相談をご希望の方は当事務所にお電話022-211-5624またはメールでお申し込み下さい。お申し込みをいただいた場合、当方から調査カードという書面をお送りします(事前に事案の概要を把握し適切な相談を行うためです)。分かる範囲で事故の概要を記載してご返送ください。ホームページから調査カードをプリントアウトして直接ご送付いただいても結構です。その後当方からお手紙またはお電話で面談の日時をご連絡いたします。ご都合がつかない場合は日時を変更致します。日中時間のとれない場合には夜間の相談も可能です。
相談料は1回5000円です(相談時間の制限はありません)。最近では無料相談や電話相談を行っている法律事務所も少なくありませんが、医療事故の相談は問題となる疾患についての事前調査を行わない限り適切なアドバイスをすることは不可能です。十分な事前準備をするためにも当事務所では相談は有料となっております。
宮城県以外でも青森県、秋田県、岩手県、山形県、福島県、栃木県にお住まいの方、あるいは宮城県、青森県、秋田県、岩手県、山形県、福島県、栃木県の医療機関で医療事故にあわれた方であれば相談をお受けしています。
なお美容形成外科・歯科・精神科の事案については協力医の確保が難しいため受任ができない状況にあります。そのため美容形成・歯科・精神科の事案の相談は受け付けておりませんのでご了承ください。それ以外の事案でも内容によっては相談をお受けできない場合がございます。
電子メールでの相談は、遠方あるいは体調や仕事の関係で直ぐに面談できないが取り敢えず一般的なアドバイスを受けたいという場合に応じています。この場合の相談料は無料です。メールでの相談の場合にはカルテなどの資料を見ることができないので、回答は一般的なアドバイスにとどまります。面談による相談に代わるものではありませんので、簡単なセカンドオピニオンあるいは面談による相談をするかどうかの判断材料としてご利用下さい。
当法律事務所は医療関係の事件を専門的に取扱っています。以下は医療過誤事件の特徴・手続きの流れ・弁護士費用・必要経費・留意事項・相談方法の説明です。相談なさる前に必ずお読み下さい。
第1 医療記録の入手、調査検討の段階
1 医療過誤事件は、カルテなどの資料を集めて医学的見地から検討しないとそもそも責任追及可能かどうか分からないという特殊性があります。そこで、最初にカルテなどの医療記録を入手して調査検討することになります。
事前にカルテや画像記録が入手済みの場合にはそれをお預かりして検討します。
入手していない場合には、カルテなどの改竄を防止するため原則として証拠保全手続きをとります。
2 証拠保全手続きとは、証拠の廃棄や改竄を防止するために、そのような可能性がある場合に裁判所に申し立てて、予め証拠の写しを裁判所が記録として残しておく手続きです。予告しないである日突然裁判官と、申立代理人弁護士が病院を訪ねてカルテ等の提示を求めて、その場でコピーないしデジタルカメラで撮影する形で行われます。
裁判所の日程の関係で前後しますがこの手続きには1ヶ月半程度の期間を要します。
3 カルテなどの医療記録を入手後翻訳が必要な場合があります。混み具合にもよりますが1ヶ月程度を要します。
4 医療記録の分析、医学文献の調査、類似判例の検討などを行い当該医療行為に過失があるかどうか検討します。必要に応じて専門医にコメントを求めます。
事件の難易度にもよりますが、概ね1ヶ月〜2ヶ月程度を要します。
5 全ての検討が終了後、依頼者に検討結果を説明すると共にその後の方針について助言します。検討には上記のように時間がかかりますので、依頼を受けてから検討結果を説明できるまでには4ヶ月程度を要します。事案が複雑な場合、助言を受けられる専門医を探すのに時間がかかる場合には半年以上の期間を要する場合もあります。
検討の結果当該医療行為に過失が認められ、損害との因果関係も認められる可能性があると判断される場合には次の責任追及の手続きに移ります。ただこれまでの経験では調査検討を依頼された案件のうちで責任追及の段階に進むのは3分の1程度です。およそ3分の1はやむを得ない経過と判断され、残りの3分の1は医療ミスが疑われる点はあるが過失や因果関係の証明が難しいと判断される場合です。後で述べますが医療過誤訴訟では立証責任は全て患者側に負わされており立証の見通しが乏しい場合には提訴はできないのです。医療事故の調査はこの点を十分ご理解の上ご依頼下さい。
