歩いて元気に
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−運動するには,その処方−

運動のやり方のお話.ただし,通院中とか,なにか疾患をお持ちの方は,まずお医者さんにご相談.ここでは,一般的な健康維持・健康づくりのための「運動処方」のお話をいたします.

運動の..処方?

 運動にも「処方」があるって知ってる? 知らないよねぇ.
 ほら,風邪とかひくと薬もらうでしょ.たとえば,「粉の方は1日3回毎食後,錠剤は痛むときだけ1錠飲んでくださいね」なんて...つまり,なにを,いつ,どれだけ,どういう間隔で,なんて薬の飲み方が決められてるわけ.これは,危険を最小限にとどめ,しかも最大の効果を出そうなんて考えて,あなたの状態(症状)に合わせて出された投薬「処方」.
 運動も同じなんだ.ただ闇雲に1日1万歩歩けばいいんでしょ,なんてことはない.体調に合わせて休んだ方がいい日もあるし,同じ歩くなら,さっさと歩く方が,健康づくりという意味では効果的.
 じゃあ,実際,どんなことを決めるのか?
 堅苦しく言えば,個々の人に適度な運動の「質」と「量」を決定すること,なんてなるかな.つまり,前もって健康状態や体力をチェックし,運動の種類(種目),強さ継続時間頻度時間帯なんかを決めようってわけ.

はじめる前にメディカルチェック(医学的検査)

 冒頭にも書いたけれど,特に循環器疾患(心臓病)のある方,運動は要注意だよ.それに高血圧,糖尿病,肥満,脂肪肝なんて言われた方,運動の前にお医者さんに相談してね.病院が嫌だって人,最近は保健所や保健センターなんかでも相談できるようだよ.
 ちなみに,運動やっちゃダメって人.高血圧で180/100mmHg以上血圧が高い人,糖尿病で空腹時の血糖値が250mg/dl以上ある人,肥満で BMI(Body Mass Index:体重(kg)/{(身長(m)×身長(m))}) が30以上の人,脂肪肝でγ−GPT が 60IU/l かつ GOT,GPT が 100IU/l以上の人,腰痛症の急性期や急性憎悪期,神経学的異常のある人,変形性関節症で関節に急性の炎症があるとか,強い痛みがある場合(日本医師会編:運動療法処方せん作成マニュアル).こんな人は,ほんと自己判断せずに,お医者さんに相談だよ...なんていったってわかんないよねぇ.人間ドックとか健康診断受けた時の,血液検査の結果票,持ってないかなぁ.持ってたら一度見てみてね.GOT や GPT の「IU」っていうの,ひょっとしたら「国際単位」とか「単位」って書いてあるかもしれないね.
 いままで狭心症,心筋梗塞,弁膜症,心筋症などの病気にかかったことがなく,胸の不快感や普通でない息切れ(どんなんだ?(笑)),失神の前兆みたいな症状がなければ,男性なら40歳,女性なら50歳未満だったら,まず問題なし! そうじゃなかったら,普通,検診でやる心電図検査くらいやってもらってうといいかな.「心筋虚血」といって,まぁ,狭心症の前触れみたいなものがなければいいかもね.本格的にチェックすると,「負荷心電図検査」といって,階段(マスターステップ)の上り下り,踏み台昇降運動や,ルームウォーカーみたいな機械(トレッドミル)の上を歩いたりとか,あるいは自転車(エルゴメータ)をこいだ後の心電図を計る検査をして,循環器系(心臓)に異常がないかどうかを確認する,ってことになるんだけどね.人間ドックとかでは大抵やる項目でね,私は毎年やってますよ.

運動の種類

 散歩,ジョギング,テニス,ゴルフ,ボウリング,野球,サッカー...運動の種目って,いろいろあるよね.こんな中で何が健康づくりにいいと思いますか?
 例えば糖尿病なんかを例にとると,全身の筋肉をリズミカルに使って運動でき,強さの調節が簡単.ちょっときつくするのもムリなくでき,間歇的に繰り返してできる.しかも,ずっと長く続けられて,いつでも,どこでも,楽しく,一人でもできる.そんな種目が一番好ましいとか...
 だから具体的になんなんだよぅって? ウォーキング! ウォーキングですよ.
 まぁ単純な分つまらないかもしれないけれど,周りの景色を楽しみながら歩いていると,季節の移ろいも感じられて,なかなかいいもんだよ.おまけに,ご近所づきあいまでよくなったりね,「こんにちはー,今日もお元気そうで」なんて,あいさつ交わしてさ.
 ただし,あんまり太ってる人(上に書いた肥満の人ね)が,急にいっぱい歩くのは要注意! 腰,膝,傷めることもあるかもよ.たかがウォーキング,されどウォーキング.そんな方には,足腰に負担の少ない水中ウォーキングや自転車がお勧めだよ.

