滋賀医科大学整形外科 谷 仁孝 ASと腸内細菌、特にクレブシェラという細菌の関連は、20年以上前から 指摘されており、具体的には、「AS患者血清中にクレブシェラに対する抗体が 高い(クレブシェラに感染していた)」という研究結果が欧米を中心に報告されて きました。しかし、欧米以外の地域(アジア、アフリカ、南アフリカなど)の AS患者については、これまで調査されていませんでした。 今回、私たちグループは、日本AS友の会の方々の協力を得て、「日本人AS 患者血清中のクレブシェラに対する抗体」を測定しました。その結果、日本人 AS患者血清中でもクレブシェラに対する抗体値は高い」というデータを得ました。 すなわち、「ASと細菌感染」は、人種、地理、生活様式の違いを越えた普遍的な ものである可能性を示したことになります。 もし、AS発症あるいは病気の進行と細菌感染が深く結びついているものであれば、 細菌感染に対する薬物療法やそれを予防する食事療法など、従来とは異なる方向の 治療が可能となります。しかし、ASの病因・病態は未だ完全には解明されておらず、 「ASと細菌感染」を結びつける仮説も十分とは言えません。今後、さらに研究を 重ねる必要があります。 |