フリートーク(第12回日本AS友の会定期総会)


(井上事務局長)
 それでは、これから第2部「フリートーク」を始めたいと思います。

 始める前にちょっとお知らせがあります。僕も時々行くんですけども、毎年、 国際福祉機器展というのが東京で行われるんですが、つい最近開催されて、 もう終わっちゃったんですけども、Oさんが、そのカタログ持って来て下さったんで 回します。

 まぁ、一般の障害者のための器具というのは強直性脊椎炎の患者には、 なかなかピタリと合わないんですね。強直性脊椎炎専用の装具がいるって時が 結構あるんですよね。
 過去に「らくちん」で何度か紹介はしましたけれど。さきほど会長さんからも お話があったように、もし皆さんのアイデア、AS特有の障害に対する自助具、 補助具ですね、こういう物があればまた事務局にでも教えていただきたいと思います。 一応、いろんな福祉機器があります。意外に便利なものもありますので回します、 ご覧になって下さい。

 それでは、第2部は、Mさんに司会をお願いしたいと思います。 最初にお話ししたように、この会は小さい会ですから、もしかするとほぼ全員に ですね、お話ししていただく可能性もありますし、是非そうしたいので 覚悟してって、脅かすつもりじゃないですが、お話ししたいことを準備して おいていただければ幸いです。遠慮なくどんなことでも結構ですから、 忌憚のない自由なご発言をお願いします。
 じゃ司会のMさん宜しくお願い致します。


(M司会者)
 第2部の司会をさせていただきますが、不慣れなもので、 どうか皆さんのご協力でいっぱい喋って場を盛り上げていただきたいと 思います。

 質疑応答、それから意見交換の紙をお渡しして書いて下さいと皆さんに お願いしていたのですが、今、手元に何枚か集まってきましたけれども、 皆さん沢山いらっしゃる割に返ってきた数が少ないんですけれども、 もしか途中でこんなことも聞いてみたいということがありましたら、 どうぞお手を上げて質問なりまた意見なりお願い致します。

 今、集まった中で一番多いのが、やはり医療相談ですので、 これから行きたいと思います。私、読みますので、井上先生お答え下さい。


(井上医療部長)
 ちょっと待って下さい、自分で読んでからの方が答え易いみたい。


(M司会者)
 はい解りました。ほんならこれをお渡しします。宜しくお願いします。


(井上医療部長)
 行き当たりばったりなんで、直ぐ適切な答えが出来るかどうか解りませんが、 じゃ、まず1番目、
 「40代になると痛みが楽になったと聞きますが、 それはどうしてですか?。何パーセントの人が40代で楽になりますか?」。

 「どうしてですか?」って、なかなか難しいですね。「どうして僕だけ この病気になるのですか?」って聞かれるくらい難しいんですけども、 40代になると痛みが楽になる人が多いというのは統計的なことであって、 なぜ40代で楽になるのかは解らないですね。

 よく比較されるリウマチでは、ピークが2つあって20代で発症する人と 40過ぎて中年から出る人が多いようです。まぁーそういう病気なんだから しょうがないじゃないとしか言えないんですけども、まぁ、このくらいの年になると、 病気が燃え尽きてくるって言うんですか、安定してくる、病気の勢いは若い人の方が 強いっていう訳です。

 いつも、このお話しをすると、一人の人を思い浮かべちゃうんですけども、 人によっては60過ぎてから凄い燃えてくる人もいる。10代で恐ろしく燃えてて、 30代で硬くはなかったけど痛みがほとんどなくなっちゃった人もいる。

 中にはこんな例外的の人もいる訳です。僕の経験では、感覚的に7割くらいかな、 40過ぎると治りゃしないけど、痛みがずいぶん良くなる人。これはそのぐらいの ことしかお答え出来ないですね。


 それから、
 「現在考えられているASの原因で有力と 思われるものはどんなものがありますか?」。

 これはですね、 遺伝子解析研究中 なんですが、この結果がきれいに出たりすれば、 全部解明される可能性も十分あるので期待していて下さい。

 今までわかってる原因については、10年も前から毎年この場で 繰り返している以上のことはあまり言えません。勿論、毎年毎年、免疫学だとか 遺伝子学だとかの研究は進んでいますけど、非常に細かい所での発展で、ズバリ、 原因は何だとか、根治療法はこれだ、この薬で一発で治るとか、そういった 患者さんの方からみて画期的なものってのは、なかなか出来ないですね。

 でも、研究の方は着々と進んでいます。非常に細かいところでは日進月歩ですが、 皆さんの期待に応えるようなものはまだまだということです。だから、「原因は?」 と聞かれても、今までずっと言ってきたことと同じことになっちゃうんですけど、 まずは、やはり残念ながら遺伝的な要因が基盤、遺伝子ですね、 これはどの病気でも最近みんなそう言われてきていますね。

 単なる膝の老化現象と言っても良い変形性膝関節症、中年の肥満気味の女性が、 痛い痛いと言っているうちに水が溜まったり、O脚になってしまうものですが、 これさえ、発生し易い遺伝子があるというのが解ってきています。
 共同研究者で、ASの遺伝子解析をしてくれてる研究所では、むしろ その変形性膝関節症の方をメインにやっています。ASはそのおこぼれを もらってやっているようなもんです。

 変形性関節症つまり老化現象と考えられているものでも、やっぱりなり易い遺伝子 というのが見付かりつつあります。病気になる遺伝子じゃないですよ、 なり易い遺伝子ですよ。
 一つの病気が一つの遺伝子で決まるっていうのはほとんどなくて、 いくつもの遺伝子が重なって、病気が出るんですが。ですから、糖尿病でも 高血圧でも、よくある病気もみんなそうなんです。ただ、よくある病気よりも、 ASは少し遺伝的影響が強いと思います。

 まぁこれは 「療養の手引き」 にも書いてあるので読み返していだきたいのですが、 家族の中に一人明確なASの人がいる場合には10数パーセントの確率でその家族に 患者が出る、お父さんかお母さんがASの場合には6人子供が出来ると一人に ASが出る確率・・という話し方が一番わかり易いと思います。
 でも、その1/6の確率で子供にASが出たとしても、、その中で、僕や田中会長、 前に並んでいる役員はだいたいそうなんですが、そんな重症になるASはその内の さらに10パーセントから20パーセントということです。

 つまり、前に座ってるような重症のAS患者になるのは、すごくすごく希で あるということになります。それから、 HLA−B27 がAS発症の証拠のように思っている人、 これがプラスだと絶対にASになると思ってる人がたくさんいるのですが、 それは違います。
 父親か母親がB27をもっていれば、50%の確率で、このB27は子供に 受け継がれる訳です。じゃ、半分の子供がASになるかというと決してそうじゃない。 最近の文献では、HLA−B27がプラスの人のうちASになるのは2%程度と 出ています。遺伝的には全く同じとされる一卵性双生児で、片方がASでも、 もう片方にASがでる確率は50〜60%と言われてますからね。


 ASに限らず、ごくごく一部の特殊な例外を除いて、病気というのは遺伝子だけでは 決まらないんです。生まれた後、まだこれもはっきりわかっていないんですが、 後天的になんらかの引き金、誘因が作用すると出てくるんですね。
 まぁよくお母さんがAS患者の息子さんを連れてきた時、「子供の時に私が 食べさせた物が悪かったんでしょうか」とか、「水が合わなかったんでしょうか、 自分の育て方が悪かったんでしょうか」と聞いて来るんですが、そのお気持ちは 痛いほどわかります。

 絶対にそんなことは無いとも今のところは言えないんですが、その可能性は だいぶ低い。これまでに何度もお話ししていますが、今のところ、一番有力なのは 腸内細菌、 誰のお腹の中にでもいるようなバイ菌、でも他の人は腸の中にいても 全然平気なのに、我々はどういう訳か、その誰にもいるバイ菌に対して特殊な アレルギー反応を起こしちゃう体質、遺伝的体質をもっているということですかね。

 その反応としての炎症が、またこれもなぜかわらないけれど、全身どこに出ても いいのに、筋肉から腱になって最後靱帯になって骨に付くところ、つまり靱帯付着部に 起こってくる。そこの靱帯が炎症を起こした後は変性するし、さらにまたそこに いろんな要素が加わって、元のミズミズしい靱帯が再生するんじゃなくて、 カルシウムなどの無機質が沈着して硬くなってしまう、つまり骨になってしまう。 その結果、脊椎も手足も、その連結部つまり関節が動かなくなってしまうという ことです。

 まぁ、実際はそんな簡単な話ではないんですけど。遺伝子研究がかなり進んで、 最終的にこの病気を生じ易い遺伝子が見つかって、それを操作すれば重くなるのを 軽いところで止めるとか、これから出そうな人を止めるとか、そんな夢が 開けてくるんではないかと期待されます。
 今、一生懸命、AS患者の血液を集めて遺伝子を解析してもらっていますので、 もうしばらくお待ち下さいということですね。


 それから、
 「今月、病院から新薬のモービック® を処方され、一日一錠服用してます。副作用が少ないと聞いてますが どうなんでしょうか?」。

 これは、何号か前の 「らくちん」にも書いてあります。前の総会の場でもお話しました。 ASに一番よく使われる非ステロイド性抗炎症剤、いわゆる消炎鎮痛剤、 痛み止めと呼ばれているやつですね、頭文字をとって NSAID ともいいますね。
 これは何十種類も出ていますが、この薬は別に特にASの薬、ASだけに 効くという訳じゃなく、関節リウマチでも、怪我でも、腰痛でも生理痛でも 歯が痛くても頭痛でも、なんにでも使われようなものです。

 この系統の薬で一番古いのはアスピリンですね。これから、いろいろ研究 されて、もっと効くのやら副作用を少なくしたのやら、早く吸収される ようにしたものとか、逆にゆっくり溶けて長期間効くようにしたものとか、 いろいろなものが出てきている訳です。

 今、話の出たモービック®って薬、COX−2阻害剤とも 呼ばれますが、この話をするとまた長くなっちゃうんだけども、 これも過去の 「らくちん」 に書いてあると思いますから読んでいただけばいいんですが、NSAIDと 呼ばれる薬の一番多い副作用は胃腸障害で、これを飲んでいる人の 40パーセントから50パーセントが胃腸障害を訴えて、調べると 10数%の人に胃潰瘍がみつかったっていうんですね。

 飲んでも全然なんともない、胃薬なんて不要という人も半分ぐらいる 訳ですが、半分は胃腸症状を訴えるし、胃潰瘍になっちゃう人もいる訳 だから、症状が無くても年一回は胃カメラを飲みなさいっていつも 言ってるんです。
 なぜかこの痛み止めによる胃潰瘍ってのはあんまり症状が出ない。 高齢者では急に胃に穴が開いちゃうこともある。脅かしちゃいけないけど。 そういう一番多い胃腸障害を起こす作用だけを選択的にブロックする薬が、 このCOX−2ブロッカーっていうヤツです。

 アメリカでは認可されてもう出回っていて、セレベレックス® というもので、 日本でも個人輸入で飲んでいるAS患者さんが何人かいます。日本では認可が 遅れていましたが、最近、ほとんどこれと同じようなものが出ました。それが、 モービック®。ほかにもハイペン® (オステラック®)があります。

 僕も時々AS患者さんに処方しますが、副作用が少ないっていうのはあくまでも 胃腸障害の副作用が少ないと言うことです。それ以外のもっと怖い、怖いって言うと 皆さんまた驚いちゃいますけども、頻度はずっーと少ないんですが、たとえば骨髄の 造血機能を抑制する、つまり赤血球とか白血球とか血小板とかを一気に減らしちゃう という副作用もあるんです。非常に希ですけどね。

