世界中の誰もが憧れる色称号。
いつから付けられるようになったのかは分からない。
銀の聖騎士はベラヌール聖騎士団の団長に、赤の魔法剣士はハーシャのスペルナイトマスターに付けられるのが慣例となっていた。
色称号の中でも困難で最高峰と呼ばれるのが黒の魔道士。
トゥルーラの賢者もハーシャの魔道王もそう簡単に身につけることのできない称号を彼女はわずか14歳にしてその手中に収めてしまった。
ただ、いつからそう呼ばれるようになったのかは誰も知らない。
「ルイセ、ハーシャを出るって本当?」
あたしの話をどこからか聞いたのかシャナ・カムイの代表、ターナ・ミルズ・ブレアが驚いた表情で飛び込んできた。
誰から聞いたかは大体想像が付く。
ハーシャの魔道王と呼ばれるカルロ・ソール・クリフだ。
あいつはあたしのトゥルーラの時の魔法修行友だし。
一応、あいつには言ったし。
「カルロから聞いたんでしょう?その通りだよ?ターナ」
「だからって、一人で世界中を旅するなんて危険だわ」
「危険じゃない、あたしは魔法使いだから……」
それにね、ずっとハーシャに居るわけにはいかないなって思ってるの。
あたしがトゥルーラを…あそこを出たのは、世界を見たかったから。
死んだおばあちゃんが言った言葉を確かめたいから。
「だからって、……」
ターナの言いたいことは分かる。
あたしは、このハーシャに運び込まれてきたのだから。
大量の魔法の放出。
が診断結果。
そして……もう一つ。
「魔法は使えるの?あなたは、襲ってきたモノに対して魔法が使えるの?あなたはそれが嫌になってあそこを出たのでしょう?世界はあなたが思っている以上に危険だわ。安全じゃないのよ」
「……大丈夫。あたしはあそこのやり方が気にくわないから、それが拒否反応として出ただけ。カルロにも同じ事言われたわよ」
「当たり前よ、あの時のあなたの状況を見れば誰だってそう思うわ。だから、リンはあなたをココに連れてきた、そうでしょう?」
ターナの言葉に頷く。
倒れた時側にいたのはあたしと共に行動をしていたリン・シエナ・ラータ。
あたしがハーシャの国王と知り合いなのを思い出してココへと連れてきた。
そしてこの国が黒魔法を扱う総本山で魔法国家聖古グラフィスの末裔と言われる国だから。
「ターナ、あたしは探したいの、おばあちゃんが言った言葉の意味を」
「……あなたの色称号はずっと付いたままよ。それを狙う人が居るかもしれないって分かっていながら?そんなことしても色称号を手に入れることが出来ないって知らないで狙う人よ」
「うん。分かってる」
あたしは、全部に覚悟してる。
「ターナ、もう無駄だって。オレがさんざん説得したんだぜ」
「カルロ……」
ハーシャの国王であり魔道王と呼ばれるカルロが部屋に入ってきた。
でもカルロに説得されたっけ?
なんか二三言われて……良いぞって言われた気がするんだけど。
「カルロ、それは説得とは言わないわよ」
「いやぁ……」
ココにいたいって思わないわけでもない。
でも、あたしは外に出ようと思う。
温かい場所から出て、誰も守ってくれないけれど、いつか誰かに出会うことが出来る外に。
「ターナ、カルロ、心配しないで。連絡はする、ちゃんと。シャナ・カムイにもまだ登録しない。年齢制限有ったよね?あたしまだ16歳だし。18からだっけ?」
「……っつーかもう17じゃねえか。」
「でも登録は出来ないでしょう?」
「黒の魔道士のお前なら何の問題もねーよ」
ははは、そうかもね。
「誰か、推薦者がいれば問題ないわ。ただ、身内の推薦だと5人以上って言う……なんでこんな決まり作ったんだろう?」
「……都合?」
「誰の?」
「いろいろ」
「いろいろって……。ともかく、気をつけて」
「ありがとう。ターナ、カルロ」
その日のお昼過ぎ、あたしはハーシャの城を出る。
見送りはカルロとターナの二人。
振り向かずに歩いてそして空を見上げる。
ドコまでも澄み切った青い空。
どんな出会いがあるのか楽しみで、何があるのか不安だけど楽しみで。
あたしが生まれた意味を探しに行く。
まぁ、結局見つからないまま、マリーチと逢って、シャナ・カムイに登録して、無事SS級のランクをゲットして、ハーシャに戻るんだけどね。
前、マリーチのすすめでシャナ・カムイに登録って書いたから今回もそれに準拠してみたんだけど……。
元々は、確か……………シャナ・カムイに登録したところ………って書いてるんだよね……。 ここら辺は本編で要修正ですね。