〔編集部注:今回は、録音の状態が不良で、途中で切れている所も何箇所かあって、
すべてを正確に収録・掲載できませんでしたので、ご了承下さい〕
- 井上事務局長:
- 予め出席者の皆さんからいただいたアンケート用紙をもとに、
できるだけたくさんの方にしゃべっていただいて話を広げて行きたいと
思いますが、医学的質問も多く、1対1の質疑応答になってしまいそう
で、出来るだけ話が繋がるようにしたいと思います。ぶっつけ本番で会長、
あるいはそれにふさわしい方にお話をお願いする事もあるかもしれません
ので、その時はよろしくお願いします。ちょっと見ますと、医学的質問が
半分以上のようです。七川先生がお忙しいところを残って下さってます
ので、僕でわからないとことがあれば、是非先生にお願いします。
- 七川先生:
- 私は、もう現役ではないんで。
- 井上事務局長:
- 漢方に関する質問も幾つかありますので、日本でASに関する
漢方療法に最もお詳しい内科医であって漢方専門医の土方先生にお話しを
うかがいたいと思います。申し訳ありませんが、質問をまずご自分で
お読み頂いてからご回答をお願いします。
最初に肝臓についての質問がありましたので、土方先生お願いします。
- 土方先生:
- 「肝臓にはレバーが効くと聞いています。
ASに鮫軟骨が効くと言われ飲んでいます。少しでも体が柔らかくなると
いう願いをこめて」
というご質問です。
ちょっとよくわからないんですが。レバーはコレステロールが高いと
いうことで敬遠されることが多いんですね。この頃、レバミロンとかいう
レバーからとった加水分解物が市販されているようですが、患者さんが
入手されてお飲みなられたんですが、やっぱり貧血にはあまり効かない。
私が存じあげている方の奥さんで、1週間後に胃癌の手術をすることに
なったんですが、輸血すると言われて、どうしても輸血がいやだという
ことで、朝昼晩レバーを1週間をたべたら血液検査の結果、輸血不要と
なったという話があります。
ですから、貧血には昔から特効薬ですが、肝炎にに効くかどうかは、
ちょっとよくわかりません。もし、そうことがあったら教えて下さい。
それから、鮫軟骨は、よく聞かれるんですが、うちにも置いているん
ですが、経験がありません。会長、鮫軟骨飲んだことありますよね?
- 田中会長:
- えっ、ありましたかね?(笑)
- 土方先生:
- 効く、効かないは、自然のものですので、たいして副作用もないと
思いますので、少なくとも3ヶ月ぐらい飲んでみて副作用がなく調子いい
ようだったら、続けられてもいいんじゃないかなと思います。食物として。
というのが、私がいつも患者さんに申し上げている説明です。体が柔らかく
なるということは、また別かなと思います。
私がたまたま体験しました、最初リウマチと言われ、後でASである
ことがわかった20代のリウマチの患者さんで、治らないと職を失うかも
しれないという事で、お若い方ですので経済的にも余裕がない方で、
なんか安くて効くものはないかなと思っていたところ、たまたま情報が
入りまして、昔から、中国のあるところで1,000年ぐらいずっとアリが
リウマチに良いといって使われていることを聞きました。臨床の先生方も
良いとおっしゃっていると業者も言うものですから、それを入手しまして、
1ヶ月分2,400円でしたが、それと普通の漢方薬を渡したんです。
漢方薬自体は非常に少量で、あれが効いてるとはとても思えなくて、
やはりアリが一番効いているんじゃないかなと思ってるんですが。
CRPが1、2ヶ月ぐらいで2あったのが0.1以下にになったんです。
だから、私が最初にびっくりしたのはそういう事なんです。ただしこれが
総ての皆さんに効くのかっていうのは、また別問題ではないかと思うん
ですけど、とにかくそういう作用はあるんじゃないかなと思います。
その方も、CRPはまったく正常なんですけど、リウマチ因子はちょっと
下がってはきていますけど高いんです。ということはやっはり入院した
時は決して正常じゃなかった。
と言っても、たとえばSLE(事務局注:いわゆる膠原病と呼ばれる
疾患の1つ)なんかでも臨床的には全く寛解していても、抗核抗体の
ある種のものは一生続いていますけど、臨床的には全く安定して
普通の生活を送ってます。あんまりデータにとらわれて、私は異常だ、
僕は異常だということで、そういう考えは良くないと思います。
臨床的にお元気で働けたら、あまり無理をなさらないで、快適な生活を
送れるようにご自分で工夫なさった、それであとは適当に治療をしながら
という事で良いんじゃないかなと思います。
それと私、この新しく出ました本
(手引き)を読ませて
頂いて、ASの合併症としてではなくて、一般論としての報告をさせて
頂きます。たとえば合併症の
尿路結石と膀胱炎には漢方薬、非常に良く効きます。大前提として
現代薬がお効きになる方はそれでOKで、漢方薬を飲む必要はないと
思います。うちに来られる方は、現代薬には副作用があって飲めない
とか、現代薬はどうも合わないって方の話としてお聞き下さい。
そういう場合には、漢方薬も一つのも選択肢です。
それから
クローン病や潰瘍性大腸炎、これは東洋医学会に発表したんですけど、
初期のケースで、うちに来られる前は入院してて、退院後に再発予防に
飲みたいとか、通院しててステロイドを10錠飲んでいるけれど、なんとか
ステロイドを少しにしたい、なんとかそういう方法がないか?って
来られました。私の場合は現代薬との併用で行きます。ただ、お飲みになる
場合は現代薬と漢方薬、30分以上時間をずらして下さい。漢方薬は、
その場合特別な食事療法と考えて下さいとお話ししています。事実、材料が
食物として利用しているものがたくさんあります。中国の薬膳なんかは
たくさん漢方薬を使っておりますので、自然のものをそのまま使います
から、一応、食品と考えて頂いて良いんじゃないかと思います。ただ、
生理活性のある食品ですから、適材適所、ちゃんとした使い方をしないと
まずいと思います。
前の話に戻って、
クローン病や潰瘍性大腸炎、そういう場合に併用にしますと、
ステロイドがあっという間に一ヶ月で切れてしまいました。その人が
5年振りに来られたんですが、勤務しだして徹夜が多かったり、リストラの
影響で働く人が減り、若い子ですけど、疲れて電車の中で眠ってしまい
そうやというほどに過労状態が続いて、ついに下痢が始まったという
ことで、来られました。しばらく漢方のみをやってたんですけど、
もう一つなんで、ステロイドと併用で実績がありましたから、「あなたは、
初期はステロイド併用で行きましょう」と言い、そうしてもらいました。
そういう場合には、お構いなく私はステロイドを使います。今は完全に
症状が取れて、ステロイドが切れて、漢方だけでうまく行っています。
もうずっと再発していないとか、退院して、また再発すると医者にいわれた
という方も、漢方薬でもう10年近く再発していらっしゃません。
それから
リウマチも胃腸障害も
ブドウ膜炎もうまく行かない場合、ぜひ漢方の使用、漢方でうまく
いく場合がいくらでもありますので、また色々ご相談に乗りますし、
そういう意味で漢方の医者にかかるのも良いかと思います。それとちょっと
訂正、私は、AS専門医ではありません、日本東洋医学会の専門医・指導医
というだけですので、そのつもりでお願いします。
それから、帯状ヘルペス、口唇ヘルペス、性器ヘルペスに関する
(漢方薬)の事が「サンデー毎日」と「安心」に載りました様で、
それを誤解されたようで、これどういうことかといいますと、
性器ヘルペスはアメリカで、性行為の感染症といわれていますが、
それがエイズの蔓延になんと物凄く促進的に作用しているだろうと
言われています。それがしかも性器ヘルペスに感染していることを
全然知らない患者が多い訳ですね、そしてどんどん蔓延していく、
