少し涼しくなったので油断したら4時間昼寝。昼寝が夜寝にくらべてはるかに気持ちいいのは、夜は寝ないといけないものだけど昼は寝ていいものだという夜型特有の理由があるのかもしれない。もうひとつ、単におれの身体が10時間睡眠仕様であるという悲しい可能性もあります。毎日10時間寝るにはすべてを投げ打たないといけないしなあ。
「エクセル・サーガ」(六道神士)で先月エクセルんちを燃してしまったのは岩田だったみたいです。正確には元岩田。回る因果は糸車、なぜかエクセル一行は鉄筋マンションへ。だらだらと続くこの連載(けなしてるのではない)、ここんとこ物語世界の構成要素が次々に組み変わってるのはなんでだろう。深い理由はないのかもしれないけど。
「カムナガラ」(やまむらはじめ)は前回に続きもう一回だけ、平穏無事な時間が。ラスト近くの展開からすると、たぶん今回限りなのでしょう。このまんがは−というかこのひとのまんが全般、登場人物はしんどいめにあってばっかり。つかの間の平穏がせめてもの救いか。
あと、花見沢Q太郎が「ももいろさんご〈番外編〉」を描いてます。本編はヤングキングで連載。買おうかな単行本。
最終回:「火消屋寿近」(田口シゲオ)
読切:「ももいろさんご〈番外編〉」(花見沢Q太郎)
いったいこれがいくつめの連載誌になるのかわからないけど、「ブックス パラダイス」(竹本泉)が新連載。「うさぎパラダイス」「アップルパラダイス」に続くパラダイスシリーズ第3弾…かどうかはともかく、でも学校舞台なあたり何に近いかといえばやっぱりアップルパラダイスだよな。そうするとせ〜ふくもの・はたらきもの→よみきり▽もの☆で、さよりなパラレル→乙女アトラスで、のんのんじー→トランジスタにビーナスなのか。いや乙女アトラスは宇宙だからのんのんじーだし未来だからてきぱきなのか。まあいいや。
話を戻すと舞台は学校図書館で、当然のように図書館は変で、ちょいと変わり者の生徒が登場人物です。おもしろいです。といってもおれこのひとのまんがはほとんどおもしろいので評者適性ゼロかもしれない。
今月号はもうひとつ、「増殖改変体第5形態」(粟岳高弘)も新連載。こっちもいなか道に女の子に変な生き物といういかにもこのひとらしいスタートだけど、いつもと違って女の子が服着てうろうろしている。もしかして裸の女の子が出てこないの初めてじゃないかしら(たぶんそんなことはありません)と思いながら読んでたら、最後の最後で変な生き物の中から裸の女の子が。でも失神してるのでうろうろはしてません。
既存連載陣では「ぼくのメイドさん」(大古真己)と「装甲の乙女達」(三ヶ日みかん&asa)と「満月の瞳」(井上眞改)と「FULL HOUSE」(みるつ)と「花八代景譜」(大空とわ)と「超!おたくの用心棒」(山浦章)と「LDK」(はしもとしん)と…っていつの間にかずいぶん増えたな。「ぼくのメイドさん」はていねいで良質なまんがです。メイドまんがってもしかしてそういうの多いのかな。「装甲の乙女達」は少女戦車隊もので、エース桃組でもしけたみがのが「鋼鉄の少女たち」を始めてるし、このジャンルのまんが商業誌で少しずつ増えてきてます。同人ではすでにけっこうメジャーなのかもしれない。「SPYでいこう!!」は2号連続でお休みで、中山かつみは代わりに「シニカルオレンジ増刷記念漫画」というのを描いてます。本編は次号再開とか。
新連載:「ブックス パラダイス」(竹本泉)、「増殖改変体第5形態」(粟岳高弘)
最終回:「いっしょのじかん」(S・マスター)
読切:「Codachito」(えびね)、「シニカルオレンジ増刷記念漫画」(中山かつみ)、「P.S.愛してる」(shiran)
3巻め。この巻では、極悪人であったはずの主人公が周囲の人たちの影響を受け、本人がそれと意識しないまま、他人を気にとめる感情を獲得して行きます。しかしそのために、それまで振るえていた、悪人のみが使うことのできる力を失ってしまう。これでまたおはなしは振り出しに戻るのか。でもたぶんそれは振り出しではないはずです。一周回って少し上の場所。
少年まんがだし物語の終着点はなんとなく予期できるけど、そこへたどりつくまでの道行きをどう描いてくれるかが楽しみ。最初に期待していたより面白くなってます、このまんが。
今朝見たらネジバナは家の近くにもいくつも咲いてました。あまり目立たない植物なのでその気になって探さないと見つからなかっただけみたいです。
陽気婢原作・森永みるく作画という読切「コシ・フル・ヨル」は、タイトルもそうだけど内容も構図もかなり陽気婢色の強いものでした。一方こっちは陽気婢がどっちもやってる「内向エロス」、つかまえた男が宇宙へ飛んでく今回の話は妙な解放感があってよかった。ところでこれで第1部完ですか。結局フィクション部分とメタフィクション部分の接合はどうなったのだ。
