●田中茂穂博士● |
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赤星氏を【ブラックバスを初めて日本に移植した人】と聞いた事が有っても、 田中博士の名を聞いた事の有る人は、少ないと思います。 ブラックバスが移植された当時の、日本魚類学の「権威」だった人物であり、 ブラックバスを「鮎を殺す黒鱒」と、新聞で民間に発表した人物です。 いわば赤星氏が『赤星遺稿』において述べた |
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「すでに植え付けられた『害魚』であるという観念に対して、 この魚の真価が全般的に確認される機会の相当に遅れたことを悲しみたく思う。 大衆の盲目を強いたのは誰か」 |
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と、いう文の中にある『盲目を強いた』人物の筆頭と言えると思います。 しかし、博士の「バス害魚論」は、かなりお粗末なもので、 昭和8年発行された『有用有害鑑賞水産動物』において |
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「クロマス 黒鱒 Micropterus salmoides クロマス科。 性貪食である為、他の有用魚を暴食する。 此点から考えると、我が国には色々な川魚がいるから 黒鱒は害魚と考えふべきである」 |
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〜黒鱒の名について〜 |
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と断定しながらも、『此点から考えると』などと予測論にとどまってます。 日本において、ブラックバス研究が本格化したのが昭和30年代。 何をもって答えを出したのかは、正確にはわかりませんが、 外国の研究の結果、バスの生体などの悪い点のみを鵜呑みにしたようで、 博士としての立場から、良く比較研究をしての結果論では無いようなのです。 さらに、言ってる事も、度々異なったりします。 その1年前の、昭和7年7月に発表した著『魚類学』において、 外来種を移植するに当たっての『条件』をこう述べています。 |
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「魚類を移植するに当たっては、その魚が在来の魚を攻撃しないものたるを要す。 たとい攻撃するものであっても、新来の魚が遙かに在来の魚よりも 効果に取り引きされ、経済効果が増大すれば、 何も問題にはならない筈である。」 |
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しかしそう述べているものの、同年9月の新聞上では 【鮎を殺す黒鱒、鮒の敵台湾鰌】の題の元、 ハッキリと鮎を殺す外敵、在来の有益魚にとって大敵と避難しています。 また台湾鰌(ライギョ)も鮒(フナ)の大敵で、鮒が全滅するとしています。 更にワカサギも小蝦(こえび)を食う害魚として 諏訪湖に移植したところ、従来の重要魚の小蝦が殆ど全滅したと避難しています。 |
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現在、内水面においてブラックバスほど経済効果の有る魚がいるでしょうか? ライギョが大繁殖して、鮒を食い尽くしたでしょうか? 冬の釣りとして、ワカサギほど親しまれている釣りがあるでしょうか? 移植する条件として、博士の言うように |
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「新来の魚が遙かに在来の魚よりも効果に取り引きされ、 経済効果が増大すれば、何も問題にはならない筈である」 |
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と言うならば、何ら問題は無いと思います。 (私個人としては、経済効果があるから問題は無いと言う考えはどうかと思いますが・・・) 博士は、素人の赤星氏に見えていた『先』を見ることが出来なかったのでしょうか? それともただ単に、『外来種の移植』自体を良しとしなかったのでしょうか? どちらにせよ、『博士』という立場にあり、その発言力に多大な影響が有った事を もう少し考えて欲しかった・・・と言っても、後の祭りですね。 |
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