そうか出産立ち会いが理由ですか >ほそいさん。ハッカミーってしょっちゅう登板しては早めに降板する個性派(といえるのか)で好きだったのですが。
「激突カンフーファイター」にまつわるレスポンス、いくつかいただいたり目にしたりしてます。いまのところ賛1否2。どちらもかなり強め。そもそもこの本買ったきっかけは裏日本工業新聞だったのだけど、小説読後に読んだ書評はこれがまたおれどころではなく熱烈賛成。これはとりもなおさず、この小説がカルトであることの証しかもしれません。少ないサンプル数で即断するのもなんなんですが。
「エクセル・サーガ」(六道神士)にとうとう三人め登場。しかしこりゃまたあくの強い。まがりなりにも一本気なエクセルにまがりなりにも無邪気なハっちゃんと上手くかみ合うんだろうか。かみ合わねえだろうなあ。とりあえずハっちゃんが血噴いたときにどういう行動を見せるのか。たぶん次回にも見られる気もします。
登場人物がどいつもこいつもという点では負けず劣らずの「HELLSING」(平野耕太)、ちゃんと2か月連続で載ってます。それどころか来月の予告にも。ひょっとして今年は毎月載るのか。今回インターミッションの「カムナガラ」(やまむらはじめ)、淡々と進むぶん以前の短編群に雰囲気が近いものが。それはそうとこの先生も部外者ではないということか。
「TWELVETIPS」(柴田昌弘)「お出かけしましょ▽」(表野絵里)「オタが行く!!」(ちば・ぢろう)と読切は3つ。おたくねたまんが「オタが行く!!」はいろいろと冗談になってない内容だったりします。最終回「ストレンジ・ドーン」(美夜川はじめ/佐藤順一)の終わり方はなんじゃこりゃいったい。こういうほっぽり出した最終回はありだと思うけど、そこまでの道行きと整合がとれてればの話でしょう。
通常の人間の思考文脈によらない特殊な知覚力を持ち、世界をより高次元でとらえることのできる能力・オムニパシー。この能力を持った主人公の少女フェブラリーが、世界の数か所に現れ人類を危機に追い込む原因となった、時間・重力の特異点「スポット」の謎を解くために、危険に満ちたその中心部へと向かう物語です。色合いは冒険譚というよりはジュブナイルに近いかもしれません。
良心的なSF小説ではあるのだけど、個人的にはもうちょっと変な人が出てきたり変なこと(特殊なことではなくて)が起こったりするほうが好みかなあ。読んだ本人はそんなことないと思ってるのだけど、小説中あちこちで展開される物理学的説明的個所がさっぱりわからんかったぶん、評価が低めになってるのかもしれない。ほかのどんな科目にも増して物理はもうまるっきりだめだったしいまでもだめなのです。いばることじゃないな。
とはいえクライマックス近く、主人公が三千世界を飛び回るシーンは想像力を喚起されたし美しかった。この小説中の白眉でしょう。読んだ時間分の楽しみはあったかなと思います。
ハッカミーって結局なんでロッテに入らなかったんだろう。契約条件の折り合いがつかなかったのかな。でも支配下選手登録までされたのに。2か月だけだったけど。
「カスミ伝△」(唐沢なをき)は塗り絵まんが。で、それだけでは終わらず最後に一発。これいったいギャグなんだかまじめなんだかと煙に巻いた時点でギャグとしては成功ということでしょう。塗るときれいそうだなこれ。
収束に向かって加速する風情の「フリクリ」(ウエダハジメ)、どんどん痛い展開になってゆく。目を開けたナオ太の目に次号で映るのは。いっぽうものすごいことになっている「魔剣X ANOTHER」(林田球)、ものすごいのだけどいったいどうなってるのかよくわからん。単行本で読めということか。第三章開始の「AMON」(衣谷遊+永井豪)、こちらの造形は最初からずっとものすごい。
読切は「The night for Magicians」(北山太一)「行くぞ!パイオーツ!!」(乙一太弓冬)の2本が掲載。今回お約束シーンの連発「ぱペット・レボリューション」(真 伊藤)、悲鳴を上げるでなく「ま、まずかったかな」というようなエリカの表情がかわいい。べっぴんだけどボーイッシュ。
カイジ、宣戦布告。まるで〆切がないと描けない作家のように追い込まれるまでは何もできないカイジ、ここから本領発揮となるか。というところで「カイジ」(福本伸行)は次回1回休み。
「全力!かちわりホームラン」(柘植文)は今回2本だて。ひさしぶりに団地に戻った「しあわせ団地タンポン黙示録」(蓮古田二郎)、ひさしぶりに思う存分情けないはじめとさなえでありました。5回連続はこれで終わり、次は桜の咲く頃とか。
「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)は4回目にして初の女の子登場。そう実はこのひとの描く女の子はかわいいのですというかおれはかわいいと思うのだけどどうでしょう。ねたさえ持つならこれ、連載にしてしまってはいかが。
あー、えーと。四の五の書くよりよっぽどわかりやすいので、掟破りでスタートからの2ページをまるまる引用します。
「ウッシッシ。貴様は世話女房だ。我が輩の世話をしろ!」 「たすけて、チカンよ。女の敵よ!」 「無駄だ。誰も来ないぜ。分かったら我が輩の言うとおりに……」 「いやーっ!」 オカッパ頭の少女の悲鳴は駅構内に響き渡った。午前2時、終電もとっくに過ぎたそん な場所に、行き交う人などいるわけも無く。 「ウッシッシ、無駄だと言ったろう。さあ、おとなしく我が輩と似合いのカップルになる のだ。その前に……」 不気味に貼りついた笑顔を見せながら白いジャケット姿の男は、自分とおそろいの白い ジャケットを少女の肩にかけた。しかもそのジャケットはウール一〇〇%。そう冬物だ! 「いやー、やめてー。助けてカンフーファイター!」 「カンフーファイター?それは誰だ」 「そんなことも知らないの?カンフーファイターは地球を守る愛の人。アンタなんかがか なう相手じゃないわ!」 「黙れ! そんなヤツなど来るものか。カンフーファイターなど所詮はただの変装好きの 体育会系だ。さあ、ジャケットに袖を通せ! 我が輩とペアルックになってデカン高原を 駆け抜けろ!」 男は、少女に対し強引にジャケットを着せようとした! 少女の叫びは悲しい程、駅中に響き渡る。そうまでして少女に乱暴する男の正体は!
