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雪渓を登り詰める。
とは言っても、雪渓の上をほとんど歩いていないせいか、フト気がついたら いつの間にか雪渓が終わっていたという感じ。
ガラ場をジグザグに登る。左手に沢が流れているので、休憩して水を補給する。
ガスの中に入ったからであろう、
振り向けば高嶺や鳳凰三山は先程よりも見えにくくなっている。 |
やがて八本歯沢から右手の尾根に取り付くこととなる。
ここからは木で作られた梯子の連続である。
周囲はガスに覆われており、視界は全くといって良いほどない。当然、目の前に見えるはずのバットレスも全く見えない。
この梯子登りは結構辛い。足の幅が規定されてしまうからで、
どうも性に合わないのである。周囲の景色が得られないのもモチベーションを下げ、辛さに輪を掛けていることは間違いない。
息が上がる。 |  |
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ところがである。
八本歯ノコルへの最後の梯子を登る途中で、突然 ガスがサーッと引き、高嶺、
地蔵岳、観音岳がハッキリと見えるようになったのである。
無論、登ってきた大樺沢の雪渓も見える。
これは奇跡が起きたかと思ったのだが、すぐにまたガスが周囲を覆ってしまったのであった。しかも、
見えたのは大樺沢と鳳凰三山方面だけで、
肝心の北岳バットレスはこの時も見ることができなかったのであった。
八本歯ノコルに至っていれば、反対側の山々も見えたのにとタイミングの悪さを残念に思う。 |
9時57分、八本歯ノコルに到着。
意外や意外。反対側もガスの中かと思っていたのだが、ガスは流れているものの、結構 周囲が良く見える。
そして、少し北岳方面に進んでみれば、
八本歯ノ頭の右に富士山が見えるではないか。
本日は富士山を見ることはなかろうと思っていただけに、一寸 嬉しくなった。
ただ、北岳登頂の後に進む間ノ岳方面は、
その頂上部分がガスに覆われてしまっていて全容が見えない。 |  |
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少し休んで先を目指す。先に述べたように進行方向左側はガスが湧きながらも何とか景色を見ることができるが、
右の北岳側はガスで遠くまで見渡すことができない。
梯子を登り暫く進むと、やがて岩が積み重なった斜面となる。ペンキ印や岩場に立てられたポールを辿り、
息を切らせながら登っていくと、辿り着いたのが北岳山荘へのトラバース分岐。時刻は 10時18分。ここで一休み。
ここからはザレた岩場をジグザグに登ることになる。足元にはキンロバイであろうか、黄色い花が咲いている。
左下を見れば、北岳山荘が見えるが、その後方の山々はガスの中。 |
やがて、吊尾根分岐に登り着く。
時刻は 10時39分。
左に行けば北岳山荘、右が北岳である。
北岳に登った後、再びここを通ることになるから荷物を置いて空身で北岳山頂を往復しようかと思ったのだが、
山頂で腹ごしらえもしたいし、何よりも喉が渇くであろうからとそのままザックを担いで北岳を目指す。
この分岐でもガスの間に
富士山を見ることができた。 |  |