「ポチャポチャ天国」、「純情ぽんぽこ膝栗毛」と最近怪作を連発していた綾瀬さとみの「夏色少女」は、幼なじみゆえの壁に悩む少年少女のお話で(少なくともエロまんがとしては)たいへんまともな内容。この振れ幅はなにごとだ、いったいどういうつもりでこんなに振り回すのだとつい机を叩いてみたくなります。次はいったいどっちだろう、というかこのへんの読切はいつか1冊にまとまったりするんだろうか。一度に読まされたらたぶん途方にくれます。「少女、ギターを弾く」(朔ユキ蔵)はなんだか妙にまとまってしまった今回。でもこの作者だからここから少女はさらに脱出していくのでしょう。行き先は不明。
「も吉の物置部屋」で存在を知って以来一度見てみたいとずっと思ってたネジバナですが、なんのことはない職場近くに咲いていました。ていねいな螺旋形にならんだ小さな花びら。なんの因果でこんな形になったんでしょう。螺旋形フェチの昆虫でもいるのかな。
「クロノアイズ」(長谷川裕一)と「THEビッグオー」(有賀ヒトシ+矢立肇)がクライマックス間近、「魔剣X ANOTHER」(林田球)とたぶん「STAND☆BYみ〜ちぇ!!」(永野のりこ)も次号最終回。「THEビッグオー」はこのところとみに凄みを増してただけに惜しい気がしないでもないけど、この勢いのままラストに向かうのは悪いことではないと思います。今号で第3部完の「AMON デビルマン黙示録」(衣谷遊+永井豪)はまだまだ続きそうな感じ。
先月号で始まった「幽形聖境クークラ」(御船麻砥+田沢孔治)はけっこうスピーディな展開。絵はやっぱり迫力あります。
ところで今月号の目次をなにげなく眺めていたら、「∀ガンダム 徳光康之」という表示が!腰を抜かしてよくよく見たら一部の作品と作者名がずれていただけで、徳光康之はいつもどおり「濃爆おたく先生」を描いてます。ひとさまのミスをねたにするのは気がひけるけど、たいへんおもしろかったのでつい。
シリーズ3回目となる「不思議な少年」(山下和美)が載っています。今回は時代は室町戦国期かそれとも鎌倉後期か、主人公は野侍の頭目。こどものころから平気で人を殺してきた彼は、なぜか長じて村々から子供を連れて集め、山で生きるすべを、馬の乗り方を教える。一種の別天地となっていた彼らの根城を、しかしある日守護の軍勢が襲う。このシリーズに通底する、善悪を直ちにそれと定めない筆致は、読んでいてあいかわらずとてもおもしろいです。タイトルの由来である不思議な少年は、今回はそれほどトリックスター的な活躍は見せません。どちらかといえば観察者かな。
もうひとつ、的場健が「パパとママの穴」という読切を描いてます。基本的にはホームドラマなんだけど、影が強調されたこのひとの絵で描かれると妙にあやしげな雰囲気が。「純喫茶のこりび」(いとう耐)はいちおう今回が最後。また載せてほしいな。
気をもませる展開が続く「DARK EDGE」(相川有)、赤坂ちゃんはどうやらなんとかなったみたいでひと安心。こういうキャラクターは無事でいないといかんのだ。というかおれがそうでないとやなのだ。しかしこのまんが、設定上死人は出て当然だからなあ。
ウルトラジャンプで中断してた「真・快傑蒸気探偵団」(麻宮騎亜)がこっちで連載始まっています。
新連載:「真・快傑蒸気探偵団」(麻宮騎亜)
読切:「エヴァーグレイスII」(前編)(菅原健)
4巻の倍の枚数を費やして、なお当初予定の5巻では終わりませんでした。そりゃ終わらんでしょうというか無理に終わるより続けてもらった方がぜんぜんいいし。
練−千華子サイドの設定はだいぶはっきり見えてきました。賢−千鶴子サイドは話は進むものの、依然として謎をかかえたまま、またもや巻末でひっくり返るような事件が起きて最終巻へ。6巻はどうやらほんとうに最後になりそうです。出るのは8月か9月か、それとも10月か。
梅雨の晴れ間っつうのはもう少しこう穏やかに晴れるもんじゃねえのか。なんだよこの真夏は。
「ヤサシイワタシ」(ひぐちアサ)を読んで、昨日の今日でこれかよと思わず頭を抱える。一番痛いところを突かれたら、反射的に一番相手にダメージの行くだろう言葉を吐くのはそりゃこういう性格なら当然なんだけどさ。というようなことをまんがの登場人物についてつい書いてしまうんだから、よくも悪くも恐ろしくリアルですこのまんがの登場人物は。おそらく初めて突かれた急所、それによってこれから唐須のなにがどう変わるのかそれともなにも変わらないのか。見ものだな。
「茄子」(黒田硫黄)は一転して時代劇。もうどうぞ好きなようにやって下さい。気分はお釈迦様の手のひらの上。ちょっと目を離すとすぐボールがあさってに飛んでゆく「ぽちょむきん」(北道正幸)、今回はちゃんとコーナーを突いた変化球でした。うまいな。鉄砲玉人情譚の「細腕三畳紀」(あさりよしとお)は確かにパロディなんだろうけど、それでもほろりと来させるのだからこれまた上手いもんです。
