Venu kune kun la patro.
お父さんと一緒に来なさい。
kune kun
Du ekbriloj de fulmo trakuris tra la malluma c^ielo.
雷の二つのきらめきは暗い空を走り抜けた。
trakuris tra
g^i nur deflugis de la arbo,
alflugis al la domo kaj surflugis sur la tegmenton.
それは木から飛んで、家へ飛んで、屋根の上へ飛んだだけだ。
deflugis de
alflugis al
surflugis sur
目的語には語尾 n を付けなければならない。
形容詞には、名詞に合わせて複数形語尾 j や
目的語語尾 n を付けなければならない。
こう言う説明で終わってしまうと、初心者はただの面倒な規則に感じてしまう。
英語にはないのに、どうしてこう言う無駄なことをするのかという意見が出る。
しかし、エスペラントの文法には無駄は無い。
これは、文のあいまいさを防いで、誤解の無いようにしたり、
表現の幅を広げるためにある。
目的語の語尾 n があるおかげで、文中の語順が自由になる。
強調したい語を簡単に文の先頭に持っていくことができる。
Akvon volas trinki mi. 水を飲みたいんだ、私は。
形容詞に複数形語尾があるおかげで、どの名詞に掛かるか明確になる。
blanka hundo kaj kato 「白い犬」と「猫」
blankaj hundo kaj kato 白い「犬と猫」
形容詞に複数形語尾があるおかげで、名詞を重複して言わなくて済む。
amiko el la miaj (amikoj) 私の複数いる友達の中の一人の友。
形容詞に目的語語尾があるおかげで、
形容詞が補語なのか修飾語なのか明確になる。
Mi trovis lin malsana. 彼が病気だとわかった。
Mi trovis lin malsanan. 病気である彼を見つけた。
文法事項は「これで何がうれしいのか」を理解しないと、
身に着いていかないと思う。
エスペラントにとって、冠詞はがんじがらめの制限事項ではなく、
表現を広げるための便利な道具ということである。
ザメンホフは定冠詞を持たないロシア語やポーランド語を知って
いたので、エスペラントの学習を易しくするために、定冠詞を
エスペラントに採用しないことも考えたことだろう。
しかし、定冠詞はあると便利で、それを用いると多彩な表現が
可能となるので、必須事項でなく、任意事項として採用されたのだ。
定冠詞を用いると、いろいろ便利な表現ができる。
G^is revido. では、いつかまた。
G^is la revido. では、次回また。
前者は再会がいつになるのかわからないとき。
後者は二人の間で次に会う約束ができていることがわかる。
La suno brilas. 太陽が輝いている。
Suno brilas mem. 恒星は自ら輝く。
La suno は 私達の恒星、すなわち太陽を表す。
Amo estas kau^zo por edzig^i.
愛は結婚する理由の1つだ。
Amo estas la kau^zo por edzig^i.
愛は結婚する唯一の理由だ。
la を付けると一つしかないことを示す。
つけないといくつかあるうちの一つを示す。
定冠詞は使えるようになると面白い。
エスペラントの文法(さらに続き) (2006/02/16)
前回の記事で定冠詞 la は必須事項でなく任意事項として、
エスペラントに採用されたという話をした。
同じく任意事項として採用されたものに、複合時制がある。
複合時制とは、現在、過去、未来の基本時制と、
完了、進行などの状態を表す分詞を組み合わせたもの。
いわゆる、現在完了とか現在進行とかの形式である。
エスペラントでは、これらは重い表現として普通は用いられない。
現在完了の代わりに過去が、現在進行の代わりに現在が用いられる。
これらの違いは副詞によって判断される。
j^us たった今
jam もう既に
nun 今
iam かつて
ekde ~以来
これは、エスペラントの学習の容易さを確保するためだ。
しかし、複合時制があると細かい表現ができるので、
任意事項として採用されている。
つまり、エスペラントでは、文法事項を必須事項と任意事項に
分けることによって、学習の容易さと、表現の豊かさを、
同時に満たしているのである。
エスペラントの文法用語、特に「相」 (2006/02/23)
文法用語の例。
日本語 英語 エスペラント
品詞 part of speech partoj de parolo
名詞 substantive substantivo(o-vorto)
or noun
形容詞 adjective adjektivo(a-vorto)
動詞 verb verbo(i-vorto)
副詞 adverb adverbo(e-vorto)
冠詞 article artikolo
定冠詞 definite article difina artikolo
代名詞 pronoun pronomo
人称代名詞 personal pronoun persona pronomo
数詞 numeral numeralo
前置詞 preposition prepozicio
接続詞 conjunction konjunkcio
間投詞 interjection interjekcio
分詞 participle participo
関係詞 relative rilativo
性 gender genro
男性 masculine vira
女性 feminine ina
中性 neuter neu^tra
数 number nombro
単数 singular singularo
複数 plural pluralo
格 case kazo
主格 nominative nominativo
対格 accusative akuzativo
属格 genitive genitivo
与格 dative dativo
奪格 ablative ablativo
呼格 vocative vokativo
人称 person persono
級 degree ?
原級 positive ?
比較級 comparative komparativo
最上級 superlative superlativo
法 mood modo
直説 indicative indikativo
条件 conditional kondicionalo(us-modo)
(仮定,叙想,接続)subjunctive subjunktivo
命令 imperative imperativo(u-modo)
(意志) volitivo
不定 infinitive infinitivo(i-modo)
時制 tense tempo
現在 present prezenco(as-tempo)
過去 past preterito(is-tempo)
未来 future futuro(os-tempo)
態 voice voc^o
能動 active aktiva
受動 passive pasiva
相 aspect aspekto
継続 durative durativo
or progressive ?
完了 perfective perfektivo
or perfect perfekto
未然 prospective ?
起動 inchoative inkoativo
or inceptive ?
終結 terminative ?
反復 iterative iterativo
or frequentative ?
瞬間 momentane momentaneo
or punctual ?