運動の強さ(運動強度)

 また聞きなれない言葉かな? でもね,この「強さ」が処方にとっては重要なファクタなんだ.ここをうまく決めないと,効果が得られないばかりか,危険もともなう
 この強さの単位に「絶対強度」っていうのと「相対強度」っていうのがあるんだが,それがまたまた難しい...う〜〜聞きたくない〜って? まぁ,ちょっと辛抱してよ.

絶対強度

 絶対強度っていうのは,強さを絶対的な数字で決めちゃうこと.例えば歩くスピード「1分あたり100m の速さで」とかね.こういう言い方でいうと,健康づくりに理想的なスピードは,分速80〜90m ってところだよ.結構,早歩きだよね.
 あとね,消費エネルギーで何カロリー(kcal)とかいう場合もあるよ.この場合,強さっていうより,その強さで何分か運動してトータルで,消費何カロリー(強度と時間の掛け算)なんて,運動の「量」としてみることが多い.カロリーでみると,食事との関係,わかりやすいよねぇ.前に「運動すると長生きできるの?」で,1日300kcalなんて話をしたんだけれど,これ,ごはんにするとどれくらいか知ってる? なんと小茶碗1杯半.ビール大ビン1本ちょっと.消費するのはすごく苦労がいるというのに,食べる方はこんなもの...じゃあ,それ止めればいいんだろって...そういうわけにはいかないんだなぁ.

相対強度

 また相対強度っていうのは,その人の体力とか運動能力,あるいは病状なんかに合わせて,たとえば,心拍数で設定する方法があるよ.
 「50% 強度の運動」なんてのがある.なんだ,それ? 半分の強さ? 何の半分? って感じだよね.これを心拍数で表してみると...
 まず,(220−年齢)をあなたの心臓が拍動できる最大限界の心拍数とみなします.そして,そこから安静時の心拍数(落ち着いて脈を計ってみてね)を引く.これがあなたの心臓の予備能力(予測最大心拍予備能).その50% の強度ってこと.
 つまり(予測最大心拍予備能×運動強度+安静時心拍数)が,目標とする強度の運動時の目標心拍数ってことだ.
 たとえば40歳の人で安静時の心拍数が60とすると,
 {(220-40)−60}×0.5+60=120
 1分当り120拍打つくらいの強さ,なんてやり方.だんだん運動に慣れてきたら,今度は,これを60% にしましょうね,みたいな形で増やしていくんだよ.
 脈計るのも面倒くさいやってあなた.歩数計もってないかなぁ.大雑把だけど,その1割増から始めるってのも手だよ.それを2〜3週間やって,だんだん増やしていくみたいな感じかな.
 それからもっと簡単に,自分の感覚で,「楽である」とか「ややきつい」とかいう決め方(自覚的運動強度)もある.「いつまでも続く,充実感があり,汗が出る」程度,なんてのが健康づくりにはいい強度だよ.

運動する時間と時間帯

 上でも言ったけど,運動を継続する時間は,運動の強さと掛け合わせて,「運動量」として決定するんだ.最初は10〜20分くらいからだね.で,慣れてきたらだんだん増やしていく.
 時間帯は,いろいろ条件を加味しないといけないな.このことは,もう1つのサブ・コンテンツ「生体リズムと健康法」にも書く予定なんだけど,たとえば高血圧の人.脳卒中の発作は一般的に早朝や夕刻に多い.だから,そういう時間は避けた方がいいよね.それに冬の朝は寒いから,血圧自然と上がる.さらに運動することで血圧上がるから,やっぱり避けた方がいい.糖尿病なんかは,空腹時の低血糖もあるし,食後の血糖上昇を抑える意味でも,食直後は消化吸収の妨げになるけど,それをすぎた食後がいい,なんてね.

運動の頻度

 運動の効果は積み重ねなんだ.無理のない強度で毎日がいいけど,そうもいかない.最低週2回,3〜4日おきにはしたいよね.逆にあまりやりすぎると,今度は疲労溜まっちゃう.溜まっちゃったら休憩,絶対ムリしちゃダメだよ.
季節もよくなって,外でルンルン,歩きたい気分♪
「ハスキー」さんや「海苔っ子」さん,ウォーキング愛好家も増えてきたみたいだから,ちょっと「運動処方」なんて書いてみました.せっかく歩くのならムリなく効果的にってことで,ちょっと難しいかもしれないけれど,ご参考まででした〜m(__)m.


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