フェイ彗星 その1

ζ(3)、ζ(5)を導出 >
ζ(0)、ζ(1/2)は出るか? >

 テイラーシステムのCos[ s=s, 0代入, πテイラー]の条件で、ζ(s)の値を導出。ζ(3)、ζ(5)を求めた。
ζ(1/2)、ζ(0)は条件不成立で求まらないことを確認した。


2006/10/23          < ζ(3)、ζ(5)を導出 > Cos[ s=(3, 5),  0代入, πテイラー]

 ζ(s)値の導出に関しては、これまでCos[ s=s, π/2代入, πテイラー]、Cos[ s=s, π代入, π/2テイラー]の二つの
場合を見てきた。前者は「百武彗星」で、後者は「エンケ彗星」でそれぞれ研究した。

 そこでは、驚くべき簡単さでζ(3)、ζ(5)やζ(1/2)、ζ(3/2)、・・やまたL(2)、L(4)やL(1/2)、L(3/2)・・など
現代数学で超難題とされる値をいとも簡単に導出できた。テイラーシステムの威力を味わったのであった。

 私は、さらに、0代入でもできるのではないか?とふと思った。
まず手始めに、Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]を調べた。すると、これでも、うまくいくことがわかった。
よって、この新しい「フェイ彗星」シリーズでは、このCos[ s=s, 0代入, πテイラー]の場合を中心に調べる。

 テイラーシステムを少し復習すると、
例えば、次式Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]でのテイラーシステムとは、母関数

 f(x)=(cosx)/1^s + (cos2x)/2^s + (cos3x)/3^s + (cos4x)/4^s + ・・・

を考え、f(0)と、f(x)のπ周りテイラー展開を行った上のf(x)でのf(0)とを等しいとおき、ζ(s)値を求める方法である。

 前置きはこのくらいにして、Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]で、ζ(3)、ζ(5)を求めてみよう。

まずζ(3)から。
 @でs=3として、
 f(x)=(cosx)/1^3 + (cos2x)/2^3 + (cos3x)/3^3 + (cos4x)/4^3 + ・・・    ------@
を考える。

 まず、@のxに0を代入すると、
 f(0)=1/1^3 + /2^3 + 1/3^3 + 1/4^3 + ・・・ 
となり、これは
  f(0)=ζ(3)     ------A
である。

 次に、@をπ周りでテイラー展開を行うと、次のようになる。

f(x)= -(1-1/2^2)・ζ(3) + log2・(x-π)^2 /2!
      - (1-2^2)・ζ(-1)・(x-π)^4 /4!+ (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^6 /6!
        - (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^8 /8! + (1-2^8)・ζ(-7)・(x-π)^10 /10!
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ------B

 ζ(s)関数等式
  ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s) 
を用いて、変形すると次のようになる。

 f(x)= -(1-1/2^2)・ζ(3) - log2・(x-1)^2 /2!
       - 2・[(1-1/2^2)・ζ(2)・1!・(x-π)^4/(π^2・4!)
            + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!・(x-π)^6/(π^4・6!)
              + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!・(x-π)^8/(π^6・8!)
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     ------C

 ここで、xに0を代入して、整理すると次のようになる。

 f(0)= -(1-1/2^2)・ζ(3) 
    + 2π^2・[log2 /(2・2!) - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/4!
            - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/6! - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/8!
              - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/10! - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/12!
                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     -----D

 さて、AとDより、次となる。

 (2-1/2^2)・ζ(3)
   = 2π^2・[log2 /(2・2!) - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/4!
            - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/6! - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/8!
              - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/10! - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/12!
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]   ----E

 Eは収束する正しい式となっている。なお、右辺のlog2は自然対数である。

ExcelでVBAプログラムを組んでEを検証した。
math worldによれば、ζ(3)の精密値は
  ζ(3)=1.2020569032・・・       -------F
である。
 Excel計算では、Eをζ(3)=・・と変形して計算した場合、次のようになった。
4項までの和  =1.245786112・・
10項までの和 =1.209097852・・
100項までの和=1.202127399・・
500項までの和=1.202059723・・

 収束はそれほど速いわけではないが、確実にFに収束していく。

 ここで、「百武彗星 その1」の<ζ(3)の導出>で求めたζ(3)と比較してみよう。それは次のものであった。

(1-1/2^3)・(1-1/2^2)・ζ(3)
   π^2・[log2/8 - (1-1/2^2)・ζ(2)/{(4・3・2)・2^3}
         - (1-1/2^4)・ζ(4)/{(6・5・4)・2^5} - (1-1/2^6)・ζ(6)/{(8・7・6)・2^7}
           - (1-1/2^8)・ζ(8)/{(10・9・8)・2^9} - (1-1/2^10)・ζ(10)/{(12・11・10)・2^11} + ・・・・]