ついでにもう一発。ぱかっと適当に開いた143〜144ページ。
灼熱の太陽。 走ると巻きあがる土けむり。 グラウンドを逃げるマリエとそれを追う山崎。 土けむりを浴びて乱れるミニスカートを気にもせずに山崎は追い続けた! 「ハァハァ、待ちなさいマリエ!」 マリエは振り返らず、ひたすら走り続けた。 「まてー!」 山崎の額から流れる汗がまつ毛を濡らす。 マッハ3のスピードで追い掛ける山崎。いや、マッハ3は言い過ぎかもしれない。しか しマッハ3とは言わないがマッハ文朱のデビュー当時くらいは速かった。それが速いのか どうかは分からないが、その結果山崎はマリエのそばまで追いついたではないか! 速 い! 速いぞ山崎。 マリエの着ているエナメル素材の服の中は、すでに汗でムレムレだった。 「ちっ、行き止まりか!」 「もう逃げられないわよ」 ミニスカートを直す山崎。 マリエは空手の構えを見せた。 「あがいても無駄。マリエ! そんなムレムレの体ではもう戦えないわ。あなたの負けな のよ。降参なさい。そして丈夫な子を沢山産みなさい!」 「バカにしないでよ山崎! アタシはまだ未婚の女子大生。アンタなんかにシングルマザ ーとは呼ばせない!」
285ページ、全部こればっか。これまでおれが読んだ小説の中で、びっくりマークの数では柴練三国志とため、物語内容がすっからかんなことでは右に出るものなし。読み終わってさてなんだったけと思い返してもなんにも残ってなかったです。
ギャグまんがという大きなくくりの中にはさらに純粋にギャグだけで構成されたまんが(えの素みたいなの、あるいはかたぎりわかなのまんがとか)が存在するけど、ギャグと勢いだけほかにはなんにもなしのこの小説は、純粋ギャグ小説とでも呼べばいいのだろうか。ひょっとしたら日本の出版史上初めての。少なくともおれが読んだ中では初めての。
そのへんの人100人をつかまえてむりやりこれを読ませたら、怒りだす人と笑いだす人と真っ二つにわかれるでしょう(怒りだす方が多いか)。読みたい人だけ読むべし。それから読みたい人は必ず読むべし。それにしてもこれがデビュー作のこの作者、いったいニ作目どうするんだろう。期待と心配半分半分で待つことにします。
タイトルと表紙と、伝え聞く内容と。いったいどういう代物だろうかと一度読んでみることにした本。結論から先に書くと、個人的にはどうにも読者適性を欠いていました。
すごく乱暴にたとえてしまえば、神林長平の「戦闘妖精・雪風」と「今宵、銀河を盃にして」を足して二で割って漂白して、そこに猫耳と戦車をぶちこんでかき混ぜたような小説。なにやら焼肉とデコレーションケーキを一緒に食ってるような感じがしたです。焼肉(戦車戦)もケーキ(猫耳)もどっちも好物ではないうえにごはんが美味いとか付け合わせが珍味だとかそういうこともなくて。得るものがなにもなかったかというわけではなく、珍しいもの読んだという奇妙な充足感はあったのだけど。
戦車戦好き、または猫耳好きは読んで損なし、両方好きなら読むべし、なのかなあ。あくまで推測するしかないですが。いやこれはこれでけっこうな需要があるようなそんな気もしてるですが。
このひとのまんが、「墨野ん家の事情」ではなくてこっちから先に入ったです。あっちはフィクション、こっちはノンフィクションの差はあるけれど、こっちはこっちで負けず劣らずおもしろい。でもって絵はむしろこっちの方が好きだったり。このひとの絵、なんというか絵のつくりが派手というか大柄なので、線がぶっといほうが絵が映えるんじゃないかしらんと思ってます。
そもそもがWEB上のまんがだから、ご本人のサイトで読むこともできます。興味のあるかたはどうぞ。
フラッパーの2000年9月号に紹介されたまんがなので、読んだ人もけっこういるかな。再版されたということで手に入れることができました。
子供のころ母と死別した少女が、お盆の走馬灯に誘われて、いまはダムの下に沈んだ昔の家に。そして手違いから生と死のはざまに迷いこんで。このまま母のいるここにとどまるか、母のいない現実に戻るか。そんなおはなしです。
ファンタジックなおはなしと丁寧な絵と、両方とも気持ちよくて好きです。主人公の少女の土壇場での決断シーン、もう一歩強調して(説得力を持たせて)描いた方がよかったかなあ。いやでもこれはいいな。買えてよかった。
製本と絵と内容と、3冊とも非常にていねいにつくられた本。日本の綺譚である1冊目と、竜/竜使いが主人公の2・3冊目とでは設定こそ違うけど、読んだ感じは似ています。なんというか、小さな子供に読ませたいようなまんが。絵本みたい、かなあ。丸っこい絵はけっこう好みです。
雪だるま、同窓会、学校の屋上でお弁当と短編が3つ。むずがゆいような小恥ずかしいような内容にかわいい目の絵がこのひとの持ち味で、この本でもそこは健在。このひとの絵、鉛筆描きが合うな。
まんがは3本。若いおじさんと中2の姪っ子のデート話「デートちゃん」(加賀美ふみを)がかわいらしくていいなあ。商業誌で見る絵よりもこの絵のほうが好みなのは気のせいかな、こんど確認してみよう。「ふらふらぞうにい」(JIMMY)はあっさり4ページまんがながら内容は不登校、視点は的確。確かになんで人間ってこうも差があるのか。
傾向としては最近の商業誌発表作と同方向かな。どこか欠落した男女の物語。ラストが意表で完全に一本とられました。そうかそうくるのか。
