「マックノート彗星 その3」のζ(s)で行った結果を、L(s)母関数の場合に拡張した。
L(n)、L(n+1)、L(n+2)、・・を生み出す母関数を考察。一般化された母関数を提示した。
L(n+k)、L(2n+k)、L(3n+k)、・・を生み出す母関数を考察、さらに実数の場合へと拡張した。ζ(s)の振り返り。
「マックノート彗星 その3」ではリーマン・ゼータζ(s)を生み出す母関数を研究した。
類似の手法で、それらをL(s)の場合へと拡張したので報告したい。
L(s)は、次で定義されるゼータ関数である。
L(s)=1 - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・ ------@
詳しくいえば、ディリクレのL関数L(χ,s)
L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・
で、「a≡0, 1, 2, 3 mod 4に対しそれぞれχ(a)=0, 1, 0, -1」というディリクレ指標χ(a)をもつゼータである。
L(s)は虚2次体Q(√-1)に対応する。
χ(a)はある自然数Nについて、次の3条件を満たす。
(1)a≡b mod N ならχ(a)=χ(b)
(2)χ(ab)=χ(a)χ(b)
(3)aとNが共通因数を持つときに限り、χ(a)=0
L(χ,s)から種々のχ(a)に対応する様々なゼータ関数が無数に生み出されていくのであるが、L(s)はL(χ,s)の
一種のゼータであるというわけである。
なお、
L(1)=1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 + ・・・=π/4
は有名である。ライプニッツの公式などと呼ばれるが、それよりはるか昔インドで発見されていた。
さて、
f(x)=1/(1-x) - 1/(3-x) + 1/(5-x) - 1/(7-x) + ・・・ ------A
という関数を考える。
右辺の各項を0周りテイラー展開して、xの同次項同士足し合わせていけば次となる。
1/(1-x) - 1/(3-x) + 1/(5-x) - 1/(7-x) + ・・・
=L(1) + L(2)x + L(3)x^2 + L(4)x^3 + L(5)x^4 +・・・ ------B
(-1 < x < 1)
@とAを比べて構造の美しさを味わっていただきたい。
B左辺はすべての正の整数点nでのL(n)値を生み出す母関数となっている。
まとめておこう。
次に、一つ上の母関数をすこし変形した
f(x)=1^(-1)/(1-x) - 3^(-1)/(3-x) + 5^(-1)/(5-x) - 7^(-1)/(7-x) + ・・・ ------@
という関数を考える。
右辺の各項を0周りテイラー展開して、xの同次項同士足し合わせていけば次となる。
1^(-1)/(1-x) - 3^(-1)/(3-x) + 5^(-1)/(5-x) - 7^(-1)/(7-x) + ・・・
=L(2) + L(3)x + L(4)x^2 + L(5)x^3 + L(6)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
2以上の正の整数点nでのL(n)値を生み出す母関数となっている。
一つ上の結果と合わせてまとめておこう。
さらに、母関数をすこし変形した
f(x)=1^(-2)/(1-x) - 3^(-2)/(3-x) + 5^(-2)/(5-x) - 7^(-2)/(7-x) + ・・・ ------@
という関数を考える。右辺の各項を0周りテイラー展開して、xの同次項同士足し合わせていけば次となる。
1^(-2)/(1-x) - 3^(-2)/(3-x) + 5^(-2)/(5-x) - 7^(-2)/(7-x) + ・・・
=L(3) + L(4)x + L(5)x^2 + L(6)x^3 + L(7)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
3以上の正の整数点nでのL(n)値を生み出す母関数となっている。これまでの結果と合わせてまとめておこく。
これまでの結果は、容易に一般化されて(nが1以上の整数で)、次のようになる。
1^(1-n)/(1-x) - 3^(1-n)/(3-x) + 5^(1-n)/(5-x) - 7^(1-n)/(7-x) + ・・・
=L(n) + L(n+1)x + L(n+2)x^2 + L(n+3)x^3 + L(n+4)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
すなわち、nが全自然数で、
1^(1-n)/(1-x) - 3^(1-n)/(3-x) + 5^(1-n)/(5-x) - 7^(1-n)/(7-x) + ・・・
=L(n) + L(n+1)x + L(n+2)x^2 + L(n+3)x^3 + L(n+4)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
が成り立つ。まとめておく。
