ときどき日記(20001216〜20001231)

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2000/12/30(土)

 だからそこでガンパレなんか始めちゃだめなんだって。ああ年賀状が、年賀状がー。…きのうと同じこと書けばいいから楽だなあ。たぶんこれ、今年最後の更新になります。

マガジンZ2001年2月号

 「カスミ伝」(唐沢なをき)が休載。このひとのこういう形での休載はほんとに珍しい。内容が内容だけに出てこないときもあるのでしょう。
 「フリクリ」(ウエダハジメ)はなんだか胸の痛む展開。いつの間にか居場所のないナオ太。それともそれはいつの間にかではないのか。昔からとうにそうだったのか。ラストページが悲しい。
 『ぼんやり生きるのんき者』(登場人物紹介より)が主人公の「ぱペット・レボリューション」(真 伊藤)はたぶん、ぼんやりのんきに読むのが吉。遭難主人公の捜索願い中のやりとり「で どんな子たちだね」「やさしくていい子です」はおかしかった。アニメのまんが化らしい読切「進め!パイオーツ!!」(乙一太弓冬)はすごいタイトルだな。だいたいいまの子供にはパロディだとわからんじゃないか。

夜聖の少年/浅暮三文(徳間デュアル文庫)

 未来SF。人間が遺伝操作により闘争本能を抑制され、管理され去勢されて平和に生きる世の中。そこからはみだし地下に生きる「土竜」と呼ばれる少年少女たち。捕まれば燃やされ灰になり、逃げ続けてもいずれ死を選ばざるを得ない定めの、そんな彼らのひとりが主人公。弱々しいけどどこか他の連中と違うこの少年の成長物語がおはなしの軸。
 設定や語り口や内容に魅力的なところとひっかかるところ、どちらもたくさんあるのでいちいちあげないけど一点だけ。「生存本能はあるから戦うけど闘争本能はない」存在がおはなしの鍵になってるのはどうかなあ。どこまでが自衛でどこまでがそうでないか、明確に分けられるものではないことは、過去のそして現在の戦争の歴史がそれを証明してるはず。
 全体としては買って読んだ分だけのおもしろさはあったので、特に不平はありません。ただ300ページ超は長すぎる。状況描写をよりコンパクトにして尺をちぢめればより読み心地のいい小説になったように思います。長ければ長いほど読むのを躊躇するひとが多いだろうし。これは余計なお世話だけど。
 ちなみに白状すると、この本は懲りもせずジャケ買いです。表紙・イラストの橋本晋の絵、おはなしにあってるかどうかは全然わからん。このひとの絵を評価する能力はおれにはないです。ただながめるだけ。


2000/12/29(金)

 だからそこでガンパレなんか始めちゃだめなんだって。ああ年賀状が、年賀状がー。

近代麻雀ゴールド2001年2月号

 「きいろとむらさき」(福島聡)目当ての購入。24ページの読切ということもあってやや展開が忙しいけど、クライマックスでの描写はすごい。「虚無に犯された」体をこんなふうに表現したの、見たことないです。
 殺伐とした雰囲気に長けた作風からして、あんがい麻雀まんがは合ってるかもしれない。とりあえずもうひとつふたつ読んでみたいな。それはそうと来月から秋重学が集中連載始めるそうです。

近代麻雀2001年2月1日号

 上野顕太郎「闇雲麻雀」が載ってます。今回は一発ギャグ。「宇宙麻雀」が載ったのがほぼ6年前なので6年でシリーズ5作めということになるのか。
 3回連続の最終回「娯楽の殿堂」(市川智茂)は手堅い終わり方。「萬(ONE)」(本そういち)は主人公がどんどんどつぼに。このまま飛んで終わりということはないだろうけど、いったいどうやってここから復活するんだこの腕前で。役満一発?

快楽天2001年2月号

 「内向エロス」(陽気婢)は第4話にしてまんがとまんが中まんがが同居する展開に。これ以降は普通のまんがに戻るのか、それとも混在が進むのか。どんどんまぜこぜにしていくとすごくおもしろいものができるかもしれない。難しそうだけど。
 たいへん久しぶりの登場「暮れてゆく空の下で」(YUG)は、絵が前回見たときより華やかさを増した印象でかなりのインパクト。たぶんトーン使いから受ける印象なのかな、すごく細かく丁寧に貼ってあります。内容のほうはお兄ちゃん大好きな妹ものという、ややメルヘンからは外れた設定。いや別にメルヘンにこだわる必要もないのだけど。
 「カルメン」(鹿島田しき)はおたく男の好みの傾向が題材の、どっちかというとバカまんが。学校もの「底辺ノスタルヂヤ」(神寺千寿)はややひねった描き方をしてるけど、よく読むとけっこうひどい話。主人公は自分の行動を自分の中でどう納得させたんだろう。そのほか「DRIVE」(華沢れな)「おませなプティ▽アンジュ」(月野定規)「馬と妹▽」(町野変丸)「糾える縄のごとく」(琴吹かずき)と4つ読切が載ってます。馬はさすがに長すぎるのでやめたほうがいいでしょう。「人妻姫」(かるま龍狼)はお休みで代わりに載ってる「インポ交友会」は2000年2月号掲載作の再録。

ヤングキングアワーズ2001年2月号

 不意に「夜の燈火と日向のにおい」(鬼魔あずさ)が気になる。とても気になる。しばらく読んだり読まなかったりを続けているうちに、登場人物のうちどれが生身でどれが幽霊かわかんなくなったのだ。そのへんの区別があいまいなまんま描かれてることは、じつはかなり特異なことのように思えてくる(単に描きわけの問題、なのかもしれないけど)。もしかすると単行本に手が伸びるかこれは。
 前回田波と成沢が遭遇した「ジオブリーダーズ」(伊藤明弘)、どうなるかと思ったらなにやらすごくいい雰囲気で会話が弾む。確かに神楽の連中は曲者だらけだし、もう一方はまわりが猛者ばっかしだし、弾むのもよくわかる。めったに描かないけどこのひとこういう描写もうまいな。今回のおはなしが先々につながっていくかどうか、どっちみちラブラブハッピーな展開には作者がしてくれない気もします。
 読切「シーラカンスデイズ」(堤芳貞)は博物館舞台のファンタジー。でもって今月載ってる「HELLSING」(平野耕太)がなんと来月も載るらしい。考えてみりゃ隔月でないと描けない人でもないのだけど。