そういう意味で怖い病気です。
当院の患者さんで、1型の性器ヘルペスで、8年間診断がつかなく
って、「サンデー毎日」を読んで当院に来られて、それまでは全身感染
で身体中がこすられるような痛みで、夜中目を覚まして2、3時関
眠られないとか、ちょっと完璧に精神異常のようなな感じの方でした
けど、うちの漢方で3ヶ月めからすっとよくなりまして、今はもう
この薬だけで、アシクロビル(事務局注:抗ウィルス剤)を飲まずに、
漢方は飲んでいますけどほとんど完治状態です。「毎日が奇蹟なん
ですよ」と、こないだお電話頂いたんです。そういうケースもあります。
あと、うちに来られる口唇ヘルペス、性器ヘルペスの方で、
アシクロビル耐性の方、アシクロビルが効かない。お医者さんに行って
も、あんまりお医者さんに苦労をおっしゃらないで黙ってるんですね、
性器ヘルペスの方は。そして漢方で行けそうになったら涙を流して
喜ばれる、そういう事を私は何度か経験しまして、この病気を、
そして患者さんが苦しんでいることを、ドクターはあまりご存じ無い
んじゃないかなと、私、感じてるんです。それで、私自身もこういう
漢方薬を開発しなかったら知らなかったと思います。たまたま自分が
開発して、学会に発表して、投稿して、それで講演してくれと言われる
事によって、どんどん患者さんが来られて実情が判った次第です。
やっぱり皮膚科にでもかかられないと、この病気自体知らないお医者
さんも多くて……。それにこれ伝染病なんですよね。それも知らない
ドクターがいらっしゃったみたいで、患部を清潔にして下さいという
程度で、まあ患者がそれだけ少ないし、ドクターもあまりお目に
かからない病気なんでしょう。患者さん自身が、しつこくなんだか
わからんけど口の周りに出来物が出来て、いつまでも治らない、
それで2週間、10日ぐらいでやっと治るとか、それとか性器に変な
ものが出来て、神経痛で痛くて歩きにくいなど、婦人科に行って、
まぁラッキーだったら婦人科で性器ヘルペスと診断つくんですけども、
診断つかない場合も多くて、なんかズーッと持ってて苦しんでるって
方もいらっしゃいました。
今年ちょっと症例が集まったもんですから、ヨーロッパのウィルス
学会に発表したんですけども、やっぱりイタリアの女の方で友達が
アシクロビル耐性になって、苦しんでるので、そのお薬が欲しい、
送ってくれるか?と言って来られた方がいらっしゃったんですが、
やっぱり共通にそういう悩んでる方はいらっしゃるんではないかなと
思います。
それと、お若い出産を控えたご婦人が、妊娠の後の方になって
ヘルペスに感染した場合よ、赤ん坊に産道で感染する。そうなると
新生児ヘルペスといって、奇形が生まれるとか恐ろしい事態になる
こともあるんですね。一応はアシクロビルを飲めば大丈夫となって
いるんですけど。また、看護婦さんの口唇ヘルペスの唾液が付いた
手でふっと触られて、赤ん坊にうつる。そういうこともあり得る訳
ですね。うちの娘、子供が3人いるんですけど,単純ヘルペスって
顔面麻痺をよく起こすんですが、妊娠の時に過労で顔面麻痺になって、
この薬をずっと飲ませたんですけど、元気な子供が3人が生まれ
ましたんで、この薬も、妊娠中服用しても大丈夫かなぁと思って
いるんです。
- 井上事務局長:
- 有難うございました。今日に限らずですね、友の会の会員だと
言って下さればお答えして下さると思うんですが、土方先生、
これからもよろしくお願いします。
では、医学的な質問がたくさんありますので、最初にまとめて続けて
お答えしようと思います。
「ASは40才とか、ある程度の年を過ぎる
と落ち着くと聞きますが,総てのASの方に言えますか?」
という質問です。総てのASでとは言えません。60才過ぎて痛みが
ひどくなって、血液検査でも炎症所見が激しいという方も
いらっしゃいます。珍しいケースです。僕もとまどっています。しかし、
多くの方々は、僕自身もそうですが、40歳過ぎると、激痛というのは
次第になくなって、病状が落ち着いてくる。いかにも鎮静化してきた
なぁ、ピークは過ぎたなぁと僕は感じていますし、実際、そういう方が
多いようです。しかし、痛みがゼロになるとか、また以前のように体が
柔らかくなるとか、そういうことは無理です。だれでもがそうなるかと
いうと、そうも言えない。絶対ではない、なんの病気でもそうですが
例外もあります。
次に、
「40歳を過ぎて、一旦落ちついた後に、
また悪くなる可能性は高いですか?」
という質問ですが、高くはないです。低いです。でもゼロとは
言えません。僕もそうです。40歳過ぎて鎮静化して来たなとは感じる
でんすが、また何か拍子で急にまた激痛がくることがあります。ただし、
それはまず一過性で、数日間、あるいは数周間、待てば必ず良くなります。
最近、電話相談なんかでも、「痛くてしょうがないがどうしたらいか?」
というのがよく来るんですが、なんて答えるかと言うと、残念だけど
「ガマンして」って言うんですよ(笑)。
「いろいろしないで。ちょっと待って下さい。今の強い痛みは必ず
よくなるからね、ガマンね」っていうのは、情けないですけどね、
医者としてね。情けないけれども,ASに関しては、ああだこうだ薬を
使っても、激痛の時って薬が効かないんですよね。麻薬なら効くで
しょうけどね。いつもより座薬を3つ余計に使うとかしない方がいいと
思います。「ガマンして」というのはクヤシイですけどね。時間がくれば
まず良くなります。人によってその時間は違いますけど。
ただし、待ってても段々悪くなるとか、どうも今までと痛みの性質が
違うぞ、経験したことがない症状が出てきたなんていう場合には、なにも
ASの人は他の病気にかからないという保証は全くないんですから、
気をつけていないといけません。私自身も、自然気胸や尿管結石に
なりましたが、恥ずかしいんですが、最初は「またASの痛みの一過性
増悪だな」と思って仕事を続けていて、医者のくせに発見が遅れて
しまったことがあります。いつもと感じが違ったら、僕に相談して
下さってもけっこうですし、病院に行って検査してもらって下さい。
その時には、必ずASで前からあちこち痛いんだけど、でも今度は
ちょっと………と言わないと、いけません。それから普通のお医者さんは、
ASって言ってもダメですからね。わかりませんからね。ちゃんと
強直性脊椎炎と言って下さい。それが大事。
それから
「特定疾患の指定を受けると、合併症や薬の
副作用の症状は診てもらえないのですか?」。
これは行政的な問題なんですけども、これは病院とか主治医によって
少しずつ違うようです。工夫するといけます。たとえばASに使った薬で
胃が悪くなったとか、合併症であるということを少し説明を書いてもらう
と通り易くなります。付記書きみたいな、そういうことを書いてくれる
主治医をみつける他はないと思います。病院によっても、特に大病院
なんかはわりと融通が効くようです。あと、地区によって審査委員が
うるさい所とか、そういうことあります。まぁ、ケースバイケースで
何とも言えませんが。
それから、ロキソニン®、普通の消炎鎮痛剤ですが、
一説には80万人とか、日本で一番飲まれている消炎鎮痛剤のようですが、
ところがこの前、この副作用で死んじゃったという新聞記事が出ました。
さっそく、不安を訴える患者さんも出てきました。そのぐらいの危険率は
どんな薬でもある訳ですし、実際にロキソニン®を止めた
人はほとんどいません。マスコミの過大な情報に振り回されないで下さい。
不安があれば、主治医によく話を聞いて。効いていれば、怖がり過ぎずに、
使ってけ行ってよいと思います。いけないのは、飲んでも痛みに効いて
いる感じがしないのに、主治医にそれを言わないで漫然と飲み続けている
場合です。これは、副作用の危険性だけが目立つだけで、いいことはない。
