| 集合住宅についての考え* | |
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4−2.集合住宅の流れ 1920〜30年代、日本での都市部において初めて近代的な集合住宅が つくられました。その代表格として有名な東京・青山の同潤会アパート( 鉄筋コンクリート造壁式)は、70年を経た今日も健在(残念ながら、2 001年に取り壊し決定)で、当時の都市生活者にふさわしい良質な低層 三階建ての集合住宅の姿を残しています。また今日の高層集合住宅のはし りとも言える同潤会・江戸川アパート(鉄筋コンクリート造ラーメン、6 階建)もこの頃につくられたものです。 集合住宅が、国家レベルで本格的につくられ始めたのは、、戦後の復興期、 1950年代からで、、建築基準法、住宅金融公庫法、公営住宅法等の数 々の法整備と共に、ニュータウン計画が始まりました。関西では、千里ニ ュータウン(豊中市・吹田市)、泉北ニュータウン(堺市)を軸として、 大規模な団地が官公庁主導で建設されています。 1960年代の高度成長期に入り、国の持家政策と呼応する形で、民間の 分譲集合住宅(マンション)がつくられ始めました。幾度かのマンション ブームを経ながら、その建設は今日まで連綿と続いています。一方、官公 庁においても、良質な賃貸集合住宅団地や公社分譲の中低層・高層の集合 住宅が建設され、都市化による人口集中に対応すべく計画され続けて、今 日に至っています。 さて、2000年を迎えた今、都市の居住環境を考える基盤が明らかに変 わってきています。大都市の臨海部を占めていた重厚・長大産業は、一部 撤退を始め、その空き地は広大な住宅用地として、潜在需要を待っていま す。また、都市の住宅地においても、少子高齢社会が進展し、単身者世帯 の増加と共に賃貸住宅や戸建て住宅を含めて、住戸数そのものの不足はす でに解消されてきています。今後の都市部の人口も、長期的には減る傾向 が予測されています。現在、都市部において、その地価の関係から、高層 ・超高層の集合住宅が主流とされていますが、これらの状況を考えると、 近い将来、高層ばかりではなく、十分な緑地も確保されたヒューマンスケ ールの良質な中低層の集合住宅が様々な形で現れ、増え続けていくことが 予想されます。 | |
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「私が選ぶ 2001建築家カタログ」 (学芸出版社 (社)日本建築家協会近畿支部 編著) | |
| より 筆者抜粋 |