巻頭カラーの「夜刀の神つかい」(志水アキ+奥瀬サキ)を読みながら、絵の描きわけの達者さにつくづく感心する。別人だって言われたら別人と信じるかもしれないなあ、これ。
「魔殺ノート 退魔針」(斎藤岬+菊地秀行)はだんだんだれが生きててだれが死んでるのかわからなくなってきた。こいつらしょっちゅう生き返るんだもんなあ。生き返るんじゃなくて死んでないのか。いずれにせよひとつのおはなしの決着はもうまもなくでしょう。決着が近いという点では「コドク・エクスペリメント」(星野之宣)もたぶんまもなく。
読切「Anokumane」(久生茜)は夢のようなまんが。理想的とかそういう意味じゃなくて、脈絡が全然なくてつじつまがむちゃくちゃで、パーツパーツのイメージやセリフだけ変にはっきりしてて。このまんま純度を高めていくとどういうことになるか、難しいだろうけど見てみたくはあります。読切はもうひとつ「NO WAY OUT」(オオシマヒロユキ+猪原大介)と、目次に載ってないのはいつもどおりの「おさるのムード」(玉木満)+「極悪大商人様とコロクプル」(西岡秀樹)。
短期集中「やまだまるもちゃん」(さそうあきら)が最終回。でもって本になるそうです。変幻自在にいろんな話をつくりだす作者のこれは、親ばかものというくくりでいいのかな。たぶん買います。
「ラブミーてんだい!」(有間しのぶ)の登場人物たちはいつも身もふたもなく元気で楽しいです。この人の絵はストーリーものの絵も4コマ絵も好きだな。
いとう耐が「シャカイの窓」で連載開始。このペンネーム「いとうたい」と読むのか、ずっと「いとうたえる」だと思ってた。初回はややまじめな感じ。このひとのまんがはくだらなければくだらないほどおもしろいような気もするけど、まあそれはそのうち。
これで4号連続の掲載になる「ゴロつきゴロー」(小安珠世)は、だいぶ絵がすっきりしてきたような。女の人の顔とか、ちょっと遠藤浩輝っぽくもあります。もうしばらく続けて読んでみたい。
5年12億を提示した阪神も阪神だけど、それを振り切ってメジャーに行ってしまった新庄も新庄。意地の悪い見方をすれば、日本とアメリカの野手の能力差を測るチャンスには違いありません。新庄の打力でスタメンで出れるなら、意外と差はないということになるでしょう。なにせ通算打率が.249なんだから。
しかし新庄に逃げだされて真剣に困る阪神って一体。実際問題3・5番をくびにしたら4番がいなくなったのは確かなんだけど。こうなったらやけくそで、濱中とか曽我部とか松田とか使ったらどうか。特に濱中は腐らせておくような余裕はないと思うぞ。
おもしろかった。めちゃめちゃおもしろかった。好みときっちり180度違う表紙イラストに腰がひけていたところを、背中を押してくれた本野智さん@肺炎時計に大感謝。あやうく読み逃すところだったよ。
西暦2029年、突然現れた謎の生物に世界人口の4割があっという間に失われ、爾来40年近く戦闘はやまず、人形兵器に乗って闘う人類はそれでもじりじりと押され続け…となるとなにやら最近見たような設定だけど、それは措く。ちなみにこれが発行されたのは1998年なので念のため。
この小説、知的で奥深い小説ではない。ぜんぜんない。むしろ痴的で軽躁というほうがまだしも合っているくらい。そういうどこかへ飛んでいきそうなところを重しとしてしっかりおさえてるのは、いうまでもなく人類の窮状と死ととなりあわせの日常なのだ。設定では女性が全部月に移住してて、月面の士官学校が物語の舞台なのだけど、月で女性だけというのは個人的にはどうでもよかったりする。その士官学校の落ちこぼれ5人組と、若くしてヒーローに祭り上げられた教官(女性です念のため)が物語の中心で、こっちはそれほどどうでもよくない。もっともひとりひとりのキャラクターの立て方自体はそれほど独創的というわけではない。
この小説、原作・小説原案・イラストと「著」という不思議な役割分担で書かれていて、どこまで原作原案なんだというのは想像するしかないけど、おおかた設定と登場人物とストーリーの大枠が原作原案の功で、それをもとに巧みな語り口で読者をひきずりこんだのが「著」なんだろう。文章自体はお行儀のいいものではなくてところどころゴシック大フォントが飛び交ったりしてるけど、設定の功は認めたうえで、この小説のおもしろさはやっぱり語り口によるところが大きいと思う。一般的に言われる上手い文章とは違うかもしれないけど、緩急のテンポとリズムのとりかたが上手いのだ。
