1/(n^k・(4n^2-1))を調べた。
ここでは1/(n^k・(4n^2-1))を求める。 k=0,1,2の場合を見る。次である。
1/(4・1^2-1) + 1/(4・2^2-1) + 1/(4・3^2-1) +・・ ----@
1/(1(4・1^2-1)) + 1/(2(4・2^2-1)) + 1/(3(4・3^2-1)) +・・ ----A
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・ ----B
ここで活躍する中心的なフーリエ級数の公式は、
|sinx|=2/π - (4/π){cos2x/(4・1^2-1) + cos3x/(4・2^2-1) + cos4x/(4・3^2-1) + ・・} (-π <=x<=π)
cosx=(8/π){sin2x/(4・1^2-1) + 2sin4x/(4・2^2-1) + 3sin6x/(4・3^2-1) + ・・} (0 < x <π)
である。(例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)p.248を参照)
まず@から。
k=0の場合、すなわち、
1/(4・1^2-1) + 1/(4・2^2-1) + 1/(4・3^2-1) +・・ ----@
を導出する。
[1/(4n^2-1)導出]
@の形から、次のcos級数
f(x)=cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・ -----A
を考える。最少周期はπだが、この場合周期2πでもあるので後者の周期とする。
この級数の直交性を用いて、
1/(4・1^2-1)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(4・2^2-1)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
1/(4・3^2-1) =(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos6x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(4・1^2-1)=(2/π)∫(0〜π) (2sin2x/(4・1^2-1) + 4sin4x/(4・2^2-1) + 6sin6x/(4・3^2-1) +・・)(sin2x/2) dx
1/(4・2^2-1)=(2/π)∫(0〜π) (2sin2x/(4・1^2-1) + 4sin4x/(4・2^2-1) + 6sin6x/(4・3^2-1) +・・)(sin4x/4) dx
1/(4・3^2-1)=(2/π)∫(0〜π) (2sin2x/(4・1^2-1) + 4sin4x/(4・2^2-1) + 6sin6x/(4・3^2-1) +・・)(sin6x/6) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(4・1^2-1) + 1/(4・2^2-1) + 1/(4・3^2-1) +・・
=(2/π)∫(0〜π) 2(sin2x/(4・1^2-1) + 2sin4x/(4・2^2-1) + 3sin6x/(4・3^2-1) +・・)(sin2x/2+sin4x/4+・・) dx ---B
ここでフーリエ級数の公式
cosx=(8/π){sin2x/(4・1^2-1) + 2sin4x/(4・2^2-1) + 3sin6x/(4・3^2-1) + ・・} (0< x <π)
と、
(π-x)/2=(sinx)/1 + (sin2x)/2 + (sin3x)/3 + ・・・ (0< x <2π)
を変数変換した
π/4-x/2=(sin2x)/2 + (sin4x)/4 + (sin6x)/6 + ・・・ (0< x <π)
をBに代入して、計算すると、
1/(4・1^2-1) + 1/(4・2^2-1) + 1/(4・3^2-1) + ・・ =1/2
と1/2となった。
じつは左辺の初等的な変形によっても、1/2となることを示すことができる。略すが、挑戦されたし。私は積分計算の
後に気づいた。
[終わり]
k=1の場合、すなわち、
1/(1(4・1^2-1)) + 1/(2(4・2^2-1)) + 1/(3(4・3^2-1)) +・・ ----@
を導出する。
これは
1/(4・1^3-1) + 1/(4・2^3-2) + 1/(4・3^3-3) +・・
と変形できζ(3)を連想させる。よって明示的には求まらないのでは?と予想されるが。
[1/(n(4n^2-1))導出]
@の形から、次のsin級数
f(x)=sin2x/(1(4・1^2-1)) + sin4x/(2(4・2^2-1)) + sin6x/(3(4・3^2-1)) +・・ -----A
を考える。最少周期はπだが、周期2πでもあるので後者の周期とする。
この級数の直交性を用いて、
1/(1(4・1^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/(2(4・2^2-1)) =(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin4x dx
1/(3(4・3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin6x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1(4・1^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・ )(cos2x/2) dx
1/(2(4・2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・ )(cos4x/4) dx
1/(3(4・3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・ )(cos6x/6) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1(4・1^2-1)) + 1/(2(4・2^2-1)) + 1/(3(4・3^2-1)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) 2(cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・ )(cos2x/2+cos4x/4+・・) dx --B