 それから血圧が上がったとか肝臓障害もあるし腎臓障害や他にも稀だけど いっぱいある。今言ったCOX−2阻害剤でも、これらの副作用は、普通のこれまでの NSAIDと同じにあります。だから、飲んでる限りは定期的に、3ヶ月ぐらいに 一回は必ず血液検査を受けなければいけないと言うことですね。

 それでも、胃腸障害で痛み止めを飲めないという人には非常に良い薬です。 ただですね、僕の実感としては、やはり副作用が少なければ主作用も少ない、 つまり痛みに対する効きめが悪い、どうも切れ味が悪いという印象です。
 新しいすごい薬が出たらしいというので、痛みに対するい効きめがすごいと 思い込んでいる人が多いんですが、そうじゃないんですね。
 胃腸障害という副作用が少ないということです。ボルタレン®とか インダシン®に比べると、痛みのとれかたがどうもすっきりしない、 でも胃腸障害はあまり出なくなったと患者さんが言います。むずかしいんもんですね。 この話毎年してますね。


 もう一枚ありました。
 「初めて参加しました患者の家族です。 ASの患者さんは日本では少ないと言われてますが、外国に比べて現在判明している 限りでは全国に何人いらっしゃるのですか?」。

 これも去年話しましたけど、判明しているのはですね、数年前に第2回の 全国調査を日本AS研究会、医者が作ってる研究会ですね、ここでやった結果では、 純粋なASはおおよそ4,000人弱ではないかと推察されています。

 調査対象は、リウマチ科を標榜している全国の主だった病院70施設だけです。 さっき田中会長が仰った様に、AS患者はもっと小さな病院、開業医の先生の所に 沢山埋もれてるでしょうし、女性なんか病院に行く必要がないくらいの軽い人が、 さらにたくさん埋もれているんじゃないかと思います。
 今度の調査で、リウマチの専門の先生がちゃんと診断した人が400人前後。 たくさん埋もれている人のことを考えて、その10倍ぐらいはいるんじゃないかと いうことで、4,000人ぐらいということです。

 僕が勝手な理屈でに推察した数も、5,000人ぐらいかなぁと思います。 その理屈は、東京在住の日本AS友の会会員のうち、東京都の難病指定を 受けている人は約半分です。2年前に、当時の厚生省に行って聞いた時に、 東京都で指定を受けている人は250人程度とのことでした。
 友の会の会員での取得率が50%ということから、東京都にはこの倍の500人 くらいはいそうである、そして日本の総人口は東京都の約10倍ですから、 これに10をかけて約5,000人という訳です。

 統計学の先生が聞いたら怒ってバカにするような計算ですが、でも、 日本AS研究会の数値と似てきましたね。でも、さっき言ったように、 ちょっと腰が痛い、軽い坐骨神経痛や肋間神経痛があったけどすぐに 治っちゃったなんていう、病院さえ行く必要がないくらいの軽い女性を含めると、 もっと増えるんじゃないかとは思いますけど。


 それから、
 「私の子供は小さい頃にネフローゼを発症して、 今も腎炎から離れません。ASでネフローゼを併発する人は多いですか?」。

 たまたまネフローゼや腎炎を併発している人はいます。でも、ASは一緒に腎臓が やられ易いといった、いわゆるASの合併症としてはあまり言われていません。
 ただ、ASに対して使われたNSAIDなんかの薬の副作用で腎臓をやられる人は 時にいますし、またこれもめったにないことなんですが、重症で長期間ASに かかっている人の中に、二次性アミロイドーシスといって、体のあちこちの器官に 特殊な蛋白質が沈着しちゃう病気がありますが、これになると腎臓ににも沈着して 腎臓がやられます。

 全然関係ないとは言いませんが、それでも、基本的には、ASと腎臓病、 特にネフローゼは関係ないと言っていんじゃないかと思います。 合併症で、 一番多いのは、ASでは、やっぱり 虹彩炎ですね。 虹彩炎は40パーセントぐらいの人に出るようです。


 「治らない病気と医師に宣告されましたが、 治らないまでも進行をくい止めるとか痛みを止めるとかの手当はどんな物が あるのでしょうか?」。

 これはまぁ、残念ながらASの本当のところの原因はまだわかっていない、 だからもとから治すという根治療法というのは、現時点ではありません。 世の中にあるほとんどの病気も実はそうなんですけどね。 ASの遺伝子解析は ご存じの通り、進行中です。

 さっき言った様に、遺伝的要因が基盤にあって、生まれてきた後に バイ菌の関与が あって発症するらしいんだから、抗生物質でそのバイ菌を抗生物質で叩いてやれば いいだろうと抗生物質を使っている人もいるんですけど、肺炎だとか膀胱炎みたいに、 今、バイ菌そのものが悪さしている訳じゃなく、そのバイ菌あるいはその成分の 一部に対して起こった異常免疫反応、すなわちアレルギー反応が悪さをしている らしいんだから、もう抗生物質でバイ菌を叩いても、そうは問屋が卸さないという 訳なんでしょうね。
 ASになり易い遺伝子が見つかれば、根治療法に近い治療法が開発されるん じゃないかという期待は十分に持っていいと思います。

 とにかく薬も含めてその人に合ったあらゆる方法を尽くして痛みを軽減して、 できるだけ動く……というのが唯一の治療法、進行を止めることはできないけど 少しでも抑える方法だと言われて来ましたが、最近では、表向きの痛みや炎症を 止めるだけのNSAIDやステロイド以外に、より病気の根本、つまり免疫に影響を 及ぼすような薬、 DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)と呼ばれる薬が開発され、 ASにも使われ始めています。

 ASに合併することのあるクローン病や潰瘍大腸炎の特効薬と言われる アザルフィジン®とか、もう使ってらっしゃる方もいると思いますけれど、 これまでは癌に使われていた免役抑制剤のリウマトレックス®(MTX) なんかですけど、関節リウマチには日本でも既に認可されて随分使われるように なってきて、骨や関節の破壊を明らかに抑えるとか、病気の流れそのものを 変えてしまったと思われるケースもあるほどに効果をあげていますので、それじゃ ASにも効くんじゃないかということで、最近はASにも使われているように なりました。
 副作用も、それなりに強いんですけど。

 つまり、ASは痛み止めを使ってでもどんどん動く、動けば痛みも和らぐし、 それだけ固まるのも遅れる、心理的・社会的にも有効、でもそれだけじゃしょうが ない、やはり新しい薬も併せて使って、トータルに病気を叩いていく、進行を 少しでも抑えていくという時代に入ったのかもしれません。

 それから、これも、やはりまずは関節リウマチに対して認可されると思うのですが、 抗TNFα という効く人には著効する、しかし、重症感染症の副作用で死亡ケースも出た といったような薬も出てきました。
 これについては、この度、この専門のお医者さんが賛助会員になって下さったので、 いずれ「らくちん」 誌上に書いてもらうことにします。


 で、この後に
 「皆様は、どの様にしてらっしゃいますか?」
と質問表にはあります。

 痛みのコントロール法、これは下手な医者よりベテランのAS患者の方が よほど名医ですので、後で発表していただこうと思います。


 それから次、
 「鍼治療や漢方、サプリメント使ってらしゃる方 おられますか?」。

 これは、去年この会で聞いたところ、かなりの方が経験がありましたね。 漢方なんか半分以上の方がやっている、あるいは過去にやったことがあるようですし、 西洋医学以外の治療、なんらかのものは、ほとんど全ての人がやったことがある んじゃないかと思います。
 それから各種サプリメント、私自身もビタミンその他のサプリメントを毎日 飲んでいます。飲んだらASがみるみる良くなるなんてことはないですが、 まぁ精神安定剤のようなものです。

 鍼も漢方薬もやってみて、自分の感じでいいようなら、どんどんやってみて かまわないと思います。鍼灸とか整体の人達は、漢方とか東洋医学とかの理論では 元から治してるんだと言いますけどね、やっぱり、ASを根元から治すというのは、 ちょっと今のところ考えられないんですね。
 その人のASに効いたという漢方薬が、誰にでも効く訳ではないし、たまたま ピタリと合った人に効いたけど、別の人には全く効かないなんていうことは 日常茶飯事ですから、やはり、根治療法ではないんじゃないかと思います。

 ただし、根治療法でなく、表面的であっても、これを対症療法と言いますが、 それでも痛みを和らげるということは決して意義のないことじゃないです。
 痛みを和らげて動けばいい訳ですから絶対意義はあるんです。この病気は、 仙腸関節のように動かないところから固まってくる訳で、顎とか指の関節は四六時中 動かしてるから固まらない、こんなこと考えたらASは動いておく方がいいに 決まっている訳です。
 動くためには薬でも鍼でも整体でも、スポーツでも音楽でも何でもいいという ことになります。そうそう、アルコールが一番痛みに良いという人もいましたっけ、 本当の話。


 サプリメント、要するにビタミン剤とかカルシウムとかこう言うのですね。 これはASに効くかと言う話なんですけども、良くある質問が、 「ASは骨が出来てしまう病気だからカルシウムを 飲んではいけないんじゃないか?」 というものです。

 東北地方のなんとかいう先生は、本まで書いてますが、人の何十倍もの量、 ある種のカルシウムを飲ませているようです。実際、やった人もいる。 あまり良くなかったような感じです。沢山飲み過ぎたんで、今度は、カルシウムが 腎臓に溜まって腎臓結石になっちゃいました。
 このように、あまり極端なことはしない方がいいとは思いますが、ビタミンとか カルシウムが足りないのは絶対いけない訳ですから、食事に自信がなければ、 サプリメントで補充するという意味合いで使うことはいいことだと思います。

 たとえば、カルシウムの1日必要量は、当初は600mgとされていたのが、 最近では850mgになったようですが、これが足りないといけない。足りないと、 つまり血中カルシウム濃度が低くなると、体が自動的に反応して体内の99%の カルシウムが蓄積されている骨から、どんどん血中に出てきてしまう、そうすると 骨がスカスカになって骨粗鬆症になるという訳てす。

 足りないのは絶対いけない、しかし、必要以上に飲んでも、それだけの意義はなく、 これも身体の自動調節機構によって余分な分は排泄されてしまうということです。
 他の栄養素についても同じことです。こういうところは、特に整形外科医や リウマチ医はあまり話をしてくれませんから、医者に聞いても仕方がない、 本がたくさん出ていますから、自分で一生懸命勉強して下さい。
 よく勉強して、その結果、自分でいいと思ったら、医者なんかに聞かないで 自分でやればいい。それでいいんです。

 ただ、これでASを治すんだと過大な期待を抱いたり、怪しげなもの、 といっても区別がむずかしいんですけどね、やたら量が多いとか、やたら高いとか、 逆に他の同様製品に比べてやたら安くしているものとかいうのは避けた方がいいと 思います。失敗した人もたくさんいます。

 お医者さんに聞くと、どういう訳か、高齢の先生は、こういうもの、代替医療と 言いますが、をアタマから否定する、バカにすることが多いようです。
 むしろ若い医者の方が理解がある人が多いようですね。たまたま当たった医者が 「あんなもの・・」という医者だったら、それで、その患者さんの療養生活、 治療方針が全然違っちゃう訳ですから、医者選びも運が大きいですよね。


 それから最後に
 「専門医を紹介していただけますか?」。

 勿論します。えぇーと、これは新しく参加された方だから当然のご質問だと 思いますけども、事務局に連絡していただけば、全国にきれいに専門医が 散らばってるとは限らないんですが、ご紹介はいつでもしますので連絡して下さい。

