SY Cancri
かに座SY星
かに座の矮新星(UGZ Z Cam型)
11〜14等 27日?
2019年2月12日 かに座SY星の周辺
連なった小さな円は25倍の視野を示し、左下はプレセペ星団、その上にかに座δ(デルタ)星、そして周辺の星々が描きこまれています。スケッチは口径125ミリで行いました。だいたい4・5度四方の星が見えていますが、この中に変光星が五つあります。プレセペとδ星の間にあるS星。そこから北東へ3度いったところのT星。同じく東へ3度いったところにあるX星。そこから1・5度離れた場所のFZ星。そしてそのすぐ近くに矮新星SY星があります。スケッチ右のやや大きめな円は100倍の視野を示し、SY星の周辺を描いています。視野内の明るい星はFZ星。スケッチは2019年2月12日のもので、この時、SY星は見えていません。
増光した様子は以下
2019年3月24日 21:50 増光したかに座SY星。視野の円は75倍(スケッチでは誤って70倍と書き込んである)。明るい星はFZ星。SY星は中央やや下に見えています。スケッチは300ミリで行なっています。SY星の周辺の星を300ミリで改めて記録しておこうとスケッチしたら、増光していました。
かに座SY星は矮新星で、中でもUGZと略記される型です。これは、きりん座Z星型の矮新星の意味。UGZ冒頭のUGはふたご座U星の意味で、矮新星を意味します。矮新星は小さめで温度の低い赤い星と白色矮星から成る連星で、赤い星から流れ込んできたガスが白色矮星の周りに円盤を作り、ある程度ガスがたまると白色矮星へ落下。落下の際のエネルギーが熱となって解放され、定期的に増光を繰り返します。
ただし、きりん座Z型の矮新星は減光が途中で止まって、暗くなりきらず、さりとて増光もしないという状態になる時があって、しかもこれがしばらく続きます。つまり増光のサイクルが止まってしまうわけで、これをスタンドスティル(standstill 停止の意味)と呼びます。UGZの末尾のZが、きりん座Z星を意味します。
かに座SY星は3月28日には見えなくなっていたので、今回のものは通常の増光だった様子。ちなみにこれを書いている今、きりん座Z星はスタンドスティルになっています(現状2019年2月2日から2019年3月28日までこの状態)
参考:
[Observing Variable Stars A guide for the beginner] David H.Levy