さらに、別方向にも一般化できる。
上では、L(n)、L(n+1)、L(n+2)・・などを生み出す母関数を考えたが、
例えば、L(n)、L(2n)、L(3n)・・などを生み出す母関数を考えることもできる。
結論から書くと、次のようになる。
1/(1^n-x) - 1/(3^n-x) + 1/(5^n-x) - 1/(7^n-x) +・・
=L(n) + L(2n)x + L(3n)x^2 + L(4n)x^3 + ・・・
(-1 < x < 1)
具体的には
n=1のときは、
1/(1^1-x) - 1/(3^1-x) + 1/(5^1-x) - 1/(7^1-x) +・・
=L(1) + L(2)x + L(3)x^2 + L(4)x^3 + ・・・
n=2のときは、
1/(1^2-x) - 1/(3^2-x) + 1/(5^2-x) - 1/(7^2-x) +・・
=L(2) + L(4)x + L(6)x^2 + L(8)x^3 + ・・・
n=3のときは、
1/(1^3-x) - 1/(3^3-x) + 1/(5^3-x) - 1/(7^3-x) +・・
=L(3) + L(6)x + L(9)x^2 + L(12)x^3 + ・・・
などとなる。
導出の過程は、上方でのテイラー展開のやり方と同じであるので略す。まとめておこう。
ここで、参考までに、L(n)特殊値の「収束する値」と「解析接続された値(繰り込み値)」をまとめておく。
・
・
L(7)=61π^7/184320
L(6)=0.998685・・
L(5)=5π^5/1536
L(4)=0.988944・・
L(3)=π^3/32
L(2)=0.915965・・
L(1)=π/4
L(0)=1/2
L(-1)=0
L(-2)=-1/2
L(-3)=0
L(-4)=5/2
L(-5)=0
L(-6)=-61/2
L(-7)=0
L(-8)=1385/2
L(-9)=0
・
・
このようになっている。L(0)以下が解析接続された値であり、L(1)以上が現実に収束する値である。
L(2)、L(4)、L(6)、・・は、現代数学で不明とされる。
上を眺めて気づかれると思うが、ゼータL(s)は、リーマン・ゼータζ(s)と同じような構造になっているのである。
奇数と偶数が逆の関係になっている。
<母関数 f(x)=1^(-1)/(1^n-x) - 3^(-1)/(3^n-x) + 5^(-1)/(5^n-x) - 7^(-1)/(7^n-x) + ・・・>
上の継続で、
f(x)=1^(-1)/(1^n-x) - 3^(-1)/(3^n-x) + 5^(-1)/(5^n-x) - 7^(-1)/(7^n-x) + ・・・ -----@
という母関数を考える。結論から書くと、次のようになる。
1^(-1)/(1^n-x) - 3^(-1)/(3^n-x) + 5^(-1)/(5^n-x) - 7^(-1)/(7^n-x) + ・・・
=L(n+1) + L(2n+1)x + L(3n+1)x^2 + L(4n+1)x^3 + ・・・
(-1 < x < 1)
導出の過程は、上方でのテイラー展開のやり方と同じなので略す。
具体的には
n=0のときは、
1^(-1)/(1^0-x) - 3^(-1)/(3^0-x) + 5^(-1)/(5^0-x) - 7^(-1)/(7^0-x) + ・・・
=L(1) + L(1)x + L(1)x^2 + L(1)x^3 + ・・・
n=1のときは、
1^(-1)/(1^1-x) - 3^(-1)/(3^1-x) + 5^(-1)/(5^1-x) - 7^(-1)/(7^1-x) + ・・・
=L(2) + L(3)x + L(4)x^2 + L(5)x^3 + ・・・
n=2のときは、
1^(-1)/(1^2-x) - 3^(-1)/(3^2-x) + 5^(-1)/(5^2-x) - 7^(-1)/(7^2-x) + ・・・
=L(3) + L(5)x + L(7)x^2 + L(9)x^3 + ・・・
n=3のときは、
1^(-1)/(1^3-x) - 3^(-1)/(3^3-x) + 5^(-1)/(5^3-x) - 7^(-1)/(7^3-x) + ・・・
=L(4) + L(7)x + L(10)x^2 + L(13)x^3 + ・・・
などとなる。きれいな規則性が見てとれるであろう。
一つ上の結果とあわせて、まとめておく。
<母関数 f(x)=1^(-2)/(1^n-x) - 3^(-2)/(3^n-x) + 5^(-2)/(5^n-x) - 7^(-2)/(7^n-x) + ・・>
上の継続で、
f(x)=1^(-2)/(1^n-x) - 3^(-2)/(3^n-x) + 5^(-2)/(5^n-x) - 7^(-2)/(7^n-x) + ・・・ -----@
という母関数を考える。結論から書くと、次のようになる。
1^(-2)/(1^n-x) - 3^(-2)/(3^n-x) + 5^(-2)/(5^n-x) - 7^(-2)/(7^n-x) + ・・・
=L(n+2) + L(2n+2)x + L(3n+2)x^2 + L(4n+2)x^3 + ・・・
