特別縁故者に対する相続財産の分与

平成20(2008)年10月10日
平成20(2008)年12月15日改訂
令和2(2020)年5月25日改訂
令和5(2023)年7月28日改訂

 特別縁故者に対する相続財産の分与とは,相続人が誰もいない場合に,相続人ではないが被相続人と生計を一にしていたり,被相続人の療養看護に努めた人に対し,家庭裁判所が被相続人の相続財産の全部又は一部をその特別縁故者に取得させる制度です。

 相続人は,被相続人の配偶者の外に第1順位の相続人として被相続人の子供(子供が死亡している場合は,その子供(孫)が代襲相続します。)第2順位として被相続人の直系尊属,第3順位として被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合はその子供(被相続人からすれば甥姪)のみ)だけが相続人になります。そして,被相続人に遺言がないとすれば相続人がいないことから遺産はすべて国のものになってしまいます。

 相続人ではない人が,被相続人と同居していたり,被相続人の療養看護に努めて,その遺産を取得したい場合は,相続財産管理人(2023(令和5))4月1日より「相続財産清算人」となりました。)を家庭裁判所から選任してもらい,相続人捜索の公告期間内に相続権を主張する者がいなかった場合,その公告期間満了後3か月以内に家庭裁判所に特別縁故者として相続財産の分与請求をすることが必要です。被相続人の療養看護に努めたことや,生計を一にしていたことを理由に特別縁故者としてその交流の内容や程度,被相続人の意思などを考慮して財産分与を受けることが可能になる場合があります。

 なお,相続放棄をした相続人も,相続人不存在になった場合に特別縁故者として相続財産の分与を受けることが出来ると考えられています。

 そして,相続放棄に関しては,

2008(平成20)年の9月3日相続放棄について

でご説明しています。

 家庭裁判所から特別縁故者に対する相続財産の分与の審判により不動産の所有権を取得した場合の「登記原因」は「平成年月日(財産分与の審判確定日となります。)民法第958条の3の審判」となります。

 また,特別縁故者への相続財産の分与に関しては,

2012(平成24)年3月16日相続人が不存在の場合の特別縁故者への相続財産の分与

でご説明しています。

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