ただし、ただしですよ、何の副作用らしき症状がなくとも、薬を飲んで
いる限りは、3ヶ月、長くとも6ヶ月に一回は必ず血液・尿検査を受けて
下さいよ。
この方の質問は、
「ロキソニン®を飲むと、
動悸が起こる、頭がボッーとする」
とのことです。どんな薬にも副作用はあります。でも、副作用を
こわがってばかりいると、せっかく症状をやわらげる、病気を軽くする
ために開発された薬の恩恵を受けられないことになたります。
ASに使われるような薬は、特種なアレルギー反応でもない限り、
一発で死んでしまうなどということはまずありませんし、どれがその人に
ピタリ合うのかもわかりませんので、とりあえず飲んでみて、
副作用が出たら止めればいいだけです。副作用らしき症状が出たら、
遠慮なく主治医に訴え出て考えてもらう、変更してもらうという考え方
でよいと思います。例え副作用が出たとしても、取り返しがつかない
ものはASに使う薬ではまずないでしょう。ただし、さきほど言った
ように、副作用発生の初期には自分ではわからない血液や内蔵への
障害を早く発見するためには、定期的受診による血液・尿検査、
胸部のレントゲンや胃腸の内視鏡検査などが大切です。
「ASは再生医療でなんとかならない
でしょうか?」。
再生医療とは、私もそれほど詳しくはないのてすが、悪いところは
切除して、良いところの細胞を取り出して、体外で培養・増殖させて、
元と同じ器官をつくって、それを体内に入れてやるといったことだと
思います。マスコミでは盛んに取り上げられて、今、非常に脚光を
浴びつつありますが、まだまだ研究段階です。皮膚と軟骨に限って、
ほんのちょっとだけ実用化している程度です。いずれは、自分の体の
一部の細胞を取り出して、体外で正常な、つまり柔らかい脊椎や
壊れていない関節をつくって体内に入れるなんていう医療ができる
ようになるという夢はありますが、まだまだずっと先でしょう。
関節に関しては、今ある人工関節で十分、私なんか人工股関節を
入れて14年になりますが、こうやって、あちこち飛び回れています。
慎重に適応を決めて、専門医に人工関節をやって貰えば非常に
機能は良くなります。
次に、
「音楽に合わせたAS操があれば長続き
しそうだが?」。
そうですね、これは良いアイデアだと思います。手引き書をみても、
AS向けの体操は3つも書いてありますから、音楽家がいらっしゃっ
たら、ミュージック付きAS体操を創作したいものです。モデルも
素晴しいモデルを使って……。
それから
「病名が知られていないので、介護保険
申請の時に苦労した」。
これはそうですね。昨晩、会で言ってくれと85歳の女性のASの方
から電話をいただいたんですが、申請の時に「強直性脊椎炎?、
なにそれ?」というようなことを言われたそうです。一見、我々は
首からは上は元気ですし、よくしゃべるし、顔色はけっこう良いので
なかなか同情されないし誤解されちゃいますね。その方も運転されて
いる、なんとか歩けるし、でも、普段の身の回りの動作は、背骨が
曲がらないもんだから非常に苦労されている。身の回りの動作には
介護が必要なんですね。
しかし、こういうことは、なかなかわかってもらえない。
もうしょうがないといえばしょうがないんですが、ここは我々
AS友の会、AS研究会が広めなければいけないし、個々の患者さん
自身も、自分が病気であることを隠さないで、社会にどんどん広めて、
こうい病気でこういう不自由があるんだという事を知らしめて理解して
貰うしか無いと思いますね。これは、この病気に限らず、病気の方は
皆さん同じように苦労してます。残念ながら、今はそういう状況です。
それから、
「ASの痛みを抑えるために○○整形外科で
プレドニン(副腎皮質ホルモン・ステロイド)を10mg出して貰って
ましたが、最近20mgに増えてます。副腎皮質ホルモン、
このまま続けていって良いんでしょうか?」
というご質問です。ASに対する副腎皮質ホルモンっていうのは、
元から病気を治すものではなくて、あくまでも痛み止め、炎症止めです。
ですから、効いていれば使う、効いていなければ使わない、痛みが軽く
なれば減らして行く……という感じでいい。しかし、
ロキソニン®、その他の消炎鎮痛剤が効かない時に
ステロイドを使うと、かなりの効き目がある場合があります。
私は、AS診では症状がひどい時に一時的に使うというやり方を
しています。ステロイドについては外来診察室での説明では足りません
から、素人向けの本を買ってまずは勉強していただいて、制限量を
指示しておいて、後は患者さん自身に使い方をおまかせることも
あります。そうすると、実に上手く使われています。つまり、
患者自身が一番の名医であるということです。
ステロイドに関しては、ASではそれほど多い量は要りません。
ですから、短期間(2〜3週間以内)ならサッと量を減らしても
リバウンド現象(再び悪化)が起こることもそれほどありませんので、
減量の仕方についてもあまり心配は要りません。勿論、何年にも
わたって使い続けた場合には、主治医の指導に従って、徐々に減らして
行くことが大切です。一般の消炎鎮痛剤もそうですが、このステロイド
もまた効く人、効かない人が、いろいろです。有効な人に必要な時だけ
使っているほうが良いと思います。病気の流れ全体を変えるものでは
ないと思います。
しかし、副作用がこわいからといって、痛くて仕方がないのに、
ステロイドを使わないで、じっとしていれば、病気のみならず全身状態も
どんど悪くなりますので、ある意味では、病勢を変えて(悪化)しまう
ことにもなります。要するに使い方です。ASで10mg以上使っている
方は少ないと思います。人間は自分の副腎から1日に5から7.7mgぐらい
出ていると言われます。従って、1日にプレドニン7.7mgぐらい
だったら続けてもそれほど心配は要らない。5mg以下だったら、
まず問題はない。自分の副腎の機能をそんなには抑えないだろうと
いうことです。最近、さわがれている骨粗鬆症は、ステロイドの副作用
としてもあるのですがこれも、7.5mg以下ならそうそう影響ないだろうと
言われていますので、過大な心配しないようにして下さい。
しかし、無用に使ってはいけない、使わないで良ければ使わないに
越したことはないのも確かです。主治医の先生もちゃんと考えてくれて
いると思います。さきほども言ったようにASに対するステロイドの
作用は、あくまでも痛み止め、炎症止めといった表面的なものです。
ですから飲まなければならない程に痛くなければ飲まなくてよい、
飲まない方が良い訳です。私の個人的な意見も入っていますが、
そんな考えたかでいいんじゃないかと思います。
七川先生は、ASに対するステロイド使用に関しては、どうお考え
でしょうか?。
- 七川先生:
- プレドニンはね。副作用が多いんですが、まあ、使うのは
RA
(慢性関節リウマチ)の患者さんに多いですね。RAでは
60過ぎたり、更年期の後とか、骨粗鬆症とかいろんなのがありまして、
長く使ってるとのことです。ASは男の人が大部分でしょ。ですから
プレドニンが使い易いんだと思います。そんなに心配しないで、
効けば、どんどん……どんどんという訳ではないんですが、
使っていいと思うんですけど。
- 井上事務局長:
- 有難うございました。副作用のチェックは必要ですし、
長期大量は問題ですがし、効けば、痛みに効けばですよ、ASに
必要な量なら、それほどこわがらなくていい薬だと思います。
もし、個人的な、これに関して個別のご質問があればまた別に
お答えをします。
次に、
「年をとるにつれ、とてもアレルギーが
出るようになりました。皮膚の発疹ですね。ASとの関係ははっきり
しないとの事ですが、いろいろな病院に行くことが多くなりました。
薬は飲んでないんですが、皮膚の異常はひどくなってきています」
ということです。ASと皮膚の病気、まあ特殊な
