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ここから見る甲斐駒ヶ岳は
一番美しくないと暴言を吐いたが、それでもガスの中に見え隠れするその姿には惹きつけられるものがある。
美しくないと言ったのは比較論であり、摩利支天を従えた姿が肩を怒らせているように見えても、
またその頂上付近がのっぺりした富士山のように見えても、
まだまだその魅力は十分に残っている。 |
道の方はハイマツと岩の混ざった道を進む。
先に述べたように危険な箇所は全くない。
周囲もよく見え、ガスがなければここも楽しいプロムナードである。
甲斐駒ヶ岳は無論のこと、
北岳、
仙丈ヶ岳を眺めながらの歩行は楽しいものがある。
しかし、今はかなりガスが景観を損ねている。甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳も然りである。
加えて、途中振り返れば、アサヨ峰からここまでの尾根の左側は、湧き上がるガスに既に飲み込まれてしまっている。
栗沢山には 12時36分に到着。頂上手前で先程 アサヨ峰におられた方を追い越す。
その方と頂上で暫く話をする。 | |
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この時間になると、今までガスの被害が及んでいなかった北岳方面にも
ガスが湧き始めている。
また、アサヨ峰方面もこちらと繋がる尾根の北側から湧きだしたガスが全体を飲み込もうとしている。
従って、見るべきものといったら、目の前のガスに見え隠れする甲斐駒ヶ岳だけであり、
それ程 長居する場所では無くなっているのだが、バスの時間まで余裕がありすぎるので先程の方と色々と山の話をする。
聞けば、三百名山も残すところあと 30数山とのこと。もうすぐ 70歳になられるとのことであったが、お元気な方であった。 |
この後、頂上には 3人程登ってきた。
2人は仙水峠からで、もう 1人はアサヨ峰からであった。
13時10分、下山開始。
下山コースとしてはここから北沢峠まで直接行けるコースをとる。仙水峠経由の道は、
以前 甲斐駒ヶ岳からの下山の際に通っているので、
ここは初めてのコースをとるべきと考えたからである。
先程の方と一緒に話をしながらユックリと下ることにする。
道は岩場から下りに入ると、やがて樹林帯となり、
仙丈ヶ岳、
甲斐駒ヶ岳、北岳を所々で樹林越しに見た後は、
ひたすら樹林帯の中を下ることになる。 | |
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もう展望もないかと思っていたら、途中で甲斐駒ヶ岳を見通せる場所があった。
一緒に下っている方曰く、ずっと展望の無い樹林を登って来て、ここで甲斐駒ヶ岳が見えた時には感激したとのこと。
今は写真の様にガスの中であるが、感激した気持ちは良く分かる。
話をしながらユックリ下る。
一人だと、こういう展望の無い下りは自ずと早足になるが、それがセーブできて身体に優しい下山であった。
北沢駒仙小屋を 14時40分に通過。そこからユックリと林道を辿って北沢峠には 14時55分に到着したのであった。 |
アサヨ峰はいつか登りたいと思っていた山であるが、
一方で、敢えてこの山だけを目指す程ではない とも思っていたのだった (甲斐駒ヶ岳
などと組み合わせて登る山)。
しかし、これは大変失礼な思い込みであった。
この混雑するシーズンに山中僅か 6人にしか会わず、しかも広河原からミヨシノ頭までは誰一人とも会わない静かな山旅を楽しむことができ、
加えて、周囲の名だたる山々 (八ヶ岳連峰、
鳳凰三山、
富士山、
北岳、
間ノ岳、
塩見岳、
仙丈ヶ岳、
甲斐駒ヶ岳 等々) の眺めを楽しむことができ、
素晴らしい山であった。
ここは穴場のコースであり、大変得をした気分である。
なお、結果論だが、17日、18日は雷雨などがあった由、赤石岳・荒川三山縦走は
取り止めにして正解だったようだ。 | |