トリトン彗星 その1

フーリエシステムと奇数ゼータ
ζ(3)の導出
ζ(5)の導出
奇数ゼータの研究 その1
奇数ゼータの研究 その2



2008/9/1               <フーリエシステムと奇数ゼータ>

 「ホームズ彗星」と「スワン彗星」で、フーリエシステムを用いて解析してきたが、これを用いると数と関数の間の関係
よくわかるといえると思う。”数”とはゼータ関数値やラマヌジャン式の値などさまざまな級数的な値のことであることはいう
までもない。つまり、フーリエシステムは数と解析学をつなぐ橋の役割を果たしている。

 その視点から、難問とされる奇数ゼータζ(2n+1)について再考してみたい。奇数ゼータをフーリエシステムの視点から
見なおすことで、面白いことがわかってくるのである。

 ζ(3)、ζ(5)を「ホームズ彗星」の「その1」、「その2」で求めたわけだが、システム発見当初とあって、導出過程と結果
を整理できていない形で書いてしまった。
 そこで、再度ζ(3)、ζ(5)を整理された形で導出し直しておく。話はそれからである。



2008/9/1                 < ζ(3)の導出 >

   ζ(3)=1/1^3 + 1/2^3 + 1/3^3 + 1/4^3 + ・・・    ------@
を求める。

[ζ(3)導出]
 @の形から、次のCos級数
 f(x)=cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + cos4x/4^3 + ・・・        -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
 1/1^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/2^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
 1/3^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/1^3=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2+sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・)・(sinx/1) dx
 1/2^3=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2+sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・)・(sin2x/2) dx
 1/3^3=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2+sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・)・(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)
ζ(3)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2+sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・)・(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・) dx

Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、上式は
ζ(3)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1+cos2x/2+cos3x/3+・・)・(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・) dx    ---B

とできる。
 ここでフーリエ級数の公式
 cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=-log(2sin(x/2))          (0 <x< 2π) 
 cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(x-π)^2/4 - π^2/12    (0<=x<=2π)
をBに代入して、整理すると

 ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) {π^2/6-(x-π)^2/2}log(2sin(x/2)) dx

[終わり]

(1/1^3+1/2^3+・・)型Cos級数から導出

 ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) {π^2/6-(x-π)^2/2}log(2sin(x/2)) dx




2008/9/1                 < ζ(5)の導出 >

   ζ(5)=1/1^5 + 1/2^5 + 1/3^5 + 1/4^5 + ・・・    ------@
を求める。

[ζ(5)導出]
 @の形から、次のCos級数
 f(x)=cosx/1^5 + cos2x/2^5 + cos3x/3^5 + cos4x/4^5 + ・・・        -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
 1/1^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/2^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
 1/3^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/1^5=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^4+sin2x/2^4+sin3x/3^4+・・)・(sinx/1) dx
 1/2^5=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^4+sin2x/2^4+sin3x/3^4+・・)・(sin2x/2) dx
 1/3^5=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^4+sin2x/2^4+sin3x/3^4+・・)・(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)
ζ(5)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^4+sin2x/2^4+sin3x/3^4+・・)・(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・) dx

Sin-Cos移動の法則(部分積分)を使うと、上式の右辺は次のように機械的に変形できる。

ζ(5)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^3+cos2x/2^3+cos3x/3^3+・・)・(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・) dx

ζ(5)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2+sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・)・(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3+ ・・) dx

ζ(5)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1+cos2x/2+cos3x/3+・・)・(cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・) dx    ---B

ここでフーリエ級数の公式
 cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=-log(2sin(x/2))          (0 <x< 2π) 
 cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・={2π^2・(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15}/48   (0<=x<=2π)
をBに代入して、整理すると

 ζ(5)=(1/π)∫(0〜π)(x-π)^4-2π^2・(x-π)^2+7π^4/15}log(2sin(x/2)) dx

[終わり]