乾鮮や
掌蹠膿疱症が
似たような脊椎間接炎を併発することは有名ですが、それ以外はあまり
関連はないと思います。
ジンマシンが出る、アレルギー反応が出易くなったという話はよく
出ます。まぁASだからという感じは特別しないんですね。普通の
健康な人でも、前にこれを食べてもなんともなかった人が、こんど
食べたらブツブツができたというこはも良くありますし、若い頃に
アレルギーで食べられなかったというのが年とともに大丈夫になった
なんて事もあります。ASであることとは別ですね。年齢的とともに
体質が変ってきますから。ASでない人と同じように考えてよいと
思います。年とりゃみんな病院に行くようになりますし、70年も
使ってて壊れない機械なんてないんですから、なんでもかんでも
ASのせいではない。あれが出てきてもうイヤ、これも出てきたので
もうダメ……とは考えない方がいい。それだけでまた悪くなります。
ある程度はわりきりが必要ではないかと……というのは個人的な
人生観が入ってしまいました。
ただ、ASに使っている薬の副作用、それと心理的なもの、これは
かなりあります、アレルギーによる皮膚の発疹、アレルギーですから
最初の方にでるかと思うと、ずっと使っているうちに途中から同じ薬
なのにボツボツが出始めることもあります。その時その時の体調とか、
年齢とか、それから心理的なものもかなりきっかけになります。
心理的な要因がアレルギーに関与することはあります。
途中、自律神経を仲介して免疫反応に異常をきたすことはあります。
ASから直接的にアレルギー反応が亢進するということは考えにくい
のですが、ASにまつわるこは、たとえば薬や心理的なことなどが
影響を及ぼすということから、間接的にはASがアレルギーに関与する
と言えないこともありませんが。因みに、私個人としては、
アレルギー性の発疹は、心理的なことが誘因になることがけっこう
あるんじゃないかと感じていますので、これらは皆さん、覚えておいて
いただきたいと思います。
それから次は、
「最新のAS情報等、治療,保険等
ありましたらホームページ、らくちん等での掲載をお願いします」
ということです。わかりました。努力致します。最新の治療法、
欧米ではね、「ASの根治療法は無いので、とにかく薬ででも何ででも
痛みを和らげて、身体を動かすのが現段階ではベスト」ということ
でしたが、最近、ちょっと変ってきました。最近、「ASの治療は、
運動と痛み止めだけでいいのか?」という記事だ出たんですね。
ということは、新しい薬が出始めてきているということです。
勿論、いつも先行するのはリウマチの方ですから、今度の薬は
リウマチにいいんだから、きっとASにもいいぞ……ということになる
訳です。ということはリウマチとASは、根元のところでは同じ、
あるいは共通のものがあるんじゃないかということです。
最近注目されているのは、
COX−2ブロッカーというものですね。
一般の消炎鎮痛剤は痛みには効くんだけれど、良いところがあれば悪い
ところもあって、その悪いところの代表は胃腸障害です。今度開発された
COX−2ブロッカーという新しいタイプの消炎鎮痛剤は胃腸障害の
副作用が無いということです。この説明を始めますと話が長くなります
ので、別の機会に
「らくちん」にでも書きましょう。
まだ日本では認可されていませんが(事務局注:平成13年2月に日本でも
発売、モービック®)、アメリカでとっくに使われていて、
日本の患者さんでも、個人輸入して飲んでいる人がいます。ただ、
間違えてはいけないのは、このCOX−2ブロッカーは、痛みに特別
良く効く、ひいてはリウマチやASを治すということでは決してないと
いうことです。胃腸障害の副作用が少ないということです。
このところを、ASの特効薬が開発されたと勘違いされている方が多い
ようです。
もう一つは
メソトレキセートです。これは、最近、リウマチに健保適用にも
なって、今、盛んに使われている薬です。もともとは抗癌剤ですが、
ごく少量、1日に1〜2錠、しかも週1回服用するだけです。非常に
良い効果をあげているようです。しかしまだ、ASにも良いのか悪い
のかはわかりません。欧米は勿論、日本でも、リウマチの専門医が
ASに対して使っている事はあるようです。ごく少量と言っても、
癌に使う薬ですので、やはりかなりの副作用はあります。脱毛、
色素沈着など皮膚障害、胃腸障害は勿論のこと、白血球が減少して
しまう骨随抑制、腎臓障害、肝臓・膵臓障害、肺線維症など、発見・
処置が遅れると大変なことになる副作用もあります。定期的に
(1〜3ヶ月おき)に検査をしてこれらの副作用をチェックしながら
使う必要があります。それでも、効かない人もいますし、長く使って
いるとだんだん効きが悪くなるエスケープ現象というのもあります。
RA
ではかなり良い結果を出しているようですので、ASでも、若い人で
炎症が激しく痛みのひどい人、血液検査でも炎症所見が強く、また
免疫学的異常を示す検査値が高い人などには使ってみても良いと
思います。でも、このように入念な経過観察を行い加減して
いかなければならない薬ですので、僕個人としては、この薬は
整形外科の先生よりも内科、、それもリウマヂ専門医によって使われる
べきものと思います。私も、この薬を使いたいと思う患者さんが出たら、
自分では処方せずに、リウマチ内科の専門医におまかせしようと思います。
それから、最近もう一つ、この10年ですごく研究が進んだ分野ですが、
細胞の分化・増殖を調整して身体の機能のバランス、そういうところを
微妙に調節する物質がたくさん見つかりました。
サイトカイン
と呼ばれるものです。病気を治す方に働くものや、促進・悪化させる
方に働くもの、それぞれにいろいろな作用を持っています。たとえば
インターロイキン6という物質は、リウマチの炎症のある部位に
たくさんみつかり、骨吸収(粗鬆症)も起こすことがわかってきて
います。そういうものができないようにすれば、あるいできないように
する作用を持つものを作って病巣に注入すれば病気が治るんじゃないか、
進まないんじゃないかというねらいです。その中で、今年のベルギーの
ASに関する学会でもASに有効だったという報告があったようですが、
抗TNFαという物質、これは注目されています。
勿論、先にリウマチに対して使われて、良い成績だったからです。
ただ、そういう薬は、やはり強い副作用がある。発癌とか重症感染症とか、
生命にかかわるような副作用もあるんです。しかし、こんなすごい薬を
使っても、ASを根本的に治せるのか、あるいは病気の流れを一気に
変えられるのか、確かではない。私個人としては、重症で他の薬が
効かないリウマチならまだしも、ASでは、根本的に治せないなら、
こんな薬はあえて使わなくてもいいんじゃないかと、今は思っています。
勿論、これからは、主作用が強くて副作用が少ないものがどんどん
開発されると思いますが。
それから、最近流行りの遺伝子、ヒトゲノム解析の結果を応用した
遺伝子治療ですね。実は、ヒトゲノム解析の研究所から
AS患者のゲノム解析をしないかという声がかかって、今、
その研究を共同で始めようとしています。ASの発症と関係のある
遺伝子(配列)を探して、原因に近づこうとか、より根治的な治療法の
開発をしようという訳です。検査材料は少しの血液、場合により爪や
髪の毛でもいいそうです。これは大変、希望がもてるような気がします。
それには、とにかくAS患者さんからの材料がないとお話になりません。
最低でも200名以上集まらないと何か言える結果が出そうにないという話
ですので、特にASが少ない日本での研究には、友の会の会員の皆さんの
ご協力ないことにはどうにもなりません。ただ、遺伝子というのは究極の
プライバシーですので、資料収集や解析の前に、インフォムードコンセント