中国人みたいなのと広島県人みたいなのと黒人みたいなのと、どこぞの星の工場で働く3人の女の子がどたばたするSFみたいなまんがの2冊め。ぐにゃぐにゃした手足が特徴的なのどかな絵とのどかな内容で、お気楽に楽しめるまんがです。実はこのひとめちゃくちゃ絵がうまいような気もするですが。
「プチエヴリ」は告白する男の子を翻弄して喜ぶ悪魔な女の子の4ページ。「エトセトラ」は弁当も買えないびんぼー男に女がいらつく同棲話「貧乏ファイト」がメインで、これこのひとのまんがにはめずらしくハッピーエンドですな。
次回予告風に1ページだけ載ってる「自転車盗まれ侍」がすっごく気になるぞ。ぜひぜひ次回はこれで。
粟竹高弘とは別人だという作者の2冊。瓜頭という変な生き物がでてくるあたりはいつもと同じで、女の子がはだかでうろうろするのも同じだけど、どっちかというとこの2冊、いつものSFではなくエロまんがという位置づけでいいかと思います。個人的にはいつもののほうがいいかな。見た目はよく似てるけど。
またもや大雪。いそいそと出かけたのはいいが前回と違ったのはまだ降っているうえに強風下だったこと。めげて帰り道の途中、中華料理屋でラーメン。窓の外の風景は、スキー場の食堂にいると錯覚するほどでした。
なんかいつもよりまじめな雰囲気と思ったら(うそ)「余の名はズシオ」と「私立樋渡高校COMICS」が休載。そのせいもあって読切が4発載ってます。
「Dr.リアンが見てあげる」(竹内元紀)は医者を目指す変な女の子(変な生き物付き)が主人公。ギャグ調で進んでラスト近くでちょいといい話に変調して、そのうえでのこのラストはなかなか効いてます。ちょっと古賀亮一に似た作風と言えるかな。これはこのまんまの設定で連載にしてもおもしろいなたぶん。
「青春のささめきキック手前」(ゴツボ*リュウジ)は先月号に載ってたのの続きっぽい読切。今回はやや愚痴っぽいか。これが4回目の登場になる米倉静香の「寒鴉」、今回は雪とカラスと寒空の3つだけに絞った描写。構図の取り方が冒険的でおもしろいな。このひと、こういう一瞬の風景を見つける才能は十二分にあると思うので、あとはそれをどうまんがに再現するかでしょう。どんどん描いてほしい。「UNDER」(加倉井ミサイル)は鴻鵠館シリーズの3作目にして完結編。時制順としてはこれが一番最初か。
巻頭カラーで新連載の「G」(都築真紀)は、感情が高ぶると手から火が出る少女が主人公。いっぽうで自分の意志で水を出す少年も初回から登場してて、この対立軸がおはなしをまわしていくのでしょう。星船ハルナ再登場の「成恵の世界」(丸川トモヒロ)、今回もたいへんいいです。もしかしたらどんどん上手くなってるんじゃないだろかこのひと。
インパクトという点では今月号一番だったのは、番外編的内容の「低俗霊DAY DREAM」(目黒三吉+奥瀬サキ)。SMシーンてんこ盛り死体付きのあらゆる意味でシャレならん内容なのに全部引っくるめるとギャグになってます。もちろん黒い方。出たしのカラーページの色使い、ものすごくきれいでリアルなんだけど、いろいろと大人むけまんがだなあこれ少年誌だというのに。目次ページの「緊縛の巻中カラー」は編集者会心の一撃でしょう。
以前に前後編×2回掲載された「W−face」(ひのきいでろう)がめでたく連載化。人工知能の人格獲得というユニークなテーマと、独特のテンポを持ったまんが。これから毎月読めるのはうれしいことです。もともと連載向けの設定だし。
なんだかラブコメみたいになってきた「PRINCE STANDARD」(別天荒人)は今回でひとくぎり、来月からまた別章。学園内限定の配達ものという設定がおもしろい「学園デリバリーP&D」(一ノ矢香苗)はシリーズ連載化したようです。読切「性天の霹靂」(坂森裕)は目を覚ましたら血まみれという、アトピー患者にはしゃれにならん内容。その単なるアレルギーが大変なんだって。読切はもうひとつ「魔法少女メイドベリー」(山田ひより)が載っています。
短期集中「ヒドく澄んだ瞳」(秋重学)がスタート。かっちょいい。かっちょいいけど個人的好みからするとちょっとかっちょよすぎるなあ。まあなにはともあれ、またしばらくこの雑誌買うことになりそう。
「道子のほざき」(一條裕子)はいいなあ。本にならんかなあ。ニ盃口は二重婚。鶴の恩返しふたまた編。
学校舞台の新連載「POSSESSION」(天竺浪人)はサスペンス風のすべりだし。首の後ろに感じる熱さと、白昼夢のようにひろがる脳内映像とのつながりが鍵になりそうです。おもしろくなりそう。
動物着ぐるみエロまんが「おいでよ!ハラミー牧場」(ISUTOSHI)は元気がよくて楽しくてなによりばかばかしくて。これも着ぐるみまんが「僕のアリス」(やまのべきった)は着ぐるみ着た人以外は近づけられない、ホテル・ニューハンプシャーをひっくり返したような設定で、ラストはおさまるところにおさまってます。タイトルからして人を食った「2001年宇宙の封霊士マーコ」(RYU−TMR)、番外編でメタ漫画でしかも夢オチというなめた内容。クライマックス(と呼んでいいのかこれ)は大笑いしました。このひと、来月のガムに読切を描くようです。ガムだったらこのまんまののりで行けるでしょう。
眠い。なんでこんなに眠いんだろう。気づいたら首痛がぶりかえしてるし。とりあえずエレキバン。
シリーズ連載「おせん」(きくち正太)と「ぶっせん」(三宅乱丈)を続けて載せてるのはシャレなのか(たぶん考えすぎ)。「ぶっせん」はなんとなく単行本買い逃したまんまだなあ。そろそろなんとかせんと。
四季賞イラスト、今回はもみじ拓。四季賞出身?
