破産債権の調査において、破産債権の額、又は優先的破産債権、劣後的破産債権、もしくは約定劣後破産債権であるかどうかについて、破産管財人が認めず、又は届出した破産債権者が異議を述べた場合、当該破産債権を有する破産債権者の取り得る「破産債権査定申立て」
2021(令和3)年6月8日
2021(令和3)年6月11日改訂
2021(令和3)年6月11日改訂
- 第1 破産債権の調査において、破産債権の額、又は優先的破産債権、劣後的破産債権、もしくは約定劣後破産債権であるかどうかについて、破産管財人が認めず、又は届出した破産債権者が異議を述べた場合、当該破産債権を有する破産債権者の取り得る「破産債権査定申立て」(破産法125条)
- 1 破産債権の調査において、破産債権の額、又は優先的破産債権、劣後的破産債権、もしくは約定劣後破産債権であるかどうかの別について(以下「額等」といいます。)、破産管財人が認めず、又は届出した破産債権者が異議を述べた場合、当該破産債権を有する破産債権者は、その額等の確定のために、当該破産管財人及び当該異議を述べた届出をした破産債権者(以下「異議者等」といいます。)の全員を相手方として、裁判所にその額等についての査定の申立てをすることができます。(破産法125条1項)
これを、「破産債権査定申立て」といいます。 - 2 「破産債権査定申立て」は、異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から1月の不変期間内にしなければなりません。(破産法125条2項)
- 3 裁判所は、「破産債権査定申立て」があった場合、これを不適法として却下する場合を除き、決定で異議等のある破産債権の存否及び額等を査定する裁判(以下「破産債権査定決定」といいます。)をしなければなりません。(破産法125条3項)
- 4 裁判所は、破産債権査定決定をする場合には、異議者等を審尋しなければなりません。(破産法125条4項)
- 5 破産債権査定申立てについての決定に不服がある者は、その送達を受けた日から1月の不変期間内に異議の訴え(以下「破産債権査定異議の訴え」といいます。)を提起できます。(破産法126条1項)
- 6 破産債権査定異議の訴えは、破産裁判所が管轄します。(破産法126条2項)
- 7 破産債権査定異議の訴えは、これを提起する者が、異議等のある破産債権を有する破産債権者であるときは異議者等の全員を、当該異議者等であるときは当該破産債権者を、それぞれ被告としなければなりません。(破産法126条4項)
- 第2 異議等のある破産債権に関する訴訟が破産手続開始当時係属している場合
- 1 異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属している場合において、破産債権者がその額等の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければなりません。(破産法127条1項)
- 2 その訴訟手続の受継の申立ては、
異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から1月の不変期間内にしなければなりません。(破産法127条2項準用、125条2項) - 第3 執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張
- 1 異議等のある破産債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、破産者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張できます。(破産法129条1項)
- 2 この異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、この異議者等が破産法129条1項に規定する異議を主張しようとするときは、当該異議者等は、当該破産債権を有する破産債権者を相手方とする訴訟手続きを受け継がなければなりません。(破産法129条2項)
- 3 破産法129条1項の異議の主張又は破産法129条2項の規定による受継は、
異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から1月の不変期間内にしなければなりません。(破産法129条3項準用、125条2項) - 4 なお、「執行力ある債務名義」に関しては、
2004(平成16)年5月8日強制執行するにはー不動産差押・債権差押・動産差押などをするために必要なもの(債務名義)
で御紹介しています。
また、「破産」に関しては、
で御紹介しています。
参考文献
・条解 破産法(第3版)
- 伊藤眞・岡正晶・田原睦夫・中井康之・林道晴・松下淳一・森宏司 著
株式会社弘文堂発行