6 なお介護事故・保育事故で医学的事項が争点にならず、資料も入手済みで特段の調査を要しない場合は、調査検討の段階を経ずに受任することになります。
第2 責任追及の段階
1 検討の結果当該医療行為に過失が認められ、損害との間に因果関係がある可能性が高いと判断される場合には責任追及の手続きに移ります。具体的には、まず事案の経過及び相手方医療機関の責任原因を明らかにし、損害賠償額も明示した催告書を相手方に送付します。相手方も医師会や医師賠償責任保険の保険会社、医師会や保険会社の顧問弁護士と協議する必要があるので、1ヶ月から1ヶ月半程度先に回答期限を設定します。ただ通常はもう少し時間が欲しいとの連絡が来て2〜3ヶ月程度先に回答が来る場合が多いようです。
2 相手方から交渉で解決したいとの意向が示されれば、示談交渉を行います。示談交渉は2ヶ月から3ヶ月程度かかるのが普通です。最終段階では依頼者と十分協議します。例外的ですが示談交渉の過程で相手方の反論に理由があり当方の主張を維持できなくなる場合もあります。その場合はその段階で責任追及を諦めざるを得ない場合もあります。事前にできるだけの調査を行ってもそのような場合があり得るということはご承知置き下さい。
3 相手方の回答が交渉の余地がないというものである時あるいは、示談での解決が困難と認められる場合には次に法的手続きに移ります。
損害賠償の裁判を起こすのが基本ですが、調停手続きやADRを勧める場合もあります。調停とは簡単に言えば裁判所における話し合いの手続きです。調停委員が双方の主張を聞いてお互いの解決を斡旋する手続きです。調停が不成立の場合には裁判に移行します。例外的に裁判での立証が難しいが責任が無いとは言い難いという場合に調停を行う場合もあります。その場合は裁判に移行しないこともあります。ADRとは裁判外紛争解決機関のことで仙台弁護士会が設けています。
4 最終的に裁判になると、最初の半年位は双方が書面のやりとりをして、裁判での争点を整理する手続きが行われます。
争点整理が済むと証拠調べに入ります。証拠調べでは関与した医師や看護師の証人尋問が行われます。原告本人の尋問も行います。専門家の私的鑑定書を提出する場合もあります。これで裁判所が責任の有無について心証を形成できれば、その時点で和解を勧めるかそれが無理なら判決ということになります。
ただ裁判所は医学には素人なので、医療過誤訴訟では鑑定手続きに移る場合も少なくありません。鑑定とは医学的事項について専門の医師を裁判所が鑑定人に選任して医学的判断を求める手続きです。鑑定結果如何は判決に重大な影響を与えます。
裁判では判決よりも和解で解決されるケースの方が遥かに多いのが実情です。判決は勝つか負けるかで中間的な判決というものはありません。ですから、お互い100%の自信が持てない場合には、中間的な解決として和解を希望する場合が少なくないからです。また判決ですと不服があれば互いに高等裁判所に控訴することが可能なので、たとえ勝訴したとしても最終的な解決に時間がかかる場合があります。しかし和解であればそれで裁判は終了ですから早期に解決できるメリットもあります。
5 判決が出された場合には不服があれば原告、被告とも高等裁判所に控訴することができます。
6 なお当事務所では刑事告訴や行政処分の申告などはお受けしておりません。
第3 弁護士費用
1 調査検討段階の弁護士費用
医療過誤事件に限らず事件を弁護士に依頼するには弁護士費用とそれ以外の必要経費(実費)がかかります。
医療過誤の場合には、資料を集めて医学的見地から専門的な検討を加えなければそもそも責任追及可能かどうか分からないという特殊性があるので、調査検討の段階が先行します。この段階では着手金と必要経費のみで成功報酬はありません。
調査検討の着手金は、既にカルテを入手済みの場合は20万円、証拠保全を伴う場合には30万円(消費税別)です。
