色称号なんていう大層なものが付くのはあたし達よりももうちょっと後の時代なんだけど、あたしなら絶対色称号付くわよね。
黒の大魔道士!!
うん、箔が付くってこういう事よね。
「黄昏に舞い降りし偉大なる王よ、汝の力を弄ぶ者に鉄槌を。ダークレイス!!」
暗黒系の呪文を唱えれば一気におそってきた魔物が消えていく。
「相変わらず派手だなぁ。追われてる自覚ないだろ?」
あたしの呪文の発動を少し離れていた所からみていたロンは呆れているのか、それとも逆に感心しているのかため息をつきながらそう言う。
「一応、追われてるっていう自覚あるわよ?」
アルガトム帝国。
世界を牛耳っている帝国。
領土から言ったら世界の半分以上を制圧している。
魔道王国グラフィス王国を祖を持つ帝国。
何故か、あたしはこの国から狙われている。
まぁ、そんな狙われてもおかしくない理由を1つや二つや三つや……えとあとどのくらいだっけ?
「リー、心あたりがそれだけあるのか?」
端で聞いていたロンが驚く。
まぁ、一応二つはあるわよね?
1つは未確定で追いかけられてるようなものだけど。
「他の奴はお前が今までやらかした奴って言うわけか?」
まぁ、そうかも?
追われる理由の1つは『神々の聖宝』。
コレを全て集めると…どんな願いでも叶う、らしい。
かなり、眉唾で作られた噂ではあるけれど。
神々の聖宝はかなりのレアもので、1つ見つけてたとえば売り払ったとしたら一生遊んで暮らせるだけのお金が手にはいるのは本当らしい。
大地の守護者ヴィスザートの聖剣ヴィスザートなんかは値段付けられないって話だけど。
まぁ、それを彼の帝国様は探し遊ばされてるらしい。
本気で願いが叶うなんて思ってんのかしら?
願いなんて自分で叶えないと意味なくない?
叶えたいなら自分で探せって言うのに人使って探させて、あたしが横取りしてるの。
そんなの無駄だって言うのよ。
「本気の願いがあるのならのどから手が出るほどじゃないのか?まぁ、帝国が望む望みなんてたかが知れてるけどな」
「でしょう?だったら他人に渡る前にあたしがゲットした方が良いと思わない?」
「それもどうかと思うが……」
有る意味きわめて正論だと思うの。
「正論……ねぇ。たとえば、聖宝が本当に願いを叶えてくれるものだとして……リー、お前は何を願うんだ?」
「……あたし?」
聞いてきたロンの言葉。
あたしは何を願う?
「あたしは、あたしらしく生きられればいい。本当の名前で」
なんてあたしらしくないけど。
でも、実は結構本音。
帝国に狙われるもう一つの理由は、あたしの名前。
どこから、あの二人は見つけてきたんだろう。
あたしの名前は、この世界では禁忌の名前が入ってる。
どうしても入れた方がいいって言われたんだって。
……だからもし願いが叶うのなら、あたしの本当の名前を言って生きていきたい。
って所よね。
「…自分らしくか……。今でもそういう風に見えるけどな」
「だったら、結構幸せ?」
「じゃないのか?」
自分で思ってロンが納得してくれて……結構そうかもしれない。
「じゃあ、あたしは好き勝手にこれからも生きていくから、ロン」
「ん?」
「これからもよろしくね」
「了解」
よし、ロンが了解してくれたから。
「帝国つぶすか〜」
「待て待てまて〜〜、極端過ぎる!!」
「すっきりしたかったんだもん」
本名はリー・アニリン・ジスプロシウじゃないんですよ。
本名はまた後で。