や施設での倫理委員会など、ヤッカイな壁が立ちはだかっています。
厚生省の指針に沿った患者さんへの説明書や同意書などしっかりした
ものを作ってからですので、まだ時間がかかると思いますが、その節は、
どうか皆さんのご協力をお願します。いずれ、この遺伝子分析に関しても、
専門家に
「らくちん」誌上で書いてもらおうと思っています。
ASというのは特殊で稀な病気であって、HLAを初め遺伝的な要因が
けっこうあるようですので、他の高血圧症とか糖尿病とか、
変形性膝関節症などの一般的な病気とは違って、比較的とっかかりがある
んで、期待が持てます。倫理委員会が通って準備ができたら、資料提供の
お願いの書類や同意書、あるいは研究の説明書がが皆さんのところに
送付されると思います。疑問の点があれば、どんどん答えます。
日本人の、しかも純粋なAS患者を集めなくてはいけないんです。
なんとか日本全国、かきあつめてやっていかなきゃいけない、その時は、
是非ともご協力をお願します。以上が、最近の治療に関するトピックです。
次に行きます。
「西洋医学だけではなく東洋医学、
民間療法の話や情報等も聞かせてください」。
これはまあ無数にありますから、どれがいいのかと言われても
答えられないんですが、最近の話題は、軟骨に効くというグルコサミン
ですね。主に老化現象が原因といって良い変形性関節症で、軟骨が
すりへっちゃって痛いという時に使われています。ASに効いたという
話は聞いたことがありません。ASは最終的には軟骨もやられますが、
軟骨そのものは病変の主体ではありませんので、理論的には効きそうに
ないような気がします。でも、目立った怖い副作用も今のところない
ようですので(だから市販されている)、ASで使ってみても良いかも
知れません。もし良いようだったら、教えて下さい。
漢方薬は先ほど土方先生がおっしゃったように、ちゃんとした専門の
先生がちゃんとした診察・診断をして、その人の体質や病状にピタリ
合えば、すごく期待が出来ると思いますし、事実会員の方でも漢方薬で
痛みが無くなった、病勢が止まったという方がたくさんいらっしゃい
ますから、これは期待できるんじゃないかと思います。しかし、個々の
患者さんに合った薬ではなくちゃいけないもんですから、ぜひ一度、
土方先生に直接、しっかり診察していだだくことをお薦めします。
それから次のご質問は、
「ASでは靭帯が固くなるというのが
特徴と理解しておりますが、私の場合は筋肉そのものも非常に固いと、
接骨医の先生から言われております。筋肉を柔らかくする薬や、
マッサージなどの治療の必要ではないでしょうか?」
ということです。この病気は筋肉の病気ではないんです。ただし、
筋肉から繋がる腱、スジ、その先、骨に付くところの靱帯ね、ここが
病気の初めの炎症の場です。結果として、靱帯と繋がっている筋肉の
痛みやこわばりが出る訳です。ASが筋肉の病気だというのは
間違いです。筋肉を柔らかくする薬、筋弛緩剤っていうのがあります。
人によってはこの薬、脱力してまったり、ダルくなったりボオーっと
してしまったりする場合もある。服用後は車の運転はしてはいけないと
解説書に必ず書いてあります。自分ではボーッとしているとは感じなく
ても知らず知らずに反射的能力、俊敏性な度が落ちていますので、
あぶない。これは、病気の本態を治すんじゃなくて、結果として出て
きた筋肉のこわばりを表面的に軽減するだけです。でも、それで
全体として症状が楽になるのであれば、副作用に注意しながらですが、
使う意義はあります。
それから、電気治療とかその他何でも、赤外線がよくて超短波が悪い
とか、あるいは超音波の方が良いとか、そういった問題ではないんです。
やってみて、その人が良い、楽になると思うものをやれはいいだけです。
病気を治す治療ではなく、その場その場の症状をやわらげるのが目的の
治療なんですから。そういう意味では痛み止めと目的は同じです。
症状をやわらげておいて、自分で動けるようにしてあげるという目的です。
逆に、やってもかわりない、却って悪いなんていう場合は、百害あって
一利なし、止めるか,別のものに変えるべきでしょう。そういう意味合い
の治療です。
仮に、やって悪くなったとしても、一時的で、止めればすぐに戻ります
から心配は要りません。最初にやったあの治療がいけなかった、だから
今……と、いつまでもこだわっている人が時々いますが、ナンセンスです。
同じように、最初に見逃した医者を、いつまでも恨んでいるひと。
よくなりませんね、こういう人は。やってみて気持ちがよけばれなんでも
いい、ただし怪しげなものにはひっかからないように。前にやった人の
評判をよく聞いてから、自分の責任でやるべきです。そして、それで
病気が治るんだなんて過大な期待を抱いてはいけない。
それから次に、
「ASを広く国民に啓蒙するには?」。
なんといっても、インターネット、それにマスコミでしょう。ただ、
これは危険も伴いますので、気をつけなければいけないことがたくさん
あります。これまでも、そしてこれからも、慎重にですが、利用して
いかなければなりません。会長や私が一度新聞に出たりすると、
問い合わせが増えます。
次に
「ASと、腸内細菌の関連性の記事を
雑誌などで読みましたが、実際どのあたりまで、考えられているん
でしょうか?」。
この考えは昔からありまして、特にASには、
腸内細菌のクレブシェラ菌
が関与してると言われてきました。ただし、この細菌感染はあくまでも
引き金であって、普通の人の腸にもいるもので、一般の人は何ともない
のに、我々だけは遺伝的要因などから特別に反応してしまって、
それに対するアレルギー反応が起こって靱帯に炎症が起こるのでは
ないかと推察されています。こういう間接的な意味ではASとある種の
細菌感染は関連があると言えます。じゃ抗生物質が効くかというと
そうは簡単にはいかない。あくまでも細菌感染は引き金であって、
原因ではないんです。しかし関連はあるということです。ただ、
一部で、ASに抗生物質が聞いたという報告もあるにはあります。
ASの類縁疾患疾患で、療養の手引きにも出ている
「掌蹠膿庖症性骨関節症」という病気がありますが、細菌感染症
では有りませんが、やはり、細菌アレルギーによるものと考えられ、
この病気には、けっこう抗生物質が効きます。どうしてだかよく
わかりません。
次は、
「ASと
虹彩炎
については知られているが、飛蚊症、それと頭痛、仙腸痛との
関係は?」。
ASで一番多い合併症は虹彩炎です。ASの30〜50%に合併すると
言われます。AS診受診中の患者さんでも、そんな確率です。飛蚊症は、
眼の中の硝子体の変性によるものですが、硝子体とブドウ膜炎とは違い
ますので、直接は関係無いと思います。正常範囲の生理的飛蚊症という
のが多いそうですし、中年以降なら老人性白内障によるものが大半だと
思いますが……。ただ、ブドウ膜炎の発見や処置が遅れてひどくなると
白内障(→飛蚊症)や緑内障(ステロイド点眼の副作用の方が多いよう
です)や網膜変性や剥離などにも発展してしまう可能性があります。
しかし、早期に発見して治療さえすれば心配ありません。
それから、頭痛、これはASと関係がある場合があります。ASが
頭の中に出るという意味ではありません。首の根っこから出て後頭部の
皮下に行く神経の根元がASの脊椎周囲の炎症によって刺激されたり、
項部の筋肉がASの痛みで緊張して、その中を通る後頭部に行く神経を
圧迫して項部から後頭部の疼痛が生じるという理屈が考えられます。
それから、どういう訳か、ASでは、頭蓋骨と第1、第2頚椎の強直が
最後になります。その下全部が強直して、この部分だけがまだ少し動く
という状態が続くと、頭・頚部の運動による負荷が集中してかかって、
これらの連結が緩んできます。そうするとますます後頭部に行く神経の