そうかそんなに好みの小説なのかと問われると、実はこれ、たぶんそんなに好みではない。なにしろ好みのものについて書いてるときの、おれはこれが好きなんだという確固たる自信がない。こんなにほめていいんかいなとむしろおっかなびっくりだったりする。するけれど、仕事帰りのカレー屋で、カレー食い終わっても読み終わるまで席を立てなかったというのを物差しにすれば、自分にとってこれがおもしろかったのは断じて間違いないのだ。
おもしろいおもしろくないはもちろん読み手の好み次第だけど、おもしろやかましい小説が好きな人だったら、これを読んで外すリスクより、読み逃すことのリスクのがずっと大きいと言い切ることにします。ちなみにこれ、以下続刊で3巻まで出てるので、引き続き2巻3巻に進む予定。ていうかまず置いてる本屋を探さないと。
確かに昨日と今日の月はほとんど見たことないくらいに明るかったです。帰り道に何度も月を見あげながらふと、今この瞬間にあたり一帯が停電して、月明かりだけになった道を歩いてみられたらと思ったりしました。実際には思ってるよりもずっと暗いことはわかってはいるのだけど、それでもなんだか自分の影さえくっきりと浮かぶような、そんな気がして。
村生ミオが二本立て。読切「不機嫌な赤い薔薇」はハッピーエンドな恋愛ものなんだけど、絵のせいか妙な濃さが。最近の作風が作風だけに先入観もあるのかな。
「教科書にないッ!」(岡田和人)はラストページの大楽のセリフが意表。おはなしをどこにもっていくのか。もしかすると、いろんなことの決着が近いのかも。
鷹久邦弘の「桂川さん…」が目にとまって購入。鷹久邦弘ってつるっとしたきれいな絵を描くひとだと思ってたらあにはからんや、こんな絵も描くんだ。この塗ってるのって鉛筆か、ひょっとして色鉛筆なんだろうか?モノクロなのではっきりはわからないけど。
内容のほうは、ご近所の若いお母さんにひそかに想いを寄せていた中学生くらいの少年の、リアルでもあり痛くもある話。後編があるらしいけど、すでに破局を迎えた今回のラストからいったいどうつなぐんだろう。興味あります。
で、結局大統領はどっちなのだ。いっそのこと麻雀で決めるというのはいかが。
「バカ姉弟」(安達哲)が載ってます。いつものです。「全力!かちわりホームラン」(柘植文)も載ってます。だんだんいい感じになってきてる気がします。「空手小公子 小日向海流」(馬場康誌)は赤面伊吹が妙にかわいいです。
「甲子園へ行こう!」(三田紀房)は野球部分裂寸前。この部長、ただの野心家のおっさんなのかなあ。もう少し巧妙な手管もあるだろうに。それともわざとか。
「地球美紗樹」(岩原裕二)、連載スタート。タイトルは室蘭にある岬の名前にかぶせてつけたのかな。舞台も北海道だし。
娘と父と父と親しい女性と、転校先でできた友達と、そして変な生き物。登場人物が顔を揃えたところで、とりあえず初回は終わり。さてこれをどういう話に転がしていくのでしょう。
いっぽう「NieA_7」(安倍吉俊+gk)が、特別編でのしめくくりを残してのいちおうの最終回。「おじいさんとおばあさんはいつまでも」でも、「そして二度と帰ってきませんでした」でもなく、「今日もまたいつもの一日」というような終わり方。特別編は打ち上げ代わりに思いっきり羽目を外してというのもいいかもしれない。1年と4ヶ月、たいへん楽しうございました。
あとはもうひとつの新連載は「プリプリプリン」(森田屋すひろ)かとか「おまかせ▽S×S」(巣田祐里子)も最終回かとか今月も「ゲートキーパーズ」は休載なのに「ゲーぱろ。」(藤島じゅん)は載ってるなとか思いながらページをめくっていたら…あらまあこんなところにみなぎ得一が。1年ぶりの読切「決☆ライダー」は、しかしこれはずいぶん読みやすく描いたなあ。あまり絵が黒くないし。
