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支流を渡り再び山に取り付く。
この広河原からも、登りというよりは左側の斜面を横切るように進む川沿いの道が続く。
やがて、足下に水の流れが現れることが多くなり、
さらには泥濘 (ヌカルミ) となった状態が連続するようになって、歩くのに苦労する。
先程の宝川左岸の道といい、この右岸の道といい、
斜面から川に流れ込む沢が数多くあり、水に困ることは全くない。
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右下には宝川 (ナル水沢) の美しい流れが見える。
周囲の山々は少しずつ色づき始めており、もう少しでこの辺は黄色や赤に染まることであろう。
足下の方は、ほぼ平坦と言って良い道が続く。
地図を見ると、この辺の標高は 1,200mから 1,250mの間。歩き始めてから既に 3時間を経過しているにも拘わらず、
高度は 500mしか上がっていない。 8km弱の距離で 500mしか稼いでいないことになり、数字上は楽なのであるが、
実際は先程述べたように、途中のアップダウンが多く、
それがボディブローのように効いてくる (この時点では気づいていなかった)。
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小さなナメ滝を過ぎ、やがて水量のある流れを渡る (恐らく 大石沢)。
この流れは、今までの小沢と違って大きな石が積み重なった斜面を流れてきており、その斜面が上部まで見通せて開放的である。
その斜面を見上げると、先の方に本日目指す朝日岳の姿が見える。
黒や白の岩、紅葉した斜面、緑のササ原を有する姿に加え、
その後方に青空が広がっており、思わず声を上げてしまう程の素晴らしい光景であった。時刻は 9時7分。
歩き始めてから 3時間以上経過している中、
素晴らしい景色も得られ、ここは明るく休息に適した場所であるにも拘わらず、そのまま先に進む。
今 思い返すと、ほとんど登りらしい登りがなかったことで、身体は疲れていない との勘違いがあったと思う。 |
大石沢を横切ってから少し進むと、
道は左に折れてようやく斜面への登りが始まる。
実際にはそれ程の急斜面ではないと思うが、登山道がほぼ一直線につけられているため、急斜面をジグザグに登るよりもかなりキツイ。
加えて、先日の南駒ヶ岳・空木岳の失敗にも拘わらず、
またまた ここまで休憩無し・何も口にしない状態で進んできてしまったため、
急にエネルギーが切れ始める。
運転しつつ朝飯を食べてから 4時間以上、駐車場を出発してから 3時間以上経っている状態であり、
さらには小生の苦手とする一直線の登りが続くため、ペースがなかなか上がらない。
紅葉のブナ林の中をバテ気味になりながらも、ひたすら登り続ける。 | |
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森林限界に出てから食事休憩にしようと思いつつ、美しい紅葉に慰められながら何とか登っていくと、やがて後方の視界が開けるようになる。
振り返れば、武尊山
(写真 左のピーク) などが見えるのだが、驚いたことにかなりの雲が湧き出しており、
青空が無くなっているではないか。
こちらは青空、太陽も輝いているので全く気づかなかったが、雲は徐々に空を覆い始めて、こちら側に迫っているようである。
そして実際、登っているうちに、こちら側も時々太陽が雲に隠れるようになって心配になる。 |
長かった樹林帯もようやく終わり、
周囲は灌木帯の斜面に変わる。ここの登りも一直線で辛い。
左手を見れば灌木の向こうに朝日岳が見える。
その後方には、やや薄い雲がかかり始めているとは言え まだ青空が広がっており、惚れ惚れするような姿である。
バテ気味の中での登りは辛いが、気分が高揚する。 | |