コミックメガフリーク2001年2月号

 相変わらず「花八代景譜」(大空とわ)「SPYで行こう!!」(中山かつみ)ではあります。前者は絵的にも内容的にも堅調。次号あたりでカラーイラストひとつくらい載ってるととても幸せなのですが。後者はシリアスな部分とギャグとがやや折り合いを欠いている感じ。どっちかに基調を定めたほうがよいかもしれませぬ。
 今号はもうひとつ、読切で「LDK」(はしもとしん)が載っている。まんがではこれが商業誌デビューになるのかな。内容はこのひとらしいどうでもいい日常まんがながら、ピントがやや定まってない感じがあるかなあ。たぶんコマ割りと構図の問題じゃないかと思います。まあでもとりあえずめでたいというかぜひ次号も載せてというか。これより数段いいのが描けるひとだと思うし。


2000/12/26(火)

 通勤電車で前の人が読んでる本ってけっこう気になるけど、ちょっと前にペリー・ローダン読んでる人を見かけました。いま何巻まで出てるんだろう。そして全巻追っかけてる人はいったい日本中にどれくらいいるのか。

コミックガム2001年2月号

 ここまでゆっくりと進んでいた「エンブリヲン・ロード」(やまむらはじめ)が突然の急展開。あっというまに飛び去った鳥は二度と戻ってこないのでした。ショック。
 ここんところシビアな展開の「月詠」(有馬啓太郎)。そして「無頼航軌道」(千葉秀作)の最終回は意外な形での完結。もっと長い話にもってくのかなと思ってたけど、これはこれできれいな終わり方ではあります。また繰り返される物語を予期させながら。
 やっとこさ単行本が出た「HAL」(あさりよしとお)は今回(も)時事ねた。いやブロントサウルスってそうだったのかいままで知らなんだ。ステゴは実在したんだろうな。反グルメ特別読切との触れ込みの「おたくの食卓」(山本賢治)だけど、このメニューはおいしそう。辛さの加減が勝負だろうけど試してみたいと思ったりもします。このひと、絵のアクが少し抜けたかな。
 ディープ同人おたく4コマ「辣韮の皮」(阿部川キネコ)が好調。なんだか変なオーラが漂ってる。「正しい明日の作り方」(流星ひかる)が連載開始、何度か読切で登場してた「学園デリバリーP&D」(一ノ矢香苗)も登場。次号に続いてるのでしばらく載るのかな。

少年エース2001年2月号

 巻頭カラーで「気分はもう戦争2」(藤原カムイ+矢作俊彦)が連載開始。もしかしてこれ、1(というか元祖というか)とはだいぶ毛色の違うおはなしになるんだろうか。とりあえず続きを待ちます。
 「たのしい甲子園」5巻発売記念企画という「よりぬきたのしい甲子園くん」(大和田秀樹)、もとはザ・テレビジョンに載ってる4コマらしい。プロジェクトXで少年エース編集部というねたがおかしい。毎月がプロジェクトXかひょっとしてどこの編集部も。
 読切「青春のささめきキック」で連続登場のゴツボ*リュウジ、先月とがらりと内容を変えてきました。やれ14歳だ17歳だビデオだゲームだヴァーチャルリアリティだと言われることに対する大変多くの14歳17歳のいらだちと嘆きを代弁するようなまんが。そこで蹴っとばしていいかどうかはともかく、御説ごもっともであります。この作者のまんが、どういうのが出てくるかもういくつか見てみたい。読切はほかにも再登場「猫天使初期微動」(中山かつみ)と同じく再登場「グレネーダー」(海瀬壮祐)と桃組掲載作の続き「がぁーでぃあんHearts」(天津冴)の3つが掲載。中山かつみの再登場はとりあえずうれしい。これはこれで毒を盛りつつ続けていったらいい感じになるかも。
 連載では「マクロス7トラッシュ」(美樹本晴彦)が最終回を迎えてます。

ヤングチャンピオン2001年2号

 「池袋ウエストゲートパーク」(有藤せな+石田衣良)が新連載。入れ代わるように「もがけ!100万馬力」(近藤良秋+青柳俊)が最終回。いい区切りでの完結ではあります。しかし昭和62年の勝率8割というのはめちゃくちゃだな。タイトルも4つとってるし。
 「鉄筋安坊」(近藤佳文)はまだ単行本でないのかなあ。そろそろ2冊分たまるころ。


2000/12/25(月)

 出勤途中で車体に東亜工業と書いた車をみかける。バキュームカーでした。

ヤングマガジン2001年4号

 「しあわせ団地黙殺サンタ」(蓮古田二郎)が載っている。あと4号続けて載るらしい。めでたい。そうかそんなに化粧したさなえがいいのか。今回はラブです。
 「全力!かちわりホームラン」(柘植文)は今回も載っていた。載っていたのだがいざ探すとどこにあるのかなかなか見つからない。これは切り抜くとき泣くな。

アフタヌーン2001年2月号

 「ヤサシイワタシ」(ひぐちアサ)がいい。めちゃめちゃいい。恋愛初期のこっぱずかしさをそれだけを強調して描くんではなく、「でもほんとうに、ほんとうに好きなんだよおおおおっ」という飛んでいきそうな心持ちを逃さず描いてるのが素晴らしい。登場人物もその挙動のひとつひとつもいちいち心に残る。読んでるほうまで舞い上がって、このひと天才じゃないだろかとか口走りたくなってくる。すんごくいい。
 もうひとつ、毎度毎度ながら「茄子」(黒田硫黄)。なんでいきなりスペインの自転車レースの話になるのだ。イタリア人も混じってる気もするけどんなこたどうでもいい。こういうのがどこから出てきて、でもってなんでおもしろくなるのか、おれにはわからん。しかも前後編だし。前編ではちょっと出ただけの茄子は後編では出てくるのか。だいたい先月はどこに茄子が出てたんだ。
 世紀またぎのテーマに震災を選んだ「神戸在住」(木村紺)。選んだというより、その場にいたものとして選ぶ以外の選択肢はないということかもしれない。「ヨコハマ買い出し紀行」(芦奈野ひとし)ではアルファさんが1年ぶりの帰郷。そして危うく忘れそうになる「アルファは年を取らない」ということの意味が鮮明に。周りの人が成長しやがて年老いても、このひとはこのままなのだ。いつか動かなくなる日まで。
 気がついたら登場人物がたいへんな数になってる「イハーブの生活」(小路啓之)は、たぶん人物一覧を手元に置きながら読んだほうがいいかもしれない。でも粘り強く読むとかなりおもしろいのだな。ひさびさトニーたけざきの新連載「SPACE PINCHY」はフルカラー。内容は予想通りというか期待どおりというか芸人の鏡だなこのひと。連載2回目「細腕三畳紀」(あさりよしとお)は今回も三葉虫がひどいことに。電子レンジで猫を乾かしてはいけません。三葉虫虐待まんがなんだろうかこれ。
 四季賞準入選「GREEN SUN」(谷広野)は17歳の作者による、ネームの洪水のようなまんが。この世代のおしゃべりをよく再現してて、たしかにこれは古い世代には描けないまんがではあります。いつまでも仲良しのままではいられないんだけどなあ、そこを踏み越えたあとのまんがも見てみたいなあと意地悪い大人としては思ってみたり。読切はもうひとつ、ギャグパラ大賞準大賞「謹製をつ豆!」(ちらのブロン)も掲載。「風林火嶄」(小川雅史)が最終回。「大合作2」(いろんなひと)はお祭りなりに楽しく。小原愼司本人の出演がいちばんおかしかった。


