木星 その1

 「火星」の予想L-1とはまた別の規則性を発見しました。
それは統一的法則性のn回積分(微分)のnと、実2次体,虚2次体がきれいな関係性で結ばれているという興味深い
現象です。


2004/6/26             <まず火星の復習から>

 新しく見出した現象を述べる前に、まず大きな流れをはっきりさせるため、「火星」の復習をしてみます。

 私は、「火星」の後半で次の現象(予想L-1)を見出し、それを具体的に検証していったのでした。
そして、多くの「qπ/k代入」でたしかめましたが(下の表B)、それら全てで成り立っていることを確認したのでした。
 もちろん任意のqπ/k代入で成立するということを証明をしたわけではありませんが、表Bの結果から予想L-1は
正しいと思われます。(厳密な証明は、いつか誰かが成し遂げてくれることでしょう)。

 予想L-1の本質は、解析的な k という量と、代数的な N という量が
       N=2k
 という関係で繋がっていると主張するものです。

 この左辺の導手Nは2次体という代数の世界に属します。一方は下の予想中の@式(フーリエ展開式)
の微積分に関わる解析の世界に関するものです(kは、qπ/kのkです)。
この二つが結びつくという不思議なことを語っているのでした。
(ラングランズ哲学や谷山・志村予想と同じような状況が出現しているといえるかもしれません。)

[私の予想L-1]
  mが4n+2 または 4n+3の整数のとき、k=2|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを適当に足したり引いたりするだけで上の条件を満たすL(χ,s)を構成できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとq は互いに素。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                             (0 <|x|< 2π)


 上の予想を具体的に検証していったものが、次の表Bです。
L(χ,s)本体が露に出現する場合を◎で、分身を経由して出現する場合を○で表現しています。
◎、○どちらでも”予想が成り立っている”ことを意味します。(予想が破綻した場合は×を挿入するつもりです。)

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
LI(s)
LJ(s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
本体->◎
分身->○
代入した
qπ/k
π/20 π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12 π/14 π/20


注意1:青字は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。
注意2:「火星 その8」の表Aに関しては、規則性が見出せないので(現時点では)ちょっと置いておきます。

 上をもう少し別視点からながめてみると、いまさらながら思うのは、

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

という式の凄さです。
 これが、L(χ,s)を経由して、2次体にまで繋がっているのですから、中心に位置しているといってもよいでしょう。
 物理でいえば、原子核にあたる、とてつもないエネルギーを宿した式といえます。
 原子核に触媒的な作用を及ぼすと、原子核分裂を起こし、たいへんなエネルギーを放出することはご承知の通りです。
 @という単純は式に、微分-積分という作用素を作用させると、色とりどりのL(χ,s)特殊値を放散していくのですから
@は原子核といえます。

 もっと極端に表現すれば、@は、cox/sinxのフーリエ展開となっているわけですから、すべてはcox/sinxから
出発している。これは、coxとsinxから(円から!)数学のありとあらゆる神秘が生み出される、ということを意味して
いるのかもしれません。

 さらに、上のこととは別の新しい現象を発見しました。
それは@式に関係しており、予想L-1に信頼度をあたえるような現象なのですが、次で述べます。




2004/6/26   <n回積分(微分)のnと、実2次体・虚2次体との関係性の発見>

 興味深い規則性を見出しました。
 それは統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)のn回積分(微分)のnと、実2次体,虚2次体がきれいな関係
で結ばれているという面白い現象です。
 火星でやった様々な「qπ/k代入の結果」をながめていて気付いたのですが、なんと、次のようになっているよう
なのです。

 奇数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する
 偶数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する

上の火星の表Bでのすべての結果で調べましたが、こんなふうになっているのです。
これは、まさに驚くべき規則性です!
 これを、「偶奇性の規則」と名付けることにしましょう。

 例えば、例をあげますと、「火星 その4」で@式 
 cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
を重回積分-重回微分した結果に、3π/4を代入した結果を示しましたが、それは次のようなものでした。

[3π/4代入の式]
  ・
  ・
4回微分
   2^4・L2(-4)/√2 - 4^4・L(-4)
           ={2sin(3π/4)・sin(3π/8) + 4(2+cos(3π/4))cos(3π/8)}/{sin(3π/8)}^5
    L2(-4) = 57、L(-4)=5/2より、式は成立(計算は略)。

3回微分
  -2^3・L1(-3)/√2 - 8^3・(1-2^4)・ζ(-3)=(2+cos(3π/4))/{sin(3π/8)}^4
    L1(-3) = 11、ζ(-3)=1/120より、式は成立。