(1/1^5+1/2^5+・・)型Cos級数から導出

 ζ(5)=(1/(24π))∫(0〜π) {(x-π)^4-2π^2・(x-π)^2+7π^4/15}log(2sin(x/2)) dx




2008/9/1           < 奇数ゼータの研究 その1>

 ζ(3)とζ(5)が、目的とした整理された形で導出できたので、これらを比較することで冒頭で述べたことを考察する。
二つを並べる。(注意: log(2sin(x/2)) は、log(2sin(x/2))=log2 + log(sin(x/2)) だが、そのままにしておいた。)

 ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) {π^2/6-(x-π)^2/2}log(2sin(x/2)) dx       ----@

 ζ(5)=(1/(24π))∫(0〜π) {(x-π)^4-2π^2・(x-π)^2+7π^4/15}log(2sin(x/2)) dx      ----A

 右辺を見ると、∫内は次のようになっている。
ζ(3)--->(2次の多項式)×log(2sin(x/2))
ζ(5)--->(4次の多項式)×log(2sin(x/2))
 さらに、ζ(7)、ζ(9)・・では、
ζ(7)--->(6次の多項式)×log(2sin(x/2))
ζ(9)--->(8次の多項式)×log(2sin(x/2))
  ・
  ・
となっていく。つまり、次のようになっている。

  ζ(2n+1)-->(2n次の多項式)×log(2sin(x/2))     ----B

 この事実から、奇数ゼータを再考したい。
 ζ(2)=π^2/6、ζ(4)=π^4/90・・などと偶数ゼータζ(2n)の値が明示的に得られていることはよく知られている。
 ところが、奇数ゼータζ(2n+1)の値は、こんなふうに明示的に求まるのかどうか、現代数学でも全くわかっていない。
おそらく明示的には求まらないのではないか?と言われているが、もちろん証明はされていない。

  ζ(2n+1)は明示的に求まらないのか?
は、現代数学の大問題の一つなのである。

 この問題に対して、上のBの事実から新しい光を当てられないかという試みが以下である。

 まずζ(3)を取り上げ、具体的に見ていく。
 ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) {π^2/6-(x-π)^2/2}log(2sin(x/2)) dx       ----@

右辺に着目して、
 g(x)=π^2/6-(x-π)^2/2
とおく。
 いま、3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数f(x)が存在したとして、
 f´´´(x)=log(2sin(x/2))
としよう。
 すると、@は次のように書き換えられる。

 ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) g(x)・f´´´(x) dx       ----@

(0〜π) g(x)・f´´´(x) dxに部分積分を2回行うと、次のようになる。
(0〜π) g(x)・f´´´(x) dx 
=[g(x)・f´´(x)](0〜π) -∫(0〜π) g´(x)・f´´(x)
=[g(x)・f´´(x)](0〜π) -{[g´(x)・f´(x)](0〜π) -∫(0〜π) g´´(x)・f´(x) }
=[g(x)・f´´(x)](0〜π) -[g´(x)・f´(x)](0〜π) +∫(0〜π) g´´(x)・f´(x)

よって@より、
 ζ(3)=(1/π){[g(x)・f´´(x)](0〜π) -[g´(x)・f´(x)](0〜π) +∫(0〜π) g´´(x)・f´(x) }      ----C

となる。
 さて、g(x)=π^2/6-(x-π)^2/2 であるからg´´(x)は定数である。それをAとおくとg´´(x)=Aであるから、Cは
次のようになる。

 ζ(3)=(1/π){[g(x)・f´´(x)](0〜π) - [g´(x)・f´(x)](0〜π) + A∫(0〜π) f´(x) } 
つまり、
 ζ(3)=(1/π){[g(x)・f´´(x)](0〜π) - [g´(x)・f´(x)](0〜π) + A[f(x)](0〜π)  }     ----D
となった。
先に、
 f´´´(x)=log(2sin(x/2))
と仮定してここまできたが、もしf(x)が有限個数の初等関数の和からなる関数(以下これを”初等関数”と表現する)で
あるとすると、Dは計算できてしまい(なぜならf(x)のn回微分は明示的なものとなるから!)、ζ(3)は明示的な値として
求まることになる
(注意:「D右辺の各項の値が確定するのか?発散したりしないか?」との疑問を出されたら、それは確定するであろう。
 なぜならζ(3)は数値的に確定しているからである。ζ(3)=1.2020569032・・)