右辺を階乗n!を使って右辺を書き直すと、次となる。

(1-1/2^3)・(1-1/2^2)・ζ(3)
  π^2・[log2/8 - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(4!・2^3)
        - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(6!・2^5) - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(8!・2^7)
          - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(10!・2^9) - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(12!・2^11)
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     ----G


 ここでCos[ s=3, 0代入, πテイラー]のEと、このCos[ s=3, π/2代入, πテイラー]のGを比較してみよう。
並べてみる。
*******************************************
Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]のζ(3)

 (2-1/2^2)・ζ(3)
   = 2π^2・[log2 /(2・2!) - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/4!
            - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/6! - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/8!
              - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/10! - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/12!
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]   ----E



Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]のζ(3)

(1-1/2^3)・(1-1/2^2)・ζ(3)
  π^2・[log2/8 - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(4!・2^3)
        - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(6!・2^5) - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(8!・2^7)
          - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(10!・2^9) - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(12!・2^11)
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]      ----G

*******************************************

こうして並べると、一目瞭然であるが、余計に1/2^nが効いている分GはEより収束性がはるかによい。

次に、「エンケ彗星 その2」のテイラーシステム成立条件の別表現を見てみよう。その成立条件は
次のものであった。
テイラーシステムの成立条件(別表現)

 テイラーシステムが成立するには、Cos[ s=s, p代入,qテイラー]やSin[ s=s, p代入,qテイラー]
のp、q が次を満たす必要がある。

  | p - q | < R の場合はOK。       -------[T]

 ここでR は次のAやBをテイラー展開したときの収束半径である。

 f(x)=(cosx)/1^s + (cos2x)/2^s + (cos3x)/3^s + (cos4x)/4^s + ・・・ -----A

 g(x)=(sinx)/1^s + (sin2x)/2^s + (sin3x)/3^s + (sin4x)/4^s + ・・・   -----B

 ただし、収束半径を計算したとき(例えば、lim(An/An+1)(n->∞)で)、| p - q | がRとなる場合は、
εを無限小の小さい正の値とすると、@R+εかAR-εで区別できる。すなわち、@はR+ε>Rであり、
AはR-ε<R なのである。               -------[U]


 さて、上方で見たCは次である。

 f(x)= -(1-1/2^2)・ζ(3) - log2・(x-1)^2 /2!
       - 2・[(1-1/2^2)・ζ(2)・1!・(x-π)^4/(π^2・4!)
            + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!・(x-π)^6/(π^4・6!)
              + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!・(x-π)^8/(π^6・8!)
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     ------C

 この級数の収束半径Rを計算する。右辺の[ ]内の一項目からのn項をAnとすると、

  An=(1-1/2^(2n))・(2n-1)!・ζ(2n) /{π^(2n)・(2n+2)!}

である。ここで、べき級数のダランベールの定理を見ると、
  lim An/An+1=π^2      ------H
      (n-->∞)
となる。いま、@のべきが(x-π)^2で増えているので@の収束半径Rは
  R=π
となる。
しかし、いまの場合、Cos[ s=3, π/2代入, πテイラー]であり、よって成立条件より
 p=0、q=π
となる。すなわち、
  | p - q | = π
であり、成立条件の[U]の場合に当たっている。よって、[U]を確かめるため、精密にHを確かめると、
  R=π + ε     ------I
となる。εは、ε>0で無限小。
 よって、成立条件の[U]より、| p - q | < R が成り立っており、このCos[ s=3, 0代入, πテイラー]では
正しい結果Eが得られたのであった。



次にζ(5)を求める。
 @でs=5として、
 f(x)=(cosx)/1^5 + (cos2x)/2^5 + (cos3x)/3^5 + (cos4x)/4^5 + ・・・    -----@-2
を考える。
 まず、@-2のxに0を代入すると、
 f(0)=1/1^5 + /2^5 + 1/3^5 + 1/4^5 + ・・・ 
となり、これは当然
  f(0)=ζ(5)     ------A-2
である。
 次に、@-2のf(x)をπ周りでテイラー展開を行うと、次のようになる。

f(x)= (1-1/2^4)・ζ(5) + (1-1/2^2)・ζ(3)・(x-π)^2 /2!+ log2・(x-π)^4 /4!
      - (1-2^2)・ζ(-1)・(x-π)^6 /6!+ (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^8 /8!
        - (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^10 /10! + (1-2^8)・ζ(-7)・(x-π)^12 /12!
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ------B-2