2回微分
  -2^2・L2(-2)/√2 + 4^2・L(-2)=cos(3π/8)/{sin(3π/8)}^3
    L2(-2) = -3、L(-2)=-1/2より、式は成立。

1回微分
  -2√2・L1(-1) + 48・ζ(-1)=-1/{sin(3π/8)}^2
    L1(-1) = -1、ζ(-1)=-1/12より、式は成立。

0回積分
 2{1/√2・L2(0) - 1/2^0・L(0)}=cos(3π/8)/sin(3π/8)
   L2(0) = 1、L(0) = 1/2より、式は成立。

1回積分
  L1(1)/√2 + 1/4・log2=log{2sin(3π/8)}
     L1(1) = log(√2+1)/√2より、式は成立。

2回積分
  -L2(2)/√2 + L(2)/2^2=∫(0〜3π/4) log(2sin(x/2))

3回積分
  -L1(3)/√2 - (1-1/2^2)ζ(3)/4^3- ζ(3) =∫(0〜3π/4)∫log(2sin(x/2))

4回積分
  L2(4)/√2 - L(4)/2^4- ζ(3)・(3π/4)=∫(0〜3π/4)∫∫log(2sin(x/2))

5回積分
  L1(5)/√2 + (1-1/2^4)ζ(5)/4^5 + ζ(5) - ζ(3)・(3π/4)^2/2!
                                    =∫(0〜3π/4)∫∫∫log(2sin(x/2))

6回積分
  -L2(6)/√2 + L(6)/2^6 + ζ(5)・(3π/4) - ζ(3)・(3π/4)^3/3!
                                     =∫(0〜3π/4)∫∫∫∫log(2sin(x/2))

7回積分
  -L1(7)/√2 - (1-1/2^6)ζ(7)/4^7
               - ζ(7) + ζ(5)・(3π/4)^2/2! - ζ(3)・(3π/4)^4/4!
                                      =∫(0〜3π/4)∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))

8回積分
  L2(8)/√2 - L(8)/2^8
            - ζ(7)・(3π/4) + ζ(5)・(3π/4)^3/3! - ζ(3)・(3π/4)^5/5!
                                       =∫(0〜3π/4)∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
と、ζ(2n+1)とL1(2n+1)とL2(2n)とL(2n)が現れる式が並びます。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜3π/4の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

L1(s)とL2(s)が、奇数回積分(微分)と偶数回積分(微分)のところに交互に並んでいます。

この「3π/4代入」の場合は、k=4ですから、導手N=8の実2次体Q(√2)と虚2次体Q(√-2)という二つの2次体
に対応するL(χ,s)特殊値が出現することになります。Q(√2)に対応するL(χ,s)はL1(s)であり、Q(√-2)に対応する
L(χ,s)はL2(s)ですが、それらが二つとも現れています。予想L-1の通り。
(L1(s),L2(s)の定義等については、「火星 その4」の「3π/4代入」をご覧ください。)

 さて指摘した規則性、つまり、
 奇数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する
 偶数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する

が本当に成り立っているでしょうか?

上の結果をよく見てください。
 数回の微分・積分の所に--->2次体Q(√2)のL1(s)が出現
 数回の微分・積分の所に--->2次体Q(√-2)のL2(s)が出現

となっていますね。きちんと、成り立っています!
(π/4、5π/4代入の場合ももちろん成り立っている。-->「火星」のπ/4代入5π/4代入を参照)

 これが、「火星」の表Bでたしかめた全てのqπ/k代入の結果で成り立っているというのですから、驚きでしょう。
全ての結果で成り立っていることを次で確認しておきましょう。




2004/6/27   <規則性が、表Bでの全ての結果で成り立っていることの確認>

 一つ上で「偶奇性の規則」を書きます。
「偶奇性の規則」
 奇数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する
 偶数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する


 さて、これが、3π/4代入(π/4、5π/4代入)以外でも成り立っていることを確認したいわけですが、確認に便利な
冒頭の表Bをもう一度書いておきます。
表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
LI(s)
LJ(s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
本体->◎
分身->○
代入した
qπ/k
π/20 π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12 π/14 π/20

注意1:青字は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。

 この表Bの一番下の「代入したqπ/k」行(欄)を見ながら、確認していきましょう。
「火星」から、2回積分、3回積分の結果だけを抜き出しました(確認するにはこれで十分)。

[偶奇性の規則の確認]
π/2の場合 (3π/2代入でも同じ)
 この場合の2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その1」のπ/2代入より抜粋)
(3π/2代入は、「火星 その6」の3π/2代入参照)
[π/2代入の式]
2回積分
  -L(2) =∫(0〜π/2) log(2sin(x/2))

