのである。
甲斐駒ヶ岳が見えたこと、そして向かう方向の空が明るいことが 少し上がってきたテンションをさらに上げてくれる。
足取りも軽く先に進む。 | |
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道はその後少し下って樹林帯に入る。
ほぼ平らな道が続き、道の方も良く踏まれているので大変に歩きやすい。
足を早めていくと、やがて樹林の向こうに赤い屋根が見えてきた。早川尾根小屋である。到着時間は 8時53分。
小屋には誰も居る気配がない。と 思ったら、よく見ると下方の水場で管理人さんと思われる方が身体を拭いておられる。
朝の仕事が一段落したので沐浴ということであろう。
そのまま小屋を通り過ぎ、斜面を緩やかに登っていく。 |
小屋からほんの少し登った所でまた展望が開ける。
ここからは北岳、
仙丈ヶ岳がよく見える。
また、足下には三角点があったので、ここが 2,463.4mの早川尾根ノ頭であろう。
北岳、仙丈ヶ岳が見えたのは嬉しいが、一つ心配なのは天候の方である。
全体的に薄雲が空を覆ってきており、特に北岳に関しては広河原出発時に見えていた青空が完全に消えて、
薄曇りになっているのである。
状況は天候が下り坂となっていることを示しているようだが、天気予報の通り 午後に晴れることを願うばかりである。 | |