2000/12/24(日)

 新しいテレビが届く。ゲームの音がステレオなんで驚く(ステレオテレビだからあたりまえだ)。いままで最善のCD再生環境ってぱそこん様だったのだけど、ひょっとしてぷれすて様+てれび様のがよくなったのか。いずれにせよ音楽的に不毛な環境ではある。

アワーズライト2001年1月号

 「恋愛ディストーション」(犬上すくね)は見覚えのある美容師さん登場。で、その高校時代がエピソード。しかしこれは好きになった男にとっては勘弁してほしい状況ではあるなあ。こういうくせのある女に惚れる男はくせのある女にしか目が行かないだろうし、なかなかそういうのいないし、だからもしかするといまだに引きずってるだろうし。いっそのこと「おまえなんかどうでもいい」と言ってもらったほうが幸せかもな。いやでもそれはそれで堪えるか。
 「放課後ぷらす」(鬼魔あずさ)は炎天下の木陰、光と影の表現がおもしろい。実際の見え方にかなり近い感じ。「紺碧の国」(水原賢治)の亜理子(ありす)という登場人物を見て、マンガ少年版夢幻紳士を思い出す。そっちの亜里子は巨大化して「キシャーッ」とそのへんを踏みつぶし去っていくのでした(本当)。「素敵なラブリーボーイ」(伊藤伸平)はのんびりムードが加速。今作はこのままで押すんだろうか。今までが今までだっただけに妙なスリルが。好調どざむら「Clime Your Self」、今回も悪くない。そろそろほんとに短編集出ないかな。

別冊ヤングマガジン2001年15号

 これがデビュー作という「真剣師黎太郎」(立野和洋)は女に見境のない賭け将棋師の少年が主人公。尽くしてちっとも報われない昔馴染の少女が出てきて、いろいろあって少しだけ心が通じたみたいで、めでたしめでたし…では全くないラストがおかしい。現実なんてこんなもんかも。もしかしたらこっちもデビュー作「中学生日記」(こうのこうじ)は性欲駆動な中学生男子のおはなしで、シチュエーションは妄想的ながらありあまるエネルギーをもてあますさまがよく出てます。このふたつはこの雑誌らしいといえばらしい読切かな。
 さらにもうひとつデビュー作「眼を閉じて」(月子)は彫刻家の卵と盲目の少女の交流を描いたまんがで、やや少女まんが風の絵も含めてこれはオーソドックスにいい話。すっかり仲良しのラストがいいなあ。こちらは久々登場坂井恵理「ミテ・ミル」は今度は性欲駆動の女の子のおはなしで、終盤の「だめだ/この欲望はあたしのモノなのに/男たちに取り込まれてしまう/あたしだけが気持ちよくなりたいのに」という独白がキーワードになっている、そういう内容。まんがとしてはよくまとまっててOK。絵のほうは個人的には前から大OK。ラストシーンの頬を染めて見とれる少女の顔が可愛い。見てるものはともかく。
 新連載がふたつ、「イタチ」(田村和己)は巨大かつ凶悪かつ無敵の女子高生が登場。しかも無表情。「カースダイアリー」(押切蓮介)はヤンマガ系で変なホラー読切ばっかり描いてる作者のやっぱり変なホラー。ホラーとギャグのほぼ境界線上にあるまんがで、怖い絵描くひとが描いたら間違いなくホラーになりそうな内容。連載2回目「犯罪交渉人 峰岸英太郎」(記伊孝)はまじめなんだかまじめでないんだかというペースで話が進みます。この人の絵はいいなあ。
 この雑誌の1号・2号に載っていた「佐藤陽一(24)」(藤寿男)が再登場。「夢色お兄ちゃん」(藤枝奈己絵)は13号に載ってたのの続き。「チギッテハ投ゲ」(小林健志)が最終回。

ビジネスジャンプ2001年2号

 「イエスタデイをうたって」(冬目景)連載再開につき購読再開。今回の滑りだしはいい感じ。このはなし、故意にはなしを作ったり進めたりしないで、なりゆきまかせにちんたら進めたほうがよいのかもしれない。「奥さま日和」を描いてる後藤友彦ってチャールズ後藤と同一人物なんでしょうね。絵が一緒。

「柊の僧兵」記/菅浩江(徳間デュアル文庫)

 一見ファンタジー世界のバックボーンに異星人の科学技術があるという、たいへんSFらしい小説。ひとことでいってしまえば弱く情けない少年の成長物語です。そのまわりに幼なじみの少女とか、別の村で出会った悪童とか、不思議な力を持つ指導者とか。わりとオーソドックスな作りではあります。
 小説の文章の中にはたぶん、だれが見ても名文とだれがみても下手くその間に、無数の「ある人にとっては読みやすく/うまく、ある人にとっては普通/特に印象がなくて、ある人にとっては読みにくい/下手な文章」があるのだろうから、うまい下手というのは自分の思った以上に自分の印象を一般化するのは危険だけど。それにしてもこの小説は読みにくくて、終盤に入るまでつっかえつっかえだった。おかしいなあメルサスの少年にはそういう印象持った記憶がないんだけどなあと思ってたら、これ、1990年発表の第一長編だったのか。それならなんとなく納得がいくような。
 ストーリー運びと決着のつけ方はごくまっとうと言っていいでしょう。SF好きならまあ読んでみてもという本かな。あとは少年の成長物語が好きな人なら。


2000/12/22(金)

 忘年会シーズン。せっかく減ってきた体重が元に戻るのは切ないものがあります。食うのも飲むのも根本的に好きなのが問題なんだろうな。飲むとやたら食いたくなるのはもっと問題。飲み会で残り物をもったいないと思うのは致命的。いや、もったいないのはもったいないんだけど、食ったから何がどうなるわけでもないのだ、冷静に考えれば。自分の脂肪になるだけ。