四季賞準入選「君の言葉がききたい」(五代英輔)は高校生の主人公の前に転校生が現れての、いまどき珍しくさわやかなおはなし。斬新なというのではないけれど、こういうのはこういうのでいいなと思います。ところで吉岡宗一郎の四季賞作も読みたいぞ。
読切:「君の言葉がききたい」(五代英輔)
さいきんところどころ壊れているこの雑誌ですが、今月号は中心部からぶっ壊れてるような風情です。その原因はもちろん「実録鳥人間コンテスト」(伯林)にあります。先月号予告のあおりをもう一度だけ引用します。
「翼にかけた少女たちの青春!!」
ひょっとしてひょっとしたらほんとにそういうまんがなのかもとか、ちょっとでも期待したこっちが悪いのさ。わかってらあそんなこと。ああ悔しい。
このまんががたいへんおもしろいというほどではなかったため、オチとしては画竜点睛を欠くのが惜しまれます。やや出しっぱなしな感じでも少しメリハリがあったほうがよかったかなあと。負け惜しみ丸出しだなこの書き方。
気を取り直して。
すっかり定着しつつある「青春のささめき7」(ゴツボ*リュウジ)と「Dr.リアンが診てあげる」(竹内元紀)は今月も健在。リアンはどんどん下ネタ全開で、とうとうまともな登場人物がいなくなりました。「青春の〜」は次号に続いてるけどほんとに続くのかこれ。ゴツボ*リュウジはこのあとにえんえんと「新人漫画賞への道」というのを描いています。脚質がスプリンターだからこういう1ページものの連打はあってるかも。
こちらははるかにまっとうな読切「電汽街」(イサカミナミ)は、でもこれはこれで不思議なまんが。特にストーリーがあるわけでなく、日常の1シーンを切り抜いたようなまんがです。最後の「でも/それは偽物。」はどこまでにかかる言葉なんだろう。解釈分かれそうだな。
読切のことばっかり書いたけど、連載陣は連載陣で好調です。「成恵の世界」(丸川トモヒロ)が今回おかしかった。捨て身の友情だ。あとさき考えないとも言うか。
新連載:「RED SHADOW 赤影」(短期集中)(加倉井ミサイル+横山光輝・斉藤ひろし)
読切:「電汽街」(イサカミナミ)、「青春のささめき7」(ゴツボ*リュウジ)、「新人漫画賞への道」(ゴツボ*リュウジ)、「実録鳥人間コンテスト」(伯林)、「あたためますか?」(百やしきれい)、「Dr.リアンが診てあげる」(竹内元紀)
追記:(2001/08/27)「RED SHADOW 赤影」がリストもれしてたので追加しました。
何度も書くけど、「W−face」(ひのきいでろう)が素晴らしい。悲痛な前回から一転して緊迫した今回、ラストページがこのシーンで次号最終回ですか。どうなるのか、いったいどうなるんだろうと、じりじりとした思いでもう1ヶ月待つことになりました。まだこのまんが読んでない人は今月来月で読んだりしないでください。単行本でぜひ。
こっちはこっちでナッツがえらいことになった「マンションズ&ドラゴンズ」(佐々木亮+藤浪智之)。ファンタジーは(TRPGはともいう)つねに死と隣り合わせではあるけれど、こういう展開に持ってくとは思わなかった。「KaNa」(相楽直哉+爲我井徹)がばったりと最終回。
最終回:「KaNa」(相楽直哉+爲我井徹)
読切:「ぼくのなつやすみ」(前編)(中島零)
最近さくらんぼをよく食います。日本のもアメリカのも食うけど、あっさりお上品な日本ものよりアメリカンなチェリーの方が口にあうのがなんとなく悔しい。おいしいさくらんぼはほんとはもっとおいしいんだろうなどとつい負け惜しみを。ところでさくらんぼの「んぼ」ってあかんぼの「んぼ」と一緒なのかしら。
「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)が車まんがにサンドイッチされて載ってます。フィアット500が錆びやすいという話は、むかしカーグラフィックかなんかで読んだような気が。そうだとしたらまだ小学生のころか。
「溺れずノ市」(騎崎サブゼロ)が目をひきます。最初のページを開いて一瞬「尾道」とか思ったけど、どこかにある島を舞台のファンタジーでした。や、でもこれどこか瀬戸内っぽいような。でもたぶんこっちの勝手な思いこみだなこれは。
丁寧に描きこまれた絵は見ているだけで楽しいです。カケアミ万歳(トーンも使ってるけど)。絵だけではなく中身も密度が濃いというか、かなり省略の効いたストーリーテリングで、わかりくいといえばややそうだけどこういうの大好きなんで気になりません。ラストのわっと桜の散る光景もとても印象的で、もしかしたらこれが描きたいがゆえのまんがかなとふと思いました。この先楽しみだなあ、このひと。試しにGoogleで調べてみたら、まんがではGファンタジー「糸道戦駆」という読切だけが引っかかりました。1997年7月号とか。
