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ところがである、後方を見ると雲の量はさらに増してきており、
加えて、今まで見たこともないような雲 (あるいはガス) の一団が下から広がり始めてきたのである。
気持ちの問題もあるのだろうが、
その様子は 映画 『 ハムナプトラ 』 に出てくる 『 イムホテップの砂嵐 』 を想像させたのであった。
そして、その砂嵐 (ガス) は、凄いスピードでこちらに迫り来る。
写真では その状況がうまく表れていないのが残念。
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両側が紅葉した生け垣となっている道を登る。
後ろから迫り来るガスに焦りが募るが、スタミナ切れ状態では足が進まない。一直線の登りが辛い。
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振り返れば、周囲の山々が見えるようになってきている。
すぐ手前に見える山は布引山であろうか。その左側後方には景鶴山の突起が見える。
布引山と思われる山の右後方には 燧ヶ岳、
そしてその右に至仏山、
小至仏山が見える。
写真には写っていないが、小至仏山の右には今朝ほど見えた笠ヶ岳の姿も見えている。
笠ヶ岳から さらに右の方に目を大きく転じれば、
武尊山が見えるが、
その頂上上空には少し隙間を置いて黒い雲が覆い被さっている。
まさか雨と言うことはなかろうが、心配な光景である。 |
道の方は、ようやく灌木帯を登り切り、
左方に折れて露岩帯にかかるようになる。
前方には朝日岳が見えているものの、
あれよあれよという間にバックの青空は白い雲に覆われていく。
森林限界に出たとはいえ、これでは食事どころではない。時間を追うごとに状況は悪くなっているので、
バテてはいるものの、食事休憩は諦めて先を急ぐ。 | |
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ついに朝日岳
のバックに見えていた青空はなくなってしまう。
それだけならまだ良いのだが、今度は強く冷たい風とともにガスも下から上がり始めてくる。状況は芳しくない。
この露岩帯は上の方から染み出た水で濡れており、
また斜面に沿って斜めになっている岩が多いので、強い風に滑りはしないかと少し緊張しながら進む。
テンションの方は落ちる一方で、バテ気味な状況と相まって、足の進みはかなり遅くなる。
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ガスはついに朝日岳を覆い、
朝日岳の姿は見えなくなってしまう。
こちら側にも徐々にガスが流れ始め、そのうちに小生もガスに囲まれてしまい、ついには 10m位先しか見えなくなってしまう。
おまけに強く吹きつける風は冷たく、体温を奪う。
それでも何とか岩場を抜け、ササ原を進み、目の前の高みに登り着いて暫く進むと、
ガスの中に木道が現れた。 | |