いったいこのまんがはどういう意味だとか言ってはいけません。アニメ顔の主人公と怪生物が乱暴狼藉というこのひとのまんがは、こういうまんがとしてこのまんまを読むかそれとも読まないか、ふたつにひとつでしょう。わたしは読みます。それもけっこう喜んで。
テレビを物色しに電気屋へ。25型は画面が広くていいなあ、でも35kgはひとりじゃ持てないなあ、やっぱり21型かなあなどと見て回るうちに、目にとまった26万円の20型液晶テレビが急にほしくなる。ピンチ。
でも液晶もそのうち技術革新で新しい液晶が実用化されて安くなるだろうしなあと自分をなだめて事なきを得る。中継ぎの意味で21型というのが落ち着きどころかな。
明日(11日)の確か夜10時から、教育テレビで趙治勲テーマの番組を放送します。趙治勲は80年代以降ではたぶん最強の碁打ちながら、今年ついに無冠となった人。碁と碁打ちがどういうものか、ヒカルの碁のバックグラウンドとして興味のある方は見てみてください。
やっぱり連載で追うの、やめようかなあ。本が出るたびにまとめて読む楽しみも捨てがたいなあ。迷うな。
この巻でさんざんこまっしゃくれた口をきいて、どちらかというと好かれない役を引き受けてる越智だけど、12歳でこれぐらい強けりゃ当然こうなるというか、こうでないと12歳でそうそう強くはならないというか。学生時代に知り合ったアマチュア強豪級の知り合いたちも、年齢と経験にもとづく謙虚さと同時に、自分の碁への強烈な自負を持ちあわせていたように思います。そうでもないとぎりぎりの勝負をものにしたり、優勢の碁を勝ちきったりはできないのです。これは碁だけの話じゃないか。
きれいな表紙だなあと思ったら、これもVORALEなんだな。カバー下には表紙絵のラフが描いてあった。
激漫で発表された短編8つを集めた短編集で、意外やそのうち4つまで読んだことがあった。ずいぶん読み逃してるかなと思ったらけっこう捕捉してたのか。「ノゾミ・カナエ・タマエ」「仮人幻戯」「黒く濡れ」「猟奇の城」がその4つ。
いっぽう初読の4つは「人形館夢咄」「月満ちる所」「砂時計」とタイトル作「ほたる」。だいたい共通してるのが、どちらかというと太めに/リアルに描かれた女性(このへん松本耳子と似たところがあるかな。女性の絵だけだけど)と、すっきりしない読後感。あっさりハッピーエンドには決してしてくれない。そこがいいとも言えば言えるか。
一つ選ぶなら、というのは難しいのでやめときます。それぞれ読み味が違っていて、どれもそれぞれ好きなので。小学校のときに読んだくらいでまるきりそちらにはうといけど、もしかすると江戸川乱歩の小説に通じるところがあるかもしれない。もしかすると。
エロまんがに登場する年上女性とくれば、出るとこが出てひっこむところがひっこんで(ひっこむところもそれなりに、というパターンもあるか)、でもっていろんなこと教えてくれてとおおよそ相場が決まってたのだけど。30代超童顔vs高校生というパターンを発明した記念すべき連載の第1巻です。いやもちろんこれ以前にもそういうのあったのかもしれないけど。
今もむかしも童顔には弱いというごく個人的な事情により、このまんがはほとんど最終兵器です。いったいどないせえっちゅうねんというくらいまるで抵抗できない。作者がどういう意図でこの設定を編み出したかは知らないけど、日本のあっちこっちで悲鳴をあげてるひとがほかにもけっこういるような気がします。気がしますというか、実際にいくつか悲鳴聞こえてるし。
男のほうの主人公の幼なじみで高校の先輩で元彼女で、たいへんすけべでさばけてて主人公の背中まで押してあげる女の子が、これもなかなかいい味を出してます。2巻以降でもこのひとにはあまりべたついてほしくはないけど、さてどうなるか。このひとと童顔女主人公とならべて描いたら、予備知識のないひとのほとんどは年齢逆だと思うだろうけど、女主人公もわりとしっかり大人の顔に描かれてるのがこのまんがのみそです。ロリのようでいて決してロリでなし。
クロノにモンコレにファントムウィザード…おお、今月は全部載ってるぞ。しかしロゼットの顔、傷だらけだな。