すっかり定着した風情の「S and S」(西村竜)は今月も載ってます。でもまだ読切扱い。この雑誌は3回目の登場になる山名沢湖の「電話線」はフルカラーまんが、電話線を歩く少女。淡色系の色使いがきれいです。
「エビアン・ワンダー」(おがきちか)の2回目は、フレデリカとハウリィの思いのほかシビアな生い立ちが明かされます。そりゃまあ悪魔と契約するなんて尋常なことではないけれど。このかよわくもかわいい少女がこんなんなっちゃうのか、いやこんなんはこんなんでいいのだが。フレデリカって思ったよりスリムだななどとつい馬鹿なことを。
読切:「魔法の海賊ときめきマリン」(大石まさる)、「電話線」(山名沢湖)、「溺れずノ市」(騎崎サブゼロ)、「魔法少女 本願寺美礼」(どざむら)、「『ぜ』は絶望の『ぜ』」(あびゅうきょ)、「S and A」(西村竜)、「ジョニー・ザ・ランナウェイ」(月下冴喜)、「取材してない取材紀行 ドイツ編」(森見明日)、「KAZANうちあけばなし」(宮尾岳)、「Fish Song」(陽山明子)
「X−クロス−」(旭凛太朗)は相変わらず元気でよいです。けっこう話の展開が早いな。今号ではほかに「Stop!ナデシコさん」(本多健志)がおかしかった。おまぬけヒロインのおまぬけ話。
昔っから好きなおかずは最後にとっとく方なのです。そういう癖ってどこで身につくのかな。癖というより性格なのか。ついでに毎年この時期になると体調がいまいちなのは癖なのか性格なのか。
初の表紙+巻頭カラー「カネヒラデスカ?」(金平守人)。ギャグまんがの4色はムダに使うべしという不文律に忠実な内容になってます。ひょっとして表紙合わせでこの(一見)ポップな絵柄にしたのかな、この前後編。
ずっと前(約3年、らしい)にひとシリーズ掲載された「ウルトラヘヴン」(小池桂一)が新章スタート。このひとのまんがに対してドラッギーという表現がよくされるけど、今回は正真正銘ドラッギーなまんが。こちらは常識的な範囲のひさしぶり(3ヶ月ぶり)「期末試験前也」(新谷明弘)、自分の血をえさとして与える少年、飼い主の体を気づかう少女。顕微鏡を間にはさんでの今回は、おかしくてやがてたいへん悲しいお話でした。やっぱりいいなあこのひとのまんが。
「BAMBi」(カネコアツシ)は終章に向かって加速中。もうあともどりはできない。最後に立っているのはだれだ。
連載再開:「ウルトラヘヴン」(小池桂一)
シリーズ読切:「期末試験前也」(新谷明弘)
巻頭カラーとモノクロページの間にグッズの広告が6ページもはさまってる「あずまんが大王」(あずまきよひこ)。2年半前にこの適当なタイトルのまんががたいした予告もなく始まったとき、こんなたいへんなことになるとはだれも思ってなかったような気がします。それはそうと缶バッジがどんどん欲しくなってるのですがどうしましょう。買ってももてあますだけだろうしなあ。
3ヶ月ぶりに載ってるはたらく妖精まんが「Little Worker」(桂遊生丸)、今回はごきぶり退治に従事です。このまんががブラックなのはいつものことなんですが、今号はその直前に載ってる「みのライカ」(後藤なお)も負けずにブラック。やつあたり少年と毒舌少女(どっちも高校生)に天国からやってきたと名乗る少女というたいへんいやな組み合わせがすてきです。こっちは集中連載らしい。加えて「錬金術師」(逢魔文七郎)までいつのまにか登場人物ぜんぶ役たたずまんがになってしまっている。スタートしたときこんなじゃなかったような気がするのになあ。
「エイドロンシャドー」(うるし原智志)と「ダークウィスパー」(山下いくと)は『作者都合により』休載だそうな。休載理由は今までいろんなの見てきたけど、ここまではっきり言い切ったのは初めて見たかも。あんまり落ちる連載が多いんでとうとう編集部がぶち切れたのかな。
新連載:「みのライカ」(短期集中)(後藤なお)
最終回:「星界の戦旗」(小野敏洋+森岡浩之)
シリーズ読切:「Litte Worker」(桂遊生丸)、「錬金術師」(逢魔文七郎)
読切:「白い巨塔」(表野絵里)、「ミレニアスの旅給使」(騎劉たかひさ)
どちらもアフタヌーン掲載作です。「家族とそれから」は集中連載で4回載ったまんがで、デビュー作の四季賞入賞作「ゆくところ」が併録。「ヤサシイワタシ」は現在進行形の連載です。
久しぶりに読み返した「家族のそれから」は思ってたより短いおはなしで、それだけ自分にとって印象の強かったということでしょう。再婚した直後に母親が死んで、26歳の再婚相手と高校生の兄妹が遺されたところがスタート地点というユニークなおはなしです。短いだけにちっともまとまんないまんま、なんとなく方向性が見えたところでラストなんだけど、実際の人生なんてそうそうまとまるもんじゃないし、こういうお話の終わり方は十分ありだと思うし好みでもあります。こちらはもっと久しぶりに読んだ「ゆくところ」は右手右足が小児マヒで不自由な少年と、父親がアル中で母親が神経症のホモ少年というものすごい設定で、これはかなり好き嫌い分かれるかもなあ。設定のわりにどこか明るい雰囲気は、どうあろうと今の自分を肯定しているところが、ふたりの登場人物に(とくにホモ少年のほうに)あるゆえかもしれません。