ここでフーリエ級数の公式
|sinx|=2/π - (4/π){cos2x/(4・1^2-1) + cos3x/(4・2^2-1) + cos4x/(4・3^2-1) + ・・} (-π <=x<=π)
と
-log(2sin(x/2))=(cosx)/1 + (cos2x)/2 + (cos3x)/3 + ・・・ (0< x <2π)
を変数変換した
-(1/2)log(2sinx)=(cos2x)/2 + (cos4x)/4 + (cos6x)/6 + ・・・ (0< x <π)
をBに代入して、整理すると、
1/(1(4・1^2-1)) + 1/(2(4・2^2-1)) + 1/(3(4・3^2-1)) +・・=∫(0〜π) ((sinx)/2-1/π)・log(2sinx) dx ----C
となった。明示的な表示とはならかなった。
[終わり]
Cの左辺、右辺の一致を数値的にも確認した。右辺の∫の計算には、定積分の値が計算できるフリーの計算ソフト
BearGraphを用いた。
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追記 2008/9/9
Sugimoto氏により上式の右辺は(log4) -1となるとの指摘がありました。たしかに一致します。右辺積分は計算が可能だと
いうことでしょう。氏のご指摘に感謝します。
次に、k=2の場合、すなわち、
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・ ----@
を導出しよう。
これは
1/(4・1^4-1^2) + 1/(4・2^4-2^2) + 1/(4・3^4-3^2) +・・
と変形できζ(4)とζ(2)を連想させる。よって明示的に求まるのではないだろうか。
[1/(n^2(4n^2-1))導出]
@の形から、次のcos級数
f(x)=cos2x/(1^2(4・1^2-1)) + cos4x/(2^2(4・2^2-1)) + cos6x/(3^2(4・3^2-1)) +・・ -----A
を考える。最少周期はπだが、周期2πでもあるので後者の周期とする。
この級数の直交性を用いて、
1/(1^2(4・1^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(2^2(4・2^2-1)) =(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
1/(3^2(4・3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos6x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1^2(4・1^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(sin2x/(1(4・1^2-1)) + sin4x/(2(4・2^2-1)) + sin6x/(3(4・3^2-1)) +・・ )(sin2x/2) dx
1/(2^2(4・2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(sin2x/(1(4・1^2-1)) + sin4x/(2(4・2^2-1)) + sin6x/(3(4・3^2-1)) +・・ )(sin4x/4) dx
1/(3^2(4・3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) 2(sin2x/(1(4・1^2-1)) + sin4x/(2(4・2^2-1)) + sin6x/(3(4・3^2-1)) +・・ )(sin6x/6) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) 2(sin2x/(1(4・1^2-1)) + sin4x/(2(4・2^2-1)) + sin6x/(3(4・3^2-1)) +・・)(sin2x/2+sin4x/4+・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように変形できる。
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) 2^2(cos2x/(4・1^2-1) + cos4x/(4・2^2-1) + cos6x/(4・3^2-1) +・・)(cos2x/2^2+cos4x/4^2+・・) dx
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) 2^3(sin2x/(4・1^2-1) + 2sin4x/(4・2^2-1) + 3sin6x/(4・3^2-1)+・・)(sin2x/2^3+sin4x/4^3+・・) dx --B
ここでフーリエ級数の公式
cosx=(8/π){sin2x/(4・1^2-1) + 2sin4x/(4・2^2-1) + 3sin6x/(4・3^2-1) + ・・} (0< x <π)
と、
(x-π)/2=(sinx)/1^3 + (sin2x)/2^3 + (sin3x)/3^3 + ・・・ (0<= x <=2π)
を変数変換した
(1/48)(π^3-2π^2・x+(2x-π)^3)=(sin2x)/2^3 + (sin4x)/4^3 + (sin6x)/6^3 + ・・・ (0<= x <=π)
をBに代入して、計算すると、
1/(1^2(4・1^2-1)) + 1/(2^2(4・2^2-1)) + 1/(3^2(4・3^2-1)) +・・=2 - π^2/6 ----C
となり、明示的に求まった。
[終わり]
Cの左辺、右辺の一致を数値計算でも確認した。
この頁の分をまとめておく。
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