3回積分
  -(1-1/2^2)/2^3・ζ(3) - ζ(3) =∫(0〜π/2)∫log(2sin(x/2))

 上を見てください。
数回の積分のところに、2次体Q(√-1)に対応するL(s)の特殊値L(2)が出現しています。
 よって、規則性は成立しています。

π/4、3π/4、5π/4代入の場合
 一つ上で確認した通り、規則性は成立しています。

π/6代入の場合
 2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その6」のπ/6代入より抜粋)
[π/6代入の式]
2回積分
  -√3/2・(1+1/2)LA(2)/2^2 - 1/2・(1+1/3)L(2) =∫(0〜π/6) log(2sin(x/2))

3回積分
  √3/2・LB(3) + (1-1/2^2)(1-1/3^2)ζ(3)/2^4 - ζ(3) =∫(0〜π/6)∫log(2sin(x/2))

 奇数回の積分のところに、2次体Q(√3)に対応するLB(s)の特殊値LB(3)が出現しています。
(表B中の青字のL(χ,s)が、Q(√m)に対応しているので、それに注目していってください)
よって、規則性は成立しています。

π/10代入の場合
 この場合の2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その8」のπ/10代入より抜粋)
[π/10代入の式]
2回積分
  -{A・{LC(2) + LD(2)}/2
    + B・(1/2^2 + 1/8^2 - 1/12^2 - 1/18^2 + 1/22^2 + 1/28^2 - 1/32^2 - 1/38^2 +・・・)
    + C・{LC(2) - LD(2)}/2
    + D・(1/4^2 + 1/6^2 - 1/14^2 - 1/16^2 + 1/24^2 + 1/26^2 - 1/34^2 - 1/36^2 +・・・)}
                                                  =(0〜π/10) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1 - 1/9^3 - 1/11^3 + 1/19^3 + 1/21^3 - 1/29^3 - 1/31^3 + 1/39^3 +・・・)
  + M・(1/2^3 - 1/8^3 - 1/12^3 + 1/18^3 + 1/22^3 - 1/28^3 - 1/32^3 + 1/38^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/7^3 - 1/13^3 + 1/17^3 + 1/23^3 - 1/27^3 - 1/33^3 + 1/37^3 +・・・)
  + P・(1/4^3 - 1/6^3 - 1/14^3 + 1/16^3 + 1/24^3 - 1/26^3 - 1/34^3 + 1/36^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/10^3 -ζ(3)
                                                 =(0〜π/10)∫log(2sin(x/2))

  数回の積分のところに、2次体Q(√-5)に対応するLC(s)の特殊値LC(2)が出現しています。
 規則性は成立しています。

π/12代入の場合
 2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その8」のπ/12代入より抜粋)
[π/12代入の式]
2回積分
    -{A・{LE(2) + LF(2)}/2 + B・1/2^2・LB(2) + C・1/3^2・L2(2)
        + D・1/4^2・(1+1/2)LA(2) + E・{LE(2) - LF(2)}/2 + 1/6^2・L(2)}
                                       =(0〜π/12) log(2sin(x/2))

3回積分
    L・{LG(3) + LH(3)}/2 + M・1/2^3・LB(3) + N・1/3^3・L1(3)
      + P・1/4^3・(1 - 1/2^3 - 1/4^3 + 1/5^3 + 1/7^3 - 1/8^3 - 1/10^3 + 1/11^3 +・・・)
      + W・{LG(3) - LH(3)}/2 - (1-1/2^2)ζ(3)/12^3 -ζ(3)
                                       =(0〜π/12)∫log(2sin(x/2))
  
 数回の積分のところに2次体Q(√6)に対応するLG(s)の特殊値LG(3)が数回の積分のところに2次体
Q(√-6)に対応するLE(s)の特殊値LE(2)が出現しています。規則性は成立しています。