 ζ(s)関数等式
  ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s) 
を用いて、変形すると次のようになる。

 f(x)= -(1-1/2^4)・ζ(5) + (1-1/2^2)・ζ(3)・(x-1)^2 /2!- log2・(x-1)^4 /4!
         + 2・[(1-1/2^2)・ζ(2)・1!・(x-π)^6/(π^2・6!)
              + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!・(x-π)^8/(π^4・8!)
                + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!・(x-π)^10/(π^6・10!)
                  + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!・(x-π)^12/(π^8・12!)
                    + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!・(x-π)^14/(π^10・14!)
                          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     -----C-2

 ここで、xに0を代入して、整理すると次のようになる。

 f(0)= -(1-1/2^4)・ζ(5) + (1-1/2^2)・ζ(3)・π^2 /2! 
    + 2π^4・[-log2 /(2・4!) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/6!
            + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/8! + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/10!
              + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/12! + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/14!
                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     -----D-2

 さて、A-2 と D-2 より、次となる。

 (2-1/2^4)・ζ(5)
   = (1-1/2^2)・ζ(3)・π^2 /2! 
       + 2π^4・[-log2 /(2・4!) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/6!
               + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/8! + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/10!
                 + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/12! + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/14!
                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]   ---E-2

 E-2は収束する正しい式となっている。右辺のlog2は自然対数である。

E-2は結構収束が速いので、Excelでの検証はせず、電卓を用いて手計算した。
math worldによれば、ζ(5)の精密値は
ζ(5)=1.0369277551・・・
である。これより、
(2-1/2^4)・ζ(5)=2.00904752・・    -------F-2
となる。
 E-2右辺を電卓で計算した結果、次のようになった。
1項までの和=4.44893478・・
2項までの和=1.63564992・・
3項までの和=1.96946561・・
4項までの和=1.99888194・・

 収束はかなり速く、急速にF-2 に収束していく。

 ここで「百武彗星 その1」の<ζ(5)の導出>で求めたζ(5)と比較してみよう。次のものであった。

(1-1/2^5)・(1-1/2^4)・ζ(5) (1-1/2^2)π^2・ζ(3)/(2!・2^2) 
  + π^4・[-log2/(4!・2^4) + (1-1/2^2)・ζ(2)/{(6・5・4・3・2)・2^5}
   + (1-1/2^4)・ζ(4)/{(8・7・6・5・4)・2^7} + (1-1/2^6)・ζ(6)/{(10・9・8・7・6)・2^9}
    + (1-1/2^8)・ζ(8)/{(12・11・10・9・8)・2^11} + (1-1/2^10)・ζ(10)/{(14・13・12・11・10)・2^13}
      +     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                             ]

右辺を階乗n!を使って書き直すと、次となる。

(1-1/2^5)・(1-1/2^4)・ζ(5)
  (1-1/2^2)π^2・ζ(3)/(2!・2^2) 
   + π^4・[-log2/(4!・2^4) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(6!・2^5)
          + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(8!・2^7) + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(10!・2^9)
            + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(12!・2^11) + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(14!・2^13)
              +  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ] -----G-2

 Cos[ s=5, 0代入, πテイラー]のE-2 と、このCos[ s=5, π/2代入, πテイラー]のG-2 を比較してみたい。
並べてみる。
*******************************************
Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]のζ(5)

 (2-1/2^4)・ζ(5)
   = (1-1/2^2)・ζ(3)・π^2 /2! 
       + 2π^4・[-log2 /(2・4!) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/6!
               + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/8! + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/10!
                 + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/12! + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/14!
                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]   ---E-2



Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]のζ(5)

(1-1/2^5)・(1-1/2^4)・ζ(5)
  (1-1/2^2)π^2・ζ(3)/(2!・2^2) 
   + π^4・[-log2/(4!・2^4) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(6!・2^5)
          + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(8!・2^7) + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(10!・2^9)
            + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(12!・2^11) + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(14!・2^13)
              +  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ] -----G-2