今月来月でだいぶ連載が入れ代わります。今月新連載が「Sci-Fi HARRY THE COMIC」(阿部忍+飯田譲治)と「ヴェドゴニア」(坂田徹也+虚淵玄)。前者がアニメ、後者がPCゲームとのメディアミックスのようです。でもって来月の新連載は「櫻の一番!〜大正小町事件帖〜」(影崎由那)と「珠玉あとらす」(みよね椎)…ってちょっと前のアワーズ組でもあるな。
いっぽう最終回を迎えたのが「X・Y・Z〜仮想空間のパンドラ〜」(花屋敷ぼたん)。前後編の後編「御手洗大学実践ミステリクラブ 解決編」(石田走+舞阪洸)はこのシリーズ自体の最終回で、これも本にまとまるとのこと。来月は「CAT's WORLD」(OKAMA)と「タカハシくん優柔不断」(新井理恵)が最終回。前者はともかく、後者は間違いなく血を見る最終回になりそう。下手したら死人までありかもしれない。来月までに心の準備をしとこう。しかしどうしてこう惜しみない悪意を主人公に注ぎ込めるかね。
「ハネムーンサラダ」(二宮ひかる)が佳境。もしかするとまもなくクライマックス。たぶんすべての読者が抱いていた疑問「なんで遥子はみのりの前にあらわれたのか」を、とうとうみのりが問いただす。それを聞いたところでどうするのだ、一花の気持ちもはっきりしたのに。でも聞く。聞かずにはいられない。その気持ちが理性より感情に根ざしている以上、それはたぶんどうしようもないことなのだ。
短期集中「Girl」(氷室芹香)が最終回。ラストが若干木を接いだような感じになったけど、でもけっこう楽しめました。「女刑事ペルソナ」(高橋雄一郎+出海まこと)も一段落、こちらは来年4号から第5章開始だそうです。
時事ネタ炸裂。今月の「シンケン君」(坂本タクマ)は最高です。
「ダイナマイト・ダンディ」(押川雲太朗)にワニ蔵のおやじ登場。厳峻で、かつやっぱりとんでもない人間でした。ワニ蔵×2−おやじ=おふくろだとすると、おふくろの性格は…あんまり見たくない気もする。
3話集中「タイル」で四たび大武ユキ登場。しかし−−たいへんめでたいことだけど−−「パラダイス・ロスト」2巻も「東京キャンパスブートレグ」も「イタカ」も「ハードラック・カフェ」も(このへん恨みこもってます)「プラム!」も「ぶんぶんレジデンス」2巻もその他もろもろ単行本になってないのに、「アンダーグラウンド」があっさり本になったのは不思議ではあります。どうやら人気あるのかな。「とりぷるHONEY」がいまごろ本になったのはそれ以上にわけわからんけど。
この巻は極めて重たい内容になってます。それはたぶん幸運なことなのだろうけど、この内容についてあれこれ書くだけの経験を、わたしはまだしてません。してはいるけど単に鈍感なのかもしれません。どちらかは当人には知るすべもない。
この物語自体はフィクションには違いないけど、これと同様のことが、たとえばかつてカンボジアであったことは記憶しておいていいと思います。そして日本人に限らなければ、世界中のいたるところで。
それにしてもほんとに雨のシーンの多いまんがです。音が耳に残るようです。
今年の冬は暖冬だと長期予報では言ってた気がします。もっとも長期予報は逆に信じているとかなりの確率であたるものだから、そういう意味ではあたりか。そもそも何ヶ月か後の気候を予測しろというのが無理な注文だとも思うし。
読切「ススムちゃん大ショック」(永井豪)が掲載…ってこれ、どうやら30年前の作品の再録らしい。こういう趣向はけっこうおもしろいと思います。子殺しをテーマにした内容は、30年後を予見したととるか、30年前からおんなじことが言われていたととるか、まあ読む人次第でしょう。
こちらはふつうに新作の読切「Night Blood」(富田安紀良)はホストクラブが舞台。全然興味のあるテーマではないのにおもしろく読めた。もともと達者なひとだというのもあるけど、ヤングアニマルや集英社系のどこか(忘れてしまった)でやってたのと比べても、今回が一番おもしろかったような。第1話とあるのでシリーズ含みでしょう。続きを読んでみたい。
「鉄腕ガール」(高橋ツトム)の試合前、監督の祈りの言葉が素晴らしくかっこいい。これ、作者のオリジナルなんだろか。
アンソロジー。ミステリー特集とのこと。特記事項なし、かなあ。おおはずれもないけどおおあたりもない。
