レトロな列車旅1−信州の温泉行き電車

花屋

よろづや松籟荘

  別所温泉・花屋  湯田中温泉・よろづや松籟荘

 温泉行き電車という昔ながらの風情を残す、信州の鉄道の旅へご案内します。高速道路や幹線道路が整備され、鄙びた温泉地へ訪れるのも車や新幹線、高速バスというケースが多くなっていますが、温泉行き電車にのんびりゴトゴト揺られ、終点の温泉駅で下車するという列車旅を味わってみてはいかがでしょうか。以下各路線は、いずれも車窓から信州の美しい山々や農村の風景を楽しむことができ、途中の各駅も昔ながらのレトロな駅舎やホームがかなり残されています。昔ながらの変わらぬ日本の風景をゆっくり眺め、日本の美しさを味わう列車旅をしてみてはいかがですか。


[上田電鉄]  →レトロな日本旅館のある温泉「別所温泉」のページへ
 JR上田駅から信州の鎌倉と言われる別所温泉の最寄駅、別所温泉駅までの11.6kmを30分弱で結んでいます。長野新幹線が開通して近代化された上田駅の上田交通ホームから電車に乗ると、最初しばらくは通学客等で混雑し、上田市近郊の生活路線という雰囲気です。しかし、途中で多くの乗客が下車し、中間の下之郷駅を過ぎたあたりからは、のどかな塩田平をトコトコ走る温泉電車の趣になります。終点の別所温泉駅は、往年の姿そのままのレトロな駅舎とホームであり、ここに降り立つと「ああレトロな温泉地に来たのだ」という期待が膨らみます。駅近くには、昔の上田交通の電車が保存されています。温泉街は駅のすぐ近くですので、どの旅館へも歩いて行けます。温泉電車の旅は、別所温泉への旅を一層魅力的なものにしてくれます。

[長野電鉄]  →レトロな日本旅館のある温泉「湯田中温泉」のページへ
 JR長野駅から湯田中温泉のある湯田中駅までの33.2kmを急行が40分ほどで結んでいます。(他に須坂と屋代を結ぶ屋代線があります。)JR長野駅のすぐ前にある長野電鉄長野駅は地下ホームになっています。ここから最初の数キロ区間は複線区間でかつ地下鉄になっており、都会の雰囲気です。しかし、長野市内を抜ける途中から電車は地上へ上がり、単線区間となり、ローカル色が俄かに強まってきます。沿線の中心都市で歴史ある須坂市、古い町並みと史跡の多い小布施町、かつての県庁所在地・中野市と、進むにつれて乗降客も少なくなり、電車はのどかなりんご畑の中を湯田中へと向かいます。電車からは北信の美しい山々を望むことができます。終点の湯田中駅は珍しいスイッチバック式の駅であり、電車は一旦停止した後、少しバックして湯田中駅のホームへ入ります。湯田中駅も昔ながらの姿そのままのレトロな駅舎であり、レトロな温泉旅館への期待が膨らみます。温泉街はやはり駅のすぐ近くです。また、この駅からバスで渋温泉、上林温泉、志賀高原、草津温泉(冬季運休)等の温泉地へも行くことができます。

 (2011年12月更新)[NEW]
 長野を離れて約10年、久しぶりに長野電鉄で湯田中を訪れました。今回は、長野新幹線で上田に行き、しなの鉄道に乗り換えて約25分、屋代駅から屋代線に乗って、須坂へ向かいました。長野在住時に一度も乗ったことのない屋代線は、2012年4月に廃止が決定しているということで、多くの鉄道フアンや観光客がカメラを列車に向けていました。
 屋代線の始発の屋代駅は、木造の跨線橋や待合室、ホームがとても歴史を感じさせ、上野から長野電鉄への直通急行が走っていた昭和30年代〜50年代の賑わいが偲ばれます。2時間に1本程度しかない須坂行き電車に乗ると、ローカル色満点で、戸隠や妙高、北アルプスの山々やりんご畑を見ながら、ゴトゴト走って行きます。2両編成の電車は昔東急を走っていた車両のようです。長野電鉄や上田電鉄の電車は、元東急の車両が多いようです。
 須坂から長野線で長野へ一旦行った後、
特急「ゆけむり号」の展望席で湯田中へ向かいました。元小田急ロマンスカーである「ゆけむり号」の展望席から見る信州の山々、りんご畑はとても美しく感じられます。翌日湯田中から長野への帰りに乗った特急は、スノーモンキーと言われる元JRの成田エクスプレスの車両で、また違った味わいがありました。
 高速道路の発展で、信州の温泉旅行もほとんど車で行くことが多くなりましたが、温泉行き電車に揺られて行くのも、情緒満点でゆったりした気分になれます。特に屋代線は2012年4月で廃止とのことですので、屋代から北上する温泉行き電車の旅は、最後の冬を迎えています。

長野電鉄・屋代駅

ゆけむり号(須坂駅) ゆけむり号(湯田中駅) 引退した特急用2000系車両(湯田中駅)
ゆけむり号展望席から(湯田中駅付近) ゆけむり号(長野駅) スノーモンキー(長野駅)


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