*******************************************

こうして並べると、一目瞭然であるが、余計に1/2^nが効いている分G-2 はE-2より収束性がはるかによい。

次に、テイラーシステムの成立条件を調べよう。上方で見たC-2は次である。

 f(x)= -(1-1/2^4)・ζ(5) + (1-1/2^2)・ζ(3)・(x-1)^2 /2!- log2・(x-1)^4 /4!
         + 2・[(1-1/2^2)・ζ(2)・1!・(x-π)^6/(π^2・6!)
              + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!・(x-π)^8/(π^4・8!)
                + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!・(x-π)^10/(π^6・10!)
                  + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!・(x-π)^12/(π^8・12!)
                    + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!・(x-π)^14/(π^10・14!)
                          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]     -----C-2

 この級数の収束半径Rを計算する。
右辺の[ ]内の一項目からのn項をAnとすると、

  An=(1-1/2^(2n))・(2n-1)!・ζ(2n)/{π^(2n)・(2n+4)!}

である。ここで、べき級数のダランベールの定理を見ると、
  lim An/An+1=π^2      ------H-2
      (n-->∞)
となる。いま、@のべきが(x-π)^2で増えているので@の収束半径Rは
  R=π
となる。
しかし、今回の場合、Cos[ s=5, π/2代入, πテイラー]であり、よって成立条件より
 p=0、q=π
となる。すなわち、
  | p - q | = π
であり、成立条件の[U]の場合に当たっている。
よって、[U]を確かめため、精密にH-2 を確かめると、
  R=π + ε     ------I-2
となる。εは、ε>0で無限小。
 よって、成立条件の[U]より、| p - q | < R が成り立っており、よって、このCos[ s=5, 0代入, πテイラー]では
正しい結果E-2 が得られたのであった。

 以上、Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]と今回のCos[ s=s, 0代入, πテイラー]の結果を合わせてまとめておこう。

ζ(3)の場合

Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]のζ(3)

 (2-1/2^2)・ζ(3)
   = 2π^2・[log2 /(2・2!) - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/4!
           - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/6! - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/8!
             - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/10! - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/12!
                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]



Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]のζ(3)

(1-1/2^3)・(1-1/2^2)・ζ(3)
  π^2・[log2/8 - (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(4!・2^3)
       - (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(6!・2^5) - (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(8!・2^7)
         - (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(10!・2^9) - (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(12!・2^11)
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]



ζ(5)の場合

Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]のζ(5)

 (2-1/2^4)・ζ(5)
   = (1-1/2^2)・ζ(3)・π^2 /2! 
       + 2π^4・[-log2 /(2・4!) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/6!
               + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/8! + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/10!
                 + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/12! + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/14!
                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]



Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]のζ(5)

 (1-1/2^5)・(1-1/2^4)・ζ(5)
   (1-1/2^2)π^2・ζ(3)/(2!・2^2) 
    + π^4・[-log2/(4!・2^4) + (1-1/2^2)・ζ(2)・1!/(6!・2^5)
          + (1-1/2^4)・ζ(4)・3!/(8!・2^7) + (1-1/2^6)・ζ(6)・5!/(10!・2^9)
            + (1-1/2^8)・ζ(8)・7!/(12!・2^11) + (1-1/2^10)・ζ(10)・9!/(14!・2^13)
              +  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ]



 テイラーシステムを用いれば、全く簡単に、様々な表示を得ることができるのである。
 これら対比の妙を味わっていただきたい




2006/12/29         < ζ(0)、ζ(1/2)は出るか? > Cos[ s=0 or 1/2,  0代入, πテイラー]

 では、次にテイラーシステムのCos[ s=s, 0代入, πテイラー]の条件で、ζ(0)やζ(1/2)は出るか?を調べて
みましょう。
 結論を述べれば、出ません。
 上のζ(3)、ζ(5)では、テイラーシステムの成立条件をぎりぎりクリアしていましたが、ζ(0)やζ(1/2)では
条件を満足することができないため、出ないことになります。
ζ(1/2)を見てみましょう。

[ζ(1/2)を調べる] Cos[ s=1/2,  0代入, πテイラー]
 まず
 f(x)=(cosx)/1^0.5 + (cos2x)/2^0.5 + (cos3x)/3^0.5 + (cos4x)/4^0.5 + ・・・ -------@

という母関数を考える。
 そして、まず上でx=0を代入する。すると
 f(0) = ζ(1/2)   -------A

となり、ζ(1/2)が現れる。

 次に、@の右辺をx=πの周りテイラー展開すると次のようになる。

 f(x)= - (1-2^0.5)・ζ(1/2)  + (1-2^2.5)・ζ(-3/2)・(x-π)^2 /2!
      - (1-2^4.5)・ζ(-7/2)・(x-π)^4 /4! + (1-2^6.5)・ζ(-11/2)・(x-π)^6 /6!
         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                  -------B