モーニング新マグナム増刊2001年18号

 今回の「ちひろ」(安田弘之)はいい話。いや、単純にいい話と書くのは語弊があるな。酸いも甘いも噛み分けた同士の、あやうくも軽やかな遊び。これは粋というものかもしれない。20ページ・21ページの2ページ、今回だけでなくもしかするとこの連載中の白眉です。
 読切「生の一閃」(島崎譲)は岡田以蔵のはなし。実はこのひとのまんが今まで食わず嫌いでちゃんと読んでなかったんだけど、艶のあるいい絵だななんていまさら気づいてどうするんだと思うけど気づいた次第。このひと、原作付きまんがを描かせるとものすごく光るかもしれないと思ったり。同じく読切「ガンダルヴァ」(正木秀尚)は以前モーニングに掲載されたのと同設定で、内容的にはこっちのほうがよかったと感じたのは、異常嗅覚の持ち主である主人公を狂言まわしにした、人体の発する特定の(いやな)においに敏感でそれがいやさに飲んだくれる男と、酔っぱらったその男の不思議に芳香馥郁たる体臭を嗅ぎ当てる女の、奇妙だけど真面目な恋愛譚になってるあたりが気に入ったんだろう。やや幻想的にしめくくったラストもいいし、これはこのまんまシリーズにしてほしいな。さらに読切「S60チルドレン」(川畑聡一郎)は2話掲載された前号の続き。今回は小学生の惚れた好いたのおはなしです。
 これは読切というよりシリーズ連載の「月と雲の間」(岩館真理子)は、登場人物たちの妄想妄話満載なのにほんのりといい話という不思議なまんが。言ってることはめちゃくちゃだけど大筋だけは間違ってない人みたいなものか。魅力的です。これも以前から何度か載ってる「さいぱら」(ちゃおス)も今回載ってます。

まんがライフ2001年1月号

 「ムテキのOL!!神取つばさ」を描いてる森田フミゾーと、「かいしゃいんのメロディー」大橋ツヨシ。このふたり、やたら同じ雑誌に載ってることが多いような気がする。ピンで載ってることとどっちが多いか、調べてみるのもおもしろいかも(大変そうだけど)。だいたいデビューからして確かスペリオールの同期だったような。
 「てけてけマイハート」(竹本泉)は今回4色。この水彩っぽく見えるの、まさかCGで塗ってるんだろうか。まさかね。にしてもいいなあこの色。

ウルトラジャンプ2001年1月号

 前回とっつかまった小糸、簡単にばらされて簡単に復活。合成人間って便利でいいな。あいかわらずな調子の「プロペラ天国」(富沢ひとし)、このひと世が世ならホムンクルスとか作ってるんじゃないかしら。いやむしろゴーレムのほうか。
 なんだかほんとうにマジ連載らしい「アラハバキ」(六道神士)だけど、それでもいまだに疑念がのこってたりします。最終回まで全部この調子で最後にどんでんじゃないだろなとか。いやたぶん下種の勘繰りでしょう。「アガルタ」(松本嵩春)はとうとう現れたリリスの魔女が意外にも普通にしゃべる、話が通じる。こういうのが一番怖かったりもします。正気で平然と人を壊す。
 「HERAT SUGAR TOWN」(桜瀬虎姫)「エンジェルノート」(こやま基夫)が最終回。前者は「何気なく始めたこのまんがをこんなに長く…」という作者コメントに実感こもってます。たしかにそんな感じの始まり方で、当初は単行本に届くとは思ってなかったです。めでたい。後者はたしか最古参連載だったはず。こうしてみるとこの雑誌、けっこう入れ代わりが激しいな。
 今月から掲載開始の「BASTARD!!」(萩原一至)、ジャンプで連載始まったのっていつだったっけ。もはや記憶の彼方。

モーニング2001年3+4号

 ちば賞大賞受賞作「親子アイニク」(沖田かえる)は絵が達者でおはなしもよくまとまってる、とてもモーニング掲載ちば賞らしいまんが。表情のくるくる変わるつり目の主人公が魅力的でいいなあ。ちば賞大賞受賞作家ってそのあとがなかなか載らないことが多いけど、このひとは(も、かも)続けていくつか読んでみたい。このまんまシリーズでもいいし、別設定でもいいし。タイトルは「生憎」「愛憎」「会いに行く」と3つ掛けてるのかもしれません。
 月イチ連載の「野球狂の詩2000」(水島新司)、実際の野球と近いところでいい感じになってきました。今回の2軍のピッチャーがいきなり1軍で3番というおはなし、そんなことあるかいという内容ながら案外近いはなしはあるもんです。野手転向した年のオープン戦でスタメン2塁を続けて、これはもしかするとセ・リーグを代表する内野手になるなと思わせた横浜の選手なんてのも最近ではいたし。猛スピードで走る「ルビー・ザ・キッド」(木葉功一)はとうとう主人公が1500人の警官に追われる羽目に。もっともっと走れ、そして逃げ切れ。

漫画アクション2001年1+2号

 柏木ハルコの読切「小悪魔ボーイ」目当てに購入。22歳のうぶな女の子が本気で小学生に惚れる設定も珍しいな…と思ううち、松本充代が設定だけは同じようなの描いてたのを思いだす。あっちは女性が完全に確信犯だったけど、こっちは逆にませた悪がきに翻弄されっぱなし。身も蓋もないです。
 いやそれにしても「馬なり1ハロン劇場」(よしだみほ)ってアクションがこうなっても続いてたのね。むかし「それいけ!岡部くん」というタイトルだったこのまんがを初めて競馬報知で読んだのは、まだ武豊のデビュー前だった。長いなあ。このまんが、メンコや毛色や白斑で馬を見分けることを要求されるスーパーマニアックまんがです。おれではちっともわからん。

ヤングアニマル2001年1号

 集中連載「ANGE」(もんでんあきこ)がスタート。民族紛争の矛盾と悲惨を妥協なく描いた前作「KOSOVO」(覚えてますとも)以来久しぶりの登場になります。今回はボランティア医師団と地雷がテーマか。主人公は若い女医さん。
 ヤンキーまんがとセスタスを足して2で割ったような「ホーリーランド」(森恒二)は最初ただのヤンキーまんがと思って読み飛ばしかけてたんだけど、主人公の異色さに目が留まりました。このあと主人公はどうなっていくのかが鍵かもしれない。ゆっくりと謎がほどけていく「愛人」(田中ユタカ)、このまんがもまたSFなのでした。読切では4コマ「今日はここまで」(小山田春蔵)が掲載されてます。
 「ハネムーンサラダ」(二宮ひかる)は予想大外れ、ちっともクライマックスじゃなかったよ。開けてはならぬパンドラの箱、どくいりきけんたべたらしぬで。そしてすべてはみのりの決断に。嗚呼。


2000/12/20(水)

