寂しくないの?
そう聞かれて、寂しい以外なんて答えれば良いんだろう。
でも仕方ない。
あたしは、待っていると決めたのだから…。
街中がクリスマス色に染まり始める11月。
この国は季節が早いよなといったのは誰だったか。
隣を歩く彼女を見て僕はため息をついた。
一日中振り回されて僕の両手は荷物でふさがっている。
熱心にディスプレイを眺めている彼女は片手は空いている。
まだ買うつもりなのだろうか。
僕は止めるべく声をかけた。
「RIN0、まだ買い物するつもり?」
「ん〜〜見てるだけ」
そう言って荷物が増えていったことを彼女は忘れている。
「こんなに買ってどうするんだよ。部屋中荷物だらけにして片付けるの誰なんだ?」
彼女は分かっているのか?
片付ける人間は彼女……RIN0しか居ない。
「あたしと……コウは手伝ってくれないの?」
「悪いけど、ご免だ」
「ケチね」
ケチとかそう言う問題じゃないと思う。
突然呼び出されて、僕はこうやってRIN0の買い物に付き合わされているのだ。
こっちの身にもなって欲しい。
「コウ……付き合ってくれてありがとね。ホント、いっぱい買っちゃったね…」
今までの元気が嘘のように声が沈む。
あぁ、空元気だったのか……。
分かっていたはずなのに。
あの3人がRIN0の為に時を越え、今、ココには居ないことを。
僕が知る限り、RIN0はずっとあの3人の側にいた。
僕がRIN0と出会ってからの時間と、彼女があの3人と出会ってからの時間は同じだ。
「いつ帰ってくるか知らないの。でも、もしかしたらクリスマス頃に帰ってくるかも知れないじゃない?いつ帰ってきても良いように、クリスマスの準備しておくことにしたの。いっぱい飾りづけして驚かすの。絶対、ビックリするよね」
「そうだな」
僕は彼女の言葉に僕は想像する。
部屋の様子を見た3人があっけにとられて満面の笑顔になる所を。
そんなことを想像して思わず、RIN0と二人して笑ってしまった。
そうなればいいな。
そんな願いをこめながら。
マツモトと共に行動しています。RIN0とはそれほど年齢が離れていません。
マツモトがzeitsの所に一時期避難していたときに連れてきたのがコウです。