登場人物がみんないいひとの「家族のそれから」にくらべ、「ヤサシイワタシ」の女主人公・唐須弥恵はイタイだのこんな女やだだの胸くそ悪いだのさんざんな言われようで、作中でも描かれるこういうタイプの人間の生きにくさが、はからずも読者の反応から立証されてしまったかっこうです。この手の才能のない天才タイプはたしかに周りを振り回すし振り回される方はやってらんないけど、いわゆるイタイ人との重大な差異として、自分に対するいらだちをつねに内包している点をあげておきたいです。言われりゃ言い返すし夢みたいなことをぺらぺらしゃべるけど、こういう人はたぶん根本的には自分を楽観視してないのです。だからこそ自分のことでいっぱいいっぱいなわけだし、それゆえになおいっそうやっかいだと言えばそうなのだけど。でもね。
このひとのまんがの特徴のひとつに、登場人物たちの未整理なまんまの感情が、せりふや表情を通してそのまんま伝わってくることがあります。思わず口をついた言葉や顔に出てしまった感情が、なんというか、直ちに読んでるほうにしみこんでくるようで、読んでいてすごく気持ちいいです。登場人物がまた揃いも揃って、見ててはらはらするくらい不器用なんで、そういうせいふや表情があっちこっちに出てくるし。
夏場の方が体重が増えがちなのは、単にカロリー消費が少ないからなのか。寒い方がカロリー消費するというのはただの思いこみなのか。札幌のラーメン屋でてんこ盛りのラーメン食いながらライスおかわりを頼んでた女性(ごく普通の体形でした)を見て以来、なんとなく強固にそう信じているのだけど。
「ぶっせん」(三宅乱丈)が最終回。しっちゃかめっちゃかなまんがだったわりに最後はきれいなまとめかただった。さて次回作はいったいどんなのになるんだろう。予測がつかない分楽しみも大きい。
「純喫茶のこりび」(いとう耐)は今回野球ネタがふたつ。そのうちひとつが「メッツは新庄と金城を間違えた」というネタなのだけど、新庄は20万ドルを2億円と間違えたといううそのような新庄に限ってほんとのような話を聞いたあとなので、そんなこともあるかもなとつい思ってみたり。
巻末の「えの素」(榎本俊二)は読んでてひさしぶりにげらげら笑う。担当さんのあおりと合わせて一本。すばらしい。
連載2回目「吉浦大漁節」(たくまる圭)は主人公と舞台を固定しての話になるようです。こういう日常まんがはオムニバス形式の一話完結のほうが描きやすいかなと思うけど、おはなしをうまいこと広げてくれるのを期待してます。せっかくのこの絵だもの、たくさんの人に読んでほしい。
暴走する遥子のせいで話が思わぬ方向に転がり出した「ハネムーン サラダ」(二宮ひかる)。みのりが親に告げる「会ってもらいたいひと」ははたしてどっちか。どっちかにもう決めてるのか、それともどっちもだったりするのか。こんなところで終わられては、じりじり来号を待つしかありません。どうなるんだ。
新連載:「月紅」(氷室芹香)
充実。1号ごとに充実度がばらばらなところが、ヤンマガ系別冊誌らしく意外性があってていいなあ。
もしかすると作者初連載になる新連載「クラーマン」(藤本青心)。孤独で非力な正義の味方という設定がポイントで、敵役が弱かった初回はさておき、狂暴な相手への対処をどう描くかな。とりあえずすべりだしはおもしろかった。
連載2回目のキックボクシングまんが「ネオジバン」(小松大幹)は快調。いままでの触ると切れそうな作風と比べるとかなりギャグ含みだけど、きれた主人公とそれを受け止めたジムの娘のやりとりを見るかぎり、芯にあるものは変わってない、と思います。先行きとても楽しみ。
「YUI SHOP」(唯登詩樹)をサンドイッチする形の「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)は2本立て、2本ともかわいいけどドライな女性陣と土壇場でまぬけな男性陣という構図。神社の石段登れる車なんてほんとにあるんだ。もうひとつ2本立てで載ってる「いいこと」(林山暢子)は、やってられない日常に降ってわいたラッキーアクシデントがテーマなんだけど、このひと竹本泉のアシスタントじゃないかしら。男くさい主人公は違うけど、わらわらと湧いてくる女の子たちの描き方がかなりよく似てる。ついでに彼女たちがのーてんきなあたりも。実録ボクシングものの読切後編「ノー・サレンダー」(野部優美)は読みごたえがあった。9年ぶりのリング復帰という実話自体、信じられないような話ではあります。