この中の多くはエスペラントの16条の文法に出てくる。
しかし、相(そう)は16条の文法には出てこない。
相を見かけるのはエスペラントの分詞の説明のときである。
分詞の -ant- -int- -ont- のそれぞれは、
普通、時制の現在、過去、未来という言葉で説明される。
これを、継続相(進行相)、完了相、未然相(将然相)という
言葉で説明しているものがある。
時制と相は、どちらも時間的な概念について言っている
ようだが、どういう違いがあるのか。
私は相に詳しくはないので、いろいろと調べてみた。
「Wikipedia」の「相」の項目
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8_%28%E8%A8%80%E8%AA%9E%E5%AD%A6%29
動詞ごとに含まれる相に違いがある。
それによって意味や使い方に違いがでるので、
その動詞の持つ相を知って置く必要がある。
例えば havi や koni は、持つ、知るという瞬間動作でなく、
持っている、知っているという継続動作である。
しかし、相という言葉はわかりにくい。
これを、点動詞と線動詞という2つに集約したのは
とても素晴らしいアイデアだと思う。
他の文法用語と違って、相については、
私はなかなか分かった気になれない。
それは、人によって分類の仕方が違ったり、
名称が違っていたりするからだろう。
まだ統一的な整理がされていないのである。
とりあえず、エスペラントでは、
点動詞と線動詞の違いと、-ant- -int- -ont- の使い方が
分かっていればいいのではと思う。
もう一つ分かった気になれないのは、
「ハートで感じる英文法 第5回」で紹介した、
You are selfish (あなたはわがままだ)
という状態を表す be 動詞を進行形にすると、
You are being selfish (あなたはわがままなことをしている)
という一時的な状態を表すという件である。
エスペラントでも、このような例があるのだろうか。
エスペラントの受け身文 (2006/03/01)
エスペラントで受け身の文を作るときに迷うのが分詞に-ata を
使うか、-ita を使うかである。
英語の場合は、受け身の文で使う分詞が過去分詞一つしかない
ので、迷うことが無い。
しかし、エスペラントでは受け身の分詞が3つある。
-ata, -ita, -ota
-ota はあまり使う機会がないので、-ata, -ita のどちらを使う
のかが問題になる。
これらの3つは次のように使い分けられる。
-ita 事柄が始まって、終わっているとき。
-ata 事柄が始まっているが、まだ終わっていないとき。
-ota 事柄がまだ始まっていないとき。
文脈によってどれを使うかが決まってくる。
完結しているものは -ita を使う。
Mi skribis leteron hierau^.
きのう手紙を書いた。
これは書き始めから書き終わりまでの一連の作業について
言っているので、-ita を使うことになる。
Letero estis skribita de mi hierau^.
きのう手紙が書かれた。
継続中のものは -ata を使う。
Mi skribis leteron, kiam vi venis al mi.
あなたが私の所に来た時、手紙を書いていた。
これは、あなたが来た時には、書いている途中だったので、
-ata を使うことになる。
Letero estis skribata de mi, kiam vi venis al mi.
あなたが私の所に来た時、手紙が書かれていた。
現在行なわれている動作も -ata を使うことになる。
Mi skribas leteron nun.
今、手紙を書いている。
Letero estas skribata de mi nun.
今、手紙が書かれている。
現在の習慣や繰り返しの動作、永遠の真理についても -ata を
使うことになる。
Mi skribas leteron c^iutage.
毎日、手紙を書く。
Letero estas skribata de mi c^iutage.
毎日、手紙が書かれる。
過去の習慣や繰り返しの動作にも -ata を使うことになる。
Antau^e mi skribis leteron c^iutage.
以前は毎日、手紙を書いた。
Antau^e letero estis skribata de mi c^iutage.
以前は毎日、手紙が書かれた。
上記の例のような、受け身にしなくても言えるものは、
普通、あえて受け身にすることはしない。
受け身文が使われるのは次のような場合である。
・誰の行為か分からないとき。
Juveloj estis s^telitaj el la butiko.
宝石が店から盗まれた。
・誰の行為か言う必要がないとき。
Tiu c^i fervojo estas konstruota en la dau~ro
de du jaroj.
この鉄道は2年間で建設される予定だ。
・誰の行為か言うことができないとき。
La artikolo "la" estas uzata tiam,
kiam ni parolas pri personoj au~ objektoj konataj.
冠詞 "la" は、私たちが知っている人か物について話すとき、
使われる。
・受け身文を用いる方が一般的なとき。
Georgo Vas^ington estis naskita la dudek-duan
de Februaro de la jaro mil-sepcent-tridek-dua.
ジョージ・ワシントンは1732年2月22日に生まれた。
「生まれた」という場合は、行為者を言わないのが一般的。
-ita が形容詞化してしまっている語がこのパターンになる。
elvendita 売れきれた fermita 閉じた finita 終わった
・話の中心人物を主語に置くとき。
Kristo estis mortigita de potenculoj.
キリストは権力者に殺された。
・客観性を与えるとき。
Estas dirite, ke la medikamento estas tre efika.
この薬はとても効くと言われている。
英語やフランス語などのヨーロッパの言葉では、受け身の分詞が
一つしかないので、ヨーロッパのエスペラント使用者では、
-ita が多用される傾向があるようだ。
-ata を用いるべきところでも、-ita が誤用されることが多い
らしい。
エスペラントの受け身文が、どうしても複合時制の形になって
しまうので、それを解消するために -es- という接尾辞が提案
されたことがあった。しかし、これは広まらなかった。
例)Letero skribesis hierau^. 手紙がきのう書かれた。
これ似た接尾辞で -ig^- というものがある。
英語では be -ed となるところを
エスペラントでは -ig^- とすることがある。
surprizi (surprise) 驚かす
surprizig^i (be surprised) 驚く
interesi (interest) 興味を起こさせる
interesig^i (be interested) 興味を持つ
「言語の発展」(フランソワ・ロ・ジャコモ著 水野 義明訳
大村書店)という本には、昔、-ata と -ita について、
アータ派とイータ派に分かれて論争があったことが書かれている。
この問題はエスペラント界をにぎわせる大問題だったようだ。
デビ夫人はもちろんアータ派だろう。
アータ・イータ論争 (2006/03/11)
1960年代、エスペラント界では、受身文に使う分詞について、
アータ派とイータ派に分かれて論争があった。
アータ派とは、時制派とも呼ばれ、分詞の -ata と -ita の
違いは、時制の違いだとする意見を持つ人たちだ。
イータ派とは、相(アスペクト)派とも呼ばれ、
分詞の -ata と -ita の違いは、相の違いだとする意見を持つ
人たちだ。
アータ派によると、-ata は話題の時点の現在を表し、
-ita は話題の時点よりも過去を表す。
「その手紙は昨日書かれた」という文は次のようになる。
La letero estis skribata hierau^.
La letero estis skribita hierau^. という文にすると、
昨日以前に手紙が書かれたということになる。
イータ派によると、-ata は話題の時点での継続を表し、
-ita は話題の時点での完了を表す。
「その手紙は昨日書かれた」という文は次のようになる。
La letero estis skribita hierau^.