根元を刺激することになります。こんなものが特にASに関連づけられる
頭痛ですが、その他にも、世の中にはASとは関係なく頭痛を生じる
原因がたくさんあって、頭痛持ちは多いものです。心因性頭痛なんてもの
もけっこうあります。
AS患者は病気の事で特にストレスが多いでしょうから、一般の人達
にも出る頭痛がより出易いということはあるかも知れません。それと
忘れてはなちないの我、薬、我々が良く飲む消炎鎮痛剤の副作用に
しっかりと頭痛と書かれています。痛み止めなのに、副作用が痛み
なんて、おかしな話ですが、頭のすみに置いておくべきです。
それから仙腸関節との関係。ASではまず100%仙腸関節が罹患し、
多くは強直に至ります。でも、この関節はもともとほとんど動かない
関節ですので、強直したとしても、ほとんど支障は出ません。従って、
知らぬ間に炎症を起こして、知らぬ間に強直していたなんていう人が
多いものです。それから、炎症が激しいときにはこの部位(骨盤の
後ろの両脇)を痛がるのですが、ほぼ全てのAS患者が仙腸関節が
罹患するにしては、実際に仙腸関節部を痛がる人は少ないものです。
僕もそうでした。仙腸関節が痛かったという記憶がありません。
しかし、レントゲンを撮影してみると既に完全に強直しています。
逆に仙腸関節の痛みがとてもひどい人もいます。このあたり、
人によってなぜこうも違うのかわかりません。とにかくASという
のは、人によって症状も経過も千差万別で、予測がつきにくい
病気なんです。
(この間、テープ飛び)
(おそらく寝具に関する質問)
枕やベッドは市販されてるのはなかなか合わないですから、
自分に合ったものを作ったら良いですね。そうやって工夫する
しかないです。それから柔らかいものが良いか、固いものが良いか
ですが、寝具は固い方が良いというのは、あくまでも健康な人です。
それからASでも軽い人、まだ曲がってない、曲がりかかっていても
伸ばせば伸びる若い人ですね。これから油断すると曲がっちゃう
という人は、とりあえず固いベッド・ふとんに寝るべきでしょう。
あるいはうつぶせに寝る。
しかし、もう既に固まってしまった人は、固いベッドでは眠れません
から、自分の背骨のカーブにあわせて沈み込む様なものでもかまわない
と思います。僕らぐらいになりますと、もう苦しい思いをして、
寝ている間に背骨を伸ばすことなんて無駄ですから、それよりも
できるだけ楽な姿勢でぐっすり眠った方が体に良い訳です。だから
僕は凄く柔らかいマットを敷いて、しかも上半身を少し挙上して
寝ています。無理に延ばそうとして低い枕や固いふとんに寝て、
熟眠できずに疲労が十分にとれないなんていうよりずっとマシです。
まあ、そうやって個人個人工夫するしかないですね。
まだ軽くて、強直していない人は、多少つらくとも何とか眠れる
のだったら固い布団、低い枕でなるべく平らに寝るべきでしょう。
枕もいろいろなものがでいますが、試行錯誤をして自分に一番合った
ものを探して下さい。なんでも、あきらめない、辛がるだけでなく、
文句を言うだけでなく、ASと付き合って行くために努力・工夫が
必要と思います。
次の方は、
「人工股関節置換手術をすることを
決心しました。今は手術を楽しみにしています」。
そうですか。らくちん誌上でも、産経新聞に載った時にも
書きましたが、素晴らしい効果のある手術なんですが、大きな手術
ですので十分検討してからにして下さい。ASの人工股関節の手術は、
骨の変形が先天性股関節脱臼後に比べると、形が崩れていないで、
わりとやさしいんです。しかし、口が十分に開かなかったり、
首が後屈できなかったりで麻酔がむずかしい。胸の動きが悪いので
術後の呼吸管理も慎重にしなければならない。ですから、麻酔科も
充実している大きな病院で受けることをお勧めします。
「会員名簿が欲しい」
わかりました。近々、第3版を作ります。
「腸の連動運動が少ないせいか便秘です」。
これはASだからという訳でなく、元々便秘症ということもある
でしょう。AS患者は、普通の人より身体を動かす事が少ないですから、
必然的に腸の運動も活発でなくなって便秘になり易いと言えないことも
ありませんが。一般的な注意として、できるだけ体を動かす、
排便時刻をなるべく一定にするとか、繊維物をたくさん摂るとか、
水分をたくさん取るか。下剤で調整するとかしてですね、下手な主治医
よりも患者さん自身の方が名医ですから自分でやっていくしかないです。
あっ、それから、他の病気が出て、他の科にかかるときは、必ず
「私はASの患者です。この薬を飲んでいます」と言って診て貰うことが
必要です。場合により、「
ブドウ膜炎
や
腸疾患や皮膚疾患を合併し易い……」
と付け加えることも。
「毎年、人間ドックで血液検査をして
いますが、一般の人と違う値が出るのでしょうか?」。
人間ドックでやる血液検査の中では血沈、CRPです。AS患者では、
ほとんどが異常、すなわち亢進値を示します。
- 会員:
- 「すみません、CRPって、炎症反応ですよね」
- 井上事務局長:
- そうです。体内に炎症があると血中に増えてくるある種の
蛋白質です。血沈も同じ意義がありますが、貧血でも、それに運動後、
生理中、食後なんていう時も増えてくる。その点、CRPの方が炎症の
程度を正確に表しますので、我々はどちらかというとCRPの方を気に
します。リウマチや感染症や怪我の時の炎症以外にも癌とか心筋梗塞、
発熱、大怪我、外科手術、妊娠なんかでも高くなります。この数値が
病気の勢いを表しますが、ASでは、症状の強さとCRPの値が
平行しないことも多いようです。すごく痛がるのにCRPはあまり
高くないとか、痛みがほとんどないのに血液検査をするとCRPが
けっこう高いとか。不思議に思っています。
ですから、CRPの値がちょっとばかり高くなったとか、
低くなったとかで、病気が良くなったとか悪くなったか一喜一憂
しない方が良いと思います。ところで、自分の今のCRPの値
ぐらいは、必ず聞いて覚えておくべきです。HLA検査の結果さえ知らない
患者さんが多い。自分の病気の状態を知って、医者の助けを借りて自分で
管理する姿勢でいなくては……。
次、
「九州地区の会員が増えません」。
これはがんばっていただくしかない(笑)。
「身体障害者手帳のついて、仕組が
わからないんですが?」。
これはちょっと長くなりますので、いずれ私か、あるいはそれに
詳しい方に頼んで
「らくちん」誌上で取り上げようと思います。過去、ASでの申請は
少なかったようですし、最近認定がやや厳しくなったように感じますが、
うまく書いてもらえば、だいたいは通ります。税金が安くなったり、
交通機関の料金が安くなったり、とれるものなら是非とっておくべき
でしょう。僕のところに来て頂けばいくらでも書きます。ウソは
書けませんが、通り易く書く工夫はあります。
次に
「献体について」。
ありがたい申し出ですけど、献体は、医学部の学生の解剖学実習用
としてですから、「どうぞ、私の身体を研究に使って下さい」と
言われても、けっこうむずかしい。私のいる大学では、生前から、
献体希望者でつくる会に入っていただくことになります。
他の病気などで亡くなった場合、そこの病院での病理解剖なら
簡単なのですが。
「今日は、夫の代わりに初めて
参加しました。なかなか、かまってあげられないんです。
私ができるのはマッサージぐらいですが、皆さんどう接しておられるか
話して頂ければ?」。
マッサージ、最高です。その場しのぎの痛み止めとしては、座薬より
注射より何よりも効くのがマッサージです。痛いところをさすって
あげるんです。心理的なもの以外にも、皮膚の刺激から自律神経を介して、
反応性に血行が改善したり、筋痙攣が治まったりすることは理論的にも
説明できます。さらに、愛情が込もっていればなおさらいい。
Mさん、いかがですか?
