サッカーW杯の陰にかくれながら、阪神が坂道を転がり落ちるように順位を落としているのが笑えます。どのみち今年はよくて3位だと思っていたのだけど、今ごろからこれでは定位置まであるかもしれん。ここからが監督の腕の見せ所、ではありますが。
7月号で連載3回目になる「ブラック・ラグーン」 が好調。絵がいい、というか「翡翠峡奇譚」のころと比べるとずいぶん絵に艶が増した、と思います。これ以前にガムでやってた真っ暗なおはなし「Phantom BULLET」が単行本になってないのがもったいない。どこか拾ってくれないかなあ。
好調といえば「ジャジャ」 もあいかわらず安定して好調。ネームの多さでは「Dr.リアンが診てあげる」といい勝負(中身はまるで違うが)なのにすんなりそれを読ませてしまうのは、自然な会話の連続になってるからかな。このひとの以前の漫画も買ってみようかとか思い始めてます。
ほかにも「ネコの王」 に「新暗行御史」 に「吼えろペン」 と、安定感のある連載が多いのはこの雑誌の特徴かも。セールスを考えるとこれに一本、強烈な吸引力のあるのが加わればなおよいのかもしれないけどまあそれはそれ。「美女で野獣」 は個人的にはお色気はどうでもよくてもっとはっちゃけた内容のほうがうれしいのだけどまあこれはこれで。
「素晴らしい世界」(浅野いにお)については別に書きます。
6月号/新連載:「サムライDOLL」【短期集中】(神田純)
シリーズ連載:「ジャジャ」(えのあきら)
読切:「素晴らしい世界」(浅野いにお)
7月号/最終回:「トラフィッカー」(光永康則)、「ジャパニーズ あほっ子キッズ」(阿部潤)
シリーズ連載:「ジャジャ」(えのあきら)
読切:「彼女の眼球」(河内愛里)
サンデーGXでは「宇宙からコンニチハ」 「脱兎さん」に続いて3回目の登場。いまの日本を舞台にふらふらと頼りなく(すなわち真摯に)生きる登場人物たちを描く、という作風がどうやら固まりつつあります。大向こう受けはしないかもしれないけど、こういうまんがはとても好きだなあ。
頭にアンテナが生えてきてそうなると自分の意志をいっさい表さなくなる。そんな病気に仮託して、この時代を満たしている不安感と、そうなった彼女とそれでも懸命にくらす主人公の気持ちとを淡々とすくい取っていて、明るくはないけれど穏やか、という滅びの風景が的確に描いてあります。惜しむらくは、せっかくの見開き一発を、前後とのコマのつながりがよくないせいで生かし切れなかったこと。これが決まっていればなお一層よかっただけにもったいなかった。
掲載のしかたを見るかぎりこの読切がシリーズ化する可能性もありそうで、期待してしまいます。このシリーズでもいいしまた別の読切でもいい、どちらでもいいからこのひとの漫画はたくさん読みたい。次を待ちます。
サッカー観戦にまではまってしまってすっかり更新停滞中だけど、これだけは書いておきます。
武富智短編集1,2巻、2002年11月同時発売予定、とのことです。最後通牒経由WEB YoungJumpより。
愛しています集英社様。この短編の名手の短編群が形にまとまるのが、ほんとうにうれしいです。あとはただ、その日を静かに待ちます。
初めて買った雑誌。コンビニで手に取った理由は「だいすき」はちんまり属性も眼鏡っ娘属性もないおれはお呼びでない漫画でした。まあこれは好きな人向きか。
そのかわり「コサックとペレストロイカと私」 が素晴らしかった。いやこれ駕籠真太郎としてはやや余技に近い、もしかしたら気楽に描いた一本なのかもしれないけど、「再生怪人フルシチョフ・Я」(核配備)だの「再生怪人ブレジネフ・И」(勲章手裏剣)だの「酔っ払い怪人エリツィン・Ю」(四次元肝臓)だのが出てくる、ソ連〜ロシアの政治家連中に対するねじれた愛情を直撃する漫画でありました。ジャンルも国も違うが昔山松ゆうきちが麻雀誌で描いた「サンセット東条」を思いだしてしまった。
ほかにも巻末フルカラーで が「懲役15年少女」というの連載してたり、「ベビーフェイス・リターン」 の絵が気になったり。シリアスっぽく展開した の「キング」はたいへんしょうもないおちでした。このひと関西人かなもしかして。
あちこちで既報のとおり隔月刊化してます。この雑誌、突っ走っていた全盛期アフタヌーンともいささか閉塞している今のアフタヌーンとも似ていない、安定感があり安心して読めるいい雑誌になってきてると思います。
その安定感を支えているのは「蟲師」であり「もっけ」であるわけで。蟲という架空の存在を扱いながら「蟲師」 が描いているのはもちろん人間のありようなのだけど、でもやっぱり密やかに生きる異形の存在であり、自らの意図と関係なく人間を翻弄する、そういう蟲たちのありさまも見たいわけで、そのへんのバランスをこれからも上手くとってくれれば言うことはありません。一方の「もっけ」 はのんびりゆっくり変わらずに、と見せて実は少しずつ登場人物たちを成長させていて、特に仲夏号の瑞生の顔はなんだかずいぶん大人びてみえます。もうすぐ単行本なんだなあ。うれしい。おっと安定しているといえば「ラブやん」 もこれ以上ないくらい安定している気もするけどまあいいや。これも本になるのだな。
は「神原則夫の人生劇場」ですっかりユーモアとペーソスの漫画家として認知された感があって、個人的には不思議な解放感とかなしみに満ちていた「とんぼ」みたくぶっこわれたひどいまんがもまた読みたいけれど、でも「とんぼ」のほうが好き、という人間は明確に少数派だろうし、作家本人にとってはこの認知のされ方はいいことなのでしょう。春爛漫号から始まった女子高生殺し屋漫画「Ordinary±」 は気合満点の初回にやや作画がしんどそうな2回目と続いているけど、とりあえず追います。この作者は3年くらい前に学漫同人誌で読んだことがあって、同じ本にやはりアフタヌーン系でときどき描いているなつきも描いてました。刺激されたのかな。
春爛漫号掲載の「remain」(柏原麻実)については別に書きます。
春爛漫号/新連載:「Ordinary±」(高橋慶太郎)
読切:「まんぼう」(武富健治)、「remain」(柏原麻実)、「めもり星人」(フクヤジョウジ)
仲夏号/新連載:「DEAD HEADS」(弐瓶勉)
シリーズ連載:「メルトダウン」(遠藤浩輝)
読切:「渇いた花壇」(勝田知宏)
2年前、けんかをした翌日に列車事故でいなくなった彼氏を、忘れることができない少女。好意を寄せる同級生を振りほどき足を滑らせ、突然時を遡り事故の2日前に。少女はなんとかして彼の乗る列車を変えようとするのだけど。
端正でていねいで情感にあふれる、いい漫画。四季賞らしい、と言っても語弊はないかもしれない。そして5年前の四季賞特別賞、「Hello, Dear」でデビューしたこのひとの漫画を、こんな形でまた読めたのがとてもうれしい。当時16歳だったか17歳だったか、奔放でのびやかだったデビュー作を思い出し、陰翳に富んだこの漫画で最後に歩き出す主人公の姿に、5年の年齢を加えた作者の姿をだぶらせてしまうのは、たぶん年寄りの感傷というものなんでしょう。
次回作希望。こんどはこんなに間を置かずに読みたいです。