La letero estis skribata hierau^. という文にすると、
昨日ずっと手紙が書かれ続けていたということになる。
最終的にはエスペラント・アカデミーオ(学士院)が次の決定を
出して決着した。
http://www.akademio-de-esperanto.org/decidoj/participoj.html
1967年11月25日
外交、商業、法または政治の文書の
4つの典型的な文の正しい意味について相談を受けた。
"Ni garantias, ke la domoj detruitaj dum la milito
estos rekonstruataj en 1970"
戦争の間に破壊された家は1970年に再建されることを
私達は保証する。
= do la garantiantoj estos kvitaj,
その保証人が義務を果たすことになるのは、
A) se en la dau^ro de 1970 oni komencos kaj
dau^rigos la rekonstruadon;
1970年の間に再建が始まり、継続される場合。
B) nur se en la dau^ro de 1970 oni finos
la rekonstruadon.
1970年の間に再建が完了する場合。
"Mi promesas, ke mia s^uldo estos pagita la 9-an de Majo" =
私の負債は5月9日に払われる事を約束する。
A) la s^uldanto sens^uldig^os la 9-an de Majo;
債務者は5月9日に返済する。
B) la s^uldanto sens^uldig^os plej malfrue la 8-an de Majo.
債務者は最もおそくても5月9日に返済する。
"Ni asertas, ke la au^tomobilo de s-ro X estis efektive
riparata la lastan semajnon" =
X氏の自動車は先週、実際に修理されていた事を
私達は主張する。
A) la lastan semajnon oni efektive okupig^is
pri la riparado de la au^to
先週、人々は実際に自動車の修理に従事していた。
B) la lastan semajnon oni efektive finis la riparadon.
先週、人々は実際に修理を完了した。
"Via propono estis unuanime akceptita la 3-an de Junio" =
あなたの提案は6月3日に一致して受け入れられた。
A) oni akceptis la proponon la 3-an de Junio;
人々は6月3日にその提案を受け入れた。
B) oni akceptis la proponon antau^ la 3-a de Junio.
人々は6月3日の前にその提案を受け入れた。
これらの文のすべてはAの意味だけが
伝統的なザメンホフの言語使用に適合する。
すべての他の解釈は非公式である。
仮定法は動詞に語尾 -us を付け、「非現実」を表す。
そのことから、次のような使い方をよくする。
・あり得ないことへの想像(~かも知れない)
Mi ne farus la eraron,
se li estus dirinta al mi la veron.
もし、彼が私に真実を話していたら、
私は間違いをしなかったかも知れない。
(実際は間違いをした)
・望みの薄い希望(~ならいいのに)
Se mi estus sana, mi estus felic^a.
もし私が元気なら、幸せなのに。
(実際は元気ではない)
・控えめな嘆願(~していただけますか)
C^u mi povus peti vian helpon?
お手伝いをお願いしてもよろしいでしょうか。
(実際はお手伝いをお願いできないけれどもという
気持ちを出すことによって、控えめさを表す)
Fundamento de Esperanto(エスペラントの基礎)の中の
EKZERCARO(練習問題集)の文例を見ると、
上記に当てはまらない使用があるように感じる。
以下はその例と自分なりの解釈である。
C^u ne estus al vi agrable havi tian saman kapablon? (SS17)
そのような同じ能力を持つことがあなたには楽しくないだろうか?
同じ能力を持つことができるか不確定なので、
仮定法が使われている。
Estus tre bele, ke mi iru al la fonto! (SS19)
私を泉に行かせるなんて、とてもすばらしいわね。
泉に行くように命令されただけで、まだ行っていないし、
行くかどうかも分からないので、仮定法が使われている。
La reg^ido konsideris, ke tia kapablo havas pli grandan indon,
ol c^io, kion oni povus doni dote al alia frau~lino, (SS23)
人々が他の未婚女性へ持参金として与えることのできる全てよりも、
その能力は大きな価値を持っていると、王子は考えた。
実際にはそのような能力は「与えることのできない」
ものなので、仮定法が使われている。
trovinte neniun, kiu volus s^in akcepti, (SS23)
彼女を受け入れたい人がみつからず、
実際は「彼女を受け入れたい人」がいないので、
仮定法が使われている。
En tiaj okazoj
ni uzus la finig^on "n"
tute egale c^u ia prepozicio starus au~ ne. (SS28)
そのような場合には、
なんらかの前置詞があるかないかを問わず、
語尾 "n" を使う。
「そのような場合」とは、移動の方向を表すために、
語尾 "n" を使う場合を言っている。
「前置詞がある」かどうかが不確定なので、
仮定法が使われている。
Metro de drapo signifus metron,
kiu kus^is sur drapo, au~ kiu estas uzata por drapo. (SS32)
Metro de drapo(ラシャのメートル)は、
ラシャの上に置いてあるか、ラシャのために使われる
メートル尺を意味するかもしれない。
実際はmetro da drapo(1メートルのラシャ)が使われ、
metro de drapo の使用は現実性が低いので、
仮定法が使われている。
こじつけて解釈しているのだが、正しいかどうか分からない。
その他にも次のような仮定法の使用例がある。
Li traktis min, kvazau^ mi estus malsanulo.
