SI基本単位の定義など

1.SI基本単位系は、地球の大きさが基本のメートル、地球の自転周期が基本の秒、地球の重力加速度が基本のキログラムや、水の融点と沸点が基本の温度、電流の及ぼす力が基準のアンペア、目の感度が良い黄緑の光が光度の基準になっています。
 ちなみに、国際的にはBIPM(国際度量衡局)が管理しており、国内ではAISTNMIJが管理しているようです。SI接頭語

@ メートル(:長さ) 
 フランスが、ダンケルクからバルセロナまでの距離を測定し、赤道から北極点までの距離を算出した子午線の距離の1/10,000,000.を1mと定めたため、赤道から北極点までの距離は、1万kmとなります。ちなみに、地球は回転楕円体であるため、子午線1度の距離は緯度によって異なるため1部の距離測定から赤道から北極までの距離を算出するためには楕円体の補正が必要になります。
 これらを元に、1889年にメートル原器が白金とイリジウム合金で作成され、国際度量衡局(BIPM)から日本に配布されました。
 1960年には、メートル原器がクリプトン86から放射される光の波長に置き換えられました。1983年からはヨウ素分子の吸収線に発振波長を安定化させたヘリウムネオンレーザーが標準とされ2.1×10−11の相対不確かさに改善された。2009年には光周波数コム装置が標準とされ、ヘリウムネオンレーザーに比べ300倍程度高精度化されたようです。
 現在は、真空中の光の速度を元に規定され、1/299792458秒間に光が真空中を伝搬する距離とされました。したがって秒(セシウム133の9192631770Hz)の不確かさにも依存することになります。
 ちなみに、航空機などで使用される1マイル(1609.3メートル)は1760ヤードで、1ヤード(0.914メートル)は3フィート、1フィート(30.48センチメートル)は人間の足の長さが基準で、12インチ、1インチは2.54センチメートルです。イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカで使用されているようです。ちなみに、イギリスのフィートは、約0.304798967メートル)とアメリカのフィートは、約0.304800609メートル)という差があるようです。
 また、アメリカの力は絶大で、航空機、ゴルフでもこの単位が使われる他、IC(DIP型)のピン間隔が0.1インチで規定されていたようです。

A キログラム(kg:質量)
 キログラムは、摂氏4度の純水1Lの質量と規定されているため、メートルと地球の重力加速度、温度に依存するためこれらの不確かさの影響を受けます。1889年の第1回国際度量衡総会において、純水1Lの質量が国際キログラム原器の質量に置き換えられて定義されました。キログラム原器は白金とイリジウムの合金で制作されましたが、表面の汚れなど経年変化で変動があり、空気中では、空気による浮力がありますので、真空中で測定する必要があります。現在は、国際キログラム原器は、精密なシリコン球が用いられ2019年にプランク定数(h:6.62607015×10−34Js)による定義に変更されました。
 アメリカで使用されている単位の1ポンド(453.6グラム)は16オンスで、1オンスは28.35グラムです。歴史的には、メソポタミア地方で定められ、1ポンドの製粉によって焼かれたパンが1日分の食料だったとのことです。

B 秒(s:時間
 地球の自転周期を元に決められた24時間の60分の1の1分を更に60分の1にした1秒が用いられていましたが、地球の自転周期も変動するため、1967年に基準がセシウム133原子の超微細準位の遷移周波数の9.192631770GHzとして規定され2×10−13程度の不確かさになりました。その後セシウム原子泉方式が採用され1×10−15程度の不確かさとなり、2012年に再定義候補として採用されたイッテルビウム光格子時計は1×10−18程度の不確かさが実現できたようですが、光格子時計は連続運転が困難なため水素メーザーとの並列運転などが検討されているようです。秒sの基本はHzが基準です。

C アンペア(A:電流)
 真空中に1メートルの間隔で配置された平行な2本の直線導体を流れる電流が、1メートル当たり2×10−7ニュートンの力となる電流が1アンペアとされています。
 1908年には抵抗の標準として断面積1mm、長さ1063mm、摂氏0度において水銀柱の抵抗が1Ωとして定義され、その後技術の進展に合わせ標準が厳密化され、1977年にはジョセフソン効果電圧標準が実現され国際的な標準の不確かさは11桁の精度となったようです。2019年より、1秒間に通過する電子の数として定義され、1アンペアとは、1秒間に1/1.602176634×10−19の電子が流れる電流と定義されたようです。

D ケルビン(K:温度)
 1気圧における水の融点が0度、沸点が100度と決められた摂氏温度が基本で絶対零度が、摂氏−273.15度が元になっていますが、水の融点や沸点は気圧などによって変動するため、水の三重点(0.01度)を基準に1/273.16を1ケルビンとされています。
 世界的に使用されている摂氏(セルシウス度)と現在アメリカで使用されている華氏(ファーレンハイト)の変換は、摂氏0度は華氏32度、摂氏100度は華氏212度になります。ちなみに、ファーレンハイトは最初、彼が測ることのできた最も低い室外の温度を0度、彼自身の体温を100度としたとされています。彼は1708年の冬の大変寒い日に、ダンツィヒ郊外の彼の自宅において「華氏0度」を計測した(これは摂氏−17.8度である)。彼の体温(摂氏37度)を「華氏100度」と固定したと言われていますが、欧米では少し違った解釈もあるようです。

E モル(mol:物質量)
 0.012キログラムになる炭素12の原子の数に等しい要素粒子を含む物質量でしたが、国際キログラム原器の変動の影響がありました。したがって、現在はキログラム原器の変動を受けないように、アボガドロ定数6.02214076×1023と定義されています。

F カンデラ(cd:光度)
 光度の基本単位は、カンデラで人間の目が最も明るく感じる若葉の黄緑色(波長555nm)を基本としており、540×1012ヘルツの単色放射の放射強度が1/683ワット/ステラジアンである光源の光度とされているようです。


ライン