 だだし、こういう慢性疾患ってのは、お医者さんとの相性というのがあります からね。長いお付き合いになりますからね。でも、ASに関しては、今のところ、 薬の微妙な「さじ加減」ってのは実はそんなにないんですよ。
 だから、ASに関しては、専門医とか名医とか、腕がいいというのはあまり 関係ない。だから、とにかくまずは主治医との相性です、相性。言いたいことを 言える、聞いてくれる、質問に答えてくれる、気軽に診察に行ける……という先生を 選ぶのが大切です。

 それには足と時間と労力をかけるべきです。世界的権威の先生が必ずしも その患者さんにとって名医になるとは限らない。そういうことをご了承いただいた 上でなら、いつでもご相談に乗れます。

 医療相談の関係のご質問は以上ですね。


(M司会者)
 はい、有り難うございました。専門的な医療相談ということで井上医療部長に 答えていただきましたけれども、この2部はフリートーキングでありまして、 とりあえず、医学的な相談はまず医療部長にやってもらって、これからは、 私達が自分の考えであるとか、体験であるとか、そういうことをフリートーキングで 語っていただきたいと思います。

 このフリートーキングのサブタイトルに「新鮮な自己に出会おう」っていうふうに 書いてあるんですけれども、人の話を聞きながら、自分でいつも思っていること、 疑問に思っていること、また思いですね、そういうことを語り合っていただいて、 自分自身、また痛みを共有する人の心の中で、新鮮な自己に出会っていただけたら いいなぁーと思います。

 お配りした紙の中に、フリートーキングって書いた紙があるんですけれども、 それをちょっと見て下さい。だいたい体験してみて、こんなことが私達の主な 問題かなぁーっていう、本当に大づかみなタイトルというか、そういうことを 書き出してあります。
 で、今、2番目の病院・医師のその中の番号がふってありますが、 4番の医療相談ということで、井上先生に答えていただきいただきました。
 他にも、痛みについて、制度、そして生活についてそんな事を私達の中で話しあって いければいいなと思います。

 でも、一番質問が多かったのが医療相談でしたので、この病院、この医師っていう ところのテーマで、なにか話し合いたいなぁーとか、自分は日頃こう思ってるとか、 そんなことはないでしょうか。もしありましたら、どうぞマイクを回しますので お話し下さい。
 なければ病院や医師の選び方、私はこういうふうに選んでますっていうような、 ご自分の体験で学んだこととか情報を集めて知ったこととか、そんなことは ありませんでしょうか。お持ちであったらどうぞお答え下さい。

(会場応答なし)

 えーと、私が独断と偏見でお名前をお呼びして、ご意見をお聞きしたいと思いますが お許し下さい。Oさん、病院の選び方、なにか体験として自分の中で持っておられる ものってありますか?


(O会員)
 私は発病したのが19歳ですけども、病院が決まるって言いますか、 この病気の名前が付くまでに約6年ぐらいかかりました。それまで病院を点々と したわけですけども、最終的に病無をつけてもらったのは大阪の厚生年金病院です。 そこで、ASと言われた訳です。

 それから阪大のT先生にかかりまして、白浜の温泉病院に入院したりした 訳ですけど、先ほど井上先生がおっしゃった様に、お医者さんとの相性というのが 非常にありまして、私は治療はしていただいたんですが、若い時だったので、 先生のお言葉をあまり信用したくなくって、T先生から離れました。

 そして痛み止めとか、当時ボルタレン®、それに ブタゾリジン®を 飲んでましたけども、近くの信頼できる内科のお医者さんにかかりまして、 そのお医者さんで痛み止めの薬を貰っていた次第なんです。
 だから非常に信頼出来る先生と言いますか、相性の良い先生を探して自分が 納得のいく治療を受けられるのが一番だと思います。私は、今もう十数年、 整形外科のお医者さんにかかっていません。

 初めて来られた方もおられると思いますが、実は、私はずっと漢方薬を飲んで おります。私の症状に合う漢方を探すまでに、だいたい十年ぐらいかかりました。
 なんとかこの痛みを止めるにはどうしたらいいんだろうかということを一生懸命 考えまして、そしてやっと自分に合う漢方を見つけた訳です。それ以来、痛み止めを 飲まなくても障害は残りましたけれども、毎日の生活がなんの支障もなく出来るよう になりました。

 漢方ってのは、効くのに2年も3年もかかるのだろうと皆さん思ってらっしゃる と思いますけども、私の経験では長くかかる漢方でも半年ぐらい飲めば効くか 効かないか判ると思います。
 そして、私は胃が弱かったせいで、漢方以外の新薬を飲むと、どうしても胃腸障害を 起こして食欲が無くなったりすることがありましたので、なにか良い方法がないかと 思って、漢方薬を探した訳です。

 まぁ皆さんにお伝えしても、なかなか、新薬のように痛みがぴたっと止まるとか、 そういうことはちょっと難しいと思います。ただ漢方を飲んでまして良い点は、 痛み止めは朝昼晩かまた朝晩飲まないといけませんけども 漢方のように、 何年も飲んでいて効いていると、旅行などで一週間飲まなくても全然平気で 生活できるということ、これが漢方の利点だと思います。

 事実、私も旅行で3週間ぐらい飲まないときもありましたけれど、 痛みが出てきたとかそういうのは全くございません。皆さんも、鍼とかお灸とか 漢方薬とか、その他の方法を努力して探されたら良いと思います。
 それが見つかるかどうか難しい問題なんですけども、私は幸運にもそういう 先生にめぐり合いまして、今、非常に楽に生活しております。以上です。


(M司会者)
 有り難うございました。漢方の話がでましたけれども、多分皆さん興味を 持っておられる方も多いと思いますが、どうでしょう。
 漢方飲んでおられて、今効いてますとかいう方おられますか。飲んでおられる方 ちょっと手をあげてください。


(?会員)
 私がかかっておりました内科の先生が、わりと漢方を勧めてくださったので、 内科でいただく漢方でしたから、ツムラのもう顆粒になったやつを試していろいろ やってました。
 そうこうして2年ぐらいしておりまして効く薬もあり効かない薬もあり、 あれこれ変えたりしてたんですけど、一度、餅は餅屋にということで、漢方の専門に かかった方がいいのではないかという大学の先生の紹介もありまして、今は、漢方の 専門のクリニックにかかっているんです。

 そこでは、私に合うように調合してくれてるんですが、私、お茶系があまり 飲めないんですね。お茶が飲めないので煎じる漢方はしばらく止めて下さいと言って、 一番自分に合うものをあれこれあれこれ調合している段階ですが、2週間ぐらい前から 飲みだした八味地黄丸(ハチミジオウガン)というのが効きまして、8月に入って 体調が悪くてちょっと動くのが大変かなぁと思っていたんですけど、なんか全然 その話がウソのように今日も来られております。


(M司会者)
 私も漢方、2年もやってますけど 初心者のような状態ですが、 合えば良いなと思っています。有り難うございます。

 どうでしょう、漢方を飲みたくて、自分の西洋医学のお医者さんに相談したことが あるとか、そういう体験はありませんか。首を横にうーんと考えるそんなポーズを なさったので、どうなんかなと自分の決心が揺らいで,ちょっと飲むのをためらったと いうか、そういうことがありましたが、そんな経験はありませんか。


(田中会長)
 一般の内科の先生、あるいは整形外科の先生達は、漢方とか民間療法に対して 非常に偏見を持っていらっしゃる先生と、持っておられない先生があります。 それで、偏見を持っておられる先生は、私は無視します。で、勝手に漢方医から 薬をもらって飲みます。
 たとえば、賛助会員の先生、漢方医なんですけど、本当は内科医なんですが、 ある時から漢方に目覚められて漢方医になられたんですけど、いつもはご出席 いただくんですが、今日も出席のご予定でしたが、お父様の病状が急変されたと いうことで欠席になったんですが、その土方先生から薬をいただいて 飲んでおります。

 それ以外にも、病院からツムラとかカネボウとかいろんな漢方の薬が出てますので、 内科医の先生がくれたりするんですけれども、ある内科医の先生は、これが効くよと 土方先生が言われたのを言いますと、ちょうど漢方について詳しく「らくちん」に 載せたことがありますね、土方先生が書かれた文章、それを見せて、こういうのが 私には効くんですけどもって申しましたら、「その先生は大先生かも 判らないけれども、私には私の考えがあるから、この漢方の薬は飲まない方が いいと思う、だから出せない」と言われたんですよ。

 「あーそうですか」と言って、その先生から薬はもらわずに、土方先生から薬を もらって飲んでた。やはり、その点では、自分の体のことは、ある程度自分で考えて 管理していかないと。医者の言う通りにしていくと、ちょっと具合の悪いことが 出てきます。
 だから、お医者さんの言うことが全てではないし、自分の考えも全てではないと いうような、ちょっと客観的に自分を眺めるという感じでやっていくのがいいと 思います。

 ただ、皆さん方からから質問を受けまして、漢方とか民間療法を勧めても、 なかなか「そうですね」とは聞いてくれないんですね。というのは、経費の問題が あります。お医者さんに行けば保険が効きますが、漢方医も民間療法も全部お金が 必要です。
 土方先生は、AS友の会の会員には特別割引をしてくださいますけれども、 それでもけっこう高いですね。普通の病院から出してくれる漢方の薬というのは、 制限はされますが、やっぱり健康保険が効きますから。

 ただ、同じ成分でも効き方が違うんですよ。生薬の種類によって違うのかどうか、 それは判らないんですけども、土方先生が出してくださる薬と同じ名前のツムラとか そういうのから出てきても、効き方が全然違います。
 そういう意味で、どっちに転んでもいいわという程度の薬は病院から出して もらいますけれども、どうしてもこの薬は外せないというのは、必ず土方先生から もらっています。私の漢方に関する捕らえ方というのはそういう感じですね。

 ついでに、病院の選び方、お医者さんの選び方というのも申し上げますけれども、 いろんな病院に私はかかってきましたが、たくさんの先生方にかかって、 やはり信頼できる先生に長い期間お世話になりますね。
 その信頼できるかどうかというところはですね、たとえば、一時には非常に 親切にして下さっても、だんだんその先生が忙しくなってくると、いざという 救急のときに何もしてくださらなかったりします。そうすると、もうその先生は、 私のほうから見限ってしまいます。

 ある先生は「どうですか?」と向こうから声をかけてくださったり、 何年かたつと「調子どうですか?」って。やはり、そういう先生はありがたいですね。 とにかくね、非常に緊急のときに間に合わない先生、そういう先生はダメですね。 まず、それから選びますね。
 話を十分聞いてくださらない先生、これもダメです。ひとつには、身近に ホームドクターを持っておくといいです。往診してくれる先生。これホームドクター なんですね。だけどホームドクターでも、大病院とつながりが無いホームドクターは 緊急の場合に困ります。入院先を探せないんですね。

 それから、自分の近距離の先生というのもホームドクターで良いんですけど、 病院でも中程度の病院、そして、大病院とかね、いろいろあります。 私の近くだったら中央病院というのがありまして、それから日赤和歌山医療センター、 そこに今かかっているんですが、日赤和歌山医療センターに入院することに なってから、救急の場合でもそこに電話すればそこに入院できるということに なったんで、本当に今、心強いんです。

 先生方も、非常に強直性脊椎炎のことも理解してくださっているので、 ありがたく思っております。このASの場合はですね、入院した時に、この病名を 知ってくれているかどうか、それも一つの目安になりますね。硬直性って先生が 言ったり、動直性って言ったりね、いろいろあるんです。
 だから救急で入った時の医師が、隣室で、「このインテバン® って、鎮痛剤だったんだね」って、そういうやりとりが耳に入ってくると、 この先生はどうなんかなとか、「初めて知ったわ」なんて、女の先生だった んですけどね。そういうこともありました。不安になりますね。

