水晶発振器

水晶振動子と水晶発振器
水晶振動子
XTAL
水晶振動子をICに内蔵の発振回路と組み合わせて使用する。周波数温度安定度はSPXO程度。なお、温度センサや温度補正メモリ内蔵ICと組み合わせる場合の周波数温度安定度はTCXO程度。
パッケージ水晶発振器
SPXO
温度制御や温度補償をしていない水晶発振器。周波数温度特性は水晶振動子に依存する。
周波数温度安定度は、±50 〜±100 ×10−6 程度
電圧制御水晶発振器
VCXO
外部からの制御電圧により,バラクタダイオードの容量を可変し、出力周波数を可変または変調できる水晶発振器。
温度補償水晶発振器
TCXO
温度補償回路を付加し、温度変化による周波数変動をなくすようにした水晶発振器。
周波数温度安定度は、±0.5 〜±2.5 ×10−6 程度
恒温槽付き水晶発振器
OCXO
恒温槽によって温度を一定に保ち、温度変化による周波数変動を最小にすようにした水晶発振器。
周波数温度安定度は、±0.1× 10−6〜±0.5×10−9 程度
 恒温槽付き水晶発振器より、安定度の高い原子発振器も小型化、低価格化が進み、携帯電話基地局、TV放送局やスペクトラムアナライザなどにRb発振器やCs発振器が採用されているようです。
SPXO :simple packaged crystal oscillator
VCXO :voltage controlled crystal oscillator
TCXO :temperature compensated crystal oscillator
OCXO :oven controlled crystal oscillator

@ OCXOは、周波数変動が小さく、位相雑音が低いという利点がありますが、発振起動時間が数分必要で許容周波数偏差を満足するためには1時間から24時間以上必要なものもある他、恒温槽の消費電流が大きいため、電池で動作する携帯機器には不適切で、安定な電源供給が得られる基地局機器などの使用に限定されます。また、形状も大きく高価な点も問題とされています。ちなみにOCXOはSCカット、TCXOはATカットが使用されるのが一般的なようです。

A 国内では、水晶振動子/水晶発振器の代表的なメーカーは、エプソン(東洋通信機から水晶部門を譲渡)、日本電波京セラキンセキを買収)、村田製作所東京電波を買収)、大真空などがあり、業界団体としては日本水晶デバイス工業会があるようです。


水晶発振器基本特性
SPXO 車載用TCXO TCXO OCXO Twin-OCXO
発振
周波数範囲
100MHz
〜170MHz
10MHz
〜52MHz
10MHz
〜40MHz
10MHz 10MHz
温度安定度 ±50ppm ±0.5ppm ±0.28ppm ±10ppb ±0.5ppb
エージング
    /日
−−− −−− −−− 電源投入
72時間後基準
±2.0ppb
電源投入
7日後基準
±0.2ppb
長期安定度
    /年
−−− ±1.0ppm ±4.6ppm
(15年)
電源投入
72時間後基準
±50ppb
電源投入
7日後基準
±50ppb
発振
起動時間
10ms 20ms 20ms 3分
±50ppb迄の時間
5分
±10ppb迄の時間
動作
温度範囲
ー40℃
〜+85℃
ー40℃
〜+105℃
ー40℃
〜+85℃
ー20℃
〜+70℃
ー45℃
〜+85℃
電源電圧 +3.3V±10% +1.8V +3.3V±5% +5V±5% +5V±5%
消費電流
起動時
−−− −−− −−− 600mA
起動時
700mA
起動時
消費電流 60mA 1.5mA 6mA 260mA
+25℃安定時
320mA
+25℃安定時
外形寸法 3.2×2.5
×0.9mm
2.0×1.6
×0.7mm
7.0×5.0
×2.0mm
26×26
×12.5mm
37×28
×12.7mm
ppm:parts per million(×10-6
ppb:parts per billion(×10-9


大真空が超小型のTCXO(厚み0.23mmで1008(1.0mm×0.8mm)サイズ)を開発したようで、平成30年5月から量産出荷とのこと。基本波発振で100MHzまで対応可能で、電源は1.6〜3.6V、1.3mA(1.8V48MHz時)で±20ppm〜±100ppm(−40℃〜+85℃)のようです。


ライン