これがデビュー3作目の「スプリングロケット」(森拓真)、ストーリーはけっこうオーソドックスなボーイミーツガールものだけど、このひとの描く登場人物の表情や構図の切り取りかたに惚れ込んでる身としては、読めるだけで十分幸せだったりします。ひとつひとつのシーンに十分に間をとったほうが生きる作風なので、今回はストーリーに比してややページ数が足りなめだったかなあ。いやでも個人的には全然OK、たくさん描いてたくさん載せろ。で、これ読み終わったあとページを繰ったら「ゴルディアス」(イダタツヒコ)が巻末に。すっかり満足してたところに不意を打たれて思わず「しまったこれもあったか」と内心つぶやいてました。もう満腹。
新連載:「クラーマン」(藤本青心)
読切:「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)、「いいこと」(林山暢子)、「ノー・サレンダー」(後編)(野部優美)、「スプリングロケット」(森拓真)、「全力!かちわりお姉さん」(柘植文)
サンデーGXの陽気婢の新連載について、Koujiさん@B館がまるきり同じようなことを書いてたので笑ってしまいました。しめし合わせたわけではもちろんありません。実は同一人物ということもありません。偶然です。
その偶然を導いたものはそりゃもちろん陽気婢の絵の魅力なんですが。あの柔らかい線といったらもう。
巻頭カラー「破壊魔定光」(中平正彦)のコオネの顔色がすげえ色なんですが、これ虹の照り返しなんだろうか。それともあえてこういう色にしたのか。そうだとしたら残酷な。
物語はただいま加速中。たぶんもうすぐ神代やよいも出てくるはず、どういう姿でかは予測がつかないけれど。
この雑誌の連載作は設定がいりくんでたりわかりにくかったりするのが多くて、ぱらぱらと読むとさっぱりわかんないこともあるけれど、もう一度よく読むとわかることもあります。今回の「傀儡戲」(高橋明)も再読したらちゃんとわかりました。もう少しゆっくり読まないとなあ。いっぽうで「プロペラ天国」(富沢ひとし)はもはやさっぱりわかりませんというか雑誌で理解するのは半分あきらめてます。単行本で読めばわかるんだろうか。
「火星人刑事」(安永航一郎)はさらにお話をひっぱってます。なんだかシリアスだなこのところ。
シリーズ読切:「DOGS」(三輪士郎)
特記事項なしです。4コマ誌はあまり書くことがないことも多いな。いつものんはいつもどおり読んでるのですが。来月は桑田乃梨子が登場するそうです。
昨晩の夢見がえらく悪くて、明け方に半分うなされて目が覚める。ひょっとしたら昨日読んだ「アロマパラノイド」のせいなんだろうか。今日もエレベータに載ってて不意に妙な不安を感じたりしたし、思った以上にダメージを受けてるのかも。寝不足の状態で読んだのがまずかったかな。
新増刊です。ながらくオリジナル本誌でお休みしていた「兎−野性の闘牌−」(伊藤誠)が再開。伊藤誠は番外編の「父と子」も描いてて、この増刊の目玉的な存在になってます。もともとオリジナル本誌の目玉だったしな。
ほかに「ハリケーンガール」(秋月めぐる)「おかしな二人」(犬上すくね)「とってもメンバーガール」(重野なおき)「そらんの記憶」(日高トモキチ)「DICE」(大武ユキ)「女みょーりにつきること」(安彦麻理絵)「CRISS CROSS」(後藤正人)というのがラインアップ。個人的にたいへんおいしそうなメンバーが揃ってます。「おかしな二人」はこの作者にしては直球勝負の恋愛もの。「そらんの記憶」はたいへん叙情的な読切で、「イタカ」を性転換したみたいな感じ(変なたとえですまんです)。このひとのオリジナルを読んだの久しぶりだな、今度はぜひギャグが読みたい。「DICE」は本誌連載中「タイル」の番外編。
このなかで一番おもしろかったのが、唯一麻雀まんがでなかった「女みょーりにつきること」だったのはやや皮肉。内容はいつもどおりのこのひとのまんがといえばそうなのだけど、肩の力の抜け加減がいいなあ。さて、次号(秋に出るとのこと)はどういう人たちが描くんでしょう。
今回「月刊フリップ編集日誌」(小坂俊史)に一本野球ネタのがあるのだけど、名前の出てくるのが日本ハムの森本とロッテの平井。平井はともかく、森本なんてほとんどの人知らないぞ。マニアかさては。
「オレをもりたてろ」で初登場のふじのはるかはフラッパーで「注目の人」を描いてた人。できれば4コマでなくストーリーで読みたい気もするけど読めないよりはそりゃ読めた方が。ぐるぐる気味の黒目がポイントです(ほんとか)。かたぎりわかなは今月も4コマ一本。待ちます。
前号でまりこにふられた高史がどんどんだめになる「春よ、来い」(咲香里)。まあふられた男の多くが一時的にせよだめになるんだろうけど、これは自業自得だしなあ。だからなおいっそう、なのかもな。
このまんが、連載スタート時と現在とでストーリーがあまりつながってないけど、実際の人生って案外そんなもんかもと思ったりします。高校卒業時の自分と今の自分って、ぜんぜんストーリーつながってないし。