 それから、中程度の病院というところは、入院してからだいたいその病院というのが 判ってきまして、入っている間はいいんですけれども、出てからの治療、家に帰って からの治療で、必要な薬をもらうというのが厳しいことがあるんですね。
 この薬は出せますけど、この薬は出せませんとか。そういう問題が生じたんで、 その病院はまた何かの折にってランクをつけて、3つぐらいのところにかかってます。

 病院も、お医者さんでも、この先生は素晴らしいとか、この先生はもうちょっと とか、いろいろ考えて付き合うようにしております。お医者さんの方からいっても、 いやな患者とか、まぁいろいろあると思うんですけど、来る患者には全部付き 合わないかんですね。
 患者はお医者を選べるんですけれども、今はそれがさらに強くなってきて、 どんどん変えてもいいんです。しかし、医師は患者を選べない。だから、 こんな患者はいやだっていうこともあるでしょうね。これは、井上先生に聞いて もらうのが一番いいと思うので、どんなふうな患者がいやなんですかねぇ。 先生、ちょっと教えといてもらったらありがたいと思うんですが。


(井上医療部長)
 僕はまぁベラベラしゃべる方で、インフォームドコンセント過剰の医者って 言われるんですけど、むずかしい患者さんは時間をとってじっくり話を聞くんですが、 努力はしているんですが、やはり医者気質というのがありまして、あんまりこまごま 言われると、いけないなと思いつつも、その患者さんの印象は 悪くなっちゃうんですよね。

 ASに限ればですね、下手すりゃその辺のお医者さんより患者さんの方がよっぽど よく知ってるんですよ。インターネットとか、僕の書いた 「AS療養の手引き」なんか 患者さんがじっくり読んじゃったりしたら、まずほとんどの医者より知識が上に なっちゃうでしょう。
 医者の方だって、一人で何十人、何百人の異なる病気のたくさんの患者を 診なくてはならないのですから、ASに詳しくなれる人はそうそういる訳がないんで、 お医者さんを責めても仕方ないんですよね。

 時々、医者をテストするような質問をする人もいますね。それから、昨日テレビの ワイドショーで見たようなことを、診察室でさっそく聞いてくる人もいる。そんなの、 こっちは忙しくて見ていないんだし、マイりますよ。
 でも、絶対医者に聞かなきゃいけないことは聞かなきゃいけない。 聞き方っていうものもありますね。本で読んだんですけど素人なもんでよく理解 できないんですが、こういうことですか……とかね、ちょっと前置きがあると すごく印象が違うんですね。ちょっと親戚の医者に聞いたんですけど……とか 言われると、ムカッと来ませんね。

 だけど、「これは何ですか? どうしてこれを使うんですか?」「副作用を全て あげて下さい」とか、試験されるように聞かれると、僕でもムカッと来ますね。
 その辺の医者あしらいは大事、「こっちは痛い痛いという病人なんだから、 医者にそんな気を使わなきゃならないなんて冗談じゃない」って思うかもしれない けれども、医者も人間ですから、特に変わったヤツもいっぱいいますから、 やっぱり医者と付き合うための工夫や努力は必要と思います。それが、結果的には 自分のためになるんですから。

 医者をうまく乗せる、図に乗らせる、そして、医者の持っている学識・経験・ 技術を使って、自分で自分の病気をコントロールする、主役は患者自身、これが 大事なんですね。僕のところに来ている患者さんで、今日はこの薬くださいとか、 今日はこっちがいいとか言ってきますが、僕は「ハイな」とけっこう応えちゃう。 医学的に許容範囲のことなら、それでいいんですね、特にこの病気は。

 勿論、すごく痛いからと言って、1日10回飲みたいなんて言ってきても、 それは絶対ダメとは言います。原則とか許容範囲だけはよく説明しておいて、 そして定期的に病勢や副作用のチェックもして、それを守らないとどうなるかも 説明しておいて、あとは患者さん自身……ということです。
 勿論、糖尿病とか心臓病は、そんなことしちゃダメですよ。でも、ASに関しては それで十分だと思います。一般のNSAIDだったら、そんな治療方針で問題ないと 思いますし、またその方が、受け身でお医者さんに治してもらうおまかせ医療 じゃなく、患者さんも自分で病気と対峙して行くんだ、自分で治すんだという自覚も 出るはずです。

 とにかく、本、雑誌、テレビ、それにインターネットと巷に情報は溢れています。 それで自分の病気をよく勉強すること。でも医者のところに言って、それについて いかにも自分はとっくに知っているんだといったニュアンスで知識をひけらかす ようなのはいけない。
 でもインターネットや医療書にこう書いてあったんだけど素人の自分には よくわからないから……とか、あるいはまた順天堂の井上がこんなことを言ってた んだけども実際のところはどうなんだろうか?……でもいいです。

 その知識の出し方を工夫してみる。お医者さんが知らないようなことを聞くと、 医者、特に外科系は職人気質の人が多いので、ムカっときて答えなくなります。 医者が答えなかったり、怒ったりした時、ワーイ医者のくせして自分より知らない、 ざまーみろって喜んでも、患者にとっては何の得にもなりませんからね。
 自分のためにプラスになるよううまく使うんですよ医者を。その辺は賢く いかなきゃ。まぁ、言うは易し行うは難しということもよくわかっていますけど。

 ただ、必要な事を言ってくれないというのは、医者として困るんですね。 「この前の薬は効きましたか、胃はなんともありませんでしたか?」と聞いた時に、 効いてないのに、胃の調子が悪くなったのに、医者に悪いと思って「効きました。 胃はなんともありません」という人は本当に困っちゃいます。こういうことは 絶対やっちゃいけないんで、効かなきゃ効かない、飲んだけどまだ痛いとか、 胃の調子が悪くなったって言わなければいけせません。

まぁ、人と人の付き合いですから、その言い方やニュアンスは難しいですけど、 言うべきことは言う、でも言い過ぎないようにする。難しいかなこれ。
 そして、患者さんが常識範囲の態度、内容で話をした時に怒ったり答えて くれなかったりする医者だったら、すぐに取り替えるべきでしょう。今は、 医者なんて履いて捨てるほどいるんですから。

 こんなこと言っては誤解を招くかもしれないけど、申し訳ないけどはっきり言って 患者さんのことをが好きなお医者さんって、あまりいないと思うんですよね。 医者という職業は、要するに人のトラブルで飯食ってる訳だから、やはり朝から晩まで トラブルを相手にしていると疲れてくる、イヤになってくる。
 ですから、患者さんが、あるいは患者さんと話をすることが好きで好きで たまらないっていう人、特に外科系では、そうそういないんじゃないかと思うんです。 こんなこと医者自身が言っちゃいけないんだけど……。そんな医者の機嫌をとって その人の学識・経験を引き出して、それを利用して自分で治す。この姿勢が 大事なんじゃないかなと思います。

 それから、病院の選び方については、とにかくあらゆる努力をして事前に情報を 集めること。人づてでもいい、近所の評判でもいい、「良い医者の選び方」 「病院ランキング」なんて本屋にいけば腐るほどおいてあるんだし、そして インターネット上にも医療情報が溢れているんだから。
 それに日本にはいくらでも医者はいるんだし、ASは手遅れになったら死んじゃう 病気じゃないんだから、試行錯誤を繰り返してでも探すことですね。「そんな暇ない」 と言う人もいるけれど、なんたって自分の体ですよ、これがしっかりしていなければ、 何も話は始まらないんだから。

 それから、性格や相性の合わない医師には診てもらわないということでしょう。 却って病気が悪くなります。「慢性疾患の治療の8割は患者の不安をとることだ」 と言った偉い先生がいます。その不安を助長しちゃってしまう医者がけっこういる。
 病気にもよりますけど、特にASではこういうことが言えますね。でも、相性が 合う合わないというのは、受診してみないと判らないところがありますけどね。 試行錯誤ですね、努力です。今回は、ちょっとホンネというか過激なことを言い過ぎた かも知れませんね。  でも、僕の医者として、そして患者としての実体験からのものです


(M司会者)
 10年以上同じ病院で同じ医師にかかっていますという人、ちょっと手を あげてみてくださいませんか? はい Nさん。


(N会員)
 私は、26歳で発病して、お産のあとにすぐに動けなくなって、 たまたま成人病センターに行ったんです。動けなくなってびっくりして行ったら、 検査したらASだった。それから以降20年ですね。

 質問なんでしたっけ?。どうしてその病院を選んだかっていうのと、 もう一つ……。
 その先生はですね。偶然に会った、たまたま行ったところで会った先生が、 この病気を研究されている先生だったというのが私にとってはラッキーだったんです。 そのまま、その先生について成人病センターから行岡病院に変わってますのでね、 そのまま自分の人生を歩んだという感じです。

 一緒に病院を移ったんですけど、ずーっと小松原先生、変わりません。 20年になるんですけども、井上先生がおっしゃったようにね、薬は私あんまり 飲んでないんです。一番厳しいときの5年ぐらいしか飲んでないのでね。
 あとは先生が言われたように、本当に自分で自分の体を、薬と運動といろんな部分で 調整していくというのが本当に一番。そしていろんな方に意見を聞く、方法を聞く、 それが今一番辛かった部分も含めてベターな方法だなという印象が残っています。

 やはり先輩の意見というのは、すごくねぇ……。どうしても痛い時って痛みを 止めたい方向にパーっと走ってしまうから、漢方薬とかいろんなものにね。 私も5年間ほど漢方薬ずーっと飲んだんですけどね、やはりお金が続かなくって 途中でリタイヤしてしまったんですけどね。
 やはり、井上先生が最後におっしゃった、あれが一番。20年の中の付き合い方、 それが一番正解なんじゃないかなというふうに思うんです。


(M司会者)
 その先生の一番気に入っておられる点というか、なんでしょうか?