π/14代入の場合
 2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その9」のπ/14代入より抜粋)
[π/14代入の式]
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/13^2 - 1/15^2 - 1/27^2 + 1/29^2 + 1/41^2 - 1/43^2 - 1/55^2 +・・・)
    + B・1/2^2・(1 + 1/6^2 - 1/8^2 - 1/13^2 + 1/15^2 + 1/20^2 - 1/22^2 - 1/27^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/11^2 - 1/17^2 - 1/25^2 + 1/31^2 + 1/39^2 - 1/45^2 - 1/53^2 +・・・)
    + D・1/2^2・(1/2^2 + 1/5^2 - 1/9^2 - 1/12^2 + 1/16^2 + 1/19^2 - 1/23^2 - 1/26^2 +・・・)
    + E・(1/5^2 + 1/9^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/33^2 + 1/37^2 - 1/47^2 - 1/51^2 +・・・)
    + F・1/2^2・(1/3^2 + 1/4^2 - 1/10^2 - 1/11^2 + 1/17^2 + 1/18^2 - 1/24^2 - 1/25^2 +・・・)}
                                    + 1/7^2・L(2) =(0〜π/14) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1/1^3 - 1/13^3 - 1/15^3 + 1/27^3 + 1/29^3 - 1/41^3 - 1/43^3 + 1/55^3 +・・・)
  + M・1/2^3・(1/1^3 - 1/6^3 - 1/8^3 + 1/13^3 + 1/15^3 - 1/20^3 - 1/22^3 + 1/27^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/11^3 - 1/17^3 + 1/25^3 + 1/31^3 - 1/39^3 - 1/45^3 + 1/53^3 +・・・)
  + P・1/2^3・(1/2^3 - 1/5^3 - 1/9^3 + 1/12^3 + 1/16^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/26^3 +・・・)
  + Q・(1/5^3 - 1/9^3 - 1/19^3 + 1/23^3 + 1/33^3 - 1/37^3 - 1/47^3 + 1/51^3 +・・・)
  + R・1/2^3・(1/3^3 - 1/4^3 - 1/10^3 + 1/11^3 + 1/17^3 - 1/18^3 - 1/24^3 + 1/25^3 +・・・)
                        - (1-1/2^2)ζ(3)/14^3 -ζ(3) =(0〜π/14)∫log(2sin(x/2))

 これは「火星 その9」のπ/14代入で考察した通り、分身の姿で現れています。
数回の積分のところに、2次体Q(√7)に対応するLJ(s)の特殊値LJ(3)が出現している。
詳しくは、π/14代入を見て下さい。 ここでも規則性は成立しています。

π/20代入の場合
 2回積分、3回積分の結果は、次のようになります。(「火星 その9」のπ/20代入より抜粋)
[π/20代入の式]
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/19^2 - 1/21^2 - 1/39^2 + 1/41^2 + 1/59^2 - 1/61^2 - 1/79^2 +・・・)
    + B・1/2^2・(1 + 1/9^2 - 1/11^2 - 1/19^2 + 1/21^2 + 1/29^2 - 1/31^2 - 1/39^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/17^2 - 1/23^2 - 1/37^2 + 1/43^2 + 1/57^2 - 1/63^2 - 1/77^2 +・・・)
    + D・1/4^2・(1/1^2 + 1/4^2 - 1/6^2 - 1/9^2 + 1/11^2 + 1/14^2 - 1/16^2 - 1/19^2 +・・・)
    + E・1/5^2・(1/1^2 + 1/3^2 - 1/5^2 - 1/7^2 + 1/9^2 + 1/11^2 - 1/13^2 - 1/15^2 +・・・)
    + F・1/2^2・(1/3^2 + 1/7^2 - 1/13^2 - 1/17^2 + 1/23^2 + 1/27^2 - 1/33^2 - 1/37^2 +・・・)
    + G・(1/7^2 + 1/13^2 - 1/27^2 - 1/33^2 + 1/47^2 + 1/53^2 - 1/67^2 - 1/73^2 +・・・)
    + H・1/4^2・(1/2^2 + 1/3^2 - 1/7^2 - 1/8^2 + 1/12^2 + 1/13^2 - 1/17^2 - 1/18^2 +・・・)
    + I・(1/9^2 + 1/11^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/49^2 + 1/51^2 - 1/69^2 - 1/71^2 +・・・
                                    + 1/10^2・L(2) }=(0〜π/20) log(2sin(x/2))