彼は、私が病人であるかのように、扱った。
実際は、私は病人ではないので仮定法が使われている。
エスペラントや英語などに共通していると感じるのは、
身近なものと、身近でないものの区分けがされていると
言うことである。
代名詞でいうと、tio (that) と tio c^i (this) である。
動詞でいうと、身近なものが現在や命令(意志)で、
身近でないものが過去や仮定になる。
英語では、現在や命令に現在形が、過去や仮定に過去形が、
用いられる。
時間的に遠いものや、非現実なものは身近でないものと、
みなされるからだ。
ヨーロッパ人にはそのような世界観がある。
現実と非現実という観点でいうと、
エスペラントでは動詞の形に、現在、過去、未来、仮定法、
意志法があり、そのうち、現在と過去は現実の記述であって、
未来、仮定法、意志法は非現実の記述である。
一般的には仮定法だけが非現実の記述であるといわれているが、
未来も意志法もそれが話された時点では現実になっていない。
この3つは、非現実から現実への移行に関して、
話者がどういう主観を持っているかで変わるのである。
話者の意志にかかわらず、非現実から現実への移行があると
考えられる場合、未来形が使われる。
話者の意志によって、非現実から現実への移行があると、
考えられる場合、意志法が使われる。
話者の意志によっても、非現実から現実への移行がないと、
考えられる場合、仮定法が使われる。
仮定法は日本語にないので、異質なものと感じられるが、
上に述べたような感覚は日本人でもあるはずだ。
ただ、日本語にそのための専用の表現手段がないだけである。
エスペラントの人称代名詞 (2006/03/13)
エスペラントの人称代名詞の体系は、
民族語に大きく影響を受けている。
英語の体系と一致する。
単数 複数
1人称 mi(I) ni(we)
2人称 vi(you) vi(you)
3人称 男性 li(he)
女性 s^i(she) ili(they)
中性 g^i(it)
共通点
・複数形の形が違う。
・2人称の単数と複数が同じ。
・3人称の単数に、男性、女性、中性があるが、
複数は性の区別がない。
よく初心者から出る意見は、次のようなもの。
・代名詞も名詞なのだから、一般の名詞とそろえるために、
mi を mio とした方が良いのではないか。
・ni は mio に複数形語尾を付けて mioj とすると
規則的になる。
・そうすると、vi も単数と複数を区別できるようになる。
vio, vioj
・また3人称の複数の性の区別もできるようになる。
lioj, s^ioj, g^ioj
ザメンホフは上記のようなことも考えただろう。
なぜなら、ザメンホフが知っていたヘブライ語では、
人称代名詞が上記のようになっているからだ。
1人称の複数は単数から作られている。
2人称に単複の区別がある。
3人称の複数に性の区別がある。
しかし、彼はわけあって、今の形にしたと思う。
その理由はわからないが、私は次のように推測する。
・複数形の「私達は」miojとなるが、その所有形容詞がmiajと
なり、mia が複数形の名詞を修飾した時にmiajとなるのとが
混乱するので、複数形語尾を使うのを避けた。
・人称代名詞はよく使うので1音節にした。
・ni は mi の複数ではない。「私」はこの世に二人といない。
mi kaj mi ではなく、mi kaj vi とか mi kaj li などである。
だからmiojとするのはふさわしくないので、別の単語にした。
・vi は 聞き手にとっては、複数であろうが、単数であろうが、
関係無い。聞いている人にとっては、自分しかいないからだ。
だから実際には、vi の単複の区別がないと困るということが
ない。
・実際上、3人称複数の性の区別が必要になることがない。
3人称複数が同性で構成されるよりは、混ざっている方が
多いので、性の区別が無い方が便利である。
複数に性の区別があると、混ざっている場合、lioj kaj s^ioj
という言い方をしなくてはいけないので、逆に不便である。
ci(おまえ)という代名詞もあるが、あまり使われていない。
でも、フランスでは、よく使われているらしい。
http://blog.goo.ne.jp/esperakira/e/73c3c767f14e2a264ff4d53acc1f4910
これを見ると、2人称の単複の区別に使われているかも知れない。
他の言語にはなくて、エスペラントにしかない特徴をあげるなら、
「造語法」と「相関詞表」であろう。
この2つだけでもエスペラントを学ぶ価値はある。
私は、エスペラントの造語法に惹かれて、
エスペラントを学び始めたと言っても良い。
造語法の要素である「接頭辞」「接尾辞」「語尾」は、
民族語にも無いことはないが、痕跡みたいなもので、
整理されていない。だから、新しく語を造る力は弱い。
エスペラントの造語法は強力な創造力をもっているので、
既存の民族語にない単語まで作れてしまう。
そのため、エスペラントの合成語を民族語に訳すとき、
とても苦労する場合がある。
エスペラントの合成語、派生語を英語に訳す例
kioma (何番目)
英語には「何番目」を表す単語がない。
辞書には kioma ― what number と載っているが、
これが全ての場面で使えるわけではない。
・kioma horo ― what time (何時)
・Kioma lernejestro estas li ?
― How many principals were before him?
(彼は何代目の校長ですか?)
このように場面ごとに表現を考える必要がある。
doktorino(女医)
1語で表す単語がない。
'woman doctor' というように複数語になる。
分詞名詞
これも1語で表現できないことがある。
Savonto de la mondo
― One who will save the world
(世界を救うであろう者)
povi, devi
povi, devi にあたる英語の can, must は助動詞なので、
will と一緒に使えなかったり、分詞、不定詞の形がない
という制限がある。
Mi devos iri kun li.
― I will have to go with him.
(彼と一緒に行かねばならないだろう。)
Povi vidi estas tre bone.
― To be abel to see is very good.
(見ることができることはとてもすばらしい。)
be able to, have to で代用する。
*参考となるサイト
「エスペラント国の旅」の「エスペラントの接辞」
http://www.geocities.jp/akvoju/vel/lec19.html#tekst2(リンク切れ)
「エスペラントの基礎(FUNDAMENTO DE ESPERANTO)」の
「練習問題集(EKZERCARO)」の中から、"meti"の使用例を
抜き出してみた。
Oni metis antau~ mi mang^ilaron, kiu konsistis el
telero, kulero, tranc^ilo, forko, glaseto por brando,
glaso por vino kaj telertuketo.
人々は皿、スプーン、ナイフ、フォーク、ブランデーの
グラス、ワインのグラス、布巾から成る食器一式を私の
前に置いた。
Mi metis la manon sur la tablon.
私は片手をテーブルに乗せた。
Grandega hundo metis sur min sian antau~an piedegon,
巨大な犬が大きな前足を私に乗せた。
tubeto, en kiun oni metas cigaron,
kiam oni g^in fumas, estas cigaringo.
人々が喫煙する時、
葉巻を入れるパイプは葉巻パイプである。
Vortoj kunmetitaj estas kreataj per simpla kunligado
de vortoj;
合成された語は、語の簡単な組み合わせで作られる。
5番目は、kun/met/i という合成語になっている。
「組み立てる、合成する」という意味である。
「知っておきたいエスペラント動詞100」では、
meti の基本義は「物を動かして、新しい位置・状態で
静止させる」とある。
ちなみに meti に当たる英語の単語は put である。
「新感覚★キーワードで英会話」のサイト(現在、サイトなし)には、
put のコア・イメージは、「何かをある所に位置させる」
とある。(Back Number の第3週)
これは、「物」と「位置」が意識される単語である。
「物」と「位置」は具体的な物だけでなく、抽象的な事
であってもよい。これが、この単語の応用範囲を広くし
ている。だから、日本語の「置く」が持つ意味範囲より
も広い領域をカバーしている。「何」を「どこ」に位置
させるかによって、日本語での訳語に違いが出てくる。
上記の練習問題集の文例で説明するとこうなる。
「犬の前足」を「私」に位置させる => 乗せる
「葉巻」を「パイプの中」に位置させる => 入れる
「複数の語」を「一箇所」に位置させる => 合成する
さらに、「知っておきたいエスペラント動詞100」に
ある文例で見ていこう。
Mi metos sur min novan jakon.