(N会員)
 発病してから以降、私、子供産んんだりして、そのとき以降も、 きつくなった時があったんですが、いつでも、やはり一番自分の体調を知って くださっているんじゃないかなっていうのがあるんです。
 ちょっと体調悪かったんですけど、5年ほど全然行かない時期があったんですね。 その時に悪くなりましてね、行ったら覚えていてくださって、それから以降 必ず定期検診など、きちんとお声かけていただいてね。
 必ずお声をかけていただけるという点で気に入ってます。


(M司会者)
 他に、私が行っている病院の医師のここが気にいってますというご意見は ありませんか?
 どうでしょう、5年ぐらい同じところに行っておられる方は、 …あっ、お願いします。


(M会員)
 私も今のNさんと同じ小松原先生にかかっているんですけれども、私は、 日本AS友の会のことを産経新聞か何かに載った時に知りました。 その時に小松原先生のお名前があったので、それで成人病センターに お電話したんですけれども、そのときはもう成人病センターでは新患を とっていらっしゃらなくて、それでまぁ私も行岡病院に。

 で、小松原先生にずっと診てもらってるんですけれども、私も小松原先生は 割りと話もポンポン出来ていいと思うんです。ただ、今の課題は、すごく待ち時間が 長くて3時間とか待つのがすごいしんどくて、それだけ待っていると、他にも すごく待っていらっしゃる人がいると思うと、なんか先生に聞きたいことがあっても、 できなくなってしまう。

 結局、中待合いで待ってるじゃないですか。この前なんか中待合で1時間も 待ったんですよ。なんかもう、診察室でこれ以上自分が話して、周りの皆も早く 見てもらいたいなって思っていると思うと、なんかもう聞く気も無くなってくる、 その辺がちょっとしんどいかなって思うんです。

 あと、小松原先生がこのあと何年見てくださるのかなというのが私としては 心配にはなってます。先生は、話もよく聞いてくださるし、まぁご存知のように 「らくちん」とかも読んでいらっしゃるようなので、例えば以前、私が書いたの とかも読んでくださってて、この前「らくちん」に載ってたねというふうに話を して下さったりして、すごくいい方だと思うんですけども、まぁそのへんが ちょっと課題かなと思います。


(M司会者)
 有り難うございます。例えば、なかなか相性の合う先生にめぐり合えなくて、 もう5つ以上病院を変わったという方おられます?
 4つはどうでしょう?
 …あっ、どうぞ、お答えください。どこが気に入らなかったか、 相性が合わなかったかということを言ってください。


(H会員)
 Hと申します。私は発病から長いんです。19歳、高等学校くらいからです。 今63歳ですから40何年。で、これ何の病気か判らんということで、私、 山口県なんですけど、山口、広島、その辺の病院全部で十何件、医大から総合病院と 全部歩いて判らなかったんです。
 40歳前後ですね、私○○市なんですけど、○○市に病院がありまして、 そこにたまたまASをよく知っているというか詳しいというか、知識のある先生に たまたま出会って、そこで血液検査してですね、それで初めて判ったんです。

 それから、月に一回、可動域とか血液検査をずーっと調べてもらって、その先生が 2年ぐらいで転勤になって、あとの先生にずっと診てもらっていたんですけど、 次の先生は、これはもう治らんといって、あまり親身に診てもらわなかったですね。

 それでずーっと、最初はクリノリル®というのを服用していたんですけど、 それから、もう固まっているからとにかくこの薬だけ飲めばいい、死ぬまで飲めと 言われて4年か5年飲んでいたんですけど、そのうちだんだん良くなってもう薬 止めてんですけど、止めてどこもお医者行かなかったんです。

 それからまた悪くなってですね、今度はリウマチ友の会の紹介で、3年ぐらい アスピリン(?)というのを、これは違う病院ですけど、で、あんまり飲んで胃に穴が 開いて今度は内科に行って胃の検査をして、近くの病院で胃薬もらって、その病院で 3年ぐらい前ですけど、ボルタレン®を飲んでおりました。

 ボルタレンを飲んで、去年の9月、総会がある前ですけど、会員の方に電話で 聞いて「私はあんまり悪くなかったんだけど最近悪くなって、何かいい薬 ありますか?」って言ったら、コンドロイチンとグルコサミンを飲んでいると 言われて、半信半疑で飲んで一年ちょっとなんですけど、今、ほとんど痛みが 無いですね。

 本当にこれ治ったのかなと思っています。それまでの病院10や20変わってます けど、いい医者がいなかったです。田舎なので、今も半信半疑、今は医者に全然薬を もらってないんですけど。
 ただ、胃が悪いときだけ薬もらっています。また悪くなったら違うお医者を探して みようかなと。特にいいお医者がいればそこに紹介してもらおうかなと思っている んですけど、井上先生に相談しても、山口県にはASに詳しいお医者さんに心当たりが ないということで、それで特に決まったお医者にはかかっていません。

 まぁ特に悪くなってないし、運動もやっているんで、強直は止まったらしい。 その程度なので、またどこかいいお医者を紹介してもらえるなら行こうかなと いうふうに思っております。


(M司会者)
 コンドロイチンとグルコサミンですか。それを飲まれて、今、効いている ということで。何か効いているとかよくなったという話を聞くと耳がダンボになって 嬉しくなってしまうんですけど、先生、グルコサミンとコンドロイチンはどういう 作用があるお薬なんですか?


(井上医療部長)
 僕は患者さんに使ったことないし、自分でも飲んだこと無いんですけど、 アメリカの方で数年前からすごく使われているみたいですね。関節疾患つまり リウマチとか変形性関節症みたいな病気に。

 コンドロイチンとかグルコサミンというのは軟骨の成分なんですね。病気でそれが 変性したりすり減ったので、良いのを補充してやるという理屈から生まれたと思う のですが、残念ながら強直性脊椎炎は軟骨の病気ではないんでね。
 末期には、軟骨がすり減っちゃうんですが、軟骨の病気というイメージはないんで、 是非…という気にはなれません。でも、飲んでみたらASにも良かったという人は いますから、目立った副作用もないようだし使ってみていいと思います。

 ただ、薬やその他の治療法の効果判定というところで、一つどうしても言って おきたいことがあるんです。ASというのはとても特徴的な病気で、病状の波が 非常に激しいんですね。
 昨年の総会でも言ったと思うんですけど、「今、死ぬほど痛い、なんとかしてぇ」 という電話がかかってきた時の私の回答は、「もうちょっと待て、ガマンして、 時間がくればきっと良くなるから」でしたよね。

 すごく良いときと悪いときがあって、それが日や週間単位で変化する。 自然経過として、ちょうどこれから良くなる時期にたまたま飲んだ薬は、 すごく効いたと思っちゃう訳です。

 この誤解、医者もやっちゃいます。薬に限らず、劇的に効いたということで過去に 学会や論文の発表があった治療法がいくつかありましたけど、その論文を読むと、 あまりにも劇的に効いている。
 でも、その後は、その治療法は続いているか?と調べてみると、ほとんど 出てこない。やはり、著効として発表したケースは、たまたま病状が軽快する時期に やっただけで、本質的には効いていなかったんじゃないかと思うようなことが よくあります。

 それから、病院、医者、薬を変えた直後、つまり目先を変えると、その直後は 良くなった気がする。これもあると思います。いろいろな治療法について話を している時に、水をさすようで申し訳ないのですが、本当に効いているなら、 ずっと効果は続くはずですが、少し経つとまたいつもの病状の波に戻ってしまうことも 多い。ここらへんもわきまえて治療法について冷静に評価すべきだと思います。

 それから、さきほども話が出ましたけど、「ASの専門医はいないか?」は 全国から問い合わせが来るんですね。ASの専門医が北海道にはいないか、九州には いないかって。
 はっきり言って、真の意味のAS専門医を探すのは、やめた方がいいかもしれない ですね、日本では。というのは、あまりにも少なすぎるし、僕自身もAS診なんて 偉そうにやってるけど、最新で最高の治療ができる専門医かなって疑問に思います。 自信ありません。
 自分自身のASをこんなに重くさせちゃったくらいですから、ASの専門医、 名医でございっなんて決して言えませんよね。結局は、日本にはほとんどいないと 言っていい。なんて言っては取りつく島もありませんね。

 ASは、関節リウマチの親戚のような病気ですから、薬の使い方もリウマチに 似ているので、本当はリウマチに対する薬の使い方に長けているリウマチ専門の 内科医がベストだと思います。
 リウマチほどきつい薬は使う必要がないケースがほとんどですので、薬のさじ加減は 比較的楽な病気です。リウマチならまだしも、ASを100人以上診ているという 医者は日本にはほとんどいないでしょうから、その中で自分に相性の合う医者を みつけるなんて至難の業です。

 それだったら、下手にAS専門医を探すより、たくさんいるリウマチ認定医に 診てもらうのが良いと思います。ASはリウマチと同じような治療方針というか、 むしろより簡単ですから、リウマチ認定医の中から、これは看板に出ているはず ですので探すのは簡単ですが、その中から試行錯誤で相性の良い医者をみつける、 これがいいと思います。

 リウマチ認定医といったって、他の医師より多少ASを知っているくらい でしょうから、薬物療法以外の疑問点や説明は、 「強直性脊椎炎療養の手引き」を 読んだり、同じ境遇の友の会会員の話をきいたり,そして患者でもある私自身に 聞いていただけば言い訳です。

 僕自身、個人的には、ASは整形外科医ではなくてリウマチ内科医、 リウマチ膠原病科と呼ばれることもありますが、そこの医者が診るべきと思ってます。 整形外科医のくせにそう思っています。人工関節などの手術が必要になったり、 特に機能障害が強くて積極的なリハビリが必要な場合だけが、整形外科医の出番と 思います。

 リハビリだって、最近はリハビリテーション医が出てきましたし、それよりも、 熱心な理学療法士の方がよほど力になってくれると思います。そこで、運良く相性の いい医者にあたっても、さっきMさんが言ったように、聞きたいことを全部聞いて いたら時間が経っちゃうし聞く気もなくなっちゃうというんだったら、ASでは、 たまたま僕がいますから、電話でもファックスでもメールでもその隙間を埋めることは できると思います。

 日本AS友の会は、そういう意味では非常に特殊な形ですけどね。どんな質問でも 僕はかまいません。僕が死んだ後は、どうしたらいいかわかりませんが。あっ、ASで 現役の医学生が2人いますので、その人達に密かに期待してるんですけどね。


(M司会者)
 えー、では今までの皆さんの意見とか体験を聞かれて、どうぞ良い病院、 相性の良いお医者さんを探していただきたいと思います。

 次に、医師のさじ加減というのがありますけども、これは下の制度というのに 繋がっていると思いますので、その制度の3番、年金についてのご質問がありました から、それ読みたいと思います。年金だけではなくて手帳の取得もこともあるんです けど、読みます。

 「制度で身体障害者手帳を取得した場合のメリット、 デメリットを知りたいです。その他に、手帳の級別によって、保険や年金制度が どうなるのか知りたいです。どれくらいの身体状態でどれくらいの級が 取得できますか?」
とあります。

 一番初めの手帳を取得した場合のメリット、デメリット、皆さん何か体験は ありませんでしょうか?
 手帳を持たれている方、手をあげてください。……有り難うございます。 たくさんいらっしゃる。私の次の次の方、お名前を知らなくてごめんなさい。


(K会員)
 3回目で初めての発言になります、Kと申します。よろしくお願いします。 私も両方の股関節の炎症が見つかって5年になるのですが、その時に初めて 障害者手帳を持つようにしました。

 でまぁ、持つことの意義としましては、一応4級という等級がもらえましたので、 高速道路の交通料が半額になるとか、バスを使うときに運賃が半額になるとか という形で、行動範囲を広げるのに活用させるためにとりました。

 で、3年前に、左側を人工股関節に入れ替えた際に等級が4級で同じだった んですけど、たまたま手術した病院で県の方に助成申請していただく機会が ありまして、股関節の手術と入院1ヶ月の分の医療費というのがほとんど無料で 治療の方は済ませていただきました。

 多分最初に障害者手帳を給付していただいて、そこからの改善という意味での 手術だと認定されたので手術費用はみてもらえたと認識しております。
 現在も仕事の関係だったり個人的な関係だったり遠くに移動することも ありますので、そういう形で、卑屈になること無しに堂々と障害者手帳を 見せて行動範囲を広げるように、自分にとってのリフレッシュの意味で 使っている次第です。


(M司会者)
 その他に何か手帳を取ってよかったこと、良くなかったこと、何かありません でしょうか?
もう一度手帳持っている方、手をあげてください。
すいません、Tさんですか。お願いします。


(T会員)
 はじめまして、Tと申します。会に出席するのは今日が初めてです。 昨年入会させていただきまして、井上先生に昨年お世話になって何とか仕事が 出来るようになって、その時に「手帳を持っておられる方がいいですよ」と 言われました。

 私は岡山県から来てます。今日は家族でお世話になってます。 よろしくお願いします。手帳取れたんですけど、5級で取れました。今回ここに来る のに初めて手帳使ったので、そしたら半額くらいになったそうです。
 JR料金と、昨日ユニバーサルへ行って来ました。それが半額になりました。 市にいろんな事を書いた用紙はもらったんですけど、今回初めて使えて良かったなと 感謝しています。