逆上したおてつだいさんが素敵な「華族探偵素成の華麗なる冒険」(斎藤岬)や、地獄耳なおねえさんが素敵な「僕は探偵には向かない3」(亀井高秀)や、一生懸命な看護婦のたまごが素敵な「銀の匙」(スズキユカ)など、それなりによかったのはけっこうあるんだけどな。まあスズキユカの新作が読めたから不平不満はちっともないですが。ちなみに中勘助の同名作とは無関係です。
昨日はそろそろたまった頃と風呂を見に行って栓するの忘れてるのに気づき、今日は朝家を出たところでコートを忘れたことに気づく。寒かった。なんだかまるでネタ作りにいそしんでるような毎日。
「ふたりの星、はっぱ星」(柳沼行)「太陽革命!」(宇夢和実改め梅川和実)とシリーズ読切がふたつ。前者は「2015年の打ち上げ花火」から続くシリーズだけど、そろそろ別設定のおはなしが読みたくもある。あまり純真こども話がヒットしないという個人的事情のせいなのですが。今回は番外編的な後者は逆に、もう少し話を進めたのを読んでみたいかも。この設定で続けるのは難しいところもあるので、別シリーズならそれでもOKだけど。
連載2回目「雲のグラデュアーレ」(志水アキ+木原浩勝)が好調。まだおはなしは導入部だけど、元気な絵がとてもいい感じ。いやしかし上手いなこのひと。絵がいい感じということでは「魔法のエンジェル グルグリビューティー」(和六里ハル)もひけをとらない。やわらかくふわりとした線がいいです。
「韃靼タイフーン」(安彦良和)はどんどんと容赦なく話が進む。シーンがくるくる変わるこの話、どちらかというと単行本むきかも。
作者もまんがも全然知らなかったのだけど。知ってる人が何人か買ってるので本屋で手にとって、めくって買ってみることに。あたりでした。
幼い王女さまを主人公に据えたこのまんが、その限りでは正統派ファンタジースタイルをとってるけれど、そのうち新体操やラジオ体操やあげくに給食まで出てきて、いったいこれはどこの国の話だか。裏返してみればファンタジーの「あるべき姿」にとらわれてない奔放さがあって、そのあたりの感じが読んでて楽しいです。
いらんことたくさん知っているませた王女と、お付きのものとしてひどい目にあいつつ元気に生きる同年代の男の子と。このふたりのあれやこれやがまんがの内容で、おませな王女さまもふくめてふたりともちゃんとこどもでこどもっぽくかわいい。おとなの理想像的こどもやおとなみたいなこどもではなく、あくまでこども。そこがこのまんがのみそでしょう。
省略の効いた絵は坂田靖子にやや近いけど、似た絵というのではなくてちゃんとこの人の絵になってます。どうやらこれが初単行本らしいけど、少女まんがだけに今どこでなにを描いてるのか皆目わからん。調べてみようかな。
ガンパレのオープニングを見るたびに思うのは、実際に壬生屋がこんだけ働いてくれたらずいぶん楽なのになあということ。突っ込んで壊して帰ってくるだけだもんなあ。下手したら帰ってきさえしないし。
「ピアノの森」(一色まこと)がよい。とてもよい。いまさらながらよい。電車で読んでてけっこうやばかったです。たぶん今度は、便所姫・丸山誉子がカイに与える番。
「黒竜の城」(梶原崇+田中芳樹)が佳境に。読んでないんで原作との比較はできないけど、この絵はというかこの顔と表情はすごいなやっぱり。あくが強い分、くせになるとたまらない感じ。連載ぶくみの読切「島立!パーソナル高等学校」(河田雄志)は、野球まんがだけに「成りたがり」よりはずいぶん一般性のあるまんがになってるけど、変なまんがは変なまんがだなあ。とりあえず続きが見てみたいです。「0リー打越くん!!」(桑原真也)が最終回、なんだけど。ちゃんと雑誌でラストまで読みたかったです、やっぱり。ここまで続いたまんがなんだし。
いまさらながらラインアップなど書いてみます。
この中で「話すリス」は「本ワールド」という読切連載のひとつらしい。「阿弥殻断層の怪」「アイアイ」が読切で、それ以外は連載。