「ベルセルク」(三浦建太郎)断罪篇と「愛人 AI-REN」(田中ユタカ)第3部がどちらも次回でラスト。「愛人」はその次、第4部がいよいよクライマックスか。
集中連載中で今回3回目の「ANGE」(もんでんあきこ)、前回作と同じスタンスのひたすら真摯なおなはしです。シビアだった前回のラスト、今回はどうなるんだろう。できればこの主人公にはなどと甘っちょろい思いは通用しない、それこそがこのまんがのテーマでもあるのだけど。でも。
ときどきこの日記を書くのさぼる理由はだいたい、今日は何もしないと決めたから、疲れてへろへろだから、酔っぱらってどうにもならんからのどれかです。まれには興奮のあまり内容が暴走するのを避けるため、ということもあるけど。時間がないからとか眠いからとかいうのもあるか。もとより性惰弱の身ではあります。
無邪気無防備丸ぽちゃ菜々子さん大活躍の一冊。掲載誌がエロだから主人公=瓦くんがいろいろ目撃するのは当然だし必然でもあるのだけど、このキャラクターなら学園ラブコメかなんかで見てみたいなんて詮ないことを思ってみたり。こういう何にも考えてないようでやっぱり何にも考えてないひとは、ながめてるだけで楽しいです。
実はけっこうくせのある絵なので、合わない人もいるかもしれない。いやでもいい絵だ。
すでに一部で大評判の本で、いまさら何を付け加えることもない本。原哲夫節全開の、それ以上でもそれ以下でもないまんがです。バカまんがというおおざっぱなくくりすら拒否する内容は、それ自体すでにひとつのジャンルを形成していると言っていいかもしれない。
序盤のバブリースライムみたいな田村麻呂もたいがいだけど、スーツ姿のこわもて男に周囲が「えっ??」「あ、あの人が!?」「た、田村麻呂…」「あ、あの人が田村麻呂かーーーーっ!!」と騒ぐシーン、最初は巻き込まれて読み流したけど冷静にふりかえると不条理ですらある。このあとスライム体のほうはどう始末したんだろうというのは余計な心配ですたぶん。
もう10巻か。小さいコマ割りにネームてんこもりのこのまんが、なんとなく3倍速でビデオ見てるようだなと思ってみたり。
そろそろ仕舞いどきが近づいているだろうおはなしの終着駅はどこか。どこだろう、ということが実は最初に読んだ時から気になってます。キスしておしまいが少年誌では普通という常識は、じゃじゃ馬があっさりくつがえしたし、とはいえそれ以上を描いたらすむというもんでもないし。どうすんのかな。実は夢だった、というのはほかの人がやっちゃたしな。
初めてこの本を本屋で見て、そのタイトルと表紙を見て、ふむ猫がたくさん出てきて地球儀がキーアイテムのほのぼのファンタジーかなと思ったのは何ヶ月か前。いざ読んでみるとこの予想はまるっきり外れてた。猫がたくさん出てくるのだけは当たってたけど、当然出てくると思った人間はひとりも出てこない。地球儀も出てこなくて、宇宙空間の彼方に浮かぶ地球が出てくるだけ。ほのぼのもしてないしファンタジーでもない。猫が口きくんだからファンタジーにも見えるけど、ファンタジーの要件が異世界/架空生物の介入だとするなら、この物語はファンタジーではない。あくまで現実世界の延長線上にある世界を書いた物語。
それはいつとも知れぬ未来の、巨大な人工衛星での物語。そこにはすでに人の姿はなく、高度な知能を持ち、ヒゲからの電波で意思疎通を行なう猫たちと、猫に操られあるいは自らの意志で行動するロボットが暮らしている。
猫たちの世界を統治するのは、大集会と呼ばれる宗教集団。自分たち猫を作り出したのは天使(すなわち人間)だとする世界創生の神話を守り、異端者を排除し、遠くに見える地球儀に死後の魂は行くのだと信じ信じさせる集団。ほとんどの猫たちが彼らとその教えに従って生きるなか、歴史上ほんの数十匹、天使=人間は地球から来たと信じ、はるか地球まで行くことを目指した猫が存在する。スカイウォーカーと呼ばれる彼らは排除され圧殺されながら、その信念と技術をいつか生まれる後継者に伝え続け、その三十七番目。金色の目を持つ黒猫・幽(かすか)が一方の主人公。
そのいっぽう、いつの世にも存在する、力に生き強くあることを望み、ライバルを倒し最強の座を目標とする猫たち。敗北が死を意味する闘いに命を賭け、その決闘が賭博の対象となり多くの観客を呼び、スパイラルダイバーと呼ばれる猫たちの一匹、焔(ほむら)という名の白い猫。これがもう一方の主人公。
闘いに生き、敗れてなお生き伸びることを何よりも忌む焔。三十六匹の先代の意志を継ぎ、地球儀を目指そうとする幽。二匹の孤独な猫がつくる物語をつなぎ、むすびつける猫がもう一匹。だれもが怪物と畏怖し近づこうとしない焔を恐れず、異端であり抹殺されるべき存在の幽をも避けず、まとわりつきじゃれつき仲良くしようとする茶色の子猫・楽(かぐら)。主人公ではないけれど、物語を成立させる要としての存在。
主人公が猫であることは、一見この物語の大きな欠陥に見える。登場人物たちに移入し喜怒哀楽をともにするという読み手の感情が、この小説では成立しにくい。単純な話、読者は猫でないから、人間に感情移入するより猫に感情移入するほうが難しい。
それはでも実は欠陥ではなくて、あえて作り手が意図したことのようにも思える。読者と物語とのその距離がかえって、物語を寓話として成立させているから。自分たちの同胞の物語ではなく、自分たちから切り離されたより純粋なものとして、物語を読者に伝えることに成功しているのだ。
仲間たちから突出してしまった焔と幽の物語は、そうあるべき理想として書かれるのではなく、そういうふうに生まれてしまったものが生きざるをえない、業の深い物語として描かれる。同作者の「E.G.コンバット」シリーズがそうであるように、または現実がそうであるように、物語はときに楽しく、ときに悲しく、そしてしばしば残酷である。その悲しさ残酷さはあざとささえ感じさせるものだけど、「E.G.コンバット2nd」の感想でも書いたように、それをあざとさから隔てているのは、大事な相手だろうがなんだろうが生きているものは死ぬし、死んだものは戻らない、確固として守られるこの原則に違いない。
この小説には三つのラストシーンが登場する。幽が目にしたラストシーン。焔の目から見たラストシーン。それから幽の相棒のロボット、クリスマスのラストシーン。そのどれもが、どれかひとつだけでも十分過ぎるほど美しい。涙が出そうなほどに。
