Cancer
かに座
2013年12月30日 午前2:36 南中をやや過ぎた、かに座
画面は左が東、右が西、画面上の部分はほぼ天頂に当たります。この画像は晴れて月がない、澄んだ冬の夜空で写したもの。さらに、ポケットサイズとはいえデジカメで撮影しており、実際に見るよりもややはっきりと星が写っています。
人口と街灯の少ない地域ならともかく、都市部において、この近辺の星を肉眼でここまで見ることは出来ません。例えば、神奈川県の中央において、眼でかに座を見ることはほとんど不可能です。以上の画像を全体的にもう少し明るくして、暗い星がかき消される状態にすると、都市近郊で見える、実際の夜空に近づきます。
以下は文字や説明を抜いた画像です。
Cancer キャンサー
所有格はCancri(カンクリ)
かに座:黄道上にある十二星座のひとつで、ふたご座に続く星座です。これに引き続くのはしし座。かなり大きな星座で、腕を伸ばした時、手を広げたほどの角度(20度ぐらい)があります。しかし、かに座は明るい星が少なく、一番明るいβ(ベータ)星アルタルフでも光度3.8等。そしてここ、神奈川県の中央では、小田原、厚木、八王子、茅ヶ崎、横浜、川崎、東京、周囲の大都市とその光で空が明るく、暗い星がほとんど見えません。例えば、おおぐま座のアルコル(光度4.6等)がぎりぎり見えるぐらい。それも、ミザールの隣にアルコルがあるはずだ、という予備知識があるから、これがそうだろうと思える程度でしかありません。
そして、かに座でアルコルより明るい星は以下で述べるように三つだけ。これを踏まえれば、神奈川県の中央でかに座を肉眼で見ることはほとんど不可能であることが分かるでしょう。これと同様なことは他の都市部でも言えます。月の無い、晴れて空気のすんだ夜、近くに街灯などがない状況で、予備知識があってなんとなく星座が分かるといったところでしょうか。かに座を探す場合はふたご座のカストルとポルックス、そしてしし座のレグルス、こいぬ座のプロキオンを目印にその間を探します。うみへび座の頭がアクベンスやアルタルフの近くにあるので、それを目印にしても良いでしょう
一方条件が良い夜ならば、肉眼で星座と、さらにはプレセペ星団を確認することも出来ます。
主な星は以下の通り。
Acubens アクベンス α(アルファ)星 4.3等 アラビア語のal-zubanayan(さそりの二つの爪)がなまったものという
Al Tarf アルタルフ β(ベータ)星 3.8等 アラビア語al-tarf(終わり)に由来する(*異説あり)。星図ではかにの爪先にあたる。
Asellus Borealis アセルス・ボレアリス γ(ガンマ)星 4.7等 asellusはラテン語で子供のロバのこと、borealisは”北の”。つまりアセルス・ボレアリスで北のロバ
Asellus Australis アセルス・アウストラリス δ(デルタ)星 4.2等 ラテン語の”子供のロバ”に”南の”を意味するアウストラリス:australisをつけたもの(オーストラリアと由来は同じ)。つまり南のロバ。
*アセルス・ボレアリスとアセルス・アウストラリス、この二星の間には散開星団プレセペ(Presepe)があり、この星団を、ロバを養うかいばを入れる桶に見立てる場合がある。
Tegmine テグミン ζ(ゼータ)星 光度4.7等 ラテン語のtegmenあるいはtegimeniに由来するという。tegimenは鎧や兜のこと
その他の天体
参考:
「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社
「羅和辞典」田中秀央 研究社