4.Concepts on the multi-unit housing (5)


 集合住宅についての考え*

 4−5.個からの視点を持ち集まり住まう

 今日の集合住宅は、公的あるいは民間の賃貸住宅、そして分譲型式の
 ものを含めて、生活を充実させるために多様な要求を持つ一般生活者に
 対して、如何にして魅力ある住空間を提供できるかが、大きな課題となっ
 ています。分譲という形とは別に、生活者自らが集まり、自分達で共同の
 集合住宅をつくるコーポラティブハウスも、今日まで数多くつくられてきまし
 た。もちろん、コーディネーターや設計の専門家がサポートする形を取りま
 すが、生活者自らが計画に参画し、さらに同じ目的を持って集まった住人
 とのコミュニティーを自ら形成していくこの方式は、単に一つの住戸を手に
 入れることだけにとどまらず、環境づくり、コミュニティーづくり、まちづくり
 へと意識が広がり、地域社会への関心と、「人が集まって住む」事の意
 味を深く考えることが出来る点において、優れた集合住宅のつくり方であ
 ると言えます。
 また、単身者(特に高齢者)が集まり、共同の生活場を持ちながら、それ
 ぞれの個室部分も併せ持って、共同生活を行うコレクティブハウスという
 形式も徐々に増えつつあります。
 集合住宅とは、つまり、その大小に関わらず、それぞれの個人を大切にし
 ながらも、お互いに交流し、助け合う一つの地域社会であると言えます。
 最近建てられた高層の集合住宅には、単なる集会所があるだけではなく、
 アスレティックジムやプール等、個人では所有し難いが共同なら持つこと
 が出来る施設、コミュニティー意識を醸成させるための仕掛けを盛り込ん
 だものが出来てきています。
 個の充実とコミュニティーのの充実。この二つが、これからの集合住宅の
 大きなテーマとなっていくようです。



  
















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 * 「私が選ぶ 2001建築家カタログ」
 (学芸出版社 (社)日本建築家協会近畿支部 編著)
 より 筆者抜粋



  1.事務所の特徴
  2.住まいについての考え
  3.将来の建築主へのアドバイス
  4.集合住宅についての考え
     4−1.人が集まって住まうことのお話
     4−2.集合住宅の流れ
     4−3.うさぎ小屋からの脱却
     4−4.資産価値から生活価値へ
     4−5.個からの視点を持ち集まり住まう
  5.建築主への呼び掛け


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