この本は電撃文庫として出版されていて、電撃文庫や角川スニーカー・富士見ファンタジアなどいくつかの文庫群は、ヤングアダルトやライトノベルなどと呼ばれひとつのジャンルとしてとらえられている。だからこの小説もヤングアダルトだとするのは別にかまわないけれど、であるなら火浦功だって岬兄悟だって、高千穂遥や中井紀夫や梶尾真治だって、電撃文庫から出ていたとしたらヤングアダルトということになる。この本の読者層をSF好きに限定するつもりは毛頭ないが、和製SFが好きでいまだ現役の読み手である人間ならば、この本を知りながら読まないという選択肢はありえないとさえ思う。
読み終わった直後の頭の中では、「これ読まないのは馬鹿だ」という言葉がぐるぐるぐるぐる回っていた。自分が馬鹿かどうかはひとりひとりが自分で決めることだから、正確に言い直せば「もしこれを読まなかったおれがいたら、おれは馬鹿だ」ということになる。あやうく馬鹿に陥るところだったのを救ってくれたスズキトモユさん@メビウスひみつきちと、もう一度本野智さん@肺炎時計に感謝を。持つべきものは目の肥えた知己。
下手するとまんが単行本の感想より文庫本の感想本を書くことが多かったりする今日このごろ、おまえんとこはまんが感想サイトじゃなかったのかといぶかしんでおられるかたもおられるでしょう。いや当人もいまだそのつもりではあるのですが。
この日記もどきを始めた頃は、ハルキ文庫が新世紀で徳間がデュアルになってしかもスニーカーとか電撃とかにこんな面白いのがあるとは思わんかったのですよ。ほんとはそれじゃいかんのだけど、連載で読んでるまんが本がどうしてもあとまわしになる。今日も今日とて文庫を7冊。いったいいつ読むんだ。
ふと我に返ればあまりにも幸せなこの状況、もしかしたら国の衰退期と文化の爛熟期は重なるという、歴史上繰り返されてきたことが起こっているのかもしれないけど。衰退は衰退でまじめに考えるとして、爛熟は爛熟で楽しむことにします。そりゃもう思う存分。
とうとう巻頭の「すべてに射矢ガール」(ロクニシコージ)は媚薬ねた。悪知恵だけでなく悪運までとは、とことん悪と縁が切れない河井の「エリートヤンキー三郎」(阿部秀司)。月に一度のお楽しみ「バカ姉弟」(安達哲)は姉がアマテラス。そうか単行本予定ですか。なんか変な単行本になりそうで楽しみ。「しあわせ団地にわとり中毒」(蓮古田二郎)は2回前に登場したダルマ男再び。いいのかはじめ、主役とられてるぞ。
そうそうそう、それでいいのだ。肩の力が抜けてようやく本領発揮の感がある西村竜の「ウルトラ ニンジン ケーキ」。ふにゃふにゃしたいいかげんにも見える絵に三白眼の無愛想なこども、商業誌に発表された読切の中では今回が一番ぴんときました、最初のページひらいた時からそれはもう。個人的にはもっともっとどうてもいい話でもいいです。いやこれだって十分よいのだけど。
こちらはアワーズ系初登場、言われてみればそういえばという感もする「カエルBOX」(山名沢湖)。段ボールだらけのリアリティある新婚家庭に飛び跳ねるカエルのおはなしは、メルヘンと童話を足して2で割ったような。こういうふんわりまんががひとつ載ってると、雑誌のすわりがよくなります。続けてぽんぽん載せてくれないかな。
連載陣では「素敵なラブリーボーイ」(伊藤伸平)が快調。女の中に男が一人のバレンタイン、幸せなようでもそうとは限らない。いじめてはいてもみんな気にしてたのねというのはいいけれど、これはひょっとして修羅場か。いやなんとなくもっと隠微なさやあてになりそうな予感もしますが。
けなげなハニーがかわいくて、押し倒した現場で目撃者に頭をどやされて。物語は佳境という「ハニー・クレイ・マイハニー」(おがきちか)、次号どう落とし前つけるのか楽しみ。怒ったことないハニーが怒るか泣くか。こちらは長丁場のすえいよいよクライマックスの近い「KAZAN」(宮尾岳)、「やっとここまで来ました」という作者コメントに実感がこもってます。
こないだ少年サンデー立ち読みした時に目に留まったまんがで、あどさん@書斎の住人のおすすめもあって買ってみた本。発表時は短期集中だったという第1巻は、主人公が地獄から戻ってきた極悪人なら、続いて出てくる登場人物も極悪人ぞろいという窒息しそうな展開で、なるほど迫力あります。ついでに地獄の番卒役の女まで悪人だし。
おそらくキーパーソンになるだろう「妙にクールな」ヒロイン・いつきとかかわることで、主人公と物語が動いていくことになるのかな。2巻が出たらまた買ってみることにします。
この巻の中盤から青年編に。勢いのある絵の魅力は変わらぬながら、ごくごく個人的な事情としてこのへんのおはなしはわりとよく知ってるだけに、ちょいと読みづらくなったなあ。清河八郎なんて小説で二重に刷り込まれてるだけに。
巻末に収録されている「リィナと五平」は別冊ヤングジャンプに発表された読切で、もしかすると初めて読んだこのひとのまんがかもしれません。ハッピーエンドの好短編です。
ずいぶん刊行ペースの早いシリーズ3冊め。前2巻よりずいぶん読みやすく感じたのは、文章がこなれてきたのか、単に読むほうがこのひとの文体に慣れたのか。自分の場合、読んだ文章から受ける印象は読んでる時と場合と体調にかなり左右されるので、真相はどうなのかは不明。ともあれ、書き慣れてきたという印象を受けたのは確か。
なかみは前2巻とおなじく、主人公・キノと口をきく二輪車・エルメスの国を巡っての二人旅。物語の色調も大きく変わったところはない。このひとの小説には予定調和を否定するような意地悪なところがあって、ああ、いい/悲しい/楽しいエピソードだなあと思って読んでると、ひょいと足元をすくわれてひっくり返ることになる。とてもだめな人ばかな人は出てくるけど、とてもいい人かしこい人はあまり出てこなくて、どこか欠落した登場人物が多い。でもだからといって、人間一般に対しての悪意や悲観が見えるわけでもない。物語自体の基礎体温がけっこう低いから、読んで冷たく感じる人はいるかもしれないが。
もうしばらく続きそうなこのシリーズ、そろそろどうやって締めくくるのか気になってきたりするけど、これは先走りすぎかな。とりあえず、また次が出るのを待つことにします。けっこう首を長くして。
みかんの季節におしまいが近づき、変わってはっさくいよかんが台頭。いよかん食ったの実は久しぶりかもしれない。おいしうございました。
「水黽」(これであめんぼ、なんですね)は2年半前の本、2話収録。「海潮音」(匡人)は無国籍者を父に持ち交通事故で死んだ、16歳の少年の遺言状をめぐる推理小説調のまんが。こういう理詰めで解かれていくおはなし、好みの問題としていまいちぴんとこなかったりします。ラストはもう数ページあったほうがよかったかな。「しふくの時」(世多)は幼児趣味の父を持った青年の話と、医者でもあるその父の患者の少年の話を織り成した物語。構成が凝っていてちょっといろいろわかりにくいかもしれない。ゲストページの「Be a Fine Girl」(塔南光器)は軽快でいい感じ。
