| 質問内容 | 『SSを遅くすると、写真が柔らかくなる、ソフトになる。』という話をどう思いますか? |
まず、『ソフトな・柔らかい写真』ってなんやねん〜〜を考えないといけません。
●ソフトフォーカス
●柔らかい光
●柔らかい色
撮影者本人に聞かないと何とも言えませんが、このどれかの事を言っているのだと思います。それぞれについて考えて見ましょう。
SSを遅くすると、第一章・基本・SSにも書きましたが、カーテンを開ける時間を長くするという事です。
これによって写真に起こる事は・・・定常光が入る時間が長くなるという事です。
自然光撮影の陸上写真では、定常光が入る時間が長くなることにより、露出がオーバーになります、手ブレ・被写体ブレが大きくなります。
フラッシュ撮影の水中マクロ写真では、
●写真が青明るくなります。(定常光比率が高くなります。)
●SSが遅くなり、ブレが長くなります。定常光比率が高くなるため、ブレが濃くなります。
陸上写真では、ソフトフォーカスレンズやソフトフィルターを使って撮影します。または、修整でソフトフォーカス風に加工します。
被写体にしっかりとピントが合っていながら、同時にボケてもいる状態です。後はネットで調べて自習して下さい。(ソフトフォーカスの定義にも色々あるようですが一般的な上記で考えます。)
SSを遅くする事では、ソフトフォーカスには絶対なりません。
ピントが合っていながら、同時にボケてもいる状態は作れません。理論的に不可能です。SSとレンズの収差は無関係です。
では、SSを遅くすることで起きるソフトフォーカス風な効果とは何でしょうか?
実はそれはブレです。えっ?っと思うでしょ?ブレとソフトフォーカスは全く違うじゃないか!!!と・・・
陸上では、間違えようのない差があります。ブレるとピントが合った部分が無くなってしまうからです。
しかし、水中マクロ撮影では、第四章・ブレに書いた通りブレには2種類ありましたね。従ってフラッシュ光によるピントがしっかりあった部分と定常光によるブレが共存します。これが一見ソフトフォーカス風に見えなくもないですね。(下記動画を参考に)
ただし、ソフトフォーカスではレンズ収差で全方位に写真が柔らかくなります。点光源は玉ボケのようになります。
しかし、ブレでは、ある一方向だけにブレが写ります。点光源が流れる車のライトのようになるのです。
●遊び方
SSを遅くすると、定常光比率が高くなり、ブレが濃くなります。より強くソフトフォーカス風になります。
SSを遅くすると、ブレが長くなります。より強くソフトフォーカス風になります。
また、青い自然光量が多い場合、明るい水中ライトを使う場合も定常光比率が高くなり、ブレが濃くなります。より強くソフトフォーカス風になります。
温帯のような暗い海では青い自然光量が少なく、定常光比率が低いため、SSを遅くしてもブレが薄くソフトフォーカス風になりません。明るいターゲットライトなどで定常光比率を高くし、ブレを濃くしなければ、ソフトフォーカス風になりません。
●僕の私見
僕には、残念ながら、ただのブレにしか思えないです。僕を含めて多くの人にはブレた写真と見られる可能性がありますので、遊ぶ時はそこに留意する必要があると思います。
という訳で、SSを遅くしてソフトフォーカス風を作るのは、お勧めしません。ただのブレになりそうだからです。
●代替案
ポートの外から周辺部にサランラップを付けたり、保護フィルターの周辺部加工したりする方がより綺麗なソフトフォーカスになるはずです。PC内で修整ソフトでソフトフォーカス風に仕上げる方が、何倍も綺麗な写真になります。(ソフトフォーカスは元からネィーチャー写真じゃない訳だし)
ポートの外にソフトフィルターを付けるとどうなるかは不明です。興味ある人は実験して教えて〜
通常の水中撮影で綺麗なソフトフォーカス写真を撮る事は、上記のような道具を使わないと無理です。
代替案として全面スケスケ前ボケを使えば、被写体にしっかりとピントが合っていながら、同時にボケてもいる写真を撮る事が可能です。もちろん同じではありません。
●ソフトフォーカスとは、被写体自体がピントが合うと同時にボケる訳です。同じ所がピンが合い、ボケるのです。
●全面スケスケ前ボケでは被写体にピントが合い、異なる場所がスケスケ前ボケとなります。
しかし、かなりソフトフォーカス風な写真になります。ブレで作ったソフトフォーカス風などよりも、段違いに綺麗です。ぜひお試しあれ〜〜第四章・ボケまとめを参照して下さい。
| 作例集 |
柔らかい光は、影を柔らかくします。結果写真が柔らかくなります。フラッシュを多灯にしたり、ディフューザーで面発光させたり、透過光・反射光を使って撮影します。
しかし・・・SSはカメラの中でシャッター幕を開ける時間が変わるだけで、カメラの外で起きるフラッシュ・ライト・自然光とは無関係です。
SSを遅くしても絶対何があろうと光は柔らくなりません。以上。
陸上撮影(フラッシュ無し・有り共に)では、SSと色とは無関係です。
しかし水中撮影では、自然光が青いです。SSを遅くすると青い自然光比率が高くなり青被りします。
第一章・SS・第二章・色の出方・第三章・青被せ(4項目すべて)、を参照して下さい。
もし、この青被せ写真が貴方のしたい事であり、あなたの意図する柔らかい写真ならば・・・SSを遅くする事は正解です。ただ、これを柔らかい写真と呼ぶのかな???
通常の青被せよりも青被せローキーの方がより柔らかい印象になります。
また温帯のような暗い海では、定常光量が少ないため、SSを少々遅くしてもなかなか青被せになりにくいですね。

(この写真は青被せローキー+スケスケ前ボケ+後ボケで、柔らかい印象になってます。)
●より良い方法(第五章・ISOまで進んでいる方)
第五章・ISOまで進んでいる方は、SSを遅くするよりもISO感度を上げるという方法で、同じく青被せ写真が作れるます。この方が、ブレが防げますので、青被せで柔らかい色を出したいのであればSSを遅くするのは悪い取引です。ISO感度を上げましょう。
●青被せとブレによるソフトフォーカス風の両方があなたの望みならば、ISO感度を上げるとブレないため、SSを遅くして、ブレを長くする事が出来ます。SSを遅くする事が正解です。
きついはっきりした色が、好みではなく、柔らかい発色が貴方のしたい事であり、あなたの意図する柔らかい写真ならば・・・そして青被せはしたくないならば・・・代替案があります。
●カメラの色設定をナチュラルに変える。
●RAW現像の時、色を変える。
青被りしない柔らかい色があなたの望みならば、SSを遅くするのは非常に悪い取引です、間違いです。明るい海では青被りしてしまいます。暗い海でさえ多少青被りします。ブレも濃く、長く目立ちます。上記の方法で確実に綺麗にデメリットなくあなたの望みが実現出来ます。
『SSを遅くすると、写真が柔らかくなる、ソフトになる。』
●あなたたの望みが、ブレでソフトフォーカス風ならば、SSを遅くする事は、正解ですが、周りから見るとただのブレた写真かも???そこに留意して下さい。(私見ですが僕にはただのブレた写真にしか見えませんm(__)m
●あなたの望みが、青被せローキーならば、SSを遅くするのは、正解です。詳細は、第三章・青被せローキーを見て下さい。第五章・ISOまで頑張って進んで戴けると、ISOを使ったより良い取引があります。
●あなたの望みが、柔らかい発色ならば、SSを遅くするのは間違いです。他の方法を試して下さい。
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