「彼女は女神だろうか……」
そう呟いた奴の言葉にオレとライナスはため息をつきたくなった。
女神って……。
ただの普通の女の子だろうに。
余計な肩書きがついてるだけの。
「レグダル公、そろそろお時間なんですが」
鏡を見て格好を付けている以外にしか見えない男にオレは声を掛けた。
「申し訳ない。身だしなみを整えていたのだ。レグダル公として相応しい格好ではなくてはならないとよく言われるのだ」
「問題はないと思われます。ファラスソードはきちんと所持されてます。どこをどう見たってスリーナイトのファラスナイトに見えますよ」
そうライナスが言うとレグダル公はにっこりと微笑む。
人気らしい。
言動が。
顔が。
いわゆる甘いマスクに銀色の髪と青い瞳。
人気なのもうなずける。
「では、参ろうか。勇者殿がおられるルトマルクに」
と、レグダル公は芝居がかった風に言う。
そうか、何か妙な感じを受けると思うのは言動が芝居がかっているからだ。
今オレたちが居るところからミラノが居るルトマルクには電車で向かう。
飛行機とかで行った方が楽だろうにと思ったら、なんとレグダル公は電車が良いとおっしゃりやがった。
要人警護の立場にあるオレたちトーニックからすればレグダル公は要人だ。
「だからって、オレじゃないよなぁ」
そう思って溜め息つけば
「ソレはオレの台詞。センターの役目だろうに」
ライナスに聞かれた上、同意された。
その気持ちも分るけど。
「って言うか、センターじゃないだろうよ」
「……ソレは言えてるね」
そう言ってお互いにため息をついた。
「リラン、ライナス。何かあったのか?何かあるのならば、私に言うと良い」
キラッキラな笑顔を向けるレグダル公。
「大丈夫ですよ。公が心配なさることは何もありません。ルトマルクに着いたら公に手伝って頂く事もたくさんあるのですから、今はお休みください」
「お前たちが休まないで居るのに私だけ休む訳にもいかないだろう」
と本気か冗談かなようなことを言い出す。
「…………公、公がお休みになれば、我々も休ませていただきます」
「分った。では、今から休ませて貰おう。だが、何かあったときにはすぐに言ってくれ。私一人休んでいる訳にもいかない」
「畏まりました。ではお休みなさい」
「あぁ」
仰々しく答えてレグダル公は与えた部屋に入っていく。
ソレを見届けてオレとライナスは盛大にため息をついた。
公が出張る理由は分ってる。
理解してるが……こんな性格な人間とは思いもよらなかった。
「リラン、ライナス!!遅かったね」
ルトマルクについたらミラノが出迎えてくれた。
要人接待で疲れ切った心に癒しを与えてくれる。
女の子ってやっぱいいよね。
「彼女は、女神……か?」
そう、隣で呟いた言葉にツッコミを入れるのはやめよう。
ともかく、隣の公が最強のファラスナイトに切られないことを祈るしかない……。
って言うか、疲れた。
レグダル公のプロフィールはファルダーガーにて。声も、その時に発表。
一応、本名だけフェルディナンド・ルカ・アレグリーニ・マグヌス3世。
……随分、大層な名前を付けたなぁと自分自身思います。
ちなみに、最強のファラスナイトって言うのは裏No.1のサガの事です。一応、レグダル公はファラスナイトなのでファラスナイトである彼からすればサガは上司に当たります。