二人誌「リトルボイス」は幼なじみの絆を描いた「神様のいうことには」(カナン)と、タイムカプセルをきっかけに過去を思い出す女性の話「忘れもの」(世多)の2作収録。どちらも持ち込み作品とのことで、持ち込んだ時の編集さんとのやり取りも載ってます。こういう趣向もおもしろいな。前者は大女でがさつな少女と、きわめて温厚な少年のコントラストがおもしろい。後者は前記「しふくの時」と比べると格段に絵がうまくなってる(と思う)。おはなしはやはりややわかりにくいのがもったいない。整理されていたらとてもいい短編になったかな。
「Joint」はタイトルとは逆にこれだけ個人誌。つきあって半年、座った時に距離をとる彼氏が気になる彼女と、彼女におごったことないのが気になる彼氏。幸せな恋愛譚で、今回読んだ3つのなかではこれがいちばんよかった。おごったことないほうの決着も示されていればなおよかったかも。
本の最初と最初に載ってる「gogirl」(krbk)2本は、かたほうが転校していく友達同士、最後の電車に乗ってのエピソードで、もうかたほうは母親の本棚にあった本を読むおませな少女のおはなし。気心知れた相手とのかみ合ってない会話とそれでも通じている心、母親が「お母さん」ではなく一人の人間だと気づいた少女の喪失感と、母親のやさしく真摯な言葉。柔らかで美しい絵と見事なほどマッチした内容。もう、べたぼれです。
「confession」(ミヤマ)は自分の中の差別意識に正直だったためにかえって非難された少年が、成長して故郷に帰ってきたところ。まだ続きがあるようなので待つことにします。「羨望」(匡人)は浪人生の男と大学生の女のカップル、女性のほうの教習所申し込みに一緒に来て、そこで彼女の昔のクラスメートに会って。たあいないけどいかにもありそうなエピソードをきれいに切りとってます。いきなり終わるの、もしかするとこの人の流儀なんだな。
樹木とその根元に生える草たちを擬人化した「a tree」がおもしろい。なぜに全員エルフ耳というのは措いて、木と草が登場人物でしっかりラブコメしてる話は初めて読んだかもしれんです。しかもこの設定でないとこういうラブコメにはならんという意味で、設定はきちんと生きてるし。次の日に訪れる自らの死を見つめた「Another Day」で覚えたサークルだけど、こういう楽しげなのも描く人なんだ。これはこれでとてもいいや。
癒しの手を持った男と、男と幼い頃から一緒にいる内向的な女性。都合よく利用され失敗すると非難される彼に、自分以外に瞳が向けられることの嫉妬と、彼の行為が報われないことへのどす黒い怒り。最終的にそれが昇華されていく宗教的なおはなしでした。猫飼い少年の四コマが併録。
表紙裏表紙が3冊ともフルカラー。これが色使いといい構図といい、すっごくよいのです。眺めてて飽きない。
双子に生まれ妹は死に自分は生きていて、望まれずに生きていると思い悩む少年のおはなし「くみなな」。ヴァイオリンの才能に恵まれた彼が、ドイツへ留学することにとまどう少女の「頭脳パン」。手術のためアメリカにいる恋人を追って渡米する兄、それを知らず渡航費稼ぎのバイト現場で兄を見初めた少女、クラスメートである少女の報われることのないその思いを見つめる妹が、かなわない気持ちや祈りの行き先を思う「あした」。三つとも正統派でしっかりしてて、涼しげででも血は通っていて、微妙なものを上手にすくっていて。好みでは「あした」が一番なんだけど、これ三つともいいなあ。8月に買い逃して11月に初めて買ったサークルなのだけど、買えてほんとによかった。よいです。
人間/男にに飼われるために存在する擬似生命=ドール/女を描いた、「Purity」から始まるシリーズ4作目。この本では事故で壊れたドールの人格リセットにまつわるエピソードと、1年間という期限限定のとりきめを破っていつまでも自分のものとしようとする男の話で、どっちも人間の業がテーマと言っていいかな。けっこうこのシリーズ長いのだけど、あと2冊くらいで終わる予定とのこと。どう完結させるか。
「CHAIN」シリーズのサイドストーリー。相変わらず滝沢さん血まみれで冷たくて傲然としてます。ちぶくろ=血袋だもんな。
B7サイズのミニ本。孤児院で少年少女で監視拷問という話でした。むう。
「SWEET COLOR」「AQUATIC COLOR」は前半後半分担しての共作という本です。ある程度絵柄に共通項があるからできることだけど、おもしろいなこういうのも。「SWEET〜」は対立し住み分ける種族のこどもたちのやりとりを描いて希望を残した話、「AQUATIC〜」は人魚がらみのしんどい話です。人魚の肉食べたら不老不死と、少年の肝食べたら人魚の怪我が直る、ふたつのせめぎあい。
「雀躍」はまんが+イラストの再録集。このひと、97年ごろからがらっと絵が変わってるんだな。その前はよくありそうなアニメ絵に近いのだけど、今の白黒絵はかなり独特です。カラーイラストはひたすら美麗。
約3年前発行の本。いまでは思ったことの「7割まで言える」ようになった少女の、2割しか言えなかったころの思い出思い人の回想譚「322レ」(ともみ)が印象に残る。この本自体、このひとの個人誌買ったら一緒にいただいた本です。
タイトルの「氷」は、カラオケボックスに毎日現れては泊まっていく、かたくなな少女。「血」はそのかたくなさがほどけて血の通った人間として素顔を感情を見せること。たぶん、これで間違ってないでしょう。
近親相姦がらみの設定はこの作者らしいといえばらしいけど、カラオケボックスの店員の視点からの定点観測として描かれたこのまんが、作者の新しい一面を見せてもらったように思います。個人的にはこういうおはなしのスタイル、けっこう好きです。
本当の世界を変えてみようか。冗談でそう言い、パソコンに向かって「光よ。あれ」と言う少年。そのときから世界は本当に変わってしまった。すくなくとも少年と、親しかった少女にとっては。
京極堂シリーズでいうところの「呪い」がテーマ。それがどれほど現実に遠くても、いちど刷り込まれてしまった観念は二度と頭を離れることはないのだ。いつか来るかもしれない、憑き物が落ちるその日まで。FM−7とはしかし懐かしい、今から20年ちかく前でしょうか。
