リーマン予想への考察を続ける。
「その1」の<グラフ的視点>でこの予想を次のようにグラフ的・幾何学的に表現した。
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この予想を関数のグラフ的視点から考えてみたい。
f(x)=cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・
g(x)=sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・
としよう。
y=f(x)とy=g(x)のグラフ(xy座標)を考えると、予想A-1は、
これら関数曲線の交点がx軸上に存在するのはcが1/2のときだけ!と言っているのと同じである。
なお両曲線は、x軸と無限回交わる曲線となる。
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予想A-1でリーマン予想を古典的な方程式の問題に変換したわけであるが(2年前の結果->こちら参照)、上のグラフ
的視点で問題の意味がはっきり浮かび上がったといえる。リーマン予想をこの観点で表現すると次のようになる。
いま
C(x)=cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・
S(x)=sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・
とおくと、
「方程式 C(x)^2+S(x)^2= 0の実数解が存在するのは、c=1/2のときのみであろう。」 -----@
対偶をとると、
「cが1/2でない場合は、方程式 C(x)^2+S(x)^2= 0は実数解を持たないであろう。」 ----A
ともいえる。
さらにグラフ的に見た場合、次のように言い換えられることも容易にわかる。
「cが1/2でない場合は、任意の実数xに対して、つねに C(x)^2+S(x)^2 > 0 となるであろう。」 ----B
これらはxy平面(実数平面)で、
c=1/2のときのみ、y=C(x)^2+S(x)^2という関数がx軸上で接する(接点をもつ)ことがある
と主張しているのである。
ハーディによる結果から(本質的零点1/2+i・αのαは無限個ある)、x軸上で無限個の接点をもつこともわかる。
もはやリーマン予想はxy平面(実数平面)内の古典的な問題に還元されたのであるから、
C(x)^2+S(x)^2 >= 0
であることはいうまでもないが、”>=”のイコール”=”が成立する場合を考察することがキーポイントである。
予想A-1を@,A,Bの三つの言い換えで表現しておこう。(B-1、B-2は「その1」で使ったので)
C(x)^2+S(x)^2はべき級数的視点で見れば無限次のべき級数になるが、それはこちらの結果を参照すればすぐにわかる。
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さらに、ついでに述べると、
「y=C(x)^2+S(x)^2という関数がx軸上で接する(接点をもつ)」ということは、方程式C(x)^2+S(x)^2=0が重解をもつと
いうことであり(谷がx軸に接する状態)、この方程式の判別式Dを考えた場合、D=0となっているとも言える。
よって、リーマン予想は
方程式 C(x)^2+S(x)^2= 0の判別式Dが0となるのは、c=1/2のときのみであろう。
とも言えるであろう。
この予想B-1中の式C(x)^2+S(x)^2をさらに簡単化することにしよう。
C(x)^2+S(x)^2
={cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・}^2
+ {sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・}^2
右辺の{}を外した姿はどのようになるのだろうか?
右辺{}^2を外して簡単化したいと長いこと構想しながらなかなか実現できなかったのだが、今回、あることがきっかけ
で、簡単に変形できることがわかった。有限項の場合を一つづつ増やしていくやり方で出せるのだが、見ていこう。
まず(2項分)^2+(2項分)^2を見る。
{cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c}^2 + {sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c}^2
を求める。
簡単のために、(x・log1)=@、(x・log2)=Aなどとする。
{cos@/1^c - cosA/2^c}^2 + {sin@/1^c - sinA/2^c}^2
=(cos@)^2/1^(2c) - 2cos@cosA/(2・1)^c + (cosA)^2/2^(2c)
+ (sin@)^2/1^(2c) - 2sin@sinA/(2・1)^c + (sinA)^2/2^(2c)
=1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2{cos@cosA + sin@sinA}/(2・1)^c
=1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2{cos(@-A)}/(2・1)^c
=1/1^(2c) + 1/2^(2c) - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1)^c
次に、(3項分)^2+(3項分)^2を見よう。
結果だけ書くと、次のようになる。
{cos@/1^c - cosA/2^c + cosB/3^c}^2 + {sin@/1^c - sinA/2^c + sinB/3^c}^2
=1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c)
- 2cos(x・log(2/3)) /(3・2)^c + 2cos(x・log(1/3)) /(3・1)^c - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1)^c
同様にして、(4項分)^2+(4項分)^2は、次のようになる。
{cos@/1^c - cosA/2^c + cosB /3^c - cosC/4^c}^2
+ {sin@/1^c - sinA/2^c + sinB/3^c - sinC/4^c}^2
=1/1^(2c) + 1/2^(2c) + 1/3^(2c) + 1/4^(2c)
- 2cos(x・log(3/4)) /(4・3)^c + 2cos(x・log(2/4)) /(4・2)^c - 2cos(x・log(1/4)) /(4・1)^c
- 2cos(x・log(2/3)) /(3・2)^c + 2cos(x・log(1/3)) /(3・1)^c - 2cos(x・log(1/2)) /(2・1)^c
なお上では例えばcos(xlog(1/2))をcos(xlog2)とせずあえてcos(xlog(1/2))の書き方とした。この方が式の構造が
わかりやすいからである。
美しい規則性が現れていることに気づかれるであろう。
式は省略するが(5項)^2+(5項)^2がどうなるかもすぐにわかる。規則がわかったので、(無限項)^2+(無限項)^2の
C(x)^2+S(x)^2は次のようになることがわかる。
C(x)^2+S(x)^2
={cos(x・log1) /1^c - cos(x・log2) /2^c + cos(x・log3) /3^c - cos(x・log4) /4^c + ・・・}^2
+ {sin(x・log1) /1^c - sin(x・log2) /2^c + sin(x・log3) /3^c - sin(x・log4) /4^c + ・・・・}^2
=lim (k->∞){1/1^(2c) + 1/2^(2c) + ・・+ 1/k^(2c) + 2(j< k) (-1)^(j+k)・cos(x・log(j/k)) /(k・j )^c}
これで二方程式問題であった予想A-1を単一の方程式の問題に変換できたといえる。予想C-1としておく。
予想B-2、予想B-3と対応する形でも書いておこう。
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