(-1 < x < 1)
導出の過程は、上方でのテイラー展開のやり方と同じなので略す。
具体的には
n=0のときは、
1^(-2)/(1^0-x) - 3^(-2)/(3^0-x) + 5^(-2)/(5^0-x) - 7^(-2)/(7^0-x) + ・・・
=L(2) + L(2)x + L(2)x^2 + L(2)x^3 + ・・・
n=1のときは、
1^(-2)/(1^1-x) - 3^(-2)/(3^1-x) + 5^(-2)/(5^1-x) - 7^(-2)/(7^1-x) + ・・・
=L(3) + L(4)x + L(5)x^2 + L(6)x^3 + ・・・
n=2のときは、
1^(-2)/(1^2-x) - 3^(-2)/(3^2-x) + 5^(-2)/(5^2-x) - 7^(-2)/(7^2-x) + ・・・
=L(4) + L(6)x + L(8)x^2 + L(10)x^3 + ・・・
n=3のときは、
1^(-2)/(1^3-x) - 3^(-2)/(3^3-x) + 5^(-2)/(5^3-x) - 7^(-2)/(7^3-x) + ・・・
=L(5) + L(8)x + L(11)x^2 + L(14)x^3 + ・・・
などとなる。きれいな規則性が見てとれる。
二つ上までの結果とあわせて、まとめておく。
<母関数 f(x)=1^(-3)/(1^n-x) - 3^(-3)/(3^n-x) + 5^(-3)/(5^n-x) - 7^(-3)/(7^n-x) + ・・>
さらに上の継続で、
f(x)=1^(-3)/(1^n-x) - 3^(-3)/(3^n-x) + 5^(-3)/(5^n-x) - 7^(-3)/(7^n-x) + ・・・ -----@
という母関数を考える。結論から書くと、次のようになる。
1^(-3)/(1^n-x) - 3^(-3)/(3^n-x) + 5^(-3)/(5^n-x) - 7^(-3)/(7^n-x) + ・・・
=L(n+3) + L(2n+3)x + L(3n+3)x^2 + L(4n+3)x^3 + ・・・
(-1 < x < 1)
導出の過程は、上方でのテイラー展開のやり方と同じなので略す。
具体的には
n=0のときは、
1^(-3)/(1^0-x) - 3^(-3)/(3^0-x) + 5^(-3)/(5^0-x) - 7^(-3)/(7^0-x) + ・・・
=L(3) + L(3)x + L(3)x^2 + L(3)x^3 + ・・・
n=1のときは、
1^(-3)/(1^1-x) - 3^(-3)/(3^1-x) + 5^(-3)/(5^1-x) - 7^(-3)/(7^1-x) + ・・・
=L(4) + L(5)x + L(6)x^2 + L(7)x^3 + ・・・
n=2のときは、
1^(-3)/(1^2-x) - 3^(-3)/(3^2-x) + 5^(-3)/(5^2-x) - 7^(-3)/(7^2-x) + ・・・
=L(5) + L(7)x + L(9)x^2 + L(11)x^3 + ・・・
n=3のときは、
1^(-3)/(1^3-x) - 3^(-3)/(3^3-x) + 5^(-3)/(5^3-x) - 7^(-3)/(7^3-x) + ・・・
=L(6) + L(9)x + L(12)x^2 + L(15)x^3 + ・・・
となる。
三つ上までの結果とあわせて、まとめておく。
上の一連の結果は、容易に一般化されて(k は整数)、次のようになる。
1^k /(1^n-x) - 3^k /(3^n-x) + 5^k /(5^n-x) - 7^k /(7^n-x) + ・・・
=L(n-k) + L(2n-k)x + L(3n-k)x^2 + L(4n-k)x^3 + L(5n-k)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
k と nは、(n-k)>0 且つ n>=0を満たす整数である。右辺のL(s)が収束する値となるためには、この条件が要る。
まとめておく。
上の結果は、k,nが整数の場合を見たが、これを実数に拡張することができる。
kをrに、nをsに置き換えると、次のようになる。
1^r /(1^s-x) - 3^r /(3^s-x) + 5^r /(5^s-x) - 7^r /(7^s-x) + ・・・
=L(s-r) + L(2s-r)x + L(3s-r)x^2 + L(4s-r)x^3 + L(5s-r)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
ただし、r と sは、(s-r)>0 且つ s>=0を満たす実数である。右辺のL(s)が収束する値となるためには、この条件が要る。
例えば、s=1,r=0.5のとき、
√1 /(1-x) - √3 /(3-x) + √5 /(5-x) - √7 /(7-x) + ・・・
=L(1/2) + L(3/2)x + L(5/2)x^2 + L(7/2)x^3 + L(9/2)x^4 +・・・
(-1 < x < 1)
となる。
まとめておく。
|