 来年こそは早めに年賀状を描こうと初めて思ったのは15年、いや下手すると20年前かもしれない。できもしないことを決意するだけ無駄なのか。

E.G.コンバット2nd/秋山瑞人+☆よしみる(電撃文庫)

 今度はカレー屋で危うく落涙するところだった。とりあえずシャットダウンして何食わぬ顔でお勘定。店を出て引き続き閉じたまんま駅へ歩く。落ち着け落ち着け。仕事帰りの男が泣きながら夜道を歩くのは、はなはだみっともないぞ。

 いろいろ大変だけどどこか気楽だった1冊目に比べてこんどはかなりシビアな展開。学科試験だうわ大変だな前半はともかく、後半では突発的戦闘が起こる。戦闘が起こると人が死ぬ。さっきまで談笑してた相手が消えてなくなる。戦争なんだからそんなのあたりまえだというのは一方の真実で、とはいえやっぱりそれはちっともあたりまえでなくて、その両方をきっちり書いてあるのが、けっこう突飛な設定のこの小説をリアルに見せているのだ。
 とくに後半、この小説はジェットコースターのように突き進む。設定や展開には引っかかるところがいくつかあって、そこが気になってしまうとジェットコースターに乗れないまんま、暴走するようにふっ飛んでいくのを外から眺めることになる。たぶん、おもしろくもなんともない。逆にそこが気にならなければ、読者は半ばパニックした頭でおはなしに引っ張り回されて、最後にぽんとラストシーンに放りだされる。ラストシーンで登場人物たちが流す涙は、うれしいでもなく、悲しいでもなく、あるいはその両方がごっちゃになった、極度の感情の高揚がもたらす涙で、移入したまんまそういうシーンに出くわした読者はけっこうひとたまりもない。
 このラスト、そりゃあざといんじゃないかと言えば言えなくもないのです。ほとんど紙一重。その紙一重を支えてるのは、つまるところやっぱり戦争は知った人が死ぬのだというところを踏まえてることなんだろう。たとえその戦争が未知の生物相手である分、現実の戦争が抱える深刻な矛盾からは逃れたものだとしても。

 たぶんこれ、はまる人ははまる、はまらない人はついていけない、そういう小説なんだろうと思います。1冊めより2冊めのほうがより色濃く。となると3冊めは腹くくって読まなきゃならないんだろうな。ちょっと怖い。

コミック電撃大王2001年1月号

 つまるところこの雑誌、おれにとっては「宵闇眩燈草紙」(八房龍之介)「あずまんが大王」(あずまきよひこ)と、「DOLL MASTER」(井原裕士)「ニニンがシノブ伝」(古賀亮一)と、今月は載ってないけどときどき載る「Little Worker」なのだな。もひとつ加えれば「TRAIN+TRAIN」(たくま朋正+倉田英之)と。もう少しオリジナルの比率が増えないかなあと平均的読者をたぶん大きく外れた身としては思わんでもないです。まあこれだけ読むとこがあればかまわんのだけど。
 新連載は「こみっくパーティー」(犬威赤彦)。読切が「苺ましまろ」(ぱらすぃー)「へぽへぽ」(あさきやかい)「電撃学園地球防衛部」(表野絵里)の3つ。3号連続の「Canvas」(江森美沙樹/カクテルソフト)が最終回。久々に載ってる「ダークウィスパー」(山下いくと)は次は3月号掲載。

サンデーGX2001年1月号

 ゆうきまさみが読切前編「ブラック・マジックKNIGHT」で登場。ゆうきまさみの読切はじゃじゃ馬外伝的なのが載って以来になるんだろうか。執念深い読者としては鉄腕バーディーはどうなったとつい書かんでもいいことを書いてみたくなります。いいかげん解放してもいいころなんだろうなあ、でも気になるのよ続きが。今回の読切はホラーSF。たぶん憑依系宇宙人の登場する。
 もひとつ読切前編「銀の街ロマンティック」(花見沢Q太郎)は姉に惚れた女の子をおしつけられた弟がかわいいその子に惚れてしまって、でもその子はこっちを向かなくてという展開。いつもより恋愛ものとしての純度が高めです。これは後半楽しみ。読切はもひとつ「トラフィッカー」(光永康則)が載っています。
 「ワイルダネス」(伊藤明弘)は例えて言うなら、前回から今回中盤まで長い導火線の大量のねずみ花火がじりじりじりじりと来て、後半で一斉に部屋中弾け回る。銃撃戦を花火にたとえちゃいかんか。でもそんな感じ。「吼えろペン」(島本和彦)は炎尾が決めぜりふを2発3発。


2000/12/19(火)

 ドアの鍵をあっけなく指ピッキングで開けて入ってきた新興宗教勧誘のひとびとは、押し入れに隠れたおれをあっさり発見して引きずり出す。さあこれを食えと差し出された生卵をだめですおれアレルギーなんでと拒んだら、おおそうか大変だねえとなぜか同情して去っていったところで目が覚める。なんだかだいぶおびえてたみたいなんで悪夢と言えば言えなくもない。しかしなぜそこで去っていく。そしてなぜ生卵。

ヤングコミック2001年1月号

 「Cs(シーズ)」(RaTe)が最終回。これ、ずいぶん飛び飛びで載ってたんだな。わがまま社長令嬢とコンビニのバイト娘が入れ代わってまではよくあるけど、結局そのまんま。社長令嬢はコンビニが気に入り、バイト娘は会社で手腕を発揮し。不思議にいい話でまとまった最終回はエロ抜きでした。「ナルミさん愛してる」(山川直人)といいちょっと前まで載ってたほのぼの連載「フォーチュンクッキー」といい、この雑誌は妙なところがあります。
 にわのまことが読切で描いてる「BOMBER GIRL CRUSH!」って、調べてみたら数年前にジャンプ(たぶん)で描いたのと同設定らしい。いかにもジャンプ系の絵柄がこの雑誌の中では異色といえば異色。

まんがタイムジャンボ2001年1月号

 渋いほのぼの女医まんが「エン女医あきら先生」(水城まさひと)に、警備会社の女の子まんが「ただいま勤務中」(辻灯子)とだんだん読むとこ増えてきたところで、なんと「こっこさん」(こうの史代)最終回。あいやー。
 来月からどうしようかなあ。いやそれよりこれ、本にならんかなあ。ぴっぴら帖と一緒でもいいから。

まんがくらぶオリジナル2001年1月号

 「GoodMorningティーチャー」(重野なおき)がこっちでも連載開始。わあいヨーコ先生だあはいいのだが主人公はアズマじゃねえのか。主役脇役をひっくり返しちゃいかんよというより脇役だからヨーコ先生いいのにというかいったい何言ってんだかおれは。
 あとはいつもどおりいつものを読む。早くかたぎりわかな復活させてくれよお。4コマ一本じゃやだあ。