新しいジャケットを着るつもりだ。
「ジャケット」を「私の体」に接して位置させる => 着る
meti pos^tmarkojn sur koverton
封筒に切手を貼る
「切手」を「封筒」に接して位置させる => 貼る
meti sian subskribon al letero
手紙に署名をする
「署名」を「手紙」へ位置させる => 署名する
meti aferojn en ies manojn
仕事を人の手に委ねる
「仕事」を「人の手の中」へ位置させる => 委ねる
meti finon al la diskuto
議論を終わらせる
「終了」を「議論」へ位置させる => 終わらせる
meti timon en ies koron
人の心に恐怖を植え付ける
「恐怖」を「人の心の中」に位置させる => 恐怖を植え付ける
Tiu ideo metis lin en bonan humoron.
その考えは彼を上機嫌にさせた。
「彼」を「上機嫌な状態」に位置させる => 上機嫌にさせる
日本語の訳語を見ると、meti の意味は多彩である。
しかし、基本義をちゃんと抑えておけば大丈夫である。
このように meti が応用自在だというのは分かる。しか
し、同様なことは英語では put で表現できる。なぜザ
メンホフが meti に対して、特別な発見のような言い方
をしているのかが私には分からない。このような応用自
在な動詞は他に fari, preni, doni などがある。
今では、このような基本的な単語の多彩な意味は、基本
的なイメージから派生しているものだという説明がなさ
れている。もしかしたら、ザメンホフの時代には、この
ような発想はなかったのかも知れない。つまり、ザメン
ホフの大発見だったのかも知れない。「新感覚★キーワ
ードで英会話」に出演しているネイティブ・スピーカー
の人もコア・イメージでの説明には新しい発見があると
言っていた。
エスペラントと英語の動詞の対比表 (2006/06/17)
「知っておきたいエスペラントの動詞100」に載って
いる動詞と、それに対応する英語の動詞の一覧表。
エスペラントの動詞には「基本義」を記載した。
英語の動詞には「新感覚★キーワードで英会話」(現在、サイトなし)にある
「コア・イメージ」を記載した。
英単語の動詞の後ろにある数字は、Back Number の週数
である。
preni 積極的に対象を自己の影響範囲内に捕らえる
take 01 何かを自分のところに取り込む
doni 所有権・支配権などを他に渡す
give 01 何かを自分のところから出す
havi 自身に付随させている
have 01 何かを自分のところに持つ
teni ある物を自己の影響範囲内から離脱しないように
とどめておく
hold 02 何かを一時的におさえておく
keep 02 何かを比較的長いあいだ保つ
lasi 対象の状態をそのままにする
let 相手の意志・意向を尊重したり、
ことが自然に流れるままにさせる
妨げないでさせる
kapti 速やかに自分の影響範囲に取り込む
catch 04 動いているものをパッとつかまえる
gajni (偶然的要因で)望みのものを手に入れる
gain (価値あるものを)得る、増す
meti 物を動かして、新しい位置・状態で静止させる
put 03 何かをあるところに位置させる
fari 物事をおこなってある結果をもたらす
make 02 何かに手を加えて何かを作る
do 何かをする
rompi 急な分解によって機能を失わせる
break 02 力を加えて何か(の形、機能、流れ)をこわす
esti ある
be 03 何かがどこかにある
s^ajni 見かけが~である
seem ~のように思われる
veni 話者(または聞き手)の影響範囲内に移動して来る
come 04 何かが視点の置かれているところに移動する
iri 自分の力で移動する
go 04 何かが視点の置かれているところから離れていく
veturi 乗り物が人を乗せて進む
ride (コア・イメージ未掲載)
kuri 速く進行する
run 04 何かがある方向に途切れることなくスルスルと連
続的に動く
atingi 隔たりを乗り越えて目的に達する
reach 対象・目標に届く
sendi ある物を自分の所から、遠くの他者のもとに移す
send 送り出す
movi 物を別の位置に移動させる
move 08 何かが移動する(何かを移動させる)
rigardi 視線をある方向に向ける
look 05 視線を向ける
vidi 視覚で捕らえている
see 05 視覚器官がちゃんと働いて、対象を視野にとらえる
au^skulti 耳を傾ける
listen 06 耳を傾ける
au^di 耳で音を感じとる
hear 06 聴覚器官がうまく機能して、声・音を聞く
senti 感覚によって知覚する
feel (感触を知るために)触れる
diri 口頭で、ときにそれ以外の方法で、事実・考え言
い表し、伝える
say 05 何かを言う
informi 情報を伝達する
tell 05 相手に何かを伝える
paroli 口頭でことばを発する
speak 05 言語音を出す
talk 05 言語でやりとりをする
tiri 引き寄せたり移動させたりする目的で張力を加える
pull 06 力をいれてぐいっと引く
draw 06 ゆっくりなめらかに引く
fali 上方にある物が落ちる、立っている物が倒れる
fall 07 落下する
drop 07 ポッタンと落ちる(落とす)
porti 重みのある物が落ちないように支え持つ
carry 07 何かを身につけて持ち歩く
bring 07 何かをある場所に移動させる
resti そのままであった位置や状態にとどまる
remain 07 周囲の変化があっても残る
stay 07 違うところに移動せず、そこにとどまる
kus^i 水平方向に伸びた姿勢で安定して位置している
lie 08 平らに接して動かない
stari 垂直方向に伸びた姿勢で位置している
stand 立っている
sidi 下半身が安定した状態で位置している
sit (コア・イメージ未掲載)
turni (対象物自体を軸に回転させて)進む向きを変える
turn 08 まわして向きを変える
s^ang^i 物や状態を変える、代える
change 08 別のものに変える
renkonti 人と人とが違った方向からやって来て出会う
meet 09 あるものとあるもの(2つ以上のもの)が出会う
fermi 閉める、出入りをなくす
close 09 端と端をくっつけるように閉じる
shut 09 すきまなくぴしゃっと閉める
levi 対象を高みへ移動させ、または起こして、目立つ
状態にする
lift 09 まっすぐ持ち上げる
raise 09 手にしているものを現状よりさらに高くする
akcepti 差し出された物を同意のうえ受け入れる
accept (コア・イメージ未掲載)
ricevi 他者の意思により、あるいは自然のなりゆきで、
ある物を自己の影響内に取り入れる
receive (コア・イメージ未掲載)
ami 愛情を抱いている
love (コア・イメージ未掲載)
s^ati 価値のあるものと判断する
appreciate (コア・イメージ未掲載)
preferi 他との比較のうえ、相対的に好ましいと思う
prefer (コア・イメージ未掲載)
plac^i ある人に好みを感じさせる
please 人を満足させる
atendi 対象や事象の出現や生起を予期して待機している
wait (コア・イメージ未掲載)
expect 見張って待ち受ける