- M女性部長:
- 痛いときは顔をしかめるし、暗い顔をしてると思うんですけど、
その時は武士の情けじゃ言うて見過ごして貰うとか、それと愚痴が
出たりしたら、フンフンと聞いて欲しい時もあるなと思います。
- 井上事務局長:
- そういうふうに、会員の方で、こうすれば良いとか、
ご家族の方から、AS患者の正しい扱い方……なんてのはありませんか?
Yさん、いかがですか?
- Y九州支部長:
- 私の場合あんまり一緒に医者とか病院とかへ出かけんですから、
何とか自分でやって行くと。そん時には素知らぬ顔をされたり、じゃ、
例えば「痛いんでしょ?」って言われるとものすごく腹が立つ。
「あぁ、確かに痛い、判った事を……」。まぁそういうわがままもあるん
ですけど、周囲は、つかず離れず……ですかね」。
- 井上事務局長:
- 他にどなたか?
- 会員:
- 一番きつくて、寝返りも出来ないとき、どうしても主人は仕事に
行きますので、子供がまだ乳飲み子の時、その頃、家族の中で自分が
中心で動いてましたんで、そういう時に電話をかけられるところが
あると……。「らくちん」にも
すごく力づけられました。家族の理解が得られない病気でもあります
んで、私が主人に伝えるって事ができないんですよ。痛かったら伝える
だけの気力もありませんですし。どうしても、田中会長とか、いろんな
方を通して、直接主人と会話して頂いて、何とか伝えられて病気を
乗り越えられたというのが私の今一番の実感なんです。今は私も
落ち着いていますけど、今、ものすごく痛んでらっしゃる方は、
いろんな方を通して伝えて頂けるシステムがあるというのがね、
一番素晴しいんじゃないかと実感してます。以上です。
- 井上事務局長:
- そうですね、痛いんだ、辛いんだということを言える相手は
少ないと思いますし、わかってなんかもらえないでしょうが、話を
聞いて貰えるという人がいるという事はいいですよね。とくに、
同じ病気の仲間なら最高でしょう。田中会長はいつでも受けて下さる
はずです。電話をした人よりも、まず確実にご自分の方が痛い
でしょうが。そして役員の方々も。だからと言って、すぐに解決策が
戻ってくるという訳ではありませんが、話を聞いたり、それぞれの
体験を話すことはできますから、それで十分なのではないかと思います。
仲間同志、気楽に連絡し合えて……、そういう会にして行きたいと
思います。他になにか無いですかね?
○○さん。今回、初めてのご参加ですけど、いかがですか?
- 会員:
- ○○でございます。こういう会自体なにも知らなくて、
自分自身が強直性脊椎炎と医者から言われまして。19才の時から。
現在55才です。今年の夏頃でしたかね、京都の患者さんが、雑誌の
「フォーカス」に載っておられて、私とまったく同じだなと思い
まして、連絡をとれればと思い、その方の住所か電話番号でもと
「フォーカス」に連絡を取ったんですが、教えられませんという
ことだったんですけど強引に食い下がりまして、やっと電話番号を
教えていただきました。
電話をしたところ、「こういうAS友の会っていうのがあるん
ですよ」という事で、井上先生の電話番号を教えて頂きました。
私は19才から55才まで、ずーっと付き合っておるんですけど、
なんかよくわからないですけど、ある時、ASと上手にお付き合いを
することを覚えました。自分自身でどうでも良いやという時代、
医者が、強直性脊椎炎だ、これぐらいで我慢しときなさいという
ような時もあったんですけど、自分で、できることはやっちゃおう
じゃないかと、くたびれたらだめなんだなと、とことんまでやろう
という事でやってきました。
私も現在55才で、ゴルフをカートで回ったり、夏は6月から
10月まで鮎釣りやってますし、11月になりますと新潟に出かけ
まして鮭釣りをやっております。とにかく、やれる事は何でも
やりますし、好きな事もやる、だめな事だけ家内に理解して
貰って助けて貰ってます。足の爪を切るということ、靴下を履く
ことが、できないんですね、道具を考えたりしてね、短い靴下は
良いんですけど、ウェットスーツの下に着る女性のストッキングの
様なものをですね、これをどうやったら履けるかと、いろんな物を
作って考えてるんですが、良い器具があったら教えて貰いたいん
ですけど。という訳で、今日初めてこちらに出席させて頂いて、
同じ様な友達っていうんですか、そういう人達が出来て、電話で
お話したりできればと……。どうか一つよろしくお願いいたします。
有難うございました。
- 井上事務局長:
- 障害があっても、負けずになんでも自分で努力して自立して
やろうという考え方もあるんですが、私の個人的意見を言わせて
もらえば、出来ないものは出来ないんで、これはしょうがないんだから、
それは周囲に助けてもらって、自分にできることをどんどんやって
いったらいいと思います。そういう考え方をしてらっしゃる方も
たくさんいると思います。他に何か……。
- 会員:
- 私、よく手足がしびれるんで、調べたら血行が悪いと、血行が
悪いからしびれるんですと言われてるんですけども、それと、ASは
関係あるんでしょうか?。もしそうであれば血行障害を緩和するのに
ビタミンEをよく飲んでるんですけど、ビタミンEを飲んだ方が良い
のかどうか、その辺はどうなんでしょうか?
- 井上事務局長:
- ASと血行障害というのは直接は関係ないと思います。いわゆる
膠原病で時にみられる全身性の血管炎を合併したりすると、血管が細く
なったり、詰まったりして血行障害を起す場合もあります。しかし
それは特種で重症な場合ですから、多分、それとは違うと思います。
実はあんまり大きな声で言えないのですが、しびれを初めとして様々な
症状の原因がわからない時は、血行障害があるからと説明しておくと、
患者さんがなんとなく納得しなくれるので、医者はよく使うのです。
全く当たってないこともないし。
血行障害と言われた場合の症状には、漢方薬が良いかもしれませんね。
なんでもいいですから温めること、運動で身体を温めるのもお勧めです。
もし大きな血管が詰まっていれば、しびれなんてもんじゃないですよ。
ですからあまり心配しないで良いし、ビタミンEの効果も、こんなこと
いうと主治医に怒られちゃうかも知れませんが、それほど画期的なものは
期待できないと思いますよ。僕自身もしびれに使ったことがありました
けど、効いたという実感は全くありませんでした。しかし、ビタミン
ですから欠乏してはいけません。食事だけでは足りないと思ったら、
薬として飲んでも決して悪いことはないと思います。今、流行りの
スーパーでも買えるサプリメントというヤツも同じことだと思います。
私も、食生活に自信がないので、ある意味精神安定剤の意味であることも
承知の上で、毎朝、いろいろな種類のものを飲んでいます。
足の痛みがあるとか、そういうことはありますか?