ヤングマガジンアッパーズ2001年1月号

 そうかなるほどある点「かねひらだもの」と通じてるのかと気づいた「iドーモ!」(堂高しげる)。こっちのが割り切ってるというか作者楽しんでるというか、いったいこれ作者の趣味はどれくらい入ってるんだろう。女先生ひいては女性全般に対する幻想がすべてぶちこわしの「イヌっネコっジャンプ!」(はっとりみつる)、でもそれだとこのときユウキは7歳くらいでいたんじゃないだろうか。それとも実の子じゃないのか。だいたいいまこのひと何歳じゃ。
 読切「4B」(柴田眞紗子)はふわりとした絵の失恋もの。ストーリーがどうというよりはその淡色系の感触を楽しむまんがで、原石という編集部の表現はいろんな意味でよくわかります。あとはどっちにどう磨くか。読切ではもうひとつ、シリーズ化している「ほぐし屋 捷」(村田ひろゆき)も載ってます。


2000/12/18(月)

ビッグコミックスピリッツ増刊山田1号

 なくなったわけじゃなかった(失礼しました。でもよかった)manpuku!からのころもがえ新増刊。予告によれば次は山田2号らしい。それじゃなにかこの増刊は「山田」のが誌名なのか。すげえや。
 ラインアップをいちおう挙げておきます。

 このなかでmanpuku!から引き続いての連載は「スカート」「山田シリーズ」「気になるヨメさん」の3つ、ただし「スカート」はこれで最終回。「山の家」はあれでひとくぎりとして、「豪速球レクイエム」の後編はなかったことになったのか。ほかに「まいったカッパは見てわかる」がなぜか他誌(ヤングユー?)からお引っ越し。「キャバクラ総理大臣」はスピリッツ21時代の「キャバクラ大臣」の復活連載。主人公の名前一緒だし。
 今号のラインアップから好みで選ぶと、引き続きの「気になるヨメさん」とやっぱり単行本買おうかな「まいったカッパは〜」と、そしてなにより池部ハナ子です。この人の恋愛エロまんががこういうところで読めるとは予想してなかった。うれしい。あと「キャバクラ総理大臣」はこれはこれで捨てがたいものが。誌名になってしまった「山田シリーズ」は雑誌の大黒柱…というのも変か。床の間かな。
 ひっさしぶりに安永航一郎スピリッツ増刊登場の「プロヂェクトX指定」はやや上すべり。まあこのひとの短編は当たり外れがあるし、どっちかっつうと長編の名手だし。2号前の「考える電車」がよかった真木ヒロチの2作めは、途中で世界をひっくり返してみせる設定がおもしろかった。内容はもうひとつふたつひねってあったほうが好みかな。
 個人的には新人さんの読切がもう少し多い方が好きだけど、まあセールス面も考えないといけないだろうし。でも1つでも2つでもいいから、毎号載せてほしいな。次号は来年5月発売とか。

追記(2000.12.19)「まいったカッパは見てわかる」はコーラスからのお引っ越しですね。ついでにタイトルも変わっていた。メビウスひみつきちで確認しました。そうですかガルディーンは今世紀中に出るですか。

ヤングマガジンGT2001年1月10日号

 こっちも新増刊。こちらはラインアップは省略して気に入ったのだけ挙げると、「夜もヒルも!!」(サラ・イイネス)「HOMERUN」(長田裕幸)という個人的には定番の顔ぶれになります。前者はこの作者のいつものまんが。後者はほかのまんががわりとまっとうに車/バイクまんがを描いてるなか、ひとりだけホームランボール追跡的ジェットコースターまんがで異彩を放つ。やっぱりこのひとは好き勝手描かせてこそだなあ。ドミノ倒し的な疾走がたまらん。
 それからもうひとつ、「ガタピシ車でいこう!!」(山本マサユキ)なのだけど。内容は楽しげなボロ車購入記でわりとこういうのも好きだけど、なんだか同姓同名で知ってる同人まんが家さんがいるのですが。絵柄がだいぶ違うんで、変えて描いたのかそれとも別人なのかとちょっと悩んだけど、どうやら同一人物です。だって即売会で買った車カレンダーの11・12月がちょうどこのひとで、お題が今回まんがの1ページ目に出てくるのと同じFIAT500('67)なんだもの、間違いないでしょう…と思って作者のサイトをのぞいてみたらそのとおりでした。これが商業誌デビューになるのかな。


2000/12/17(日)

 最初の通販があっという間に売り切れてから3ヶ月、ようやくの再版で注文した青空サントラCDが届く。日がな一日BGMに。聞いているうちにまたゲームがやりたくなる。きりがないなこりゃ。

 この日記ページ、来月くらいからBIGLOBEに引っ越す予定です。他のコンテンツもたぶんそのうちおいおいと。@NIFTYへの引っ越しはかえって面倒そうだし、ずっと前からBIGLOBEのアカウントは持ってたし、NIFTYにあまり未練もないし。まあのんびりやるつもりです。

HAL(1)/あさりよしとお(ワニブックス・ガムコミックス)

 科学啓蒙漫画、のようなまんが。「まんがサイエンス」でいろいろ学んだ小学生がよしもっと学ぶぞとこれを読んだら、いろいろ大変なことになりそうな。なにしろ描かれていることが全くのうそではなく、なんかしらの事実に基づいていることはいるだけに始末が悪い。たしかにおれが子供のころ、ティラノサウルスは直立歩行してたなあ。いつのまにこんな敏捷になったんだ。
 いろいろあって刊行が遅れたけど、まとめて読むとこの底意地の悪さはやっぱり楽しい。しかし原子力ねたになると俄然ねたがやばくなるなあ。逆に言うとそれだけ情報が外に出てないということなのかな。

龍哭譚紀行〜DRAGONIA〜/やまむらはじめ(大都社)

ハイパーボリア/やまむらはじめ(大都社)

