宝物はたくさんある。
光物とか、食べ物とか、生き物とか。
これも欲しい。
空に向かって手を広げてあたしは全部受け止められるようにくるくると回った。
ふわふわと雪が降ってくる。
「雪だ〜〜」
喜ぶあたしと。
「雪だな」
とポケットに手を突っ込んで空を見上げる魅録。
「これもあたいが欲しいもの」
手を広げて受け止めれば
「欲張りだよな」
なんて言いやがった。
「そんなことないぞ?あたいだって我慢してることいっぱいある」
雪を受け止めるためにあげていた手を下ろして魅録の側に向かう。
「あ、止んだ」
「風花だったのですわね」
あたしがくるくる回っているのを見ていた野梨子がそう言う。
「冬が来たと思ったんだけどな」
「まぁ、山の方は冬が来てるでしょうね。風花とは山の方で降った雪が風に飛ばされてきたものなんですよ。小雪がちらつく様を花にたとえたんでしょうね」
「へぇ、風流だね」
「花にたとえるなんてステキよね」
清四郎の説明に美童はへぇと関心した様子で聞いてる。
可憐は可憐で相変わらずのロマンチストっぷりを見せている。
学校からの帰り道。
寄り道しようって事になって、6人で歩いてる。
目立つことこの上ないけど。
結構、こうしてる時間が楽しい。
「で、我慢してる事ってなんだ?」
何が?
唐突に魅録があたしに聞いてくる。
「何がってお前今言ってただろうが」
「そうだっけ?」
「悠理、お前ねえ」
……言える訳がない、この時間がもったいないなんて。
永遠に続くなんて思ってないけど、でもずっと続いて欲しいって思ってる。
「魅録は、欲しくってどうしようもないのに手に入んなくって、それでも欲しいって思うときどうする?」
聞いても無理だって事ぐらい分かってる。
それでも、みんなでいる時間が永遠に続けばいいって思ってる。
野梨子と清四郎が、可憐と美童が笑いあってて。
あたしの隣に魅録がいるっていうの。
そんなことがずっと続けばいいと思ってる。
『今日から、私も貴方たちのトモダチにしてください』
ミセス・エールの言葉をふいに思い出す。
みんなで初めてミセス・エールの屋敷でティー・パーティーしたときの記憶。
懐かしい記憶。
あたしの宝物の一つ。
「あきらめきれないんだったら、あきらめない方が良いんじゃないのか?」
「どうしようもないんだぞ?」
「諦めるのなんてお前らしくないんじゃないか?」
「あたい、全部ほしいんだい」
「全部って……途方もないな」
呆れてるけど、それでいい。
あたしが一番欲しいものは魅録には内緒だもん。
宝物はいっぱいあった方がいい。
「側にあるものは全部宝物だもん。タマにフクに父ちゃんと母ちゃんと兄ちゃんと五代と名厘とそれから魅録と。野梨子と可憐と清四郎と美童。だから側にあるものは全部ほしいんだい」
そう言ったあたしに魅録は笑った。
COLTEMONIKHAは言葉遊びというか空耳遊び?が多かったりして歌詞を見てると面白いです。
1枚目の中にある『そらとぶひかり』は歌詞カードで見ると『so a lot of heat curry』ってかいてあるんですよ。
歌ってみよう。『そーらとぶひかーり』って。