創刊号で目をひいたのは、「もにもに」「阿弥殻断層の怪」「富士山」「フランケンシュタイナー」の4つかな。「もにもに」は造形が個人的にヒットしたというか、奥深くにかかえているなにかと相通じたみたい。学生時代にアジビラに混じって配られたちらしまんがを唐突に思いだして、雰囲気似てるなあと思ったり。とんでもなくローカルな話だなこれ。「阿弥殻断層の怪」はこれも奥深くにかかえているなにかと…たぶんこういう悪夢、見たことあります。「富士山」は巧緻に組み立てられたいい話で、内容より組み立ての妙を楽しんだかも。スーパー乱暴者な女子高生と、彼女に世に出てもらっては困る政治家な親父の意を受けた秘書との乱闘まんがになりそうな「フランケンシュタイナー」は、創刊号ではいちばんおもしろかった。ぶちきれた人間の目を描かせたら、このひとは当代屈指でしょう。楽しくなりそうです。
「セクシーボイスアンドロボ」は初回はいまいちピンと来なかった。まあのんびり構えてみます。「まひるの海」に出てくる褐色はだかんぼ少女は高橋葉介の「海から来たドール」を連想させました。まんがとしては全然違うまんがです念のため。
わがまま読者としてわがままこくなら、せっかくおもしろくなってきてたmanpuku増刊をつぶしたのはしょうがないとして、あっちでおもしろいの描いてた若手のまんがをどんどん載せてほしいなということ。たくさんまんがが載ってる雑誌には、やっぱり新しい人のまんががいくつか混じってるほうが好きです。
けなすのは難しいのです。ほめるよりもずっと。上手いけなしは芸だけど、それにはさまざまなものが要求されます。上手なほめ方よりずっと。だからほめるよりけなすほうが価値がある、ということはもちろんありません。
だてに場数は踏んでないということか。再開された「賭博破戒録カイジ」(福本伸行)、今回は起承転結の転になりそう。「ユキポンのお仕事」(東和広)は途中からオチが見えたけど、こういうのはお約束だからいいのだ。トホホ会的なおはなし。4回連続の最終回「L・Pアラシ」(能田茂+天王寺大)はいやまあこんなもんでしょう。燃やしたらいかんよ。
今月号は2日に分けて読んだのでした。分量的にはそのくらいでちょうどいいのだな。一気読みの快感は捨てがたいしできればそうしたいのだけど。
新連載がふたつ。やっとこさの復帰もめでたいあさりよしとおの「細腕三畳紀」はいきなりでてくる三葉虫といい、かわいい女の子という意味のかわいさはぜんぜんない初回の主人公といい、やっぱりこのひとらしいまんがだなあ。はたして三葉虫ゆでると赤くなるんでしょうか。オムニバスまんがになるとのことで先行き楽しみにします。
が、今回それ以上にヒットしたのがもうひとつの新連載「ヤサシイワタシ」(ひぐちアサ)。おのれの快感欲求におそろしく忠実でハイテンションでしかもただものでない、このとんでもねえ女がどうしようもなくよいです。こういうのは身近にいるとひどい目に遭うとしたもんだけど、眺めてる分にはこんな楽しいことはない。どっちかというとぶっきらぼうなもういっぽうの主人公とこれから先どういうことになっていくのか、いやこれは楽しみだあ。楽しみ。
前半では相変わらずどんどん進む「ミルク クローゼット」(富沢ひとし)と相変わらずまじめに展開する「ぽちょむきん」(北道正幸)とこれまた祝復帰の「なぁゲームをやろうじゃないか!!」(桜玉吉)とアルファさん海辺に帰ってきた「ヨコハマ買い出し紀行」(芦奈野ひとし)とほかにもいろいろ。読むとこ多いや。
後半は…って要は「茄子」(黒田硫黄)の前でひといきいれたんだけど。いきなり舞台が変わったと思ったらこれはまた。
別にそうでないひとだって読んで楽しいまんがだろうけど、男子校出身者にとってはこの男子校の描写は恐ろしくリアルです。きたなくてほこりっぽくて、詰め襟着た中学生とおっさんくさい高校生がひとところにいて、女の子がいない分男子の男子たるゆえんが出しっぱなしで。根本的にばかで。そういう場所の屋上に女がいるなんてことは、街中に天使が立ってるくらいには尋常ではないわけで。ラストのこの少年の表情といいいかにも懸命な会話といい。いやはや。