esperi 望ましいことの実現を心待ちする
hope (コア・イメージ未掲載)
dau^ri 行為や状態が持続したまま時間が経過する
continue (コア・イメージ未掲載)
c^esi 持続していた活動や事象が持続しなくなる
cease (コア・イメージ未掲載)
komenci 継続的な行為・過程の発端を開く
begin (コア・イメージ未掲載)
fini 物事や活動を終結させる
finish (始めたことをりっぱに仕上げて)終える
koni 体験により知っている
know (事実・人・技能など)を知っている
scii 情報・知識を持っている
know (事実・人・技能など)を知っている
voli 意志を持つ
want (欠けているものが)(必要で)欲しい
deziri 好ましい事象の生起や物の入手を情動的に願う
desire (コア・イメージ未掲載)
helpi だれかが何かをするのに、うまく行くように援助
する
help 手を貸す
g^eni 他者の平穏や円滑な活動を阻害する
trouble (コア・イメージ未掲載)
kredi 対象の内容・存在・実現などを確実だとみなす
believe (コア・イメージ未掲載)
dubi 確信できないが真実ではないと思う
doubt (コア・イメージ未掲載)
legi 言語表現を見てその意味を解する
read (コア・イメージ未掲載)
skribi 書く、書いて意志を伝える
write (コア・イメージ未掲載)
vivi 生命を維持し、活動する
live (コア・イメージ未掲載)
morti 生命体が生命を失う
die (コア・イメージ未掲載)
demandi 質問する
ask ことばを使って物や事を求める
respondi 相手の発言や行動に応じて反応を示す
respond (コア・イメージ未掲載)
povi あることをおこなう能力がある
can あることが実現可能である
may ある行為や認識に対して、「それを妨げる
ものがない」ということを示す
devi (話者の主観、あるいは客観的な基準から)
~して当然である
must ある行為や認識に対して、「強制力が働き、
そうせざるをえない」ということを示す
memori 記憶にとどめている
remember 記憶にとどめていて必要なときに取り出す
forgesi 無意識に記憶・関心の対象でなくしてしまう
forget (コア・イメージ未掲載)
disponi 思いのままにする
dispose (コア・イメージ未掲載)
okupi 他者に属する物や空間を一時的に自己の所有の下
に置く、置いている
occupy (コア・イメージ未掲載)
regi ある物や空間を自己の影響下において、その行動
を思いのままにする
control うまく管理する
serc^i 見つけようと努める
search (コア・イメージ未掲載)
trovi 未知の物や所在不明の物を新たに認める
find (努力してあるいは偶然に)見つける
aparteni 本来の帰属先が~である
belong (コア・イメージ未掲載)
aperi 人や物事が視覚的・心理的に射程範囲に入っている
appear (コア・イメージ未掲載)
bezoni 必要な物がなくて充たされていない
need (コア・イメージ未掲載)
cedi 主張できる権利や立場に固執することをやめる
cede (コア・イメージ未掲載)
estimi 他人の人格やおこないを尊び敬う
esteem (コア・イメージ未掲載)
g^oji 望ましい物の生起や入手のために、心地よい状態
にある
joy (コア・イメージ未掲載)
interesi 人に興味を抱かせる
interest あることに心をひかれ、もっと知りたいあるいは
関わりたいと思う気持ち
kompreni 意味・性質・状況・真理・方法などについて明確
な知識を持つ
understand (コア・イメージ未掲載)
konsili 他の人のためを思って、何かするように言う
advise (コア・イメージ未掲載)
ludi 娯楽の、または無為の活動をする
play 気晴らしや娯楽のための活動をする
manki あるべき物、必要な物がない、または不足している
lack (コア・イメージ未掲載)
montri 物や事柄を他の人に知覚できるように提示する
show 人前に示す
okazi ある事態が自発的に生起する
happen 予期せぬ事が偶然起こる
ordoni ある行為をおこなうように強制的に求める
order 順序づけられた秩序
pardoni 罪を赦して、とがめないことにする
pardon (コア・イメージ未掲載)
pensi 思考をめぐらしてある判断を下す
think (コア・イメージ未掲載)
perdi 意思に反して、自己の所有物を所有しない状態に
なってしまう
lose (コア・イメージ未掲載)
permesi ある行為をおこなうことを権限に基づいて容認する
permit (コア・イメージ未掲載)
peti 物や行動によって好意を示すよう求める
ask ことばを使って物や事を求める
provi ある物が完全か、うまくいくか、を知るために仮
の行動を起こす
try (コア・イメージ未掲載)
prunti 貸借関係を持つ
lend (コア・イメージ未掲載)
borrow (コア・イメージ未掲載)
sekvi (空間的、時間的、また論理的に)ある物の後ろ
からついて行く
follow あとに続く
suferi 苦悩・損害を受ける
suffer (コア・イメージ未掲載)
surprizi 不意を打って狼狽させる
surprise (コア・イメージ未掲載)
timi 恐れ・不安・遺憾の気持ちにより、平気でいられ
ない
fear (危険などに対する)恐怖
vesti 衣服を着用させる
clothe (コア・イメージ未掲載)
zorgi 他の人によかれと気遣いをする
care 注意を向ける(気にかける)こと
エスペラントと英語の前置詞・副詞の一覧表。
エスペラントの単語には「エスペラント日本語辞典」から「基本義」
を記載した。
英語の単語には「新感覚★キーワードで英会話」(現在、サイトなし)にある
「コア・イメージ」を記載した。
英単語の後ろにある数字は、Back Number の週数である。
en 対象の内部
in 10 空間内
ekster 対象の外部
out 12 (内との対比で)外に
el 対象の中から外へ
from (物事の起点を示して)~から
de 起点・発生源
of 11 切っても切れない関係
from (物事の起点を示して)~から
since 事柄の起点を表す
by ~に近接して(受け身文の行為者)
da 対象の数量的指定
of 11 切っても切れない関係
g^is 範囲の終端
by ~に近接して(~までには)
until (時間の終点を示して)ある時点まで
sur 対象の表面に接して
on 10 接触関係
for 場所からの離脱や視野からの消失
off 12 (接触との対比で)分離して
away 12 ある地点から離れている
c^e 対象と近接した位置関係
at 10 場所(~のところに)
al (基本義未掲載)~へ
to 11 対象に向き合って(相対して)
per 道具・手段
by ~に近接して(手段)
with 11 何かとともに(道具)
kun 対象の随伴・共同
with 11 何かとともに
sen 対象の不在
without ~なしで
por 目的への適合
for 11 対象に向かって(を指して)
pro 動機・理由
for 11 対象に向かって(を指して)
pri 対象との関係一般
about 13 ある対象の周辺(あたり)に