- 会員:
- それは無いです。軽いしびれです。
- 井上事務局長:
- 本当に大きな血管が詰まると,激しい痛みがでるのが普通です。
その他にも、しびれの原因はたくさんあります。手足に行く神経の根元
・出口のところ、すなわち脊椎のところで神経が圧迫されていても
起こります。変形性脊椎症とか脊柱管狭窄症といった病名がつきます。
内蔵やホルモンの病気でも起こります。血圧が下がっても、精神的な
ことでも。それから、よく使われる痛み止めなどの薬の副作用でも
しびれます。勿論、脳梗塞の初期症状の時もあり得ます。まぁ、
すぐにどうかなる、どうにかしなければいけないというものは
少ないですが。
その他、医学的な事以外で、体が痛いと精神的に辛い、家族の理解が
無いとか、皆さんどんなふうに過ごしてらっしゃるんですか?とか、
メンタルな面のフォローも会で考えて欲しいとか、いろいろあります。
それから、
「らくちんは患者さんが中心という印象を
受ける、専門的な知識が必要、そういった知識が無い、患者ではなく
家族、友人にはこの友の会はとっつきにくいという思いがするのが
本音です。会長、事務局長とお話しをしてるととっても楽しいんですが、
AS友の会の楽しさを当事者以外の方達に知って頂くために、
ホームページ、その他も良いと思います」
というご意見があります。患者さん以外の方で、AS友の会が
とっつきにくいという印象はありますか?
どうでしょうかね? ○○さんいかがでしょうか?
- ○○賛助会員:
- 私自身はASではないんですけど、私は田中会長と青年時代から
ずっと40年近く友人として、ご親交いただいておるんですけども、
40年近く付き合っておりますと、例えば電話でお話しするとですね、
本人の痛さは、ご家族の方々も含めて、健常者の場合、非常に判り
にくいですよね。でも、田中会長とお付き合いしているうちに、
痛さの度合っていうのは、なんとなく判るようになってきました。
「今日は痛いのやろ?」と言いますと、「うん」と言いますので。
私の場合は声の響きとか、そういう様なことで会長の状態が判るように
なってきましたね。
よく先生方、触診とか聴診とか言われますけど、本当にちょっと
聴診器当てて聞くんじゃなしに、患者さん本人が声を出して、朝、
一言二言、言われたら、だいたい痛さのレベルが判るんじゃないかと
思います。そういう患者さんの辛さとか体調のレベルというのを
ご家族の方も察知すれば判り合えるんじゃないかなと思います。
例えば、今日の様な会合に出ておられても、一日二日なら、
その当たりの痛さっていうのは忘れられて出ておられると思います。
それで家族の方もそういう意味でね、対応していかれましたら共に
歩んで行けるんじゃないかと思います。ですから私自身について
いえば友の会がとっつきにくいという印象は全くありません。
〔この間、テープ飛び〕
- 井上事務局長:
- 今、楽しいこと……田中会長への質問です。
- 田中会長:
- 本当に正直に言っていいですか。実は、今、全くといって
いいほど無いんです。去年、1999年、和歌山で身体障害者の
卓球日本選手権という非常に大きなイベントをやりまして、
それが前代未聞の大成功だったんです。その大成功の陰には、
数ヵ月前には1リットルもの血を吐いてしまい、救急車で運ばれる
などして、それが両足に持っている傷が原因ということで、
切断の話とか色々飛び交いまして、ステロイド療法、これしか
最終的に治療が無いだろうという事で始めました。それでやっと
切り抜けてきたんですが、薬の量を減らしていくと、なんかね、
ガターっと力が抜けてしまうような気分になるんです。
今日、来て下さっている土方先生から免疫強化の漢方薬の併用を
していくと良いからって事で、ずっと併用して副作用を防いでいる
んですが、そういう状態ですからワクワクする様な楽しみって言う
のは、残念ながら、今、有りません。まあ皆さんが元気に過ごして
下されば、それが一番嬉しいかな? それぐらいですね。
スポーツの様なワクワクするような楽しさとか、それ以外、仕事の面
でも無いですね。ちょっと質が変ってきましたね、年のせいかも
判らないかも。何となくそういう返事で良いですか。
(全会員ショックを受けた様子で)
- 井上事務局長:
- 僕だって、口はよく回るし、そして口も悪いので他人はなかなか
わかってくれませんが、病気以外にも毎日ストレスばかり。でも、
残りの何パーセントに希望や楽しみをもって生きているんじゃないかなぁ。
そして、そのストレスも生きる起爆剤になっているんですよね。
「ASを持っている人に生き甲斐は
ありますか?」
という質問がありますけど、ASでない人も、こういう質問する人は
かなりいるんですよね。強直性脊椎炎を持ってるから生き甲斐がない、
何もできないと言う人が、若い患者さんの中にいるんですよね。これは、
間違ってるんじゃないかと思います。手っ取り早い責任転嫁ですよね。
全てがASのせいじゃない。健康な人でも、毎日、楽しいっていう人は
そうそういないでしょう。もしいたら、錯覚してるかおかしいんじゃ
ないかって。あっ、○○さんどうぞ。
- 会員:
- 家族とか、人付き合いっていうので、気持を楽にしていけば、
結構、痛みとかも耐えていけるんじゃないかと思うんですけど。
- 井上事務局長:
- ありがとうございます。はい、どうぞ。
- 会員:
- 奈良から参りました○○と申します。今年の4月に
リウマチ反応陰性の強直脊椎関節の炎症という様なことを先生から
言われたんです。で、「私の病名何ですか?」って言ったら、
今言った症状そのままがあんたの病名ですよって言われて、
ああそうなんかと家に帰って、家人に病名を言おうと思ったら、
ちょっとあんまり長くて忘れちゃったんですね。あれ、おかしいなと
思って調べて見たら、脊椎炎というので調べてみたら、たまたま
強直性脊椎炎で、症状がぴったり。100%一緒だったんですね、で、
家の者に、「これこれ、私の病気、これやねん」ていう事で。
それからホームページなんかないかなと開けましたら、東京AS
フオーラムですか、そういうのがありまして、質問が有りましたら
受けますよとありましたので、山ほどクエスチョンがありましたので、
それから度々Eメールを出させて頂いたんです。私、こういう様な
事務局のきっちりした構成の事をなにも知りませんでしたので、
返事があんまりプロの方のような返事で驚いたんです。今、来まして、
当然なんだなと思いましたけど。私、この会の存在のお陰で、本当に
助けられたと思ってるんです。この半年間のあまり、心のバランスを
失う事なく、前向きに来られたのもこの会のお陰と思いまして、
今日はお礼も兼ねまして会員にさせていただきたいなと思って
参りました。本当にどうも有難うございました。これからもよろしく
お願いいたします。
- 井上事務局長:
- こういう方が増えますとAS友の会を続けてて良いんだと、
また良かったんだと、嬉しいです。
- 七川先生:
- 色々勉強させて貰いました。井上先生がワーッと勢いがあって
びっくりしたんですが、45分ぐらいの間に普通の人の2時間ぐらい
話をしてたんじゃないかと。あの、今月の末にですね、我々の研究会が
ございまして、先ほど申し上げました様に厚生省と話をしてですね、
努力をしたいと思ってます。今日はどうもありがとうございました。
- 井上事務局長:
- とんでもありません。七川先生、今日は長時間お付き合い下さい
まして、本当にありがとうございました。時間になりましたが、この後、
懇親会でもお話はできます
ので、一応、これで終わりにしたいと思います。
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