後半の特記事項はもうひとつ、「五年生」(木尾士目)の最終回。そうかこんなふうにまとめましたか。本人たちのどこか悟ったような会話とは関係なく、ふたりともとびきりうれしいのだろう。よかったなあ。池上遼一特別賞の「ニュー・レインボー」(マナベウミ)は人を好きになったマウスのおはなしをファンタジーで。もうひとつ四季賞入賞作の「思い出は冷たい鉄の中に」(田中雄一)はデートの帰りUFOとぶつかって、気がついたら火星人に混じってロボットの体で…という少年の話。基本的には悲しい話だから、悲しいほうに落としたほうが流れとしては自然だったかも。加えてギャグパラ大賞入賞作の「どうぶつ奇想変外!」(竹内トシヒデ)と読切「九マイルのヘビは長すぎる」(瓜根稜吾)も載ってます。連載作では「のぶみのえほん」(のぶみ)も最終回。
あ、もうひとつ特記事項があった。「クーの世界2」(小田ひで次)も最終回。またひとまわり、成長した主人公。なんだかおばあさんみたいなラストの口調がすごくほほえましいです。こちらは「3」もあるとのことでまた楽しみに待ちます。
改札の前で鍵を出したり自宅のドアの前で財布を出したり、考えごとしながらだと何するかわからん今日このごろなのですが、今日はとうとうバスカードの代わりにイオカードを突っ込んでしまった。大変恥ずかしうございました。この年齢でこのざまでは、これから先どうやって生きていけばいいのでしょう。
こうやってまとめて読むと、確かに魅力的な絵です。おはなしのほうは、原作者の小説の雰囲気をわりと忠実にまんがにしたような感じなんだけど、そもそもブギーポップがまんがに向いてるかどうかという問題はあったかもしれない。ラストのこの展開は、上遠野節があってこその内容かなあと思います。
それでもラストにいたるまでの展開は十分楽しかったし、読み手としてもとは十分取れた気分。
高野真之のまんがは次はオリジナルで読んでみたいかな。
勢いにまかせてつんのめり気味に走る連載まんがの第2巻。変にまとまりとか考える必要ないですこれなら。このまんま、ガソリンが尽きるまで走ってくださいな。
ほのぼの系SFラブコメというくくりはそれはそれで間違ってはいないけど、能天気な男性陣に対して、微妙に(またははなはだしく)世間一般のあたりまえからずれている女性陣のありかたと、このほのぼのが永続するわけではないよという暗黙の了解が、このまんがの読後感に、ただ単にああ楽しいなーラブコメだー以外のものを与えています。読み手自身の経験と共鳴するような形で。
それにしてもこのまんが、連載で読むときより単行本で読んだときのほうが、最低限1.5倍はおもしろいしいい感じです。連載で読んでそこそこおもしろかったら、でも単行本はどうしようかなどと迷う必要はありません。単行本で読んでこそのまんがです。
新キャラクター・サテラを加えての第3巻。設定は19歳らしいけど19には見えんぞ、20代なかばという感じ。パンケーキ・ロゼットとそれ以前の問題なアズマリアだけじゃ支えきれないと見ての戦力投入かな、というのは冗談です。冗談ですよ。
あっちこっち寄り道しながら一行は少しずつヨシュアに近づいてるし、まんが自体もギャグがそこかしこに挿入されてはいるけど、基調はシリアスです。あせらず急がずとどまらず、マイペースで進んでいけばそれでもう言うことはありません。どっちみちとことんまでつき合うつもりだし。
あ、ヨシュアというのは主人公のひとり・ロゼットの弟の名前です。「クーデルカ」のヨシュアとは偶然同じ名前になったのかな。こっちのほうは全国ショタ者の期待を裏切るようなことはしません。というより半ば悪魔化していて、もはやショタどころではないし。
そうかこの雑誌の表紙もVOLAREだったのね。いままで確認してなかった。
来年早々、めでたくワニマガジン社から短編集が出ることになった朔ユキ蔵の「逆走センチメンタル少女」は、これはおもしろいけど説明しづらいまんがだなあ。かわいい彼女のいる男にほれた少女が、おのれの信じる道(そして世間一般と大きく相違してる道)にしたがって真っ向アタックという話で、明晰で変わり者のこの少女がそのまんままんがのおもしろさにつながってる、ということでいいのかな。この主人公を幸せにしないところがこの作者ならでは。