 ただ高速料金とかそういうのは使ったことないんですけど、今までは、この会に 入るのにあたって、ちょっと会社の都合とか知られたくなかったんですが、ここで どうしても仕事が出来なくなりまして、井上先生に診断書を書いていただいて会社に 提出しました。
 それで踏ん切りが着いて、自分の病名が強直性脊椎炎ということも、接する人には、 「私はこういう病気でこういう症状があって、こういう会がある」ということを かなり宣伝してます。会う人ほとんどに。  すると、知らない人がほとんどですね。少しでもこういう病気のことを知って もらおうと、話のネタにもなります。それでまた、自分にプラスになることを 聞けるかもしれないし。


(M司会者)
 有り難うございます。メリットの中に高速料金が割引になる、医療費が 免除される、JRも私鉄も割引されるということを聞いています。それから、 手帳を取りたいけどなかなかそんな気にはなれないという方、いましたらどうぞ お願いします。


(会員1)
 私、2年前に総会にきたもので、手帳の話をうかがったんですけど、ちょっと 躊躇しているのは、生命保険にやはり皆さん入っていると思うんですけど、私も 今入っているんですけど、ちょっと条件が悪くて出来れば書き換えなり入り直したい なぁと思うんですけど、そういう場合に障害者手帳なんかを持っているとそれだけで アウトのなるのではという心配があって入れないでいます。

 それと実例としまして、私、強直性脊椎炎と小松原先生に診断されている んですけど、それを書かないで保険に入ろうとして、ごく最近、虹彩炎にかかった んですけど、それを正直に書いたら入れてもらえなかったということがあるので、 もし強直性脊椎炎ということを正直に申告したら、そういうことで保険の書き換えとか 新たに加入するということが出来ないんじゃないかなと悩んでいて、そういうことを 経験された方がいたら、ご意見なり経験談を教えていただけると ありがたいんですけど。


(M司会者)
 どうでしょうか?
 手帳を持っていたら保険に入れないとか、入れるとかそういう情報をご存知の方 ……もうひとかた、お願いします。


(会員2)
 保険関係調べてみたんですけど、やはり家族保険も入れないです。もし嘘ついて 入ったとしたらその時点でわかった時点で保険金がおりないから一緒だということで、 正直なところ、保険に入る気は無いんです。
 私自身、先生にこの間からずっと伺いたかったのは、医療制度ですよね。 さっきおっしゃたように医療費が安くなるっていうふうな形でMさんおっしゃったと 思うんですけど、内科系は大丈夫なんですけど、この強直性脊椎炎の場合、遺伝子も そうですけど、アレルギーとかそういう形のものが出やすいですよね。

 井上先生違いますかね?
 今、なんせアレルギーでものすごく困っているんです、正直なところ。目に虹彩炎も ありますし、シェーグレンもありますし、化学薬品のアレルギーとかいろんなので、 けっこうあっち行きこっち行きで,今、本当に医療費のほうがかかるんですね。

 それと同時にもう一点は、女性特有の病気が入ってきたりしたとき、ちょうど今 ホルモン関係のお薬を飲んでいるんですけど、ホルモン関係ということは、病院の 先生がおっしゃるには骨にも影響する可能性がある、どういう形ででるかは判らない けれど、そう言われてます。

 婦人科関係も入ってきて医療費の負担がすごく増えるんですよね。アレルギーとか そういう関係も今すごく多いんです。そんな中で、もし手帳をもらうことによって ちょっとでも医療費の還元があればとは思うんですけどね。
 でも出来たら取りたくないっていうのはあるんです。今、体にはあまり不自由を 感じていませんしね。その辺のところ先生どうなんでしょうかね。


(井上医療部長)
 僕は、いくつかの保険会社の顧問医をやっていますが、病気がある人が入ったら やはりそれは保険のスジ、つまり公平な相互扶助・負担という本来の道からから 外れますから、ASでなくても何でも、病気の人が簡単に保険に入れないというのは 当然の話です。

 ただ、現場では、外交員の人がいろいろ工夫すると強直性脊椎炎で入れる場合も あったりするので、よく相談してみると良いと思います。ASっていうのは、 ちょっとみてもわからない人もたくさんいますし、そんな軽い人なら、審査は 通っちゃう可能性もあります。
 生命保険の場合は、内緒にしていたって、契約後2年間死ななきゃ、あるいは 請求しなければ、どんな病気が前からあろうが、自殺だろうがなんだろうが、 今のところは出るようです。ただ、これからは、景気が悪いんで、契約時の審査も 請求後の調査も厳しくなっていくでしょうけどね。


(?会員)
 今、薬もそんなに飲んでないんですけど、これから生命保険に入ろうと思ったら 別に言わずにしたらいいんですか?


(井上医療部長)
 私には、ここで「そうしたらいい」なんておおっぴらに言えませんが、 もしみつかった場合でも、罪に問われるとか、監獄入るわけではないと思いますよ。 癌でもういくばくもないのに、健康だって偽って契約したという悪辣なケースでも、 保険会社が詐欺罪かなんかで訴えて裁判にでもしない限り、まぁほとんどないで しょうが、どうこうされるはずはないはずです。今のところは。

 保険金が出ないというだけの話で、払い込んだ掛け金を全部とりあげられる訳では なく、だいたいは、そのその契約は最初からなかったことにするということで、 それまで払い込んだ掛け金も、戻ってくるようです。


(M司会者)
 そうですか……はい。障害者手帳は〜……障害者手帳は書くところ ありますか?


(井上医療部長)
 いや、ないでしょう。要するに、保険会社のチェックはまだそんなに厳しく ないようです。でも、最近は、保険会社も経営が厳しくなっていますから、 これからはどんどん厳しくなって行くとは思いますが、まだ今は、役所まで行って 身障者手帳のチェックをすることはないはずです。

 持ってるのに、言わないで契約している人たくさんいますよ。ただ、これは、 やっぱりズルいんであって、本当はいけない訳です。私は決して勧めているんじゃ ありませんからね。  生命保険などの民間の個人保険は、考えてみれば、社会保険とか福祉行政とは 違うんですから、やはり手術になり易い人とか、一般人よりも死亡する確率が 高い人が入るのがむずかしいのは当然なんですよ。

 病人をなぜ入れないんだ、不公平だとか不平不満を言うスジアイのものでは ないんですよね。そのへんは、病気ということであきらめなければならないことも あると思うんです。これはASが悪いっていう話じゃなくて、すべての病気、病人、 そして生命保険というものに関して言えることです。その分、社会福祉行政の方を もっと改善してもらうということになりますよね。

 それから、障害者手帳をもっていることを会社に知られると困る、生命保険に 入れないということで心配される方いますけれども、持っていて社会的に不都合を 生じたという方を僕自身は知りませんので、デメリットってほとんど無いと思うん ですね。

 会社が役所に行って、身障者手帳を持っているかなんてことは、プライバシーの 問題でできないはずです。むしろ、逆に、一定規模以上の会社は、何%かで障害者を 雇用しなければいけないという法律ができましたから、障害者枠を使って就職を した人がいるくらいです。つまりこれはメリットです。

 ただ、日本人の国民感情というか、障害者になるほど落ちぶれたくないという 気持ちを持つ人もけっこういらっしゃいますから、そういう人は取らないのは しょうがないでょうね。でも、総合的にみれば、取っておいて損は無い。
 ただ、ちょっとした問題があります。強直性脊椎炎は特徴的な障害を生じますから、 診断書の書き方、つまりどうやればより高い等級がとれるかを、普通のお医者さんは わからないですよね。

 脊椎が動かなくなるので、主に体幹機能障害ということになるんですが、 体幹機能障害というと、これまではほとんどが脳性麻痺などの麻痺性疾患で、 ASのように硬く動かなくなるんじゃてくて、麻痺して体を支えられない、 立っていられないという意味での障害なんですね。

 これに対してASでは、支えられないのではなくて、支えられちゃうんだけど、 前に曲がって固まって動かないという体幹機能障害な訳です。それに痛みも加わる。 つまり障害の原因が滅多にないものなので、当初は、役所も困っちゃったり、 取ってくれなかったりするんですね。  その役所に、たまたまASの職員がいたので、すぐにわかってもらえたという人も いました。二人とも、AS診の受診者でしたけどね。

 まぁ、お医者さんが強直性脊椎炎をよく知らないので、もし書いてもらえるか、 さらに適切な等級になるよう書いてもらえるか心配だったら、僕のところに来て いただければいくらでも書きます。
 居住地と違う東京の医者でも診断書はかけます。提出場所は、自分の住んでる場所の 役所ですけど。嘘は書けませんが、できるだけ等級をとれるように工夫して書くことは 出来ます。

 そうだ、さっきちょっと話が出て気になっていたんですけど、僕自身2級ですけど、 3級以下では医療費が全部でることはないんじゃないかと思います。地域によって 多少違うかもしれませんが、なにか特殊な条件があったからでしょうかね。

 あとは高速道路、僕は仕事で首都高速をほとんど毎日使いますから、1回700円、 帰りもありますから1日1400円、これが半額になるのは大きいですね。ただ、 ETC(有料道路自動支払いシステム)は、まだ障害者用の半額にするシステムが できていなので使えません。

 半額にするのは障害者の行動範囲を広げるという目的なのだから、障害者は (半額で)ETCが使えないのは、実施目的と逆行するではないか……ということで、 障害者用のETCの開発が進んでいるそうです。

 あとは、JRが運賃だけ半額、飛行機の国内線は一律25%引き、1種だと、 介護人も一人分同じ割引になります。飛行機の国際線はダメですけどね。あとバスや 船舶、美術館とか公園なんかは只になる所がたくさんあります。

 それ以外に相続税とか所得税、自動車を買う時の重量税、そういうものもかなり 得になりますし。かなりメリットは大きいと思います。こんなのは、インターネットを みるとか役所の福祉課に問い合わせれば、すぐにわかりますから、自分で積極的に どんどん情報収集して下さい。

 デメリットは、さきほど話がでたように、周囲、とくに会社に知れた場合ですが、 原則的には、そういうプライバシーは役所は出さないはずですし、万が一わかって、 会社で不利な立場になったとかクビになったという話は聞いたことがありません。

 もし、そういう話を聞いた方がいらっしゃったら教えて下さい。だから、 障害者手帳を取ること持つことに、そんなに神経質にならなくていいと思うんです。 むしろ、どんどん活用して、行動半径を広げて、充実した人生を送るための有用な 道具と考えるべきなんじゃないでしょうか。

 ただ、さきほどの生命保険に関しては、今、過渡期で、僕も絶対的なことは いえませんし、責任も持てないんですが、それでもあまり神経質になったり、 悲観的になることはないと思います。
 でも、やはり営利目的の民間保険ですから、ダメなものはダメですけどね。 信頼できる外交員とよく相談して、工夫すれば、けっこういけるんじゃないかと いうことです。

【編集部注:生命保険について、当日、井上医療部長の表現や言い回しに 誤解を招く部分がありましたので、発言の内容を訂正・削除しました】


(M司会者)
 保険のこと、よろしいでしょうか?
 はいどうぞ。


(?会員)
 これ、私の失敗談なんですけど、私も郵便局の簡易保険に若いころというか 20代そこそこで父親が入っていまして、5〜6年病名が判らなかったんで、 まぁ保険にもそんな大病ではないと思って入っていたんですけど、いざ入院と なりまして、最初白浜の病院に入院になりましたときに、お医者さんが正直に発病の 年を昭和45年と書きましたら、それ以降に郵便局の保険に入っていましたので 支払いは拒否されました。