ねこみみ本。門外漢にとってはもうなにがなにやら。「おみやげはプリン」(夙川夏樹)目当てで買ったのだけど、ねこみみまんがでした。ぐう。
それはそうとおきかずひこ(まいなす)って見た名前なんだけどいったいどこで見たんだろう。この本の中で一番気になる絵描いてたの、このひとなのだけど。
天文観測さわやか少年少女まんが「Star's Sky High」(四夜みく)と、吊り橋怖いよまんが「a small small adventure.」(いしひろき)の2本だて。もしかしてと思ったら案の定、まんがのあとに十津川村は谷瀬の吊り橋が紹介されていました。「普段はそう怖くはありません」って基本的には真実かもしれんけど、最初の一回に限り大嘘です。身体的にあんな怖い思いしたの、20歳からこのかた初めてでした。
大雪。すっかりうれしくなって真夜中の街に。30男がしかも風呂上がりにという自嘲は外に出たら吹き飛びました。たっぷり20cmは積もった雪道を歩き回って15分、さすがに冷えたので退却。
よく考えると更新履歴に書いただけだったのでだれも気づいてないと思いますが、リンクをおそろしく久々に更新しました。いろいろ悩んだあげくいいかげんを旨とすることにします。
あと、さくいんも更新して、日記内に感想書いたまんがのうち特によかったのを追加しています。ついでにトップページに全文検索ボタンを置いてみました。まあこのふたつは半分自己満足です。
なにーこのみみずみたいな乳首(注:男)いやだー気持ち悪いー。田丸浩史の繰り出した新兵器に撃墜された「マリアナ伝説」、読んだのが食事時でなくてほんとによかった。ひさしぶりに原作の枷が外れてなんだかもうフルパワーの趣です。ファンなら買って読め。ファン以外は…
これが巻頭でその次が「土ワイ4」(とり・みき×ゆうきまさみ)だからあたかも数年前のキャプテンのような。これは一種のお祭りみたいなものなので、気楽にたのしむことに。今号はあずまきよひこも登場していて、「魔法遊戯・外伝 パドゥドゥ伝」はどうも自らキャラクターデザインしたアニメが元らしいんだけど、魔法少女が森で迷ってトカゲ人に刺身投げて遁走して、川に落っこちてどんぶらこという、いったいどういうアニメだかちっともわからんまんがです。ようはいつもの雰囲気。
池部ハナ子が描いてます。「チョコレートの季節」8ページ、半額処分のチョコレート。バレンタインというありふれた題材に、言葉にならない微妙なこころもちを乗せる手際は鮮やか過ぎます。上手い。
かたぎりわかなは今回も4コマ一本。もっと読みたいー。
高橋明ってマウンテンストーンの…とまっさきに思ったというのは置いといて。巻頭カラーの新連載「傀儡戲」(高橋明)、初めて読んだのだけどえらく達者な人でした。大くくりしてしまえば中国系ホラー(ほんとに大くくりだ)ということになるのかな、まずは先行き楽しめそうです。
神代やよいがどんどん迷路にはまり込んでいく「破壊魔定光」(中平正彦)、そりゃまあ人間でないほうがむしろ自然なのですが。ついでにコオネはもっとはっきり人間でないのですが。ふたりとも外見はまるきり人間なのでつい読むほうは混乱します。それもまた狙いのうちか。
表紙でも紹介されてなかったのに巻末にいきなり載っててびっくりした、OKAMAの読切「林檎時間」。かつて恋愛関係にあった画家とシスターの会話、鮮やかな笑顔と急な死と静かな意志。モノローグというには閉じていない、決意表明というには穏やかな、これはもしかすると作り手としての作者自身の宣言なのかもしれない。明るくかつ静謐な雰囲気に満ちていて素晴らしい。これ、ものすごく気に入りました。
「行動原理、無鉄砲さなど、我々のよく知ってる娘を思い出させるものがある」ですかそうですか忘れちゃいないよということですか作者が忘れてないなら読者も忘れるわけにはいかないです心して待ちましょう再登場を。というわけで「ブラック・マジックKNIGHT」(ゆうきまさみ)後編、さすがの手際できっちりとまとまりました。忙しい場面転換が物語の緊迫感を伝えるのに奏効してます。うまいもんだ。
こちらもうまいもんだの「銀の街ロマンティック」(花見沢Q太郎)後編、終わってみればすべてはお釈迦様=主人公の姉・文香のてのひらの上という感もあるけど、ここは素直にハッピーエンドを楽しむことにします。ちょうど外も雪だし。
さらにもひとつうまいもんだは「FADE OUT2」(いけだたかし)。お話のほうはまずはお約束どおりの展開ながら、絵とか構図とかコマの並べ方とか、もうおれこの人のまんがが読めるならなんでもいいです。主人公・こかげがふわっと夜空に浮かぶシーンなんかは見惚れてしまいます。見開き一発もよく効いてる。
「ネコの王」(小野敏洋)はブルマ魔法ってなんじゃそりゃ。この雑誌の読者層を正しく捉えてるということなんだろか。再登場で2号連続の「ジャジャ」(えのあきら)は相変わらず手堅い。「獣星記ギルステイン」は休載で、代わりに「作者急病のため休載します」(田卷久雄)という6ページまんがが。またもや腰が原因とのことでほんとに職業病なのだなあ。
来月はイダタツヒコ、再来月は広江礼威が読切で登場。楽しみです。
ギャグ特集号とのこと。そのためもあって読切の数がえらいことに。「レモン」(小田原ドラゴン)、「チェリーくん」(とがしやすたか)、「キャバクラ学級」(三ッ森あきら)、「アケミチャンネル」(ロクニシコージ)、「NUMBER 333」(永野のりこ)、「こんなのはじめて」(サダタロー)、「権太山キーギャング」(タイム涼介)、「妹は思春期」(氏家邦貴)、「ペアで缶詰」(山田猫)、「じいさんと海」(東和広)、「逃げた女の行方」(塩田慎太郎)、「全力!かちわりお姉さん」(柘植文)、「2人暮らし」(市川ヒロシ)、「たもっさんの瞬間(ページ)」(風間やんわり)。計14作。ベテラン中堅新人とよりどりみどりの物量戦。これだけ揃うと読後に妙な満足感が残りました。大当たりはなかったけどおもしろいのはたくさんあったし。
持ち味の不意を突くかなしみがよく出た「権太山キーギャング」、内容よりもむしろ絵が気になる「妹は思春期」、2・3年前の作品という、老人と海へのオマージュともとれる「じいさんと海」、ひじ肉あご肉食って延命というねたがたいへんいやな「ペアで缶詰」あたりが中でもおもしろかったかな。本誌に続いての登場「2人暮らし」は男のほうがもっと無表情に徹したほうがいいような。黒背景とか使わずに。