c^irkau^ 対象の周囲・周辺
about 13 ある対象の周辺(あたり)に
around 13 (ぐるっと一回りするような)周囲に
antau^ 対象の前方の場所・部分
before ~より前に
post 対象よりも後に置かれる時間や場所
after 基準(時)よりあとに
super 対象から上方に離れた位置関係
above ある基準点から離れて上に
over 13 弧を描くように超えて
up 12 基準から上のほうに(移動する、ある)
sub 下側
under 12 何かの下に
down 12 基準から下のほうに(移動する、ある)
apud (基本義未掲載)~のそばに
by 10 ~に近接して
preter 対象の近くでの通過・移動
past (コア・イメージ未掲載)~を通り過ぎて
tra 対象空間の貫通的移動
throught 13 空間内を通り抜ける
trans 対象の向こう側
across 13 平面を横切って
lau^ (基本義未掲載)~に沿って
along 13 何かに沿って
kontrau^ 対象と向かい合った関係
against ~に対抗して
krom 言及対象からの除外
except ~を(例外として)除いて
besides ~を横に置いて
inter 複数の対象の間
between 2つのものの間に
among (囲まれて)~の間に
dum 継続した時間の範囲
for 11 対象に向かって(を指して)
during ある特定の期間の間に
malgrau^ 対象との因果関係に逆らって
in spite of (コア・イメージ未掲載)~にもかかわらず
anstatau^ (基本義未掲載)~のかわりに
instead of (コア・イメージ未掲載)~のかわりに
po 対象の数量的配分
je 意味不定
エスペラントの文体 (2006/07/04)
エスペラントの簡易性(simpla)と論理性(logika)について
La vera stilo Esperanta estas nek slava, nek germana, nek romana,
エスペラントの本当の文体は、スラブ語系でもなく、
ゲルマン語系でもなく、ロマンス語系でもない。
g^i estas - au~ almenau~ devas esti - nur stilo simpla kaj logika.
それは-そうであるべきなのだが-簡単で論理的な文体だけだ。
La stilo Esperanta ne imitas blinde la stilojn de aliaj lingvoj,
エスペラントの文体は他の言語の文体を盲目的に模倣せず、
sed havas sian karakteron tute specialan kaj memstaran,
まったく特別な自立した性質を持つ。
"Lingvaj Respondoj" L. L. Zamenhof
「言葉についての応答」L・L・ザメンホフ
PRI LA ESPERANTA STILO
「エスペラントの文体について」より
Por ekzemplo mi citos al vi pecon de unu el tiuj leteroj,
kiujn mi ofte ricevas de rusoj,
例えば、私がロシア人からしばしば受け取る手紙の一つの
一部分をあなたに引用しよう。
kiam ili ellernis la gramatikon kaj vortojn de Esperanto,
彼らはエスペラントの文法と単語を習得したとき、
sed ne konas ankorau~ g^ian stilon
kaj tradukas lau~vorte el sia nacia lingvo.
その文体をまだ知らないで、自分の民族語から逐語的に翻訳する。
Komparu la stilon de tiu c^i peco
(gramatike kaj vortare senerara!)
kun la stilo Esperanta,
この部分の文体(文法的、語彙的には間違いない!)と
エスペラントの文体を比較しなさい。
kaj tiam vi tuj vidos,
kiel erara estas la opinio de kelkaj personoj
pri la “slaveco” de la Esperanta stilo:
エスペラントの文体がスラブ的だという何人かの意見が
どうして誤りであるか、あなたはすぐにわかるだろう。
“Favora Regnestro!
「好意的な君主!
Honoro havas alkus^igi,
名誉が置かれることを持ちます。
kio lau~ kau~zo de antau~skribita al mi kun kuracisto kuraco
医者の治療とともに私のに前書きされた原因にしたがって、
mi en efektiva tempo ne en stato elpleni de donita
kun mi al vi promeso;
私は、実在の時間の中では、私とあなたに与えられた約束を果たせる
状態の中にありません。
apud kio postaperigas,
そのそばで後で表します。
ke mi turnos sin al domo tra du monatoj,
私は2ヶ月を通して自分を家に帰します。
ne pli frue de fino de Au~gusto”.
8月末より早くなることはありません。」
Tiu c^i sama peco en stilo Esperanta sonus tiamaniere:
これと同一の部分はエスペラントの文体ではこういう
風になるだろう:
“Estimata sinjoro!
「尊敬される紳士!
Mi havas la honoron raporti al vi,
私はあなたに報告する名誉を持っています。
ke kau~ze de kuracado,
rekomendita al mi de la kuracisto,
医者が私に推薦した治療のため、
mi en la nuna tempo ne povas plenumi la promeson,
kiun mi donis al vi;
私は今の時間では私があなたにした約束を果たすことができません。
mi ankau~ sciigas vin,
私はまたあなたに知らせます。
ke mi revenos hejmen post du monatoj,
私は2ヶ月後に家へ帰ります。
ne pli frue ol en la fino de Au~gusto”.
8月末より早くなることはありません。」
エスペラントでは、esti 文の主語が文節や動詞不定形の場合や、
無主語の場合、補語に形容詞でなく副詞を用いる。
Lerni Esperanton estas grave.
エスペラント学ぶことは重要だ。
Estas grave, ke vi lernas Esperanton.
あなたがエスペラントを学ぶことは重要だ。
Estas varme.
暑い。
これはロシア語などのスラブ系の言語の影響だと言われている。
菅野裕臣さんは『講演録 言語的多様性の中の国際語を考える』の
中で次のように述べている。
つまり、主語が名詞の場合の補語は形容詞、動詞や文節の場合の補
語は副詞という規則は、ザメンホフにとって、論理性を考えた結果
だったのだろう。
どうしても、補語に副詞を用いるのが気持ち悪いというのであれば、
tio で受けたり、名詞を主語に置いて、次のように言えばよい。
Tio estas grava, lerni Esperanton.