着手金は一括払いが原則ですが、難しい場合には分割での支払に応じておりますのでご相談下さい。
2 調査検討段階の必要経費
弁護士費用以外に、カルテの翻訳費用、協力医の助言を得た場合の謝礼、レントゲン写真のコピー代、交通費、裁判所の文書の送達費用などの実費がかかります。
3 責任追及段階の弁護士費用
責任追及段階の弁護士費用は、事件に着手する時にいただく着手金と事件が解決したときにいただく成功報酬の2段階になります。
着手金の金額は、受任の範囲によって異なります。従来は裁判を含めて解決までの一切を受任範囲として着手金を決めてきましたが、今後は先ず示談交渉・ADR・調停の範囲で受任し、それで解決できなかった場合に改めて裁判を受任するかどうかを判断するという方式に致します。
このような方式とする理由は、一つには最初から裁判を含めて受任する場合には勝訴の可能性が私の心証の中で6〜7割と判断されない限りお断りしていたのですが、それに至らないケースであっても示談交渉・ADR・調停によるある程度の解決が期待できそうだという場合には受任可能なようにしたいということです。そうすることによって示談交渉・ADR・調停での受任の場合の着手金を減額することもできます。二つ目には近時裁判所の医療事件に関する姿勢が大きく変化し患者側の勝訴率が20〜25%に低下しているということがあります。このような傾向のもとでは勝訴の可能性が8割位と判断されないと裁判までお引き受けすることはできないということです。
示談交渉・ADR・調停の範囲で受任する場合の着手金は、損害賠償請求の金額と事案の難易度に応じて10万円〜20万円(消費税別)の範囲で決めさせていただきます。
それで解決できず裁判まで受任する場合は、追加の着手金を20万円〜30万円(消費税別)の範囲で決めさせていただきます。
着手金は一括払いが原則ですが、難しい場合には分割での支払に応じております。分割での支払いも難しいという場合は、例外的に着手金を減額して成功報酬を増額する方法もありますのでご相談下さい。
裁判を受任した場合は、解決まで何年かかろうと、また控訴されても追加着手金を頂くことはありません。
事件が解決した場合には、得られた賠償金の15%+消費税が成功報酬となります。もちろん賠償金を得られなかった場合は成功報酬はありません。また場合によっては見舞金程度の賠償金しか取れない場合もありますが、その場合成功報酬を減額するかあるいは頂かない場合もあります。
4 責任追及段階の必要経費
示談交渉の段階では費用はかかりません。
ADRの場合は2万1000円の申立費用が、調停の場合は6500円の申立費用がかかります。
裁判の場合は請求金額に応じた印紙代がかかります。印紙代の金額は例えば2000万円の損害賠償請求の場合には8万円です。年金暮らしであるあるいは母子家庭であるなど資力に乏しい方の場合には訴訟救助といって裁判終了まで取り敢えず納付を猶予してくれる制度もありますのでそのような場合はご相談下さい。
また裁判所の書類の送達などに要する費用として1万円を予納する必要があります。
必ず必要というわけではありませんが、証拠として専門家の私的鑑定書を提出する場合は費用が30万円位かかります。
裁判所に鑑定を求める場合には50万円位の鑑定費用を裁判所に納めなければなりません。多くの場合は原告、被告の双方申請の形をとるので折半することになりますが、原告だけが申請する場合には全額負担しなければなりません。
5 被告(病院側)の弁護士費用
よくある質問に、仮に裁判で敗訴した場合被告の弁護士の弁護士費用を払わなければならないのかというものがあります。日本では敗訴者負担制度はとられていませんのでその必要はありません。弁護士費用は原告被告それぞれが自己負担することになっています。ただ原告(被害者)については勝訴すれば弁護士費用のうち一定の金額を損害と認定してくれるので、その場合は被告(病院側)から弁護士費用の一部を支払ってもらえます。
第4 依頼に当たってご留意頂きたい事項
1 医療裁判の困難性