「内向エロス」(陽気婢)は2回目を挟んで初回と3回目が同設定。で、その主人公が2回目を描いたという設定。なるほどそういうことか。4回目には初回と3回目を描いた主人公が出てくる…ということはないだろうけど。本気でこの手の設定を入り組ませたらどんなまんがになるか、一度見てみたいな。このまんががそうあってほしい、というのでは全然ないけど。
「スターライト☆ナース」(ピロンタン)「OKコンぴゅう太」(道満晴明)「卒業-season2-」(TAGRO)と続く読切は、バカまんが/無意味まんが/変態まんがとそれぞれの持ち芸を生かした内容。3つめ読んでこういう内容ならおれでも守備範囲だなと思いながら読み始めた、次の「笑ウ少女」(綾瀬さとみ)がなんとも痛いまんがで途方に暮れる。悲恋ものとはいえ、ここまでまるっきり救いのないのも珍しい。現実と空想をめまぐるしく交錯させた最後の5ページは技法としてはみごとで、もしかしたらこれは傑作かもしれません。重すぎる内容をまんがなり読者なりが支えきれるかがネックになるようにも思うけど。
指フェチのパチンコ屋女性店員が主人公の「フィンガートリップ」(松本耳子)は前作よりいっそう絵のあくが抜けてきていて、もしかすると意識的に絵を変えてるのかもしれない。せっかくの個性なんであまり変えすぎるのももったいないと個人的には思います。前作くらいがちょうどいいかな。ほかに「La Belle」(出水守真名)「兄とパンティー▽」(町野変丸)「森の狼っ娘」(小梅けいと)の3つが読切で掲載されてます。「エヴァーグリーン」(米倉けんご)はお休み。来月はひっさしぶりにYUGが登場するとのことで、楽しみにしておきます。
今日は金曜日。きのう、きのうが金曜日になっていたのはなにかの間違いです。最近こんなのばっかしだなあ。
いわゆる三国志の登場人物たちについて、正史ベースでいろいろ書いてある本。感触としては飲み屋の酒飲み話に近いかもしれない。史実はしっかり踏まえながら口調はくだけてます。
もともと三国志は中学高校時代にはまっていた過去があって、吉川三国志はもちろん、柴練三国志とか岩波版演義とか陳舜臣三国志(これは出版時期はだいぶ後)とかひととおり読んでいて、勢いあまって汲古書店の正史というのを注文したらぜんぶ漢文でひっくりかえったりしたことも。それでも白文ではなかったんでつまみ食い的にあっちこっち読んだりしました。今はちくま学術文庫から訳本が出てるのでそんなことしなくてもよくなってます。あれを買ってないのはわれながら怠慢だなあ。
そういう過去があるので、夕食時にちょっと読むつもりで読み始めたらあっという間に2時間経ってしまって、結局そのまんま帰宅までに読み終えてしまったのは当然の結果かもしれません。なにせふるい知り合いと共通の知人の話をあれやこれやとしてるようなもんで、止まるわけがないです。まんが好き同士でまんがの話が尽きないようなもの、と言ってもいいでしょう。いや楽しかった。
吉川三国志とか縁起のイメージが強くてそれを壊したくない人には、この本はすすめません。そうではなくて三国志がらみだったらなんでもという人だったら、これがおもしろくないはずはないです。まあそういう人はほっといても買うだろうけど。
「西校ジャンバカ列伝 かほりさん」(神原則夫)が連載化。いつの間にか長く続いて単行本化、という「でんでんユミコ」のようになるか。いつの間にか長く続いてでも単行本は出ない「スはスーアンコのス」パターンもあるけど。いずれにせよ、長く続くとうれしい。
巻頭は3話集中の第1話「娯楽の殿堂」(市川智茂)。艶のある絵を描く人で、個人的には「デデンがデンスケ」のような明るい話のほうがはまるんじゃないかと思ってるんですが。今回は斜陽雀荘立て直しもの+白馬の騎士ものかな。さりげなく4ページ載っている「バード特別編」(青山広美)は裏話的。これは事実なのか創作なのか、けむに巻こうとしているのかまじなのか。「ピンの一」(津田ひろみ+伊集院静)は前回に続いて1987年有馬記念の話。3着ハシケンエルドは有馬史上屈指の地味な存在でしょう。というかこの年までは有馬なんて普通の人には関係なかっただろうし。この翌年がオグリキャップ=タマモクロスなんだよな。
「根こそぎフランケン」(押川雲太朗)は今度こそ次回最終回。決着はついた。そして結末は。