 次にζ(5)を見てみよう。Aを再掲する。
 ζ(5)=(1/(24π))∫(0〜π) {(x-π)^4-2π^2・(x-π)^2+7π^4/15}log(2sin(x/2)) dx      ----A

ζ(3)と同様に行う。右辺に着目して、
 g(x)=(x-π)^4-2π^2・(x-π)^2+7π^4/15
とおく。
 いま、5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数f(x)が存在したとする。
 f´´´´´(x)=log(2sin(x/2))
とできる。
 すると、Aは次のように書き換えられる。

 ζ(5)=(1/(24π))∫(0〜π) g(x)・f´´´´´(x) dx

そしてζ(3)と同様に部分積分を繰り返して、次を得る。

 ζ(5)=(1/(24π)){[g(x)・f´´´´(x)](0〜π) -[g´(x)・f´´´(x)](0〜π) 
                       + [g´´(x)・f´´(x)](0〜π) - [g´´´(x)・f´(x)](0〜π) +A[f(x)](0〜π) }     -----E

 ここで、Aは、A=g´´´´(x)の定数である。

もし5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在したら、Eよりζ(5)は明示的な値として求まってしまう
ことになる。

ζ(7)、ζ(9)、・・の場合も全く同様にできる。

log(2sin(x/2))はlog(2sin(x/2))=log2+log(sin(x/2)) であるので、上の議論からlog(2sin(x/2))の代わりにlog(sin(x/2))で
議論しても本質的に同じだが、ある理由もあってこのままでおいておく。

以上をまとめると、次のようになる。
[まとめ1]
3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)が明示的に求まる。
5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(5)が明示的に求まる。
7回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(7)が明示的に求まる。

 これを眺めていて、なにかに気づかないだろうか?
 じつは、5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、そのときは、ζ(5)のみならずζ(3)も明示的
に求まることがいえるのである。
 その理由を述べる。
 y´´´´´=log(2sin(x/2))  ---(A)
となる初等関数yがあったとしよう。
y´´=zとおくと、zは当然初等関数となる。(A)は z´´´=log(2sin(x/2))
と同じであり、これは3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在していることが言えていることになる!
つまりζ(3)が明示的に求まるのである。
以上。
 この理屈は、ζ(7)以上にも当然当てはまるので、7回微分してlog(sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、
ζ(3)、ζ(5)、ζ(7)が明示的に求まることになる。
よって、「まとめ1」は、次のように書き換えられる。

[まとめ2]
3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)が明示的に求まる。
5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)、ζ(5)が明示的に求まる。
7回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)、ζ(5)、ζ(7)が明示的に求まる。

 一般的に表現すれば、次のようになる。n>=1の整数。

(2n+1)回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)〜ζ(2n+1)が明示的に求まる。

ここで「(2n+1)回微分してlog(2(sin(x/2))となる初等関数が存在する」ことは、「ζ(3)〜ζ(2n+1)が明示的に求まる」
ことの十分条件となっていることに注意いただきたい。

さて、「3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)が明示的に求まる。」
をとり上げると、それは
 y´´´=log(2sin(x/2))
となるような初等関数yがあるか?
という問題と同じことだから、結局は微分方程式の問題であるともいえるが、それは後回しにして、次では「まとめ2」を
さらに考察したい。



2008/9/1           < 奇数ゼータの研究 その2>

上の「その1」の続き、奇数ゼータζ(2n+1)への問題を考察する。上では新しい観点から奇数ゼータを調べたが、
それをさらに一歩おし進めたい。そこでは log(2sin(x/2))を見たが、これに関しては、

 log(2sin(x/2))=-把osnx/n       (0 <x<2π)
すなわち、
 log(2sin(x/2))=-{(cosx)/1 + (cos2x)/2 + (cos3x)/3 + ・・・}     (0 <x<2π)     ------@

というオイラーの公式がある。ここではこれを使う。「その1」の結果を再掲しよう。

[まとめ2]
3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)が明示的に求まる。
5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)、ζ(5)が明示的に求まる。
7回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、ζ(3)、ζ(5)、ζ(7)が明示的に求まる。