連載陣では連載2回目2作が揃って好調。「カースダイアリー」(押切蓮介)は登場人物全員の目が充血してる奇怪なまんがで、でもこれギャグなんだよな。この笑ってるんだか怒ってるんだか区別がつかない朗らかな笑顔がなんとも。「イタチ」(田村和己)は主人公(筋肉狂暴女)がボディビルの決めポーズとったシーンが圧倒的。筋肉ふくらますにもほどがある。鼻血吹いてるし。
「ゴルディアス」(イダタツヒコ)は今回ラブコメ調。どっちかというと鍵屋に押されぎみだったあやが初めて主導権を取ったおはなしかもしれない。目の強さと鋭さと意志と。「犯罪交渉人 峰岸英太郎」(記伊孝)は主人公がなんの役にもたってない展開。それともそういうまんがでこれでいいのか。
「プラネテス」(幸村誠)第7話が掲載。カラー見開きは美しいの一語。そして投入された新キャラクター・タナベ、これが愛を振り回す(って言っちゃいけないのか)とんでもおねーさんでした。今後はハチマキ木星一直線かと思っていたけどそれまでにまだいろいろありそうで楽しみです。それはそうと単行本は来週火曜日・1月23日、1冊680円。みんなで作者にトンカツ屋の2000円のランチを食わすのだ。
唐突に終わってしまった「ルビー・ザ・キッド」(木葉功一)だけど作者コメントによるとこれは中断であって終了ではなくて夏に新作でお会いしましょうとのこと。よござんす待ちましょう。しかしなんで終わっちまったんだろう。
「あずまんが大王」(あずまきよひこ)は初夢スペシャル、榊さん初夢にまたもちよパパ登場。なにか話すたびにどんどん変色していくパパがとてもすてき。「宵闇眩燈草紙」(八房龍之介)はどうにも血なまぐさい展開。もともととぼけた味と今回みたいなえぐい面が両立しているまんがではあります。
「TRAIN+TRAIN」(たくま朋正+倉田英之)は作者腰痛のため休載とのこと。職業病なのだなあ。いつもまんがのあとに載ってる原作者文章ページのほうは載っていて、このページ実はまんがのほうに劣らず楽しみにしてたりします。そうか鉄筋安坊読んでるんだ。
8回目の登場らしい読切「Little Worker」(桂遊生丸)は内容が暴走する一方。妖精って踏みつぶすと血が出るのか。そのほかの読切は「学園小町ドキッ」(秋月亮)「錬金術師」(逢摩文七郎)「地下帝国の野望」(表野絵里)「へぽへぽ」(あさきやかい)の4つ。短期集中で始まったのが「Natural Zero+」(内藤隆+フェアリーテール)、このひといつの間にか絵がこなれてきていい感じになってます。どこか原作なしで載せる雑誌はないかな。
来月から「ガンパレード・マーチ」(さなづらひろゆき)が始まるそうです。しらねえぞおれどうなっても。
「どきどき姉弟ライフ」(後藤羽矢子)が4コマには珍しくしんどい展開。だてに美少女畑出身じゃないなあというのはもちろんほめ言葉です。「キラキラフィズ」(有間しのぶ)が最終回。これも本にはならないか。
ふだんから薬をよく使う身としてどういう常識かわからんけど知っといたほうがいいかと思って買った本。どちらかというと概論的な本で、知的興奮でわくわくするようなおもしろさというのはありませんでした。そういうの期待して読むほうが間違ってるかもしれない。
まあそれでもそれなりにいろいろと勉強になったし。「稀少疾病の治療薬はもうからないから開発が進まない」という記述には虚をつかれました。言われてみればあたり前なんですが。
奥付の日付は2001年1月1日。でも店頭に並んだのはどうやら12月26日らしい。20世紀中に出たんだか出なかったんだか。とまれ14年ぶり、正確には13年4ヶ月ぶりの「未来放浪ガルディーン」3作目であります。
登場人物紹介の主人公コロナのところで「巨乳」と書いてあるのを見て、ああ14年前にはそういうことばなかったよなあとしみじみ思ったり(あったけど知らなかったのか?いやそんなはずはない、この言葉が定着したのは巨乳ハンター連載とだいたい同時期のはず)。1作目では「ロンパリ」だけど「グラマー」になってます。グラマーはともかくロンパリは死語だ。てなことを確かめるためにひさびさに1巻2巻を手にとってみたら、スニーカー文庫じゃなくて素の角川文庫だった。そうかもしかするとスニーカー文庫もなかったのか。
肝心の内容のほうは、14年の年月がなかったかのように元のまんま…では意外にもなかったです、内容がというより文体が。読んでてなんか1ページの文字数が多いなあ、もっとページが白かった気がするなあと、首をかしげて1巻2巻をぱらぱらめくってみたら、ワンセンテンスの長さが前より長くなっていた。14年はやっぱりそれなりに14年には違いなかったのだな。
まあなにはともあれ再開してよかった。外伝2巻が出るまではまあ続きは出ないだろうなと思ってたです。あとは今世紀中の完結を祈るのみ。できればおれが生きてるうちに。
こんな適当な文章でも、正月休み明けしばらくはえらく難渋しながら書いてたのですが。ようやっと戻ってきた感じです。継続は力なり、なのかなあ。
主人公・萬、予定通りの打ち込み。「萬(ONE)」(本そういち)はしかしこれ、これからどうするんだろう。ここから萬を飛ばさぬようにケンが孤軍奮闘するんだろうか。だとしたらこの主人公はいったいなに。
2本だての「西校ジャンバカ列伝 かほりさん」(神原則夫)は相変わらず容赦ないかほりさん。デートに誘ったばっかりに腎臓をなくすとはおてんとさまでも思うまい。けっこうキャリアの長い作者のもしかしたら代表作になる「むこうぶち」(天獅子悦也)、「御無礼」って実際フリーでやってる人いるんだろうか。下手にやると殴られそう。
ナオにぼこられ和月に引かれ、仕上げにユウキに踏まれたり蹴られたり。オズタカヒロ、受難の一日。いつもか。
しがらみがないうえに道楽でもない分、主人公がワニ蔵以上にやりたい放題の「不死身のフジナミ」(押川雲太郎)と、日本のアニメフィギュアその他を愛するあまり来日した困りもんマフィアが暴れる(今号はまだ暴れてないけど次は間違いなく暴れる)「コンパレ」(むとうひろし)。新キャラ登場で好き放題パワーが倍になった「イヌっネコっジャンプ!」(はっとりみつる)とあわせてなんだかこの雑誌妙に周りを省みない連中が多いような気もします。編集方針?
読切は3回連続第1回「流月抄」(池上遼一)、前後編の後編「鋏客」(玉置一平+夏秋望)と2号連続の1回目「イマジマン」(TAIRA+雨上がり決死隊)の3本。そしてそのどれよりも強烈だったのはうるし原智志のカラー4ページ。見開きひらいた瞬間背中がぞわっときました。怖い。
「ピアノの森」(一色まこと)は作者腰痛悪化のため休載。前回の休載理由もたしか腰痛だったし、腰はひどくするとひどいのでほんとにお大事にしてください。