「うにゃ〜〜〜〜〜」
今まで一番逃げ回ってたカーラがへばってきた。
「カーラ、頑張ってね」
なんてのんきにチェスターは声をかける。
「誰のせいで逃げ回ってるのよ〜〜」
「えっと?」
だから、お前のせいだってば、チェスター!!!
僕たちは今、リグリア王国中央部にあるウィランにいる。
とあるところからの依頼で、とある人物の救出とその他諸々が目的だ。
もちろん、この場所でライブもやる。
カーラがそのとある人物なのだが……。
彼女は、エルフで僕たちよりかなりの年上のはずなのだが。
「これおいしい。ねぇ、これ食べていい?」
と子供の様に聞いてくる。
最初に出会ったときと雰囲気が違う気がする……。
とはいえ、今は逃亡中。
「もういやぁ〜〜魔法かけても良いよね?」
「それは待てってカーラ」
「待てない〜〜。ミディア・ネルス・ウィルナ・アレクス 少女は歌う。夜の眠りを、月のささやきを。安息を、願わぬ物に、死の鉄槌を!!」
………ミディアの呪文は、ルシファーの呪文と同様暗黒系だ……。
「待て、カーラ。それをかけたらっっ」
「って言うかもう無理。ノイモント・ハイト」
闇が追いかけてくる奴らを襲う。
古代月の女神ミディアは森を守護するエルフ達の守護神と聞いたことがある。
彼女はエルフ達の受難を予想していたのだろうか……。
「うわぁ〜〜派手にやったね」
妙なテンションでチェスが感想を言う。
「誰のせいよ」
「ごめん、ボクのせいだね」
にらみつけたカーラに珍しく愁傷に謝るチェス。
こんな風に謝るのは滅多にない。
チェスターはカーラが気に入ったのかも知れない。
「とりあえず、ここから移動だな。連れて行け、サイズ」
ラテスからの貰った移動呪文を唱えれば風が巻き起こり一瞬にして目的地へと僕たちを運んでくれる。
「さすが、ラテスのスチャラカ呪文。唯一の精霊使いなだけはあるよな」
クロンが関心しているんだか茶化してるんだか分からない口調で言う。
「まぁ、とっさの時は助かるし文句は言えないけどさ」
「言えてる」
「で、さてチェスター、落ち着いたことだしなんであんなことになったのか説明して貰おうか」
クロンがチェスターに視線を向ける。
「ボクが知りたかったのは、彼らの位置関係なんだよ」
「でだからわざと、奴らに見つかるように行動してたわけか?」
「まぁ、そう言うことかな?カーラを巻き込むつもりはこれっぽっちもなかったことは本当。まぁ、クロンとマレイグは平気かなって思ったけど」
そう言って決まり悪そうに苦笑いを浮かべる。
僕たちとチェスターは別行動だった。
チェスターは何かの打ち合わせ。
まぁ、僕とクロンメルはオフでリグリアの町中に出てみようと思ったのだ。
暇そうにしていたカーラも一緒に。
カーラはもちろん変装をさせた。
彼女はエルフの特徴である絹のような金糸ととがる耳をしっかりと所持しているので髪と耳を隠すカツラをかぶっていた(耳は髪に隠している)。
ところが、チェスターが僕たちの所に逃げてきたのだ。
その後から追いかけてくる奴ら。
僕たちはしょうがないから逃げる。
で、カーラのカツラが外れると……、そんなサイアクの事態。
「俺たちは平気かなって」
「ともかくなんとか逃げられたんだから良いじゃん」
とにこにこと笑ってる。
さっきの愁傷な態度はどこにいったのやら……。
あきれかえるやら、それがチェスターだと言われれば何も言えなくなるなぁと思いつつ、今後の作戦が変更なんだろうなぁとは漠然と思っていた。
テッちゃんハピバ小説のはずだったのに……orz。
カーラを怒らせ、呪文使わせて(まさかミディアの呪文が凶悪になるとは思いもよらず………)、クロンとマレイグを呆れさせてしまった……。しかもメインのはずのチェスターはほとんど台詞なし。
マレイグで書き出したのが間違いだったのかなぁ………?