 だから、今黙って入っておられて、もしか何か入院とかすることになったら、 先生にお頼みして発病は保険に入った後にしてもらわないといけないという可能性が あります。そこで、私は簡易保険からもう拒否されまして強制的に出されちゃった わけで二度と入れません。
 だから判らないときに入られた方は、発病は必ず、何といいますか保険に 入った後で発病したということを何とか書いていただくようにお願いした方が いいと思います。


(井上医療部長)
 僕も主治医としてね、そうやって書いたことあります。つまり、まだASとは 言われていなかったけど、振り返るとあの時でた痛みがASの初発症状だったんだ ということで、その最初に痛みが出た時を発症時期として書いちゃうのは、 避けられると思うんですよね。

 つまり、病院で確定診断がされた日を発症日にする。これならお医者さんにも 頼めるかもしれない。でも、たとえば、その診断書を書いてくれる医者がいる病院の カルテの表紙に、「強直性脊椎炎」とはっきり書いてあって、そこに初診日も しっかりかかれている場合は、むずかしいでしょうね。

 ASっていうのは、初めて痛みが出た時は、だいたい診断がつきませんから、 アンケートの平均では10年でしたけど、その後、何年か経って「強直性脊椎炎」 という診断が正式に下った時を発症時期としてもらうことは、お医者さんによっては 融通を効かせてくれる可能性があると思います。
 このくらいは、許されることと思います。医者の協力が要りますけどね。頑固で 生真面目な医者は駄目ですね。僕は大丈夫です、多分……。


(M司会者)
 この質問の中に手帳の級別によって保険及び年金制度のことを知りたい ですってありますけれども。あの井上先生、手帳の級別と年金制度、障害年金だと 思うのですがこれは違いますよね。


(井上医療部長)
 身障者手帳は1級から6級(7級)までですが、厚生年金なんかの 障害者年金用の等級は1、2、3級と3つしか等級がありませんので、ずっと 大雑把なんですね。障害者手帳の等級と障害年金の等級は違いますので、互いの間に 蜜な関連性はないと思います。

 障害者手帳は今3級なんだけれど、2級以上は医療費が免除になるからどうしても 2級が欲しいと訴えて、最初は生真面目なお医者さんにことわられて、やさしい、 悪くいえばいい加減なお医者さんに変えて事情を説明したら、これも「さじ加減」 というのかどうかわからないけど、2級と書いてもらえたなんて話も聞いたことが あります。


(M司会者)
 井上先生は?


(井上医療部長)
 勿論、上がるように工夫・努力します。要は書き方です。ただ、和歌山で 林真須美という人が事件を起こしてから、確かに身障者手帳の認定がちょっと厳しく なりましたね。

 僕は、特にAS患者には甘く書く医者ということでブラックリストにあがっている らしく、しょっちゅう照会状や質問状がくるんですね。でも、それに対して、 いろいろ言い訳をくどくど書くと、たいていは私の書いた等級で通ります。

 そこまで言い訳の作文を力作する医者は滅多にいませんから、驚いて努力賞と してくれるんじゃないかと思いますけど。手帳の認定は、今、まだそんなレベル ですから、まぁこれも、それに適した医者、書いてくれる医者を選ぶということに なるんでしょうか。

 身障者手帳っていうのは交通事故その他の賠償責任保険みたいにできるだけ低く 削ろうとするもの違って、社会福祉ですから、できるだけ取ってあげようとするもの ですから、それでいいんだと思います。要するに、これも医者次第、 医者選びですよ。


(M司会者)
 有り難うございます。それから、
「どれくらいの身体状態でどれくらいの級が 取得できますか」
とありますが、私は1種1級です。井上先生これはどういうふうに 説明したらいいでしょうか?


(井上医療部長)
 強直性脊椎炎に限っていいますとね、書き方にちょっと工夫が要りますが、 脊柱の可動域制限・消失で5級くらいはとれます。それによって、杖無しでは連続 2キロメートル以上歩けないというのに該当させます。
 それと疼痛があることも強調したり、和式生活はほとんど不能とか付け加えます。 最近3級と書いた方に、市役所に行くとき痛そうに行って下さい、あまり元気よく 行かないで下さい、できれば杖ついて……なんて言ったことがあります。

 結局、その人は、辛いので家族が代わりに取りに行きますといって、そんな努力は 不要になりましたけどね。まぁ本当に軽い人は無理ですけど、ちょっと背中が 曲がっていてあちこち痛くてという場合には5級はだいたい取れます。

 3級とか2級はやはりかなり悪くならないと無理です。2級にしたい時と、 股関節もやられて、寝た位置から支えがないと自力で起き上がれないといったような ことを書きます。そういう記載がないと、2級、つまり医療費免除になるほどの高い 等級は無理です。

 僕は、両側に人工股関節が入っていますが、一見、短距離なら杖なしで歩けます ので、なんで?と言われるほどの2級です。けっこう動けるし歩けるんだけど 人工関節が入っただけで、関節の全廃で4級、両側だから4級2つで3級、これに 脊柱、すなわち体幹機能障害を加えて2級です。

 人工関節は、外見的には、自由に歩き回れますが、常に舗装具(人工関節)を 使わなければならないということで、自動的に全廃と同じになるんですね。 この意味では、人工関節は得しているようにも思えます。

 それから僕の知っている患者さんで、僕が書いたのではなくて多分理学療法の先生が 書いたんですけど、僕と同じくらいの障害で1級とれちゃった人がいます。
 これは地方なんですが、地域によって審査が甘くてですね、あんまり言っちゃ いけないんですけど、寝た位置から支えがないと立ち上がれない、すなわち体幹障害で 「立ち上がることが困難なもの…2級」、さらに「股関節全廃」を加えて1級 取れちゃったそうです。

 今、片方だけ人工股関節いれて、屋内なら杖なしでスイスイ歩いていますけどね。 そんなもんです、今の認定実態は。運がいい人、悪い人、医者の書き方、その地域性 なんかでずいぶん左右されます。

 それから、今ちょっとご質問があったんだけど、さきほども言いましたけど、 自分の住んでいるところのお医者さんでなくても全然構いませんから。つい最近、 僕は九州の方のを書きましたから。そういうことは出来ます。


(M司会者)
 何か障害年金とか手帳についてご質問がありますでしょうか?
 無ければ次に行きたいと思います。
 「痛みについて皆さんにお聞きしたいと思います。 本当にASというのは痛みが一番の悩みなんですけど、痛みにどう対処して いますか?」。
どうでしょう。痛みにどう対処されているか、ご意見を。 初めての方なんですけれども、Kさんよろしいでしょうか、痛みのほうは今は いかがですか?


(K会員)
 痛みが激しくてすごく痛くて歩けないときと、らくらく通勤できるときとが あるんです。
 けれども、私は全く薬は飲んでおりません。ですから痛くて歩けないときは 安静にしているという状態です


(M司会者)
 連続して、痛みを忘れさせるものは何かありますか?


(K会員)
 そうですね、やはり仕事をもっていますから、私が行ってやらなくてはと いう責任感、それだけでしょうね。


(M司会者)
 ご家族の理解はどうでしょうか? 痛みに対して・・


(K会員)
 母親も体が弱いほうですので、痛いときは私に無理をさせないように 協力してくれますので、ずいぶん助かっています。
 痛いと、よく痛み止め飲んでじっとしてたんですけども、今でもけっこう、 股関節、背中、首、膝とか順番に痛くなるような感じで、あっちこっちが 次から次ぎへと痛くなって。

 波があるというけど、私の場合、常にどっか痛いなという感じなんです。 痛いときに私の場合は、例えば股関節が痛かったら股関節のストレッチを普段以上に やるとかですね。

 首やったら首を延々といつも以上に、よく書いてあるあのストレッチ体操、 「AS療養の手引き」 にもどっかに体操書いてあったと思うんですけど、ああいう体操を普段以上に しつこくやるとですね、なぜか痛みが治まって、完全に痛くなくなるという状態には いかないですけども動ける程度には治るんで、薬を飲むよりは、最近はむしろ 体操のほうをよくやるようにしています。

 あと、常日頃からとにかく歩くとか泳ぐとか、できる範囲で身体を動かすことを 常に心がけてやってますが、どうも、なんか運動をやると、最初痛かったところは 治るんだけど、次の別のところが痛くなったりして、ほんとに効果があるかどうか、 これも良く判らないんですけども。

 じっとしていてもあまり良くなったことがないんで、とにかく動くということで 対処してます。で、痛みを忘れる、これはなかなか忘れられないんで、なんか いろんな用事を作って、忙しくすることによって、ある程度は忘れられてるんでは ないかと思います。

 で、家族も、私があっちこっち痛いというのも、よう判ってるんで、特に 重たいもんを持つと確実に次の日にきますんで、重たいもんは持てないんで、 男なんですけど、家の重たいもんを持つときは、子供とか家内が持ってくれる。 そんな感じです。


(M司会者)
 ありがとうございます。先生、身体を動かすストレッチについて、 どうでしょうか?
 すると他の所が痛むという?


(井上医療部長)
 繰り返しますけども、元から治す治療は無い訳ですから、なんでも対処療法、 表向きの治療法になるんですね。ですからなんでもやってみて良いものはやる、 やってみて悪くなれば止める、これだけですね。

 ただ人によって違います。ストレッチが非常に良いという人もいますし、 ストレッチをやるとかえって痛いという人もいる、水泳をやると良いという人も いるし、冷えて悪いという人もいる、そうしたら止めりゃいいんであって、 とにかく自分のASに合ったものを探してやるということです。

 同じものでも、ある時は良かったけど、今度は悪くなったなんてことも有ります。 薬も飲んだ方が良い、いや、飲まない方が良い、漢方の方が良い、みんな対症療法、 症状に対する治療ですね。

 対症療法をしながら、少しでも症状を和らげて、できるだけ体を動かしていくと いうことが、残念ながら今の治療ですから、何をやってもかまわない。
 ストレッチやっていいかとか、何やって、ここまでやっていいかとか、一日 何回やったらいいかとか医者に聞いたって判るわけないんですから、自分で試行錯誤で やるっきゃない。

 やって悪くなった、失敗したとしても取り返しのつかなくなるような病気じゃ ありませんから。一時悪くなっても、時間が経てば、だいたいはまた良く なりますから、怖がらずに何でもやってみる。
 ただし明らかに怪しげな民間薬とか民間療法とかは、気をつけるべきでしょう。 まぁそれを鑑別するのはむずかしいのでしょうが。ただ、僕が絶対やめろと言ってる もののうちの一つは、ボキボキッとやる矯正とか整体というヤツです。

 強烈な整体療法をやる人達から見ると、体が硬い強直性脊椎炎の患者さんって、 やりたくてしょうがないらしいですね、絶対良くなるといって。
 我々AS患者が、あれやられると大変なことになりますから、あれだけは 避けたほうがいいと思う。

 でも、これがまた、軽いASの人で、あれが良いと言う人もいるんですね。
 昔、ボキッとやられてから背骨が動くようになったというイギリス人がいました けど、常識的には考えられない。くっついた背骨が折れて剥がれたはずはない んですから。その人、柔道もやってて、案の定、背骨を骨折しちゃいましたけども、 でもすぐまたやってましたね。

 後はそれぞれの人生観ですから。そういうことを、念頭におけば、何やっても良いと 僕は思うんですね。


(M司会者)
 はい、有難うございます。あー、はい、どうぞ。


(?会員)
 室内自転車こぎは、どうなんでしょうか?