 ともにホビージャパンコミックスから刊行されていた本の復刊。両方ともかなり久しぶりに読み返したことになる。あわせて今回、デビュー作を含む短編5編が収録されてます。
 「龍哭譚紀行」のほうは初連載だけあって、絵とか完成度とかは最近の連載作のほうが上なのは確かなのだけど。救いのないエピソードを積み重ねたこの連作短編、鬱屈した雰囲気がやっぱり好きだなあ。これが好きなのは相当変わりものかもしれない、のだけど。
 「ハイパーボリア」は以前読んだとき、おはなしの説明がなくて何度か読み返さないとよくわからなかった記憶があったけど、今回読み返したら意外にすんなりおはなしが飲み込めた。このひとのまんがにそれだけ慣れたということか。いろんな人間関係をSF設定のなかに詰め込んで全8回を疾走した感じのこのまんが、作者が書いてるとおり寸足らずではありながら、その疾走感には捨てがたいものがあります。短編も含めたいままでの完結作のなかでいちばん特徴的なのはたぶんこのまんがで、そういう意味で現時点での代表作はこれだと勝手に思ってます。今回気づいたけど、これ、「エンブリヲン・ロード」の祖形でもあるのだな。
 初期短編5つは、まあ初期短編として読むのが吉かと。「おまかせ!ヴァーミリオン」読んだときも似たようなこと思ったけど、このデビュー作からいまのやまむらはじめを見いだす力はおれにはないなあ。デビュー作から抜きんでた人とデビュー後に力をつける人と、ふたつのパターンが存在するということなんでしょう。ともあれ個人的には待望の復刊でめでたい限りです。

コミックビーム2001年1月号

 千曉、オーディションに受かる。「敷居の住人」(志村貴子)はいきなりアイドルまんがと化すのでしょうか。化さないか。キクチナナコもそうだけど、恵まれた(と周りが勝手に思っている)容姿を何の役にも立てないのが素敵だ。
 「BAMBi」(カネコアツシ)は消えたバンビがどこから現れるかが最後の山か。現れてすべてを破壊して、そして去ってことになるのか。「LAZREZ」(竹谷州史+TKD)はドラッグでハイになったシーンの描写が迫力満点。連載以来初めてきれいな部屋とベッドが登場した「砂ぼうず」(うすね正俊)。つまりとうとう登場人物一行がオアシス内部にたどり着いたわけで。おはなしはこれから核心に向かうのか、これがラストエピソードかそれともまだまだなのか。
 2回続けて大変深刻なねたとなった「オールナイトライブ」(鈴木みそ)。そこで世代が分かれているとすれば、それはいったいなんでなのか。ゆとり教育という名のカリキュラム変更か親の世代の差か(そのあたりから親が団塊なはず)、ファミコンかバブルとバブル崩壊か。それともほかのなにかか。なんでか考えたところでしょうがない気がしないでもないけど。ビーム創刊以来、というより創刊前から続いてきた「てきぱきワーキン▽ラブFX」(竹本泉)が最終回。最終回といってもいつもどおり。さらに来月号もいつもどおり竹本泉のまんがが。むうすばらしい。

近代麻雀2001年1月15日号

 「根こそぎフランケン」(押川雲太朗)最終回。ハッピーエンドでもきれいな決着でもなかったこの終わり方にはたぶん、ばくち打ちは死ぬまでばくち打ちという作者の意志が込められているのだと思う。まんがは終わり、物語は続く。長い間お疲れさまでした。
 前号で「かほりさん」連載化したと思った神原則夫が、今号はさらにもう一本「ギャル雀「いちごハウス」」で二本立て。なんだか応募してきた読者が主人公らしいが、とりあえず今回はかほりさん完勝。かわいいのはいいけどもっといじめるなりひどい目にあわせるなり泣かせるなりしたほうが。あるいはもっと極悪化するとか。かわいいだけじゃつまらない…ってあれなんのフレーズだったっけ。まるちぷるCAFE?


2000/12/16(土)

 東京ドーム展示会の出張帰りに秋葉原に寄って、噂のソフマップ11号店を見に行く。たぶん一時期に比べたらだいぶ減っただろう店内のポップや、ガンパレ店頭デモに貼られた手書きイラストを見ているうちに、不意に涙が出そうになって困る。このゲームが売れなきゃ嘘だ、いや絶対に売れるという店員さんたちの熱意が伝染したか、その熱意が通じつつあることへの祝福か、それとも見境なくのめり込んだファーストプレイの記憶がフィードバックしたか。油断するとほんとに泣きそうだったので、こわい顔してその場を立ち去りました。
 いや、でも、ほんとに、たまにはそういう物語があってもいいと思うのです。思いが必ず通じるとは限らないけど、でもときには通じることもあるという、そんなことが。

真剣師 小池重明/団鬼六(幻冬社アウトロー文庫)

 小池重明という名前を初めて見たのは、たぶん朝日新聞の将棋欄で、朝日アマ名人としてだったと思う。次に見たのが44歳で死んだときの訃報記事。三度目がこの本の広告か書評。そのときにこれは読まねばと思いながら、3年前に文庫になってたのも知らなかったといういいかげんさ。知り合いの書評サイトがとりあげてくれたのがきっかけでやっとこさ読むに至りました。
 さて小池重明とはどんな人か。それを書いてしまうと実はこの本を読む楽しみの過半を奪うことになるので、詳しくは書けないのだけど。真剣師(=賭け将棋指し)でアマチュア全国棋戦で何度も優勝して将棋に関しては天才で、でも生活面ではだらしなくて人妻と駆け落ちを繰り返したり、徹夜で飲んだ翌日に優勝とか、留置所から対局上に直行して永世名人に角落ちで完勝とか。そんな主人公が出てくる小説かまんがを読んでたら、おはなし作りすぎでリアルじゃないとか思ってただろうけど、いたんだなあこんな人が。日雇い暮らしで2年間のブランクの後でときのアマ名人に連勝して、「はっきり力の差のようなものを感じた」と言わしめたとか、この本はそんなエピソードばっかり。きりがないです。
 人間失格の天才というものに興味があるならば、この本を読んでおもしろくないわけがありません。故人のあまりな行状に怒りだす人をのぞけば。棋譜が載ってるわけではないし、将棋の知識は基本的には必要ないです(わたし自身ほとんどないし)。とにかくおもしろかった。読後呆然とするくらい。

奥さまはマジ/火浦功(角川スニーカー文庫)

 収録作は7年前と5年前の短編と、12年前〜6年前のシリーズもの「てなもんや忍法帖」7話。なんでいまごろ本になったんだろう。掲載誌がSFアドベンチャーというところに時代を感じるなあ。
 内容は例によって例のごとし、この作者ならではのバカSF。ゆうきまさみがすっかり立派になってしまったのに、このひとはちっとも立派にならんなあ。立派になるのはそれはそれでちゃんと立派なことだけど、いつまでたっても立派にならないのも立派だなあ。あ、でもこれ自体けっこう昔の小説なのか。まあでもガルディーン外伝もやっぱり立派じゃないし。
 「てなもんや忍法帖」はシリーズとしては未完。この作者のシリーズものがほとんど未完なのはあまりに有名で、ことさら書くまでもでないですが。まあでも寡作だろうが未完シリーズだらけだろうが、これからもなんか書いてくれてればそれでいいです。スニーカーで連載してるガルディーンはちゃんと続いてるんだろうか。こんど本屋で確かめてみようかな。
 カバー・イラストに花見沢Q太郎という人選はどんぴしゃり。この組み合わせはよく見つけたなあ。