「コンパレ」(むとうひろし)が最終回。ラストの下げ方も含めて、急展開のわりにはラストはうまくまとまったかな。このあと読切シリーズで載るらしいので、そっちも楽しみにします。今回イシハの生い立ちが描かれている「黒竜の城」(梶原崇+田中芳樹)、宦官の欄外注に「中国などで宮廷に仕えた去勢男子の地位の低い小役人」とあるのはいくらなんでも。国を牛耳った宦官は中国史のいたるところに登場するはずです。まんが本編とは関係ないけど。
最終回:「グレゴリーホラーショー」(イワタナオミ)、「コンパレ」(むとうひろし)
陽気婢「ロケハン」が新連載。とりあえず楽しみ。というかこのひとの絵には昔からまるっきり抵抗できないので、まともな感想書くのも一苦労なのです。大学映研の自主制作映画がストーリーの軸になるのかな。今回巻頭の「新暗行御史」(梁慶一+尹仁完)は相変わらずべらぼうに上手いなあ。「アイランド」早く買わないと。
この「新暗行御史」を皮切りに、来月から連載作の単行本がどんどん出るみたいです。それから7月12日発売の増刊も。がんばってるなあ。この雑誌にはがんばってほしいなあ。
新連載:「ロケハン」(陽気婢)
最終回:「サイコトレーダーちなみ」(木村明広)
シリーズ読切:「トラフィッカー」(光永康則)
読切:「圧勝デモクラシー」(後編)(落合尚之)
街をふらふらと歩いていると突然視界に「生フェラ」の貼り紙が。仰天して見直したら「生テープ」でした。そりゃ文字の形は微妙に似てるけどさ。それにしたってなあ。
かつて篠房六郎が「中坊神経」と呼んだものとも近いこのありさまは、つまりこういうことだと思うのです。
人間ののうみそのどこかしこに大量に記憶されている言葉は、使用頻度や重要度によって分類され、すぐに出てくる場所に格納されていたり奥深くしまわれていたり、サーチ順位が高かったり低かったりするのでしょう。で、実際の重要度とは全く関係なく、ほとんどの卑猥な言葉はほとんどの中学生以上男子ののうみそにおいて、サーチ順のすんげえ高いところに格納されているのです。本人の好むと好まざるとにかかわらず。だって生フェラなんておれ、日常会話の中で使ったことなんかないぞ。下手したら生まれて一度も。
問題はこのありさまがいつまで続くかということです。70のじじいになっても生テープでびっくりせにゃならんのでしょうか。ああ。
ひさしぶりに大量引用してみます。109ページより。
今のうちに操縦するのやめてください。宇宙の記憶記憶層に(アカシア記録です)大変 なことがあります。やめてください。わたくし知りました。このままでは駄目です。だか らある韓国電気のサモンコール宇宙で知ったこと書きました。かかせられます。あなたな ら知ってくれるはずです。パラダイムを変える妨害あります。心臓が急に病気とかいった 毒観念に、襲われます。大変です。やめてください。魂地獄で嘘をつく人達ですから大き な毒です。海外で毒意識を正確にチューニィングさせました。毒宇宙人用に微調整が必要 です。毒違和感をやめて覚えてしまいました。問題は北斗七星系のルーツですから。有名 なプレアデス情報のフレッシュ地獄見ましたか。毒鬼です。魂感じの種の全体の団塊にも やはり色々な段階があるのです。スピリッツ大変です。ささくれて頭くじられます。です
まだまだ延々と続くけどこのへんにしときます。きりがない。おれはこういう文章見たことも書いたこともないのでこれがどれくらいリアルなものかわからんけど、どうやったらこういうの書けるんだろう。または書こうと思うんだろう。
別にこれは小説の地の文ではなく、主人公のもとに届いた手紙の文面なのだけど(その後しばしば同じようなのが出てくるけど)、それでもこの小説が大変なしろものであるのは間違いないでしょう。全編濃厚な狂気とおぞましい描写に満ちていて、個人的に嗅覚が敏感なほうだからというのはあったとしても、飯食いながら読んでて気分が悪くなったのは久しぶりでした。呪術色の濃い内容と主人公が追い込まれていく展開は、今まで読んだ小説の中では「ガダラの豚」に一番近いけど、あっちがアフリカ呪術であるのに対しこっちは現代日本の狂気であるという違いがあって、それがまた別のリアルさを読むものに感じさせるような気もします。
(ここからネタバレのため一部コメントアウトしてます)
好みかというと全くそんなことはないような気もするけれど(というほど好みでないわけでは実はぜんぜんないような気もするけれど)、その豊かな才能にはただ感嘆するばかりです。そして才能豊かなひとに限ってこういう小説を好んで書くのはいったいどういうわけだとつくづく思います。これはもちろん惜しんでるのではなく、ただただ感嘆してるのです。どこをどうひっくり返しても万人むけの小説ではないけれど、おそらくごく一部の人のみ必読でしょう。心当たりのある人はぜひ。