(井上医療部長)
 そういうデータというのは僕は知らないんですけども、走ったりするより 自転車の方が腰や足への負荷から少ないから自転車を薦めるっていうお医者さんも いますね。

 で、そんな微妙なもんじゃないんで、朝から一日10時間自転車こぐ訳じゃない んだから、そんなに神経質にならないほうが良いんじゃないかと思います。 悪ければ痛みが悪くなります、症状が悪くなりますから。僕の基本的な考え方は、 やってみて悪くなったらやめる、その時は、その人に合っていないだけの話。

 でも、全然痛みを感じない運動っていうのもあまり意味がなくてですね、 やったときは痛い、やめた後もちょっと痛いんだけども、その晩、あるいは次の日には もう治っちゃうというのがちょうど良いと思います。
 その晩疼くとか、次の日痛むとか、そういう場合はやり過ぎ、これが一つの目安 でしょう。これも医者に聞いても判んないですよ。


(会員)
 基本的に 人工関節を 入れた場合は磨耗するんですか?


(井上医療部長)
 そうです。ところが、使わな過ぎだと、つまり負荷が少ないと、今度は 人工関節の周りの骨が吸収、骨萎縮といいますが、これが起こっちゃって、逆に 緩んじゃうんですね。

 何でも適度な使い方、例えば人工関節入れた方、いらっしゃいますけども、 普通中年は、一日1万歩は歩けと言われてますけども、人工股関節は、1日3千から 5千ぐらいがちょうどいいとも言われています。

 それ以下だと、骨萎縮が起こって、却って緩みが早いと。とにかく適度に使うことが 大事ですね。バイク、自転車こぎ、実はあれ、僕はやってみたことがあるんですが、 一番上にきた時には股関節が90度ぐらいに曲っちゃうんですね。

 これは、人工股関節を入れた後でも正常の動きまでは戻りにくいAS患者にとっては 非常に辛い、そしてあんまり過屈曲すると人工関節がはずれてしまう可能性があります ので、そういう意味からは、あまりお勧めではないんですけれとも、運良くかなり 股関節が屈曲できる人であれば、試してみて調子良ければやって良いと思います。


(M司会者)
 今、とっても痛んでいらっしゃる方、手を上げて下さい。……いない?
 すみません、Kさん、痛みにどう対処していますか?
 痛みを忘れさせられるものは?
 痛みとの戦い、共生について。


(K役員)
 えー、痛みはそうですね、僕は今、50なんですけど、35,6の時のような、 じっとしててもズキズキくる、そういうような痛みは最近無いですね。
 ただ、僕は人工股関節が両方入ってますけど、人工関節にしたら痛くないんじゃ ないかというふうに思われてる人もいるんじゃないかと思うんですけどもね、 やっぱり痛いんですよね。

 で、じっとしてたら確かに痛くないんですけど、歩くときにやっぱ痛いんですよね、 で、僕の場合特に関節の周りに骨ができてしまってて、どうもそれがあたるらしくて、 変な動きをするとガッと痛くなるというか、耐えられない痛みが走って、思わず ガクッと来る時があるんですよね。
 杖をついていてもそういう時があります。でもそういう時は自分でググッと股関節を 広げながら、痛いんだけどそうやると徐々に痛みが治まっていく。

 そういうようなことで、やっぱり皆さんの一番の関心事は薬を飲むかどうかと いうことになると思うんですよね、やっぱり僕はあのー、薬、飲みたくないと。
 2,3週間飲むのは構わないんですよね。でも、ずっと飲み続けるということが 非常に怖いと。これはまあ何て言うんでしょうか、大丈夫だという意見もある んでしょうけども、僕自身やっぱり怖いですね、正直な気持ち。

 だから薬を飲まないようにする、だから痛い、痛いから飲まなきゃしょうがないと いうことの葛藤になるんでしょうけども。僕自身、今は痛い時は薬は飲もうと 思います。
 井上先生もずっとおっしゃってますけど、痛いとき人間、動けないですよね、 痛いのを我慢して動ける程度の痛みだったら良いんですけど、それ以上の痛みだったら 動けないですね、絶対に。そしたらやっぱり悪くなっていくでしょう、 どんどんね。

 やっぱり痛み止め飲んで、痛みを少しでも和らげて動かせる程度になって運動が できるようになれば、やっぱり人間て動かなきゃだめなもんですから、そこまで完全に 痛みをとるんじゃなくて、痛いんだけども動ける程度の痛みまで薬を服用するように しています。そのへんの量加減が難しい。

 これは、あのー、お医者さんに聞いても、個人的なことですからやっぱり判んないと 思うんですよね。僕は今、インフリーを朝晩処方されているんですけども朝しか 飲んでないです。

 ちょっと今、長く歩かなきゃならない状況になってるんで飲み始めた んですけどもね、4月から。
 4月の前までは全然飲んでなかったんですけど、ちょっと歩けないですよね。
 で、これはダメだっていうんで、朝だけ飲むようにしたんです。そしたら朝、 歩くのは辛いんですけど夕方帰って来る時は歩けるわけですよね。それで十分 なんですよね。

 夜も、それで比較的朝まで良く寝れるし、だから晩に飲むってことは全然 考えてないですね。かといって痛みが完全に取れてるわけじゃないんですけど、 もうそれで十分かなと考えてますね最近。それで長く行こうと。

 大体そんなふうにして痛みに付き合ってます。もうこれは戦うとかそんなんじゃ なくて、痛みの間をすり抜けて行く、そういう感じですね。戦いは避けてすり抜けて、 うまくやっていこうと言うことでしょう。そんな感じですね。


(M司会者)
 有り難うございます。痛みを解かってもらえないっていうのは大変辛い事 なんですね、家族に。

 で、私の体験ですが、病名が長いことつ付かなかったので、痛んで動けないのを 理解してもらえなくて、怠け者と言われたり、とても悲しい苦しい思いをした んですけども。

 そんな体験とか、逆に私は家族に支えられていますとか、そういう何か聞かせて 頂けませんでしょうか?
 前回もいらして下さったHさん、ご家族のご協力ということについて何か こうしていますというようなことがありましたら。


(Hさん)
 Hといいます。あのー、昨年初めて、娘がASということで参加させて いただきました。今回もそうなんですけど娘自身はまだ参加できないので、 家族として母親の私が参加させていただいています。

 昨年は、発病したばかりで、本人が一番辛いんですけど、家族としても何をして 良いか判らずに、昨年の総会の時にいろいろ質問させていただいて、皆さんにいろいろ お言葉をいただいて、一年間でだいぶ立ち直ることができました。

 今、本人は一人で暮らしてますので、2週間に一回ずつ、私行ってますけれど、 会社から帰って来た状態で、今日は不機嫌だからあまり言葉をかけたりしないでいよう とかぐらいはやっと判るようになったんです。

 それで昨年の総会の時にもどなたかがおっしゃったんですけれど、ドアを開けて 帰って来た時、「ただいま」と言って帰って来た時、あたし、「お帰りなさい」と 言って荷物が重いだろうとヒョコッと取り上げたことがあるんですね。

 そうすると体のバランスが崩れちゃうと、すごく怒られたことがあるんです。 それで、そうだそういえば総会の時にそれを言われたなーと思って、今はもう 一つずつが試行錯誤の状態で。

 ただ親がいつまでも不安がってたらしょうがないってことで、本人共々一年間で だいぶ成長することができました。
 それで、これからも娘自身がこの会に参加できればいろいろ皆さんの意見が直に 伝わっていいんじゃないかなと思うんですが、まだそこまで行かないのがちょっと 残念かなと思ってます。
 有り難うございました。


(M司会者)
 有り難うございました。えーともう時間も迫ってきたんですけれども、 クオリティオブライフ、生活面ですね、
 「あなたのクオリティオブライフは?」
という質問があるんですけども、それについての自分の人生や生活の質を高めて 行くにはこうしていますというご意見をいただいてますので、それを読ませて いただきたいと思います。

 「昨年、人工股関節の置換手術を受け、仕事を 探しましたが、ようやく9月より仕事に就くことが出来、症状が出てから初めて 一人暮らしすることになりました。
 家族の温かみも良く判ります。痛みもありませんので、仕事と仲良くして いきたいと考えています。」

とか、それから

「私は健康雑誌をよく読むのですが、関節の炎症を 鎮めるために黒豆酒を作って毎日飲んでおります。

 作り方は簡単でして、黒豆を一袋と日本酒一リットルほど混ぜ合わせて 広口ビンに入れます。そして一ヶ月ほど冷暗所に置いておき、毎夕食後時に 盃一杯ほど飲み続けております。

 そしてお茶や水を飲むときは鉄瓶でお湯を沸かしてそのお湯を使って水分を 取ることを心がけております。
 おかげさまで最近では関節の痛みがかなり軽減しておりまして、血中の 貧血症状もほぼ正常値近く維持しております。

 そこで、他の会員の皆様方が実践しておられます健康方法がございましたら、 ぜひとも参考にさせていただきたく存じます。」


ということですが、最後にこういう健康方法があるという何かしていらっしゃる事が あったら教えて下さい。
 どなたかおられませんか?
 ……はい。


(K役員)
 今、水の話が出ましたけれど、3月ぐらいでしたかね、民間放送のテレビ、 アルカリイオン水、奇跡の水とかいってました。で、そのときに出た話で、人間、 酸素っていうのは身体に毒だというんですよね。

 確かにそうなんですけど、活性酸素ちゅうやつですけど。で、その酸素を 中和するのは、普通、水というのは酸素と水素の結合なんですけど、活性水素という のを作ると、そして活性酸素を身体から取っていく、で、その水の中にね、 アルカリイオン水の中に活性水素が多いんじゃないかという研究している先生が おられるということで。

 僕はそのことが本当かどうかは知らないんですけども、これは試してみようと 思ってアルカリイオン水精製機っていうのを買ったんです。それで今年の3月から 飲み始めてます。
 で、それは効いてるかどうかまだわかんないんですけど、僕自身の感覚、 あくまでも感覚ですが結構いいなと。まず何がいいかと言うと、水、沸かさないで そのままアルカリイオン水を汲んで、蛇口からですね、機械を通ってフィルター通って 無菌状態でくる。

 綺麗なんです、飲めるんです。おいしいんですね、コーヒー紅茶入れても味が 全然違うということ、それから普通の緑茶を、5月に新茶、出ますけども、それを 入れるとものすごく新鮮な味、お茶の味がね本当においしいんですね。
 ご飯もそれで炊いてますけども。身体の調子も、もちろんそれだけじゃないんで しょうけども、気持ちの持ちようとかマインドコントロールでしょうけど、 なんかいいのかなと思うことで、けっこうその頃から調子も良くなってきてるように 思えるんですよね。

 ですから僕としては、たかが水と言いますけど、特にアルカリイオン水に 注目してくれと言うんじゃなくてですね、とにかく水について注目するというのは、 ちょっと一考する必要があるんじゃないかなと最近思ってるんです。 そのことを皆さんに伝えたくて。


(M司会者)
 有り難うございます。こんなことをして元気になるとか、またしんどい時には それを超えて暮らしてますというご意見が他にもあると思いますけれども、 また次回聞かせていただきたいと思います。
 また次回もフリートーキングがありますのでご協力ください。
 有り難うございました。


(井上医療部長)
 僕も、まだお話ししたいことが一杯あるんですけども、残念だけど、 また次の機会にということで。時間がきましたのでこれで終りたいと思います。

 終ったらすぐですね、集合写真を急いで撮ります。それからホテルへ入る方は、 ここでチェックインできますから、受付のところでカギを貰ってください。
 一応、5時半からこの上の12階の1202号室で懇親会を始めますから お急ぎ下さい。
 じゃ写真撮ります。

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