医療過誤訴訟の勝訴率は、最高裁の統計では、一般事件が約80%なのに対し20〜25%程度(統計数字は年度によって異なります)にとどまるとされています。しかもこの勝訴には一部勝訴も含まれますから実際に請求金額通りの解決がもたらされるのは2割以下と思われます。私の場合には事前に十分検討して提訴することにしているのでこれより勝訴率は高いのですが、それでも力及ばず敗訴することや敗訴的和解を強いられることもあります。場合によっては裁判の経過の中でやむを得ない事故であったことが判明することもあります。その上裁判には時間がかかります。提訴後平均して3年弱かかっているのが現状です。このように事前の勝訴の見通しも立て難い困難な訴訟類型です。
このように勝訴率が低いのは立証責任が全面的に患者側に負わされているからです。医療機関に過失のあった可能性、過失と損害の間に因果関係のある可能性があっても可能性だけでは勝てないのです。どんなに医療ミスが疑われる事情があっても証拠がなければ事実認定されません。医学的事項についても患者側が立証できない限り負けるのです。
その上裁判所はどうしても専門家である医療機関側の言い分を信用しがちです。
立証手段についても相手が専門家ですから他の専門家の協力を得ることはたやすいことです。これに対し患者側に味方してくれる専門家はまだまだ少ないのが現状です。
2 裁判による解決の限界
医療過誤訴訟では最終的には損害賠償請求の形しかとれません。今の法律では例えば判決で謝罪を医師に命じることはできないとされています。懲罰的な慰謝料も今の法律では認められていません。復讐の目的で裁判を利用することも許されていません。医療機関の誤りを認定し、正当な金銭賠償を命じるというのが裁判による解決です。
また真実究明ということが裁判の目的の一つになりますが、裁判所が自ら積極的に真実を明らかにする活動をしてくれるわけではありません。原告、被告それぞれの立証を見て、どちらの主張が裏付けられているかという観点から判断するだけです。ですから裁判をすれば必ず真実が明らかになるというわけではありません。むしろ患者側が主張する事実が真実であるとのお墨付きを与えることが裁判所の役割だと理解した方がよいでしょう。
3 調査依頼をお断りする場合
医療過誤かどうかは、実際に行われた医療行為が、その当時の臨床医学の水準から見て標準的医療行為と評価されるかどうかという観点から判断されます。ですからどんなに医師の態度が悪くとも、あるいは不親切であっても標準的医療がなされていれば過誤とは言えません。また標準的医療行為とは評価されないとしても、標準的医療行為が行われたとしても結果は変わらなかったという場合にも、過失と結果との間に因果関係がないこととなり、やはり責任追及はできません。
調査検討の結果、当該治療が医学的に妥当な場合あるいは許容範囲内と判断される場合、あるいは治療行為に問題はあるが因果関係がないと思われる場合には、そのことを率直にご説明します。しかしともすればそのような説明は、依頼者からすればあたかも弁護士が相手方医師の味方をしているかのように受け取られがちです。詳しく理由を述べますが、医師の判断に誤りがないと思われれば率直にそのようにご説明します。ですから、最初から責任があるものと決めつけて、そのような説明は受け付けられない、責任追及が難しいというような調査結果は受け入れられないとお考えになるのであれば、依頼はご遠慮下さい。
4 責任追及の依頼をお断りする場合
医療事故では死亡あるいは重度の後遺症という悲惨な結果がもたらされる場合が少なくありません。本人や遺族がどうしてそのような事故が起きたのか真実を知らなければ、死の悲しみを乗り越えることも後遺障害に立ち向かうこともできないはずです。ですから事案の真相を究明するということが重要だと考えています。次に起きた事故を当該医療機関、医師の教訓とし、二度と同じ過ちが繰り返されないよう警鐘を鳴らし、反省を求めることが重要と考えています。証拠に基づいて事案の真相を究明し、正当な賠償を求め、併せて今後の同種の事故の再発を防止することに貢献したいというのが私の考え方です。