3回積分
   L・(1/1^3 - 1/19^3 - 1/21^3 + 1/39^3 + 1/41^3 - 1/59^3 - 1/61^3 + 1/79^3 +・・・)
   + M・1/2^3・(1/1^3 - 1/9^3 - 1/11^3 + 1/19^3 + 1/21^3 - 1/29^3 - 1/31^3 + 1/39^3 +・・・)
    + N・(1/3^3 - 1/17^3 - 1/23^3 + 1/37^3 + 1/43^3 - 1/57^3 - 1/63^3 + 1/77^3 +・・・)
   + P・1/4^3・(1/1^3 - 1/4^3 - 1/6^3 + 1/9^3 + 1/11^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/19^3 +・・・)
   + Q・1/5^3(1/1^3 - 1/3^3 - 1/5^3 + 1/7^3 + 1/9^3 - 1/11^3 - 1/13^3 + 1/15^3 +・・・)
   + R・1/2^3・(1/3^3 - 1/7^3 - 1/13^3 + 1/17^3 + 1/23^3 - 1/27^3 - 1/33^3 + 1/37^3 +・・・)
   + S・(1/7^3 - 1/13^3 - 1/27^3 + 1/33^3 + 1/47^3 - 1/53^3 - 1/67^3 + 1/73^3 +・・・)
   + T・1/4^3・(1/2^3 - 1/3^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/17^3 + 1/18^3 +・・・)
   + U・(1/9^3 - 1/11^3 - 1/29^3 + 1/31^3 + 1/49^3 - 1/51^3 - 1/69^3 + 1/71^3 +・・・)
                        - (1-1/2^2)ζ(3)/20^3 -ζ(3) =(0〜π/20)∫log(2sin(x/2))

  「火星 その9」のπ/20代入で見た通り、ここでも分身の姿で出現しています。
数回の積分のところに、2次体Q(√10)に対応するLk4(s)の特殊値Lk4(3)が、また数回の積分のところに
2次体Q(√-10)に対応するLk1(s)の特殊値Lk1(2)が現れているのですが、詳しくはπ/20代入を見て下さい。
規則性は成立しています。

規則性の確認終わり。

 以上より、表Bでやった全てのqπ/k代入において、この「偶奇性の規則」が成立していることがわかりました。
もう一度書きます。
[偶奇性の規則]
 奇数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する
 偶数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する


 もちろん、任意のqπ/k代入(k, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとqは互いに素)での成立をいうため
には厳密な証明が必要になりますが、現時点では私にはわかりません。
いつか読者により証明されることを期待します。

 しかし、これだけ多くの事例で成り立っていることと、またゼータ関数の調和と秩序を好む性質から、
  この規則性は正しいであろう
と思います。

 それにしても、単純で美しい規則性ではありませんか!

 規則性の左側は解析の世界に属することです。右側は代数の世界に属します。
遠く離れた島どうしに橋がかかってしまっているのです。ここでも、冒頭での予想L-1と同じような現象が出現
している。うーんとうなってしまいますが。

 こんな規則が出てきたおかげで、予想L-1はまず正しいであろう、と思えてきました。
予想L-1とこの規則性(厳密にはこれも予想)はペアでどこまでも成り立っている、と考えられるからです。

 今回の結果を、表Bの一番下の行に付け加えましょう。
虚2次体と実2次体で、左右にきれいに偶と奇が分かれました。

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
LI(s)
LJ(s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
本体->◎
分身->○
代入した
qπ/k
π/20 π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12 π/14 π/20
n回積分

n->偶数
 or
n->奇数

注意1:青字は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。
注意2:一番下の行の「偶,奇」は、Q(√m)に対応するL(χ,s)特殊値が偶数回の積分(微分)の所に現れた場合に「偶」、
 奇数回の積分(微分)の所に現れた場合に「奇」と記しています。

以上より、予想L-1はこの規則を組み込むことで拡張(バージョンアップ?)できることにもなりました。
「その2」で行いたいと思います。




追加2004/7/6    <「偶奇性の規則」は、さらに勢力範囲を伸ばす>

 ちょっと気付いたことを付け足します。
これまでは、予想L−1に関する場合を調べてきました。
 表Bは、mが4n+2 または 4n+3の整数とき(ただしmは平方数でない)の2次体Q(√m)に関係する結果である
ことを再度確認してください。
 「火星 その8」で見た表Aに関しては、いまだ規則性がみつかっていません。mが4n+1の整数ときのQ(√m)に
関しては、法則性・規則性はまるでわからないという状況なのです。

 しかし、上で発見した「偶奇性の規則」は、表Aで唯一明確にわかっているQ(√-3)の場合(LA(s)出現)においても
成り立っていることがわかります。
 2次体Q(√-3)に対応するLA(s)は、「偶奇性の規則」の主張する通り、数回の積分(微分)のところに出ている
のです!下の通りですね。
[偶奇性の規則]
 奇数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する
 偶数回の微分・積分の所に----->2次体に関するL(χ,s)の特殊値が出現する


 「偶奇性の規則」は、表Bに止まらず、表Aの方まで勢力範囲を伸ばしているといえるでしょう。

 ただし、表Aに関してはまだわからないことだらけですので、今回のこの指摘は部分的なことではあります。
一寸面白いかと思い、紹介しました。







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