 ζ(s)の関数等式
  ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s) 
を利用して、ζ(-3/2),ζ(-7/2)・・・をすべて現実的なζ(5/2) ,ζ(9/2),・・・に直して整理整頓すると、Bは
次のようになる。

 f(x)= - (1-2^0.5)・ζ(1/2)  
      + (√2-1/2^2)・{(4!ζ(5/2)/{(2!)^2・π^2・2^4}・(x-π)^2
       + (√2-1/2^4)・(8!ζ(9/2)/{(4!)^2・π^4・2^8}・(x-π)^4
         + (√2-1/2^6)・{(12!ζ(13/2)/{(6!)^2・π^6・2^12}・(x-π)^6
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            -------B-2

これにx=0を代入して

f(0)
 = - (1-√2)・ζ(1/2)
    + (√2-1/2^2)・(4!/(2!)^2)・ζ(5/2)/2^4
     + (√2-1/2^4)・(8!/(4!)^2)・ζ(9/2)/2^8
      + (√2-1/2^6)・(12!/(6!)^2)・ζ(13/2)/2^12
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・          -----C

 AとCは等しいので、ζ(1/2)を左辺にまとめて整理すると、次となる。

(2-√2)・ζ(1/2) =(√2-1/2^2)・(4!/(2!)^2)・ζ(5/2)/2^4
              + (√2-1/2^4)・(8!/(4!)^2)・ζ(9/2)/2^8
                + (√2-1/2^6)・(12!/(6!)^2)・ζ(13/2)/2^12
                    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                  -----D

 このDは成立しているであろうか?
百武彗星 その1」でも見たとおり、ζ(1/2)の値は次の通りである。(math worldにある)
 ζ(1/2)=-1.46035450880・・・

 これよりDの左辺はマイナスとなる。しかし、右辺は明らかにプラス。矛盾であり、Dは成立していない。

 これは テイラーシステムの成立条件をみてももちろんわかる。
テイラーシステムの成立条件(別表現)

 テイラーシステムが成立するには、Cos[ s=s, p代入,qテイラー]やSin[ s=s, p代入,qテイラー]
のp、q が次を満たす必要がある。

  | p - q | < R の場合はOK。       -------[T]

 ここでR は次のAやBをテイラー展開したときの収束半径である。

 f(x)=(cosx)/1^s + (cos2x)/2^s + (cos3x)/3^s + (cos4x)/4^s + ・・・ -----A

 g(x)=(sinx)/1^s + (sin2x)/2^s + (sin3x)/3^s + (sin4x)/4^s + ・・・   -----B

 ただし、収束半径を計算したとき(例えば、lim(An/An+1)(n->∞)で)、| p - q | がRとなる場合は、
εを無限小の小さい正の値とすると、@R+εかAR-εで区別できる。すなわち、@はR+ε>Rであり、
AはR-ε<R なのである。               -------[U]


 これでも見ておきたい。
 いま、Cos[ s=s, 0代入, πテイラー]ですから、成立条件のCos[ s=s, p代入,qテイラー]と比較して、
 p=0、q=π
である。
 次に、B-2の収束半径Rを求める。
 f(x)= - (1-2^0.5)・ζ(1/2)  
      + (√2-1/2^2)・4!ζ(5/2)/{(2!)^2・π^2・2^4}・(x-π)^2
       + (√2-1/2^4)・8!ζ(9/2)/{(4!)^2・π^4・2^8}・(x-π)^4
         + (√2-1/2^6)・12!ζ(13/2)/{(6!)^2・π^6・2^12}・(x-π)^6
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・            -------B-2

右辺2項目から数えてのn項をAnとすると、

  An=(√2-1/2^(2n))・(4n)!ζ((4n+1)/2) /{((2n)!)^2・π^(2n)・2^(4n)}

である。べき級数のダランベールの定理を見ると、
  lim An/An+1=(π/2)^2      ------H
      (n-->∞)
となる。いま、@のべきが(x-π)^2で増えているのでB-2の収束半径Rは
  R=π/2
となる。
成立条件の[T]を見よう。p=0、q=π、R=π/2であるから、| p - q |=π より、
 | p - q |< R
は成立していない。よって、Cos[ s=1/2, 0代入, πテイラー]では テイラーシステムが機能しなくなり、ζ(1/2)が
求まらないとなるのである。

以上

 ζ(0)もCos[ s=0, 0代入, πテイラー]では全く同様の議論で条件が不成立となり、求まらない。






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