裁判の経過の中で、やむを得ない事故であったことが判明する場合もあります。また当初の見通しと異なり敗訴あるいは不本意な和解という結果になることもあります。前に述べたように医療裁判は特に困難な訴訟類型ですから事前にどんなに慎重に検討し、準備をしたとしても予想外の展開になることが少なくありません。事件を引き受けるということは勝訴の可能性があることを意味するだけで、勝訴を請け負うという意味ではありません。ですから「必ず勝ってくれなければ裁判をする意味がない」という考えの方のご依頼はお断りします。
なお敗訴となれば賠償金を得られないどころか、相手方の主張が正しかったと公に認定されることを意味します。ですから弁護士は、基本的に依頼者を敗訴させることだけは避けたいと考えるものです。従って勝訴の見込み次第では示談による解決や和解を強くお勧めせざるを得ない場合も少なくありません。そのような場合に「弁護士の助言を聞き入れることができない」という考えの方のご依頼もお断りします。
5 辞任・解任について
医療過誤訴訟という極めて困難な訴訟を遂行するに当たっては依頼者と弁護士との信頼関係がなければなりません。会社と会社の金銭の争いのような場合には別に信頼関係など無くとも構わないのでしょうか医療過誤訴訟はそうはいきません。また裁判は証拠調べが終わってしまってからではやり直すことが非常に難しくなります。ですからもし委任後弁護士に対する不審の念を抱いた場合には遠慮なく、納得のゆくまで説明を求めて下さい、その上で弁護士の説明に納得のいかない場合には解任して頂いて構いません。この場合着手金は返還できません。
逆に依頼者の方の考えがどうしても弁護士の考える方針と相容れないという場合、こちらから連絡しても返事がもらえない場合、陳述書の作成を頼んでも作成してくれないなど信頼関係を維持できないと判断される場合は、弁護士の方から辞任することになります。依頼者に責任がない場合は着手金はお返しします。
第5 情報の公開について
裁判は公開ですから基本的に提訴の内容や判決は公開されます。特に公的病院や大きな総合病院の場合にはマスコミが報道するのが一般です。もっとも新聞やテレビでは個人が特定されないような形で何県あるいは何市の何歳代の男性あるいは女性という形での報道になります。当事務所では同様な医療過誤の防止という点を重要視していますので個人が特定されない形でマスコミへの情報提供を行っています。もしそのような情報提供もして欲しくないという場合は事前にお申し出下さい。
仙台弁護士会 弁護士 坂野智憲
昨年出産したのですが、生まれた子供は重度の脳性麻痺の状態です。陣痛促進剤を使用したせいではないかと疑っています。どうしたらよいのでしょうか。
「陣痛促進剤は本来は微弱陣痛や前期破水など医学的適応のある場合に限って使用されるべきものです。ところが日本では夜間や休日の分娩を嫌って病院の都合で使用される場合も少なくないようです。陣痛促進剤は人為的に陣痛を起こしたり、陣痛を強めたりするものですから、時に過強陣痛を引き起こし胎児が低酸素状態になって重度の障害を残すこともあります。」
やっぱり病院の責任なのですね。
「あなたの場合その可能性はありますが、可能性があるというだけで医師の責任を問えるわけではありません。法的責任を問うには、適応がないのに使用した、投与量が過剰であった、投与速度が速すぎた、投与中の分娩監視を怠った等具体的な注意義務違反(過失)を患者側で証明しなければなりません。」「そのために不可欠なのがいつどのような治療が行われたかが記載されているカルテや看護記録です。ですからそれを患者側で入手して検討することが不可欠です。」
どうすればカルテなどを入手できるのですか。
「現在はカルテ開示に応じる医療機関が多いのですが、医療過誤を強く疑うという場合には改竄や廃棄を防ぐために、カルテ開示ではなく裁判所に証拠保全を申し立てたほうがよいでしょう。カルテなどを入手したら、専門医の助言も得ながら治療内容を検討して過誤の有無を判断することになります。」
「医療行為によって意外な結果となった場合には担当医師に納得のいくまで説明を求めてください。そして説明を受けてもどうしても納得できない場合には弁護士に相談することをお勧めします。」「但し医療過誤訴訟の経験のある弁護士は必ずしも多くはないので、相談する弁護士についてはインターネットなどを利用して情報を収集することも必要です。」