鋼鉄の固まりに乗り込んで思うようになったことは、いつか逢えるだろうかと言うことだ。
コバルトブルーの空はあまりにも現状にそぐわず、日の光は手を伸ばすのにも戸惑わせるほど強く地を照らしていた。
オレ達の所に、依頼があったのはもう数ヶ月前のことだ。
指定場所にたどり着き、いざこざはあったものの彼女は無事オレ達の所へと到着した。
記憶にある表情と随分違う顔つき。
笑って泣いて怒って喜んで、そう喜怒哀楽が激しく表情がくるくると変わっていたはずなのに、今の彼女はどこか思い詰めたような表情で常に一点を見つめている様に思えた。
「久しぶりだな」
と声をかければ
「久しぶり」
と淡々とした表情と声で返してくる。
「昔と違うな」
「誰だって昔とは違うでしょう?成長したって言って」
「成長……ね」
昔と変わった気がしないオレは彼女の言い分からしたら、成長していないのと同じなのだろうか。
一応、それなりの人生経験は積んだはずなんだけど……。
「彼女の方がお前より濃い時間を送ってきただけの話だ。別にお前が子供とは言ってないだろう?まぁ、ガキはガキだけどな」
「ってあんた、フォローしたいんだか、けなしたいんだか分からないんだけど」
「気にするな」
なんてリーダーは笑って何処かへ行ってしまう。
気にすんなって事はやっぱりバカにされたというかそんな感じだろう。
って事は、やっぱり成長してないって言うことか。
「何、落ち込んでるの?」
彼女が唐突にオレに聞いてきた。
オレの悩み事の大半は……まぁ有事の際はそっちの方が優先になるだろうけど、彼女の側にいたいと言うことだ。
彼女は重要なキーを持っている。
ドコにも渡すわけにはいかない。
彼女を彼等から託されたオレ達の使命でもあるし、それにオレ自身が手を離すことを拒否していると思う。
「別に落ち込んでいる訳じゃない。ただ、考えているだけだ」
「何を?」
彼女に聞かれると困る。
彼女の事なのだから。
「何か悩み事があるなら相談乗っても良いわ?ただし、私が解決できる範囲」
「だったら無理だ」
「じゃあ、これ見よがしに悩む姿は見せない方が良いわ。気になるから」
友人として気にしているのかそれとも別の意味かはもちろんこの言葉からは想像もつかない。
「じゃあ、私は戻るわ」
部屋に戻ろうと身を翻した彼女を見たときだった。
「っ……ちょっとっ」
彼女の腕をとっさに掴んでしまった。
「あ、ワリィ」
そう言って放しても彼女はにらみつけるままで……。
誤解を解きたくてもなかなか解くことが出来ない。
そもそも何と誤解されてるのか?
何をしたかったのか。
言えることは二度と彼女の手を放さないと誓ったことだ。
これのもう一個の奴(真夜中のナイチンゲール)と微妙にヒロインの初期設定が違う。
最初はこんな感じでうち解けたらナイチンゲール版に移行っていうのがいいのかな?