「ヒミズ」(古谷実)がどうやらいくとこまで行くようです。もうあとは見守るしかない。かたずを呑んで。
読切前編「Dr.汞」(能條純一)とは懐かしい、確かミスターマガジン創刊時の連載じゃなかったっけこれ。アユちゃんがレギュラー化しつつある「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)ってこれ実話なんかな。さらにもうひとつ読切「超能力者鈴木文子」(藤枝奈己絵)は魔法を使うだけ体調が悪くなるという設定がおかしい。何の役にもたってないしな。
あらま「スサノオ」(増田晴彦)次回最終回かあ。残念。
あいかわらずぶん回してる「清村くんと杉小路くんと」(土塚理弘)、いったい雑誌に載せられない2話ってどんななんだか。単行本には収録されるらしいので早いこと読みたい。ギャグをぶっぱなしながらもシリアスに進む「パンツァークライン」(神田晶)、でもって来月は同期デビューの荒川弘が新連載です。楽しみ。
やっとこさ1冊にまとまった快楽天掲載の読切群。ページ数が少ないからずいぶん時間がかかったなあ。うちのFEPはずっと前から道満晴明を一発変換するのです。どうでもいいか。
15編収録されてるなかで「ゼブラ」と「海と毒薬」だけ初読であとは雑誌掲載時に読んでたけど、「さっぱりだっ」で一部物好きの熱烈な支持を受けた「ハジキコマチ」で一線を越えてしまったのが、まとめて読むとよくわかります。タイトルからして壊れている「0000000013DAY」、看護婦さんのかけ合いが呪術的な「るろうに検診」、不条理さが夢っぽいけどこんな夢いやだの「ポテンシャル0」、おしりにポッキー突っ込まれて『お台場ドット混ム!』に大笑いした「誓いの代償」という一群の中でも最高なのは「大陰唇デストロイヤー」でしょう。タイトルセンスが最高(いやほんとうに)。中身も最高。これは歴史に残っていいと本気で思ってます。
いっぽう「ゼブラ」「海と毒薬」「アッカーネ」「トゲトゲ」「SIDE SHOW」「PHANTOM PAIN」の6つは従来からの持ち芸である童話風/ファンタジー風のおはなしで、ハッピー/アンハッピーが半分半分くらいの感じ。なんの救いもない異形の少女の話「トゲトゲ」もいいけど、この一群では「PHANTOM PAIN」がベストかな。悲劇的なお話を悲劇としてでなくむしろ幸せな最期として描いた、乾いた筆致がとてもよいです。これは歴史に残らんかもしれないけど大好きだな。
残る「カエル」「フェイクファー」「#<シャープ>」の3つは中間点に位置するとでも言えばいいのかなあ。童話風なんだけどラストできれいにオチている「カエル」、楽器を擬人化したとぼけたおはなしの「#<シャープ>」にスラップスティック・エロ「フェイクファー」。この3つは3つとも読んでて楽しいです。
単行本にまとまってひとくぎりついた感じだけど、これからもこの手の読切は続けてほしいなあと強く強く希望します。あうんで描いてるのはあれはあれでよいのであれはあのままで。
「エイリアン9」(富沢ひとし)新作が目玉の単発増刊、なのかな。その「エイリアン9」は3人娘の顔見せ興行といった感じで、ああなるほどこのまんがは(少なくともおれの中では)見事に完結しているのだなと読んだあと思いました。これが余計だという意味では決してなくて、こういう番外編が番外編として読めるという意味で。楽しかったです。
そのほかにもひとくせもふたくせもある顔ぶれを集めたこの増刊、その都度違う顔ぶれで1年に何回か出してくれたりしたらとてもうれしい。「すっくと狐」というタイトルがあまりに強烈でずーっと気になっていた吉川うたたは今回の「草の扉」でやっと初読で、近未来に植物化した人間という道具立てと、太い線細い線を自由自在にあやつった流麗な絵はどっちも印象に残りました。単行本買おうかなあ、どうしようかなあ。同じく名前はずっと前から知ってたけど今回初読の「クソ美少女なのか」(有希うさぎ)はお下品な少女まんがといった風情。「メトロポリス」(大熊ジン+手塚治虫・矢澤一重)の作画のひとは前から気になってる人で、できれば次はオリジナルで読みたいです。
前号から始まった「刑務所の前」(花輪和一)は、現実(ピストルをいじる作者)と昔話(鉄砲鍛冶とその娘)を行ったり来たりのあいかわらず奇妙な話。分解したさびだらけのコルトを眺めながらカップめんを食うシーンがすごい。そんなもんなのか好きなひとって。
この増刊に定着しつつある子安珠世の読切「本城質店ストリート」は、元レディースで未亡人で姑と質屋をやってる30歳女性が主人公。不思議な設定だけどかっちょいいおとなの女を描きたかったのかな。こっちでは連載になってる「シャカイの窓」(いとう耐)は相変わらずというかいつもどおりというか。こっちのがモーニングより肩の力が抜けてるかな。