まず「3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、・・」の問題を考える。
この問題は、
 y´´´=log(2sin(x/2))                   ----A-1
と、@のオイラーの公式から
y´´´=-{(cosx)/1 + (cos2x)/2 + (cos3x)/3 + ・・・}      ----A-2
のようなyが存在するのか?という問題になる。両辺を3回積分(不定)すると、次のようになる。

y={(sinx)/1^4 + (sin2x)/2^4 + (sin3x)/3^4 + ・・・} +C1・x^2 + C2・x + C3      ----B

となる。C1, C2, C3は定数。
これは3回微分したらA-2すなわちA-1のlog(2sin(x/2))になるものであることに注目していただきたい!
右辺の
 (sinx)/1^4 + (sin2x)/2^4 + (sin3x)/3^4 + ・・・     ----C
の部分がもし初等関数で表されたら、Bのyは初等関数となり、それは「3回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等
関数が存在した!」ということになって、ζ(3)は明示的に求まるということになる。

 はたしてCを与える初等関数はあるのだろうか?
Cはフーリエ級数の形をしている。そこで、
 初等関数=(sinx)/1^4 + (sin2x)/2^4 + (sin3x)/3^4 + ・・・

の形のものが公式集に載っていないか?といくら探してもないのである。
これは偶然ないのではなく、本質的な困難から書かれていないものである

さらにζ(5)の問題「5回微分してlog(2sin(x/2))になるような初等関数が存在すれば、・・」の問題も同様に
考察できる。それも結局、
y=-{(sinx)/1^6 + (sin2x)/2^6 + (sin3x)/3^6 + ・・・}+C1・x^4 + C2・x^3 + C3・x^2 + C4・x +C5    ---D
という式が導出できて、
 (sinx)/1^6 + (sin2x)/2^6 + (sin3x)/3^6 + ・・・
が初等関数で表されるか?という問題に帰着される。
 しかし、これも公式集にない
以下、ζ(7)、ζ(9)、・・も同様にない

ここでわかったことは、奇数ゼータζ(2n+1)の問題は
(sinx)/1^m + (sin2x)/2^m + (sin3x)/3^m + ・・・       ----E
mが偶数の場合、すなわち、
(sinx)/1^4 + (sin2x)/2^4 + (sin3x)/3^4 + ・・・
(sinx)/1^6 + (sin2x)/2^6 + (sin3x)/3^6 + ・・・
(sinx)/1^8 + (sin2x)/2^8 + (sin3x)/3^8 + ・・・
   ・
   ・
が、これらだけを避けるようにして公式集(フーリエ級数の箇所)に載っていないことと密接に関係しているということ
である。なお、m=2の場合だけ、公式集にあるにはあるが
 (sinx)/1^2 + (sin2x)/2^2 + (sin3x)/3^2 + ・・・=-xlog2-∫(0〜x) log(sin(t/2))dt     ----F
と明示的ではない!醜いものである。

 ちなみに、Eのmが奇数の場合はきちんと載っていて次のものとなる。
(x-π)/2=(sinx)/1 + (sin2x)/2 + (sin3x)/3 + ・・・                     (0<x<2π)
{π^3-π^2・x+(x-π)^3}/12=(sinx)/1^3 + (sin2x)/2^3 + (sin3x)/3^3 + ・・・     (0<=x<=2π)
x{8π^4-20π^2・x^2+15πx^3-3x^4}/720=(sinx)/1^5 + (sin2x)/2^5 + (sin3x)/3^5 + ・・・     (0<=x<=2π)
   ・
   ・

以上より、
 (sinx)/1^m + (sin2x)/2^m + (sin3x)/3^m + ・・・      ----E
が公式集にある・ないということと、ζ(n)の明示・非明示との間には密接な関係があることがわかった(おそらく同値)。

 なお、Fの式に関して、公式集の「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)p.72に、
「右端に♯をつけた級数の和は(杉岡注:Fのこと)、初等関数では表されない。」と記されている。




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