りゅ ー く ん が  ア メ リ カ か ら やっ て 来 ま し た
センセー だいすき!
                 
              2008/12/9 new
 
                                              


チホちゃんからのお手紙

 
  チホちゃんは4才です。106急行バスに乗ってやってきます。
30分以上かかるところからやってくるのです。
  はじめてクリニックにいらしたのは1才2か月の時でした。
「38、5℃から39、2℃が夕べから続いています」と御両親にだっこされて
いらしたのでした。 尿検査は幸い異常なし。呼吸音も良好。熱の割には
機嫌も良好。「あと1日2日がんばりましょう。」と言いました。
二日ほど高熱が続いてその後下がり始め、かすかに発疹が認められました。
「突発性発疹症のようです」と伝えました。でも翌日もいらっしゃいました。
「どんどん発疹がひどくなります。どんどん悪くなっていきます」と両親は不安が
いっぱいの様子です。「大丈夫ですよ。早く発疹が消える人もありますし、一週
間も消えない人もいるのですよ。病名は突発性発疹症で、新しい病気が
始まったのではありません。」と言いました。 その日から4〜5日で軟らか
だったウンチも普通に戻り、発疹も消えてピンクの美しい肌に戻りました。
こうしてひとつ病気が終わり免疫がつくのです。

 その後3〜4ヶ月に1回という感じでいらしています。特に気候の変わり目には
お咳やゼーゼーがあってやってきます。


 ある土曜日の午後、盛岡行きのバス停でばったりチホちゃんと逢いました。
「あ、うちだ病院のセンセーだ。うれしいなー。」
「どうして今日はピンクのお洋服じゃないの?ピンクが良いのに!」
そう、ユニホームがピンクで、今日はブルーと白の洋服でした。
「病院のセンセーといっしょ。うれしいなー。」と私にくっついて乗りました。
すぐ後ろの席に座って、ときどき私の洋服の袖に触っていました。
途中チホちゃんとお母さんが降りる時が来ました。チホちゃんは後ろを振り
向いて言いました。
「ワタシのことを忘れないでね! ワタシも忘れないから」まるで外国へ行くよう
な別れ方です。そしてさらに言いました。
「アクシュ、アクシュ!」私も手を出しました。熱い握手です!
運転手さんは数秒待ってくれました。
  おもいがけない幸せな時間でした。

翌週も、チホちゃんはお熱を出して、クリニックにやってきました。
チホちゃんと私のバスでの会話は、お母さんは知らないらしいのでした。