Tio estas grava, ke vi lernas Esperanton.
La vetero estas varma.
ちなみに「エスペラントの基礎」では次の例文が載っている。
Resti kun leono estas dang^ere.
ライオンと一緒にいることは危険だ。
c^u ne estus al vi agrable havi tian saman kapablon?
そのような同じ能力を持つことがあなたには楽しくないだろうか。
Estus tre bele, ke mi iru al la fonto!
私を泉に行かせることが、とても良いなんて
Morti pro la patrujo estas agrable.
祖国のために死ぬことは快い。
C^u hodiau~ estas varme au~ malvarme?
今日は暖かいか寒いか。
estas bone uzadi la vorton "je" kiel eble pli malofte.
"je" という語はできる限りまれに使うのが良い。
B) 名詞+動詞+不定法・名詞節+形容詞
語順は例文に示す通りである。不定法や名詞節は普通副詞で受けるが、
意味の混乱を防ぐため、形容詞を用いる。
1.Antau^ kelkdek jaroj oni opiniis neebla sendi raketon gxis la luno.
数十年前、月にロケットを飛ばすことは不可能と考えられていた。
2.Multaj studentoj trovas necesa scii la anglan por legi fakan literaturon.
専門文献を読むために英語が出来ることが必要だと考える学生は多い。
3.Mi trovas malfacila paroli antau^ granda au^skultantaro.
私は大勢の聴衆の前で話すのは大変なことだと思う。
4.Mi opinias natura, ke infanoj amu ludi ekstere.
私は、子供が外で遊びたがるのは当然のことだと思う。
[注] Mi opinias nature, ke infanoj amu ludi ekstere.
当然私は、子供は外で遊ぶのが好きでなくてはいけない、と考える。
動詞には、自動詞と他動詞という区分けがある。
自動詞は目的語を持ち、他動詞は目的語を持たない動詞である。
英語の場合、自動詞と他動詞が同形の場合が多いが、
エスペラントの場合は、-ig-, -ig^i- という接尾辞を使って
自動詞と他動詞の区別する。
英語 move(動く、動かす)
エス movig^i(動く), movi(動かす)
英語 change(変わる、変える)
エス s^ang^ig^i(変わる), s^ang^i(変える)
エスペラントでも次の場合には、自動詞と他動詞の形は変わらない。
S^i kantas antau^ la maro. 彼女は海の前で歌っている。
S^i kantis novan kanton. 彼女は新しい歌を歌った。
Li dormas en sofo. 彼はソファーで眠っている。
Li dormis profundan dormon. 彼はぐっすり眠った。
Li vivas en Saitama. 彼は埼玉に住んでいる。
Li vivas mizeran vivon. 彼はみじめな生活をしている。
動詞の形が変わらないのは、目的語があってもなくても、
動詞の示す動きをする行為者が変わらないからである。
形が変わるのは、動詞の示す動きをする行為者が変わる場合である。
movi では、動くのは目的語で示しているものであるのに対して、
movig^i では、動くのは主語で示しているものになっている。
しかし、kanti の例の場合は両方とも主語の s^i が歌っている。
特殊な例として次のものがある。
La monto fumas. 山は煙を出している。
La cigaro fumas. 葉巻が煙を出している。
Li fumas cigaron. 彼は葉巻を吹かしている。
3つめの例は煙を出しているのは cigaro なので、fumigi となる
ように思われるが、「タバコを吸う」意味で fumi が使われる場合、
li も、口から煙を出しているので、fumi のままで使うのが通例である。
次のような例もある。
La pluvo c^esis. 雨が止んだ。
Li c^esis labori. 彼は働くのを止めた。
Li c^esigis s^ian laboron. 彼は彼女の仕事を止めさせた。
c^esi は自動詞で、「止まる」という意味がある。
この例が1つめの文である。
目的語の示すものが「止まる」ようにするには、c^esigi を用いる。
この例が3つめの文である。
しかし、目的語が不定詞の場合は、c^esigi でなく、c^esi を用いる。
この例が2つめの文である。
この文では、目的語が示す labori が「止まる」ので、c^esigi を
用いるように思われる。しかし、labori の行為者 li が「止まる」ので、
c^esi を用いる。
通常は自動詞として使われる動詞が一見目的語を持っているように
見える場合がある。
Mi iris lernejon. 私は学校へ行った。
S^i similas mian patrinon. 彼女は私の母に似ている。
語尾 -n は目的語の他に、移動方向を表す前置詞 al の代用として
も用いることができる。上の文はその例である。次のように言い換
えられる。
Mi iris al lernejo. 私は学校へ行った。
S^i similas al mia patrino. 彼女は私の母に似ている。
既に目的語がある場合は、al の代用の -n は使えない。
Mi donis libron al li. 私は彼に本を与えた。
Mi donis libron lin. (これはできない)
不完全自動詞 (エスペラント) (2007/12/23)
自動詞には補語(語尾 -n のない名詞や形容詞など)をとるものがある。
この動詞は補語がないと文が完成しないという意味で不完全自動詞と言わる。
次の動詞がある。
esti(~である)
S^i estas juna. 彼女は若い。
s^ajni(~のようである)
Vi s^ajnas laca. あなたは疲れているようだ。
aperi(~と思われる)
Li aperas senkulpa. 彼は無実と思われる。
aspekti(~に見える)
S^i aspektas kolera. 彼女は怒っているように見える。
farig^i(~になる)
Li farig^is maltrankvila. 彼は不安になった。
ig^i(~になる)
S^i ig^is bela. 彼女は美しくなった。
resti(~の状態にとどまる)
S^iaj okuloj restis fermitaj. 彼女の目は閉じたままだった。
これらの例文を見ると、「主語=補語」の関係があるのが分かる。
通常の自動詞でも補語をとることがある。
Maljuna viro sidis sola. 年をとった男が一人で座っていた。
Taro venis la unua. 太郎は一番に来た。
これも「主語=補語」の関係がある。
だから、次のようにも言うことができる。
Maljuna viro sidis kaj li estis sola.
Taro venis kaj li estis la unua.
前回の記事も含め言えることは、自動詞、他動詞、不完全自動詞と
いう区分は、個々の動詞に固定して決められるものではないという
ことである。どの区分で使われることが多いかという目安でしかな
い。自動詞か他動詞かと言うことにこだわり過ぎないようにすべき
である。