タラチネ/南Q太(祥伝社・フィールコミックス)

 フィールヤング掲載作がメインの短編集。好きになってデートしてキスしてそして、という「正しい」恋愛作法に一貫して反旗を翻し続けるような作風は、この本でも変わらず。不意に1ヶ月も旅行してみたり女友達連れ込んでレズってみたり、彼が好きなあまりどうしていいかわからない女の子の話が、この中では一番よかったかな。
 このひとのまんが、個人的にはノンフィクションよりフィクションのほうが好きです。作者自身の体験をそのまままんがにするより、フィクションの形に昇華してあるほうが、このひとの特徴であるひんやりした感じがよく出るように思うので。

方舟/しりあがり寿(太田出版)

 クイックジャパンに連載されたまんが、とのことです。終末を描いたまんが。
 このひとのこういう雰囲気のまんがは好きだしよく読むのだけど、率直に言って、この内容は首肯しがたいものがあった。日本が滅びると人類が滅びるはごっちゃにしちゃいかんだろうし、なにかの間違いでどかんと(核かウイルスか小惑星かで)いかない限り、種としての人類はこれでなかなかしぶといだろうし。
 よしんば滅びるとしても、「滅びに至る道は長い」という光瀬龍の言葉がおそらく正解に近いだろうし。大雨ですべてが水没というようにはあっさり滅ばない。もっと長くじりじりと、そして苦痛に満ちた道程になるように思います。もし終末を描くのなら、おそらく悲惨なそのありさまをちゃんと描いてほしいというのが個人的な思いです。大変しんどいことだろうけど。美しい終末にはどこか嘘のにおいを感じるのです。

神々の山嶺(1)/谷口ジロー+夢枕獏(集英社・ビジネスジャンプ愛蔵版)

 ビジネスジャンプ連載作、なのか。最近ビージャンは読んでなかったので全回初読だった。
 このまんが、「谷口ジローの山の描写は圧倒的だ。/高度感があって、怖い。」という原作者の言葉がすべてでしょう。町を描いて静謐な谷口ジローの絵は、山を描くと圧倒的なのでした。すっごくおおざっぱな言い方をしてしまえば、しっかりした原作にこのひとが絵を描けばおもしろくないわけがない。などといいながら原作は読んでないな。まんが連載が終わってからかな。なんにせよ、あとはこの連載の無事完結を祈るのみです。

少年ガンガン2001年1月号

 巻頭カラーは新連載「ARTIFACT;RED」(木村太彦)。子供のころ母親と見た不思議な鳥ナギツバメを追うヒロインが、おやじと親友を両方だまくらかして神の島を探そうと飛行機に乗ったけど見つからなくて燃料切れて落ちそうなときに飛んできたナギツバメが鳴いたら突然島が現れてそこから空飛ぶ怪獣が飛行機を襲ってきてこりゃだめだと思ったら飛行機の翼に少年が降り立って空飛ぶ亀に乗って怪獣を蹴り飛ばしてたり飛行機の翼から部品をもぎ取ってそれでぶん殴ろうとしたりしてるうちに亀が疲れて主人を見捨てたので少年は墜落していったけどこんどはくるぶしん所を光らせて浮き上がってきたところで怪獣が飛行機をぶっ壊してヒロインまっ逆さま。以上初回のあらすじ。ことのほかまじめにお話を進めるつもりかもしれません。これでも。あいかわらず飛ばす「清村くんと杉小路くんと」(土塚理弘)に加えて木村太彦というのは、ある方面では相当強力な布陣。これにたかなし霧香でも加わった日にゃあ。
 「ドラゴンクエスト 幻の大地」(神崎まさおみ+堀井雄二・とまとあき)が最終回。第一部完の「朱玄白龍るびくら」(見田竜介)はGファンタジーに移るそうです。「ジャングルはいつもハレのちグゥ」(金田一蓮十郎)は「まあ確かにベッドの中でも先生ここまで甘えてこないしねぇ」というウェダのセリフとか、酒のんで日頃の鬱屈大爆発のハレとか。いいのかこの雑誌でこんなことやって。いいのかな。

零式2001年24号

 前号で読切と書いた「PERFECT」(電光石火轟)は連載のようです。「早くも人気急降下中!!」というあおりは珍しい。珍しいかどうかという問題じゃないか。
 「QUIZ HOUR」(すえひろがり)「伝染」(天竺浪人)と読切2本がおもしろい。「QUIZ HOUR」はなぜそのTV番組を見たものが次に出演せずにはいられなくなるか、そこのところの説明がないけど、説明なしでもわかる人はわかるということか。それとも羞恥プレイ的なものって汎用性のあることなのかなあ。「伝染」は日常のなかで狂気をはらんでいくサラリーマンの前に、にせ関西弁をあやつる少女が現れて。いちど縛った彼女の手首をほどいたのは、「それでもコレはあかん」という少女のまっすぐな瞳に抗じきれなかったからで、そして少女の瞳には偽りはなくて。信じてその結果救われたというおはなしながら、男の鬱屈にリアリティがあっておはなしが浮き上がるのを防いでます。いいな。
 そのほかに読切が「ホーム MAID クッキー」(上月まんまる)「奥様とわたし」(まぐろ帝國)「カノジョのお気に入り」(宇佐美渉)「勇者の子種」(之瀬ハルオ)「華に嵐」(御形屋はるか)と5つ。ファンタジー世界で勇者の子種をせがむお姫様と、何人もの男の命を奪ったお姫様をいさめる勇者と。不思議な設定の「勇者の子種」がおもしろかった。御形屋はるかの絵は華があるな。「PINK PARADE」買わねば。
 「としうえの魔女たち」(むつきつとむ)は高校生の小鳥さんが回想シーンで登場。高校時代と現在とであきらかに顔を描きわけていて違う顔なのに、なんど見比べても顔のどこがどう違うか具体的にわからん。ちくしょう悔しい。単行本については一言も触れていない「ももえサイズ」(結城心一)はなんとももえ入浴シーン、でも服に見える部分も体の一部なので脱げないのだそうな。この腰のところに付いてる伸びる手はなにとか、そういうももえ体の謎は単行本読めばわかるのか。来月のフルタイトルは「死神風紀ダブリンエスパーBHプラ板縦ロールヘリコプターボーリングトビウオとその妹ロボ絶滅ナルト学び舎パワードスーツラミカスパイの大作戦友情ウニマタンゴ裏設定番長鼻行類チョコももえサイズ」。FEPの変換能力を一度